副作用に副作用があるのはおかしいだろ!!   作:おびにゃんは俺の嫁

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あけましておめでとうございます!

今年もこの作品をよろしくお願いします!



第25話

『大変!あと少しで、まだ避難誘導中のC級隊員達のところにネイバーが到達しちゃうわ』

 

相川の通信を聞いた夏樹は、バイパーでトリオン兵を倒すのを止めて移動するスピードを上げた。

 

「確認しました!」

 

弾トリガーの閃光とバムスターの後ろ姿が、夏樹の視界に入った。

 

『良かった。まだ捕獲用だけみたいね。それならC級の子たちでもなんとかなるわね』

 

「いや、まずいですね…」

 

『どうして?』

 

間に合って良かったと安心していた相川は、夏樹の反応に疑問を抱く。

 

「本部がC級に戦うなって指示を出したのは、無理して戦って捕獲されるのを恐れてのことだけじゃないんです。C級が戦って倒せるとしたら大型、でもその大型の中に新型が潜んでいる可能性が高いわけで…」

 

『なるほどね。だから戦ってはいけないのね』

 

「ええ。なんで俺らが急がないとですね」

 

『そうね』

 

夏樹はグラスホッパーに加えてテレポーターも使って、C級の元に行く。

 

「セットスイッチ!」

 

 

〔 トリガーセット切り替え 攻撃手(アタッカー) セット 〕

 

 

C級の近くまで来た夏樹は、トリガーセットを攻撃手用に切り替えて、グラスホッパーとレイガストのスラスターでさらに加速しながらジグザグな軌道を描いて、C級の元へ迫るバムスターやバンダーの大型トリオン兵の頭を切り裂いていく。そしてそのままトリオン兵たちを超えて、C級隊員の元に着地する。

 

「やった!正隊員だ!」

 

「助かったのか俺達?」

 

「佐藤さんだ!これで安心だ」

 

夏樹の到着にその場にいたC級隊員たちが安堵の声を上げる。

 

「ん?お前は確か…この前相談しに来た…田村だったよな?避難状況は?」

 

夏樹は直ぐ近くに数日前に始まった相談室に来たC級隊員の田村を見つけて、トリオン兵に気を付けながら声をかける。

 

「は、はい!大体は終わりました。後は僕らC級だけです」

 

「そうか。ならお前らも急いで警戒区域から離れろ。本部の指示は聞いて…!?」

 

『夏樹くん!』

 

さっき夏樹が倒したバムスターの残骸から、夏樹とC級隊員たちの元に三体の新型トリオン兵、ラービットが飛び出してきた。

 

「色が違っ!」

 

三体のラービットの内、夏樹と田村に向かって飛んできた1体は他の2体と違い、色が白ではなくグレーになっていて、さらに肩に推進器の様なものが付いていた。

 

色の違うラービットは推進器を使って、勢いを増して二人に突っ込んできた。

 

「ひぃっ!…おぶっ!?」

 

「バイパー」

 

夏樹はラービットに驚いて腰を抜かしかけている田村を抱えて、迫りくるラービットを躱す。そしてこっちをおって追って飛んでいくラービットにバイパーを撃つ。

 

「田村、他のC級隊員達と避難しろ。あの新型はトリガー使いを捕獲する目的で作られてる。お前らじゃ捕まるだけだ。俺が相手をする」

 

新型を躱して家の屋根に着地した夏樹は、抱えていた田村を下ろして、自分のところに来なかった2体の新型に視線を向けた。

 

「うわぁ!なんだこいつっ!!」

 

「た、助けて!」

 

新型2体はそれぞれC級隊員を襲っていた。襲われたC級隊員は成すすべもなく新型の腕につかまれ腹部に捕獲されそうになっていた。

 

「田村!早く避難しろ。いいな!」

 

「は、はい!」

 

夏樹は、驚きの光景に腰を抜かしていた田村に避難するように再度言って、夏樹のバイパーを躱して一旦後ろに下がった色の違う新型に向かう。

 

「葵さん、新型の情報をお願いします」

 

『了解よ。』

 

夏樹の元にラービットとボーダー隊員の戦闘データが送られる。

 

『特に装甲が分厚いのは肩から腕の部分と、頭部から背中にかけての部分みたいね』

 

「そうですね。それにパワーもスピードも他のトリオン兵とは段違いですね」

 

色違いのラービットは、夏樹に向けて口を開いて目の部分から砲撃してきた。

 

「レイガスト」

 

夏樹は後ろのC級隊員たちや家屋に当たらないように、レイガストで砲撃を上へと逸らした。

 

「バイパー」

 

さらにバイパーを出して放つ。バイパーは真っ直ぐラービットに飛んで行く。

 

ラービットは腕を前に出してバイパーを防ごうとするが、バイパーはラービットの腕に当たる前に軌道を変えて、腕を避けてその奥のラービットの顔と腹部にヒットした。だがラービットは傷こそ入ったものの、急所のモノアイには当たらなかったようで倒すまでにはいかなかった。

 

「さすがにこれだけじゃ仕留められないか…なら今度は、バイパー!」

 

夏樹はさらにラービットに近づき、バイパーの射程を下げて威力と速度に上げて、再び撃った。

 

「なっ!?」

 

ラービットは迫ってくるバイパーに対して、さっきと同じように腕を前に出し、防御の姿勢を取る。

 

夏樹は狙い通りにラービットが動き、弾道通りバイパーが腕を避けてラービットの腹部を打ち砕く。そう思った。

 

だがラービットは腕を前に出した状態で肩の推進器を使い、前に、飛んでくるバイパーに向かって飛んだのだ。ラービットの腕にバイパーが当たるが、腕の装甲は厚くバイパーは効果が無かった。

 

「学習してるのか!?」

 

夏樹は驚きつつも、ラービットがバイパーを防いでいる間に、手にスコーピオンを持ってスコーピオンを硬化させながらラービットとの距離を詰める。

 

そしてそのままラービットの腕の下を潜り、通り抜けざまにラービットの右脚部をスコーピオンで断ち切った。

 

片方の脚を失ったラービットはバランスを崩したが、倒れる前に肩の推進器で空に飛び上がる。

 

(セットスイッチ)

 

 

 〔 トリガーセット切り替え 射手(シューター) セット 〕

 

 

「アステロイド」

 

夏樹は、射手用のセットに切り替えてアステロイドをいつもより大きく分割して、飛び上がったラービットに向けて放った。ラービットは腕を前に交差してアステロイドを防ごうとするが、バイパーよりも威力の高い、しかも大玉のアステロイドを防ぐことはできず、腕もろともラービットは粉砕された。

 

「葵さん、C級は!?」

 

色違いの新型を倒した夏樹は後2体の新型が逃げようとするC級隊員達を追っているのを見つけて、そこに急ぐ。

 

『4人捕まっちゃったみたい。でも諏訪さんを捕まえた新型を風間隊が倒した時、お腹から諏訪さんがキューブになって出てきたから、新型を倒せば捕まった子たちを取り返せるみたいだわ』

 

「了解です!」

 

夏樹はセットをアタッカーに切り替えながら近い方のラービットの上まで行き、上からC級隊員を襲おうとするラービットに向かってグラスホッパーを踏んで一直線に突進する。そして硬化したスコーピオンで、ラービットの頭蓋部分の鎧板のような装甲に滑り込ませるようにして、モノアイごとラービットの頭部を貫いた。

 

弱点を破壊されたラービットは機能を停止して倒れる。その上にいた夏樹は倒れていくラービットを足場にして再び上に跳び、もう1体のラービットの元に向かう。

 

「ひえっ!」

 

「いた!おい!逃げろ!!」

 

もう1体のラービットは同じようにC級隊員を襲っていて、今まさにC級隊員の1人を掴もうと右腕を伸ばしていた。C級隊員は腰を抜かして座り込んでしまっていた。

 

「スラスター」

 

夏樹は腰を抜かしたC級隊員の前に着地すると、スラスターで加速させたレイガストをラービットの腹部に振るった。装甲が厚い部分ではない腹部は夏樹の攻撃に耐えられず、ラービットは上下に真っ二つになった。

 

「ふー、なんとか手間取ることなく片付いたな。大丈夫か?立てるなら早くお前も避難しろ」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

「おう。さぁ行った行った」

 

夏樹は座り込んでいたC級隊員に手を貸して立たせると避難させると、さっき真っ二つにした新型の腹から零れ落ちたキューブを拾った。

 

「葵さん、このキューブが?」

 

『そうみたい。諏訪さんを捕まえた新型からも諏訪さんの代わりにそのキューブが出てきたみたいだわ』

 

「なるほど、じゃあこれが…」

 

『ええ、捕まったC級隊員の子たちね。もう1体の普通の新型にもう2個入ってると思うわ』

 

「了解です」

 

夏樹は頭を貫かれて動かなくなっているラービットの元に行き、ラービットの腹部の開閉する部分をスコーピオンを使ってこじ開けた。

 

「ありました。これで人数分確保しました」

 

『良かったわ。今のところは東部で警戒区域から出そうなトリオン兵はいないわ。少し休憩する?』

 

「そうですね。休憩がてら色の違う新型を報告しないと…葵さんお願いします」

 

『わかったわ。ーーはい。繋いだわよ』

 

「ありがとうございます。…本部、こちら佐藤。新新型3体と交戦、3体とも撃破しました。自分が到着するより前に捕らえられていたC級隊員のキューブも回収しました」

 

『忍田だ。夏樹よくやった。近くにいる諏訪隊を向かわせる。諏訪隊にキューブを渡して、夏樹は引き続きトリオン兵の撃破とC級隊員の保護にあたってくれ』

 

「了解です。それと、今戦った新型の内の1体が特殊な機体でした。色はグレー、両肩にジェットの様なものが付いていて空を飛べるようです。さらにモノアイから砲撃してきます。でも普通の個体よりはパワーは低いようです」

 

『わかった。各隊員に情報を共有しておく』

 

「お願いします。報告は以上です」

 

『引き続き頑張ってくれ!』

 

「了解!!」

 

本部との通信が切れた。

 

「ふぅ~、少し休憩しますね。その間に他がどうなってるか教えてもらっていいですか?」

 

そう言いながら夏樹はラービットの残骸に腰掛けて、ポッケからチョコバーを取り出す。

 

『わかったわ。じゃあ私も紅茶を頂こうかしら?』

 

「どうぞどうぞ」

 

夏樹はチョコバーを、相川は紅茶を口にして休憩しながら、現状を確認していく。

 

「大変そうなのは東部ですね。木虎と三雲じゃあ新型数体相手だと少し不安が残りますから。まぁレイジさん達が間に合ったら安心ですけど」

 

『そうね。あっ諏訪隊が来たみたいだわ』

 

「了解です」

 

夏樹は立ち上がって諏訪隊の堤と笹森の元に行った。

 

 

 

 

 

警戒区域各地

 

ボーダー隊員らに倒されたトリオン兵、その残骸から無数に解き放たれた(ゲート)を開く機能を搭載されたラッド。

 

ラッドたちは隊員の近くに潜み、その時を待っていた。(ゲート)を開けるという己の役目を果たす時を…

 

 

そして今、その役目を果たす時が来た。

 

 

風間隊、東と別役、三雲と玉狛第一、それぞれの近くに(ゲート)が近く開く。

 

風間隊の元には、片目が黒く染まった黒髪の黒い角を生やした男が。

 

「チッ、ガキばっかかよ。ハズレだな。あの野郎、何度も作戦変えた挙句、俺にガキの相手をさせやがって」

 

 

東と別役の元には、大柄で赤鬼のような男が。

 

「んー?二人だけか?拍子抜けだな。どうせならあのイルガ―を落とした奴と撃ち合いたかったものだ」

 

 

三雲と玉狛第一の元には、杖を持った角のない白髪の老人と角を生やした青年が。

 

「いやはや…子供を攫うのはいささか気が重いですな」

 

「これが我々の任務です。ヴィザ翁」

 

それぞれ姿を現した。

 

 

 

「戦闘開始です」

 

 

 




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