副作用に副作用があるのはおかしいだろ!!   作:おびにゃんは俺の嫁

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この調子で投稿していきたいです。

少し短めです。


第28話

 

夏樹は自分を覆うように展開していた固定シールドを解いて、メテオラの爆発範囲外だったことで無事だった建物の屋根に着地した。

 

夏樹が行った攻撃。それは夏樹が持つ莫大なトリオン量によるメテオラの大爆発と固定シールドで自分を中心に周辺の全てを吹き飛ばす技。これはランク戦に夏樹が参加していた頃、夏樹が中遠距離用のトリガー構成の時や自分のチームが自分だけの乱戦になった時などによくやっていた攻撃。

 

今の爆発で夏樹とエネドラのいたビルは、完全に崩壊し跡形もなくなっている。周りの家々も崩壊してはいないものの、爆発の衝撃波でもともと割れていたガラスも粉々に粉砕され窓枠だけが残っている。中には塀や壁にひびが入っている家屋もある。これらの被害が夏樹のメテオラの威力の凄まじさを物語っていた。

 

『相変わらずすごい威力だな。恐らく奴も弱点を逃がす暇なくやられただろう』

 

夏樹は崩壊したビルに近づく。崩壊したことで巻き上がった砂ぼこりが晴れていくと、そこにはトリオン体の換装が解けたことで服装が変わったエネドラが砂ぼこりを吸い込んでしまったようでせき込んでいた。

 

(ブラック)トリガー撃破を確認しました」

 

夏樹が報告を入れる。

 

『佐藤、(ブラック)トリガー撃破よくやった。市街地への被害は褒められた物ではないが、責めても仕方がないな。撃破した(ブラック)トリガーは捕虜として扱う。捕縛してくれ。回収は風間隊の2人が行う。それから東たちの方で空間移動のトリガーを持った敵を確認した。そいつにも警戒してくれ。それが終わったら引き続き南方向の防衛を頼む』

 

忍田から通信が入り、すぐに風間隊の菊地原と歌川がやって来た。

 

「佐藤先輩、お待たせしました」

 

「相変わらずド派手ですね。耳壊れるかと思いましたよ」

 

耳をほじりながらため息交じりにそう言った菊地原は、後ろにまとめていた髪を解いて耳を髪で覆う。

 

「それは悪いことをした。それから警告サンキューな。助かったよ」

 

夏樹は菊地原に礼と詫びをする。菊地原と歌川は、夏樹とエネドラが戦っている近くで菊地原の副作用(サイドエフェクト)でサポートしていたのだ。

 

「そうゆうのいいんでなんか奢ってくださいよ」

 

「おい菊地原」

 

「いいよ。今度飯でもおごるよ。それより早くあいつを捕縛しよう。面倒だし弾で気絶させるか?」

 

そう言って夏樹は自身の背後にキューブを出す。もちろんキューブの大きさは調整できないのでいつもの大きなキューブだ。

 

「いや、それ気絶じゃすまないでしょ…」

 

「…先輩、自分がやります」

 

菊地原が夏樹にツッコミを入れ、歌川が掌にアステロイドを出した。エネドラは下を向いて何やらぶつくさ呟いている。やるなら今だろう。歌川が一歩前に出て、アステロイドを撃とうとした時だった。

 

「歌川!」

 

前に出た歌川の周囲に囲むように現れた小さめの(ゲート)に一早く反応した夏樹は、歌川の襟を掴んで後ろに引っ張った。歌川はそのまま後ろに引かれ黒い穴の囲いから出る。直後、歌川を囲んでいた無数の門から釘のような棘が伸びて、さっきまで歌川がいた場所に殺到した。そしてエネドラの近くに人が通れるほどの大きさの門が開き、中から2本の黒い角を頭に生やした女性が現れた。

 

「すいません。助かりました」

 

後ろから引っ張られたことで尻餅をついた歌川が、お礼を言いながら立ち上がる。歌川をカバーするように菊地原と一緒に歌川の前に立つ夏樹は、歌川の方を見ることなく当然現れた女性の近界民から目を離さずに警戒していた。

 

自らのことを警戒している夏樹達を無視して女性の近界民、ミラはエネドラに話しかけた。

 

「回収に来たわエネドラ。派手にやられたようね」

 

ミラはエネドラに手を差し出す。

 

「チッ……!おせえんだよ!」

 

悪態をつきながらエネドラは、黒トリガーを付けている手をミラへと差し出す。

 

「忍田さんの言っていた奴だ」

 

「このままだと逃げられます」

 

『無暗に近づくな。深追いはしなくていい』

 

逃がすまいと動こうとする菊地原と歌川を通信で風間が止めた。

 

エネドラはミラの手を掴み立ち上がろうとしている。エネドラに逃げられると誰もが、エネドラ本人までもがそう思った時だった。

 

「あら、ごめんなさいね」

 

ミラがそう言うと同時に、自らの手を掴んでいたエネドラの手を小さい門による攻撃で切断した。

 

「なっ……!?」

 

まさか腕を斬り落とされるとは思ってもいなかったのか、苦痛の声を上げる前にエネドラから驚きの声が漏れた。

 

「回収を命令されたのは黒トリガーだけなの」

 

斬り落とされた腕から大量の血が流れ出る。エネドラは額に冷や汗を流し、苦痛に顔を歪めながらミラを睨む。

 

「……っぐああああ!てめえ……どういう……ミラ……!!」

 

「はっきり言って、あなたはもう私たちの手に余るの。……気付いている?あなたのその目の色、トリガー角が脳まで根を張っている証拠よ。あなたの命はもうそう長くない。脳への影響が人格にまで現れている。暴言、独断、命令違反。あの彼は泳がせておくと言ったはずよ。忘れたのか覚えていたのか知らないけど。それになにより…泥の王(ボルボロス)を使ってトリオンが多い程度の通常トリガーに負けるなんて致命的ね」

 

ミラは切断したエネドラの手から黒トリガーを外し、エネドラの手を投げ捨てた。

 

泥の王(ボルボロス)はもっと相応しい使い手が引き継ぐわ。あなたの角から得たデータで適合者はすぐ見つかる。()()()()()()ね」

 

「ふざけんな……!泥の王(ボルボロス)はオレの…オレにしか……」

 

エネドラが言い切る前にミラは、エネドラに自身のトリガーの無数の棘でとどめの一撃を入れた。

 

「とても悲しいわ。昔は彼女と並んで聡明で優秀な子だったのに。さようならエネドラ」

 

ミラはそのまま門を閉じて姿を消した。

 

「………トモ…エ……!!」

 

残されたエネドラは誰かの名前を呟いて倒れ、事切れた。

 

「マジかよ…!」

 

「ど、どう…しましょうか…?」

 

『忍田だ、状況は見ていた。風間隊の2人で人型近界民を収容してくれ。救護班を送りたいところだが今はまだ戦闘中だ。だからと言ってそのまま放置するわけにもいかない。そいつの角は未知のトリガー技術だ。分析できれば次への備えにもなる。それとそいつの所持品を調べろ。今の女が黒トリガーだとしても、無制限の空間移動はできないはず、ワープ座標を決める発信機の様なものがあるはずだ。夏樹は急いで防衛に戻ってくれ。今の間にもトリオン兵の反応が警戒区域外に出そうになっている』

 

「了解です」

 

驚きの事態に呆然としていた三人の元に忍田から指示が送られ、その通りに動き始めた。意外にも三人の動揺の色は薄く、作業をスムーズにこなしていき、所持品を調べ終えた夏樹は風間隊の2人と別れ、警戒区域外へと侵攻するトリオン兵の所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

泥の王(ボルボロス)の回収完了しました」

 

エネドラを殺し泥の王(ボルボロス)を回収した後、自らが扱う黒トリガー窓の影(スピラスキア)で生み出した門から遠征艇へと戻ったミラは、この遠征の隊長であるであるハイレインに報告する。

 

「そうか」

 

それだけ言うとハイレインは、自身の目の前に浮かぶ半透明のディスプレイに目を向けた。ディスプレイには警戒区域を飛ぶ飛行トリオン兵バドからの各地の映像が表示されている。

 

「ヒュースとヴィザがそれぞれ戦闘を開始。金の雛鳥はこちらの作戦通り玄界の基地に直接向かっているようです。状況は第3ラインに移行しました」

 

「そうか。ヒュースとヴィザの相手は?」

 

「ヒュースの方は通常トリガー、トリオンも平均的なようです。ヴィザ翁の相手は瞬間出力の計測値などから黒トリガーの可能性が濃厚」

 

「わかった……雄鶏の方はどうだ?」

 

「そちらは防衛に戻ったようです。玄界の基地の南側のトリオン兵を討伐しているようです。すでに周辺のトリオン兵のほとんどが破壊されました。ラッドも見つかり次第、破壊されているので追加で兵を送り込むのは難しいかと。ですが雛鳥の方はヒュースによってマーカーがすでに設置済み。指示を頂ければ私のトリガーでいつでも送り込めます」

 

ミラから現在の戦況を聞いたハイレインは、少し考えてから次の指示を出す。

 

「ヴィザとヒュース達から金の雛鳥たちが十分離れたら、残りのラービット7体全て投入する。ラービットで雛鳥を護衛している兵たちが崩れたところに俺が行こう。長引かせることもない、そこですべてを片付けよう」

 

「雄鶏の方はいかがいたしますか?」

 

「そっちは当初の作戦通りトモエを向かわせろ。足止めさせて他に手を出させないようにな。ランバネインを倒した兵たちの元にもラービット以外のトリオン兵を残っているすべてを送れ。誰一人として雛鳥の元に来させるな」

 

「承知しました」

 

 

 

夏樹の元に新たな、そして強大な脅威が近づいてくる。

 

運命の分かれ道まであとどれくらいか……

 

 





時系列的にはヴィザ翁とヒュースが遊真と迅さんと戦い始めた辺りです。


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