副作用に副作用があるのはおかしいだろ!! 作:おびにゃんは俺の嫁
玉狛支部着いて自分の部屋に荷物を置いてまとめ買いしておいたお菓子と飲みもんを持って、居間に行く。
「お疲れ様でーす」
「お!夏樹先輩!先輩もやります?トランプ」
「あら、夏樹来たのね。あなたもやりなさいよ」
「じゃあそうさせてもらうよ。次から参加ってことで」
「了解です。小南先輩の番ですよ。自分のを引いてください。ちなみに右がババです」
「そんな~騙されないわよ。左がババなんでしょ」
どうやら今はババ抜きをしているみたいだ。桐絵と京介の一騎打ちのようだ。
あっ、桐絵がババを引いた。
「小南先輩、ババが右ですね?」
「ど、どうかしらねぇ…」
「目泳いでんぞー、桐絵」
「うっ、こうしてやる!さぁ引きなさい、どっちがババだがもうわからないわ!」
そう言うと桐絵は2枚の手札を隠してシャッフルした。どうやら自分でもわからなくする作戦らしい。
いや、結局は運じゃん。桐絵はこのことに気づいていないのか、自信満々みたいだ。
「さあ!引きなさいとりまる」
「はい、では引かせてもらいます」
京介が1枚引いた。おっ、揃った。京介の勝ちみたいだ。
「あがりですね。小南先輩」
「どーしてまた負けるのよ」
「相変わらず弱いな、桐絵」
「うっさい!あんたも加わりなさい。そしたら負けないんだから」
「あれ?そういえば陽太郎と迅さんとレイジさんは?」
「レイジさんは防衛任務、陽太郎は雷神丸に乗って散歩よ。迅は知らないわ。それよりトランプよ!負けないんだから」
「次は大富豪でもどうですか?小南先輩ももう負け飽きましたよね?」
「負け飽きたってなによ。まだ本気出してないんだから!いいわ、次はコテンパに負かしてやるんだから!宇佐美カードを配って」
「わかったわよ。こなみ」
そう言うと宇佐美はカードをシャッフルして4人分に分けていく
「ルールはどうすんの?」
「自分はなんでも大丈夫です。先輩たちで決めてください」
「革命、記号縛り、8ぎり、7渡し、スぺ3、11バック、有りの階段なしでいいんじゃないかな」
「私もそれでいいわよ」
「じゃあそれでいこう。順番はどうする?」
「さっきドベだった小南先輩から時計回りでいいんじゃないですか」
「だね」
「じゃ始めるか。ほれ桐絵、1枚目出して」
「わかったわよ。はい、クローバーの5」
こうして4人の血で血を洗う戦いが始まる。
「夏樹、あんたどーして革命を起こすのよ!せっかく勝てるとこだったのに」
「革命のことくらい考えとけよ。大貧民」
「そうですよ大貧民先輩」
「そーゆー鳥丸くんも貧民だけどね」
「そうですね。でも「大」ではないですよ「大」では」
「こっち見ながら言うんじゃないわよとりまる。もう1回よ!次こそは夏樹、あんたを都落ちさせてやるんだから覚悟しとくのね」
「じゃあ早くシャッフルしてくれよ大貧民さん」
「むきー!絶対都落ちさせてやるんだから」
「おう、楽しみにしてるよ」
その後も何度か大富豪をしたが、結果は変わらず。京介と宇佐美が何度か入れ替わるだけで、俺も桐絵も変わらず大富豪と大貧民だった。
「そろそろ終わりにするか」
「そうですね。俺もそろそろバイトに行かないといけないんで」
「あっ、そうだ。宇佐美に相談があるんだけど。この後いいか?」
「いいですよ。何の相談ですか?」
「新しいトリガーを考えたんだよ」
「ほほ~う、それは気になりますね。ぜひともお聞きしたい」
「ちょっと、私はまだ納得いってないんだけど、再戦よ!私が勝つまで!」
「後でランク戦でも、なんでも相手になってやるから」
「ホント!?じゃあ仕方ないわね」
「小南先輩、顔がにやけてますよ」
「う、うるさい!そんなことないわよ」
「それじゃあ俺はこれで失礼します。お疲れさまでした」
「おう、京介おつかれー」
「鳥丸くんおつかれさまー」
「ちょっ、待ちなさい!とりまる!」
「嘘ですよ小南先輩」
「なんだ~嘘なのね。ならいいわ、お疲れとりまる」
(嘘じゃあないんだけどね…相変わらず騙されやすいね小南)
京介が帰った後、俺ら3人は地下のトレーニングルームに移動した。
「で、夏樹先輩。新しいトリガーの考えとはなんです?」
「おう、それはなスモークなんだ。一応カメレオン対策にも使えるのではと考えているんだよね」
「なるほど、それで元風間隊の私に声をかけたわけですね。しかし何故…」
「そうよ、なんでカメレオンにスモークなのよ?夏樹。視界を封じようってわけ?」
俺の考えているトリガーのスモークは確かに視界を封じることを目的にしてはいる。
しかし、さらにオペレーターとの連携で戦略の幅を広げることを可能にする。
「まぁとりあえず試作があるから桐絵に相手を頼みたいんだけどいい?」
「いいわよ相手になってやろうじゃない!」
「うん。じゃあ先にルームに入っていてくれ。宇佐美悪いんだけどオペレーター頼んでいいか?」
「いいですよー」
「じゃあ説明するからよく聞いてくれよ」
宇佐美にスモークの説明をして、ルームに入る。
仮想戦闘モードを起動してトリガーを起動する。
「さぁ見せてもらおうかしらその新しいトリガーを」
「そうだな。まぁ見てろよ。宇佐美始めてくれ」
〔わかりました。じゃあよーい、始め!〕
「スモーク!」
宇佐美の開始の合図とともにスモークをあたり一面にばら撒く、それと同時にバッグワームを起動する。
どうやら桐絵もバッグワームを起動しているのかレーダーに反応がない。
『宇佐美、じゃあ早速頼む』
『了解です。支援開始』
宇佐美に通信で連絡して、視覚支援を起動してもらう。
このスモークは目くらましの役目でもあるが、スモークを撒いたところの中でスモークが存在しない場所、つまりは敵や障害物を探知できるようにする。
それによりオペレータに支援をしてもらうことで障害物の位置、敵の場所、敵の動きを正確につかむことが出来るのだ。
宇佐美の支援で桐絵の場所が強調されて視界に表示される。
何をしているかも、まる分かりだ。
どうやら桐絵は動かずに警戒しているようだ。
音をたてないように背後に忍び寄り、スコーピオンで桐絵のトリオン供給機関を貫く。
「なっ!?いつの間に」
〔小南ダウン〕
「成功だな、どうだった宇佐美?」
「どうゆうことか説明しなさいよ!」
「わかった、わかったから、とりあえずルームから出ようぜ」
トレーニングルームから出る。
「どうでした?うまく支援できてましたか夏樹先輩」
「良かったよ。特にこれといった問題はなかったよ。で、どう思う?風間隊相手に通じそうかな?」
「どうですかねー、風間さんのとこにはきくっちーがいますからね」
「聴覚強化か~、厄介だねやっぱり」
「ちょっと待ちなさいよ!説明しなさいよ夏樹!何をしたのか」
「わかった。説明するから落ち着け。このスモークは……」
桐絵に今回のからくりを説明する。
「なるほどね。それで私の位置が分かってたってわけね」
「ご理解いただけたようで。で、どう思う?」
「う~ん、そうね~、やっぱり一番効果的な対策はスモークがまかれた瞬間にスモークの外に出ることね」
「そうだよな~、まぁでも元から個人での運用は考えてないから、スナイパーとかで出てくるところに仕掛けることもできるでしょ」
「スモークから出るも出ないのも対策を講じれるってわけですね」
「そゆこと。まぁ奇襲で使うこともできるしな。弱点らしい弱点といえばチームでの連携がないと、特にオペレーターの支援が前提ってことぐらいか」
「後、サイドエフェクト持ちには通じにくいんじゃない?迅とか」
「後、きくっちーもだね。きくっちーの強化聴覚は隊で共有できるから厄介ですね」
「ああ、そうだな。後、カゲもだな」
今、名前の挙がった3人には通じないだろうな。
迅さんは未来予知が、菊地原には強化聴覚が、カゲには感情受信体質がある。
攻撃は当てられるだろうが、まず倒せはしないだろうな。
「でも牽制にはなるんじゃない?よく夏樹のやってる、意識を割かせることにはなるんだし」
「菊地原対策に音を出すのはどうだ?」
「ん~どうでしょうね。きくっちー聞き分ける力も高いんで、意味がないと思いますよ」
「だよな~、それに容量の問題もある。これ以上機能は増やせないよな」
「まぁそれはゆりさんやクローニンたちに相談すればいいじゃない」
「そうだな。今はこんなところで一応完成かな」
あの2人は県外に遠征に行っていて、今はいないが戻ってから相談すればいいだろう。
「新トリガーの話はもういいのね。なら戦いましょう!」
「えー、メンドクサイ」
「なんでよ!いいじゃない。さっ、行くわよ」
「ちょっ、わかった。わかったから手を引っ張るな!ったく少しだけだからな」
「やったー!さぁやるわよ」
「悪いんだけど宇佐美、設定のほう頼むわ」
「ほいほーい。了解でーす」
「今日こそ夏樹、あんたに勝つんだから」
「はいはい、無理無理。なんだったら何か賭けてもいい」
「いいわ!やってやろうじゃない。買った方の言うことに何でも従うでどう?」
「いいぜ、乗った。先に入ってるぜ~」
まぁ飯でもおごってもらうとするか。
~ Side 小南 桐絵 ~
夏樹は強い、今のままじゃ勝つことは難しい。
だから何か策をとらないといけないわね。
そうだ!あれがあるじゃない!
今なら、夏樹が先にルームにいる今なら!
「栞、お願いがあるんだけど、実は……」
「フムフムなるほど、それなら出来るよ」
「オッケー、じゃあお願いするわ」
「わかった。ちょい待ち……っとこれでよし!はい、こなみ頑張ってね」
「ええ行ってくるわ。夏樹に勝ってみせる」
この策ならいける!
~ Side 佐藤 夏樹 ~
ルームに入って待っていると桐絵が入ってきた。
「遅かったな」
「ええ悪かったわね。始めましょう」
「そうだな。5本勝負でいいか?」
「ええ、いいわ。それでいきましょう」
「あぁ、じゃあ宇佐美始めてくれ」
〔了解でーす。じゃあいきますよ〕
〔 模擬戦 開始 〕
「メテオラ!」
開始の合図とともに桐絵がメテオラで撃ち、牽制して近づいてくる。
メテオラをバイパーで撃ち落とし、右手にスコーピオンを、左手にレイガストを構えて、桐絵を待ち受ける。
桐絵がコネクターにより強靭な戦斧のような状態になっている双月を振り下ろしてくる。
双月を振り下ろしてくる桐絵の腕をスコーピオンを引っ込めて、背負い投げる。
投げる際にスコーピオンを、桐絵の腕をつかんでる手の掌からスコーピオンを生やして、桐絵の腕の伝達系を斬る。
「っぐ、メテオラ!」
投げられた桐絵もやられるだけじゃなく、メテオラを撃ってくる。
「スラスターON」
メテオラをレイガストのスラスターを起動して、桐絵の方に押し出す。
これで決まった。
〔 小南 ダウン 1-0 〕
〔 2本目 開始 〕
桐絵は今度はメテオラを撃たずに、双月もコネクターを使わずに斬りかかってくる。
どうやらスピード重視で攻めるようだ。
速い、両手ともスコーピオンならまだしも、さすがにレイガストは重いな。
段々動きについていけなくなってきた。
「くっ!」
「そこよ!メテオラ」
その時、桐絵がメテオラを距離をとりつつ撃ってきた。
とっさにレイガストで防ぐが、さすがに爆風で体勢が崩されてしまった。
「しまった」
「そこよ!」
その隙を見逃すはずもなく、桐絵は双月をコネクターでつないで戦斧の形にして横に一薙ぎする。
さすがにスコーピオンでは双月を防げず、体もろとも両断された。
〔 佐藤 ダウン 1-1 〕
〔 3本目 開始 〕
3戦目、今度はこっちから行かせてもらおう。
「バイパー」
桐絵に向かいながらバイパーを桐絵を囲むような弾道に設定して撃つ。
しかし、桐絵もバイパーの鳥籠の一部をコネクターでつなげた双月で薙ぎ払い、鳥籠から脱出する。
脱出した桐絵にスコーピオンで斬りかかる。
桐絵も戦斧状態の双月で応戦する。
スコーピオンの硬さでは守りに入ったらスコーピオンを割られてしまうから、攻撃を途切れさせないようにする。
少しづつだが桐絵にダメージを与えていく。
このままじゃじり貧だとわかっている桐絵は双月のコネクターを解除して対応する。
桐絵がコネクターを解除して一撃の重さが軽くなったのでレイガストでも十分に対応できるようになって、余裕ができるようになった。
「テレポーター」
桐絵が双月で俺を挟みこむように斬りかかってくるのを、桐絵の後ろにテレポーターで跳ぶことで避ける。
目線で俺の跳ぶ先を読んだ桐絵が振り向きざまに斬りかかってくる。
それをレイガストで受け流し、目線を桐絵の右後ろに送る。
「テレポーター」
目線と言葉に反応した桐絵の隙をついてテレポターではなく、グラスホッパーで桐絵の左側に跳ぶ。
「釣りか!」
「グラスホッパー」
跳んだ先にグラスホッパーを設置して桐絵に向かって突進する。
ブラフに引っ掛かり反応が遅れてしまった桐絵をスコーピオンで仕留める。
〔 小南 ダウン 2-1 〕
〔 4本目 開始 〕
始まった瞬間、桐絵が仕掛けてきた。
「スモーク!」
さっきのスモークを桐絵が使ってきた。
予想はしていたが厄介だ。
案の定レーダーからも桐絵の反応は消えている。
気配を探ろうとしたその時、突然体が揺らいだ。
斜めに袈裟切りされていた。
どうやらスモークを出すと同時に跳びあがって仕掛けてきたようだ。
〔 佐藤 ダウン 2-2 〕
〔 5本目 ラスト1戦 開始〕
「スモーク」
桐絵が再度、スモークを出してきた。
しかしそう何度もやられるわけにはいかない。
「バイパー」
そこでバイパーをこないだ玲との修行で使った弾道で放つ。
これでどこに桐絵がいても当てることが出来るだろう。
すると、ドドドッとシールドにバイパーが当たる音がして、それと同時にレーダーの反応が現れた。
「バイパー+メテオラ トマホーク!」
そこにめがけて、バイパーとメテオラをトマホークに合成してして撃つ。
「これで仕留めた」と思った時、スモークの先から双月が飛んできて胴体を斜めに切り裂いていく。
「何っ!」
スモークが晴れると、そこには右腕をトマホークに破壊されながらも、何かを投げた後の桐絵がいた。
どうやら俺のところに双月を投げていたらしい。
〔 佐藤 ダウン 2-3〕
〔 模擬線終了 勝者 小南 〕
「やったー!」
「だー、悔しー。最後のは見事にやられたな」
桐絵と2人でルームから出る。
「お疲れ様~、2人ともすごかったね」
「おい宇佐美、お前桐絵の味方したな。ずるいぞ」
「勝てばいいのよ勝てば。それにしても最後は焦ったわよ。まさかトマホークを撃ってくるなんて」
「まぁそれはあのままじゃ埒が明かなかったからな。一か八かでレーダーの反応を囲うように撃っただけだよ。結局仕留めきれなかったしな」
「それでもよ。その前のバイパーだって竜巻みたいで避けようがなかったわよ。さすが那須さんの師匠ね」
「まぁ玲にも言ったけど最後の竜巻みたいな弾道はあらかじめ設定してたやつだからやろうと思えばだれでもできるぞ」
「ん?ちょっと待ちなさい夏樹、あんたいつの間に那須さんのこと名前呼びになってるのよ!」
「いや普通にこの前、「名前で呼び合いませんか」って頼まれたからだけど何かまずかったか?」
「ま、まずくはないわよ!ただ気になっただけよ」(なんだびっくりした~。てっきり付き合い始めたのかと思って焦っちゃったじゃない)
「どうするのこなみ?追い付かれちゃったんじゃない。このままじゃ追い越されちゃうかもよ」
「えぇ!?どうすれば…」
「おいどうした。さっきから2人でこそこそと何話してるんだ?」
「な、何でもないわよ!」
「そうか。そういえば何を命令するんだ?」
「そうだったわね。そうね…」(考えるのよあたし。これはチャンスよ!よーく考えないと…そうだ!)
「言っておくけど無理なものは無理だからな。俺にできることで頼むぞ」
「わかってるわよそれぐらい。そうね今度ちょっと付き合いなさい」
「おういいぞ。いつだ?」
「そうねー、今度の日曜にしましょう。その日なら夏樹も空いてるでしょ」
「いいけど、なんで俺が空いてるってわかるんだ?」
「そ、それは…」(言えない…冬華ちゃんからこっそりと夏樹の予定を聞いてるなんて)
「それは?」
「まぁいいじゃないですか夏樹先輩。それよりどうでした?自分でスモーク喰らってみて」
「ん~、どうだろうね。対応できないわけじゃないけどそれでも隙が生まれてしまうな。そっちはどうだった?」
「そうね、やっぱりトリオンの消費が多いわね。あとオペレーターの支援が重要ね」(栞ありがとう!助かったわ)
「宇佐美はどうだった?」
「そうですねオペレーターとして言わせてもらうとやっぱり専用のソフトがあった方がいいですね」
「そうだな。作ってみるとするか」
「出来たら見せてくださいよ」
「おう、その時は頼むわ。そろそろ夕食の準備をしないとな」
腕時計を見ると時刻は6時を過ぎていた。
今日は深夜に防衛任務を入れているが、俺が食事当番の日だ。
「そうですね。私は学校の課題でもやってきます。こなみも一緒にしようよ」
「そうね。あたしの部屋でやりましょう」
「そうだね。じゃあ行こうか。夏樹先輩、夕食は何にするんですか?」
「まぁ冷蔵庫の中身を見て考えるわ。今日誰が食べるんだっけ」
「あたしたちと陽太郎、迅、レイジさん、ボスの7人でしょ」
「そうだったな。ありがと」
俺たちは地下のトレーニングルームから出て、俺はキッチンに行き、小南たちは自室に行った。
キッチンに行き、米を研いで炊飯器にセットする。
キャベツを千切りにして水にさらしてしゃっきとさせたら水気をきる。
すると居間の扉が開き、雷神丸に乗った陽太郎とぼんち揚を片手に持った迅さんが現れた。
どうやら散歩から帰ってきたようだ。
「おぉなつきか、ただいま、帰ったぞ」
「陽太郎おかえり。迅さんに雷神丸も」
「よっ夏樹、夕飯の準備か?」
「ええそうですよ」
「今日は何作るんだ?」
「そうですね~豚の生姜焼きにしようかと」
「あ、そうそう今日はボスは遅くなるらしいから外で食べてくるって」
「わかりました」
となると6人分だな。
豚ロースと生姜などの食材を人数分冷蔵庫から取り出す
肉の筋を切り、火を通し、火が通ったら一旦フライパンから肉をどかして、生姜や醤油などを加えてたれを作る。
そこに肉を戻して強火でたれを絡める。
鍋に残っていた袈裟の残りであろう味噌汁を温めなおす。
皿に生姜焼きと水気を切っておいた千切りのキャベツを盛りつける。
ちょうど盛り付け終わるくらいに玄関から「ただいまー」と声が聞こえる。
どうやらレイジさんが帰ってきたようだ。
「おかえりっすレイジさん。ちょうど夕食が出来るところです。陽太郎、桐絵たちを呼んできてくれ。桐絵の部屋にいると思うから」
「うむ、わかった」
そう言うと陽太郎は雷神丸に乗って居間から出ていった。
「何か手伝うか?」
「ありがとうございますレイジさん。じゃあ味噌汁をお椀によそってもらっていいですか」
「わかった。迅お前も手伝え」
「りょーかい」
男3人で夕食を準備していると、桐江たちが来た。
「いい匂いがすると思ったら生姜焼きね。おいしそうじゃない」
「お腹空きましたよ~」
「うむ、おいしそうだな」
「3人とも手は洗ったのか?」
「レイジよ、ぬかりはないぞ」
「ならいい。じゃあいただくとするか」
「「「「「「いただきます」」」」」」
色々なことを話しながら夕食を食べ進めていく。
「「「「「「ごちそうさま」」」」」」
食べ終わった食器を分担してシンクに運ぶ。
皿洗いを終えて自室に戻る。
受験勉強をしていると、気が付くともう11時になろうとしていた。
そろそろ防衛任務の時間だ。
勉強道具をかたずけて、自室を出る。
玉狛支部を出て、三輪隊との合流地点に向かう
今日の防衛任務は、昨日、三輪隊の米屋と小寺がたまたま出れなくなってしまったのでヘルプとして参加してほしいと一昨日、月見さんから連絡があったのだ。
合流地点に着くとそこには三輪と奈良坂がいた。
「よう三輪、奈良坂。こんばんわ」
「こんばんわ夏樹先輩。今日は陽介たちがすいません」
「いいよ、これくらい問題ないよ」
「よろしくお願いします。夏樹先輩」
『よろしくね佐藤君』
「ええお願いします蓮さん。奈良坂もよろしくな」
三輪は姉を近界民に殺されたことから近界民排斥主義で親近界民派の玉狛支部の面々とはあまり仲がいいとは言えない。
しかし俺が本部にいたころの数少ない年下だったので色々と相談に乗ったりと仲良くしていたので、俺とは仲は悪くない。
『そういえば佐藤君は大学どうするの?』
「大学ですか。一応、国立と私立どっちかの給費生を狙うつもりです」
『給費生ですか、さすがですね夏樹先輩』
「奈良坂でも取ろうと思えば取れると思うぞ。頭いいんだしな」
「でも奨学金的なものならいつか返さないといけないんじゃなかったでしたっけ?」
『三輪君の言うように返さなくちゃいけないものもあるけど返す必要のないのもあるのよ』
「蓮さんの言う通りだよ。学費がタダになるだけじゃなく、いくらか貰えもするらしい。まぁその分競争率が高いんだけどね」
『なるほど、まぁ夏樹先輩なら大丈夫じゃないですか』
「まぁ油断はできないよ。けど幸い、こないだの定期テストからうちは自由登校になってるから勉強時間もあるしな」
「その勉強への態度を陽介に見習わせたいですよ…こないだだって赤点ギリギリだったんですから」
『このままじゃ太刀川君みたいになっちゃうわよ』
色々なことを話しながらも警戒を続ける。
こうして夜は更けていく。
そろそろ原作に入らないと…
誤字報告ありがとうございます