副作用に副作用があるのはおかしいだろ!!   作:おびにゃんは俺の嫁

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小南めっちゃ可愛かったです。あと千佳ちゃん白米好きすぎ。



第8話

弓手町駅に着いて、桐絵が来るのを待つ。

 

「待たせたわね」

 

『いいですか兄さん、女の人が兄さんより遅く来て「お待たせ」と言ってきたら「全然待ってないよ」などというようにして下さい。いいですね?』

俺の頭に冬華の声が聞こえる。

 

「いや、そんなに待ってないぞ。俺も今さっき来たばかりだからな」

「そ、そう…ならよかった」

(冬華ちゃんね。さすがにしっかりしてるわね。それにしても今日の夏樹はなんかおしゃれね)

 

何だろう…すごい観察されてる感じがする。

しかしそれにしても、何だろう…桐絵の奴、いつもより可愛い気がする。

そうか、服か!確かにいつも制服かトリオン体しかあまり見ないから、おしゃれに見えるのか。

しかしこんなに可愛い奴だったか?

何だろう、顔が熱い気がする…

 

「その服いいな。似合ってるんじゃないか」

「そ、そう。ありがと…」

「じゃ、じゃあ行くとしようぜ。最初はどこに行きたいんだ?」

「そ、そうね!行きましょう。こっちよ」

 

桐絵と俺は三門市の中でも大きい方のショッピングモールに向かうことにした。

 

「まずは服を買おうと思うんだけど、一緒に見てもらってもいいかしら?」

「構わないけど、あんま期待すんなよ。冬華曰く俺はファッションセンスがないらしい」

「いいのよ。ていうか夏樹だからいいんじゃない

「ん?なんか言ったか?」

「何でもないわよ!それより此処に入りましょ」

「おーう」

 

俺達は女子高生層に人気そうな洋服店に入って、服を見始めた。

 

「で、何をお求めなんだい?」

「そうね~、いくつか冬服を見繕おうと思ってるわ」

「そうか。なんかあったら言ってくれ。と言っても期待はするなよ。俺はセンスにないらしいからな」

「ええ、とりあえず見て回りましょ」 

「了解」

 

いろんなお店を見て回り、いくつかの服を買って最初に来ていたお店に戻ってきた。

 

「どうした桐絵?ここはさっき来ただろ」

「良いなと思った服があったのよ。他のお店を見て回ったけどがやっぱりその服がよかったから買おうと思って」

「そうなのか」

「ただ色で迷ってるのよね。そうだ!夏樹、あたしが試着するからあんたが選んでよ」

「かまわないけど、俺なんかでいいのか?」

「あんただからいいのよ」

「そ、そうか?(俺だからってどうゆう…)」

「と、とにかく!試着するからほらこっち、試着室に行くわよ」

「分かったから。あんま引っ張んなって。って此処…(なんで試着室が下着コーナーの近くなんだよ!)」

「そこで待ってて、今着替えてくるから」

「おう、分かった」

 

気まずい…

客観的に見たら俺下着コーナーの前に立ち止まってる変態じゃないかよぉ。

周りから視線を感じる。

気まずい…気まずすぎる

 

「お客様、どうかなさいましたか?」

 

やっぱり声かけられた。

いやまぁ当然だよな…

 

「いや、今連れが試着中でして…」

「まぁ!カノジョさんですか?」

 

どうしよう…

なんて答えるべきか

ただの友達だと怪しい気がするし、知り合いでもないしな。

カノジョって言おうもんなら桐絵怒んだろうなぁ。

仕方ない適当にはぐらかしておくか

 

「まぁそんな感じです。カノジョではないですけどね。それに彼女に自分なんかじゃ釣り合い取れてないと思いますよ」

「そうですか。失礼しました。でもファイトです!あなたも十分素敵ですよ」

「そうですか。ありがとうございます」

 

参った、多分店員さんは告白前くらいに思ってしまったのだろう。

応援されてしまった。

そろそろ桐絵も着替え終わるだろ。

 

「お待たせ。どうかしら?」

「おう、どれどれ…」

 

出てきた桐絵は白のニットワンピースを着ていた。

何だろうこの胸のときめき…

桐絵ってこんなに綺麗な奴だったのか

その白のニットワンピースはすらりと引き締まっていながらも出るところは出ている桐絵の体つきを浮かび上がらせていた。

そしてその肩から覗く鎖骨にドキッとしてしまう。

 

「な、何よなんとか言いなさいよ。どう似合ってる?」

「あ、ああ似合ってるぞ。なんというかいつも見ないからか白ってのは新鮮だな。うまく言えないがそのぉなんか良いな」

「そ、そう…それならよかったわ」

「ええ、よくお似合いですよお客様(何よ!この二人見せつけてくれちゃって!カレシにフラれた私への当てつけなの!?)」

「そうですか。ありがとうございます」

「桐絵、で白と他に迷ってる色も着てみろよ」

「いいわ。これにする」

「えっ、いいのか?別に着てみたってかまわないぞ」

「いいのよこれで。もう片方はよく着る赤系の色だったから。そ、それにあんたがこっちが似合うって言うし。すいません店員さんこれ買いでお願いします」

「かしこまりました」

「夏樹外で待ってていいわよ、今着替えてお金払ってくるから」

「おう、分かった。じゃあ外で待ってるよ」

 

外で待っていると桐絵が戻ってきた。

ダメだ、さっきの試着を見てしまった後から、桐絵のことを意識してしまう。

意識しない様にすればするほど、さっきの姿を思い出してしまう。

 

「お待たせ」

「おう、荷物持つよ。次どこに行くんだ?」

「あ、ありがと。ねぇそろそろお腹空かない?お昼食べに行きましょ」

「そうだな。どこで食べる?」

「そうねぇ、フードコートで何か食べましょ」

「そうだな」

 

フードコートで昼飯を済ませて、買い物を再開した。

 

「次はどこに行くんだ?」

「こっちよ」

「こっちって、桐絵そっちは男物の服屋しかなくないか?」

「いいのよ。せっかくだから夏樹の服も選んだあげるわ」

「おぉそうか、なら頼むわ。俺はセンスないらしいからな」

「任せなさい!さっ、行きましょう」

 

桐絵に引っ張られて何軒か男物の服を扱うお店を回って、今は男女の若い層に人気のお店に来ていた。

俺は着せ替え人形の如く試着を繰り返した。いつも選ぶ時は試着なんてしてないからだろうか、なんか疲れてきた…

桐絵はまだ納得いくものがないみたいだが、俺は割ともう今まで着たやつも良いと思っている。

まぁ、今日は賭けに負けたのだから大人しく着せ替え人形に徹することにしよう。

 

「ねぇ、これなんてどうかしら?」

「ん?あぁ、良いんじゃないか」

「他人事みたいに言うわね」

「いや、まぁそんなに服装に気を使ってこなかったから、良いか悪いかくらいしかわからん」

「そうなのね」

「まぁけど、これ結構良いな。気に入ったよ」

「そう?なら良かったわ」

「ああ、ありがとな桐絵、これ買わせてもらうよ。先に店を出て待っていてくれ」

「分かったわ」

 

俺は会計を済ませてお店を出る。

 

「おまたせー」

「遅かったじゃない。なんかあったの?」

「ちょっとね」

「?まぁいいわ。次はゲームセンターに行きましょ」

「おーう了解」

 

というわけで桐絵とショピングモールの最上階にあるゲームセンターに来ていた。

四方八方から電子音がうるさいくらいに聞こえてくる。

 

「何するんだ?」

「夏樹、これどんなゲーム?面白いならやってみたいんだけど」

「ん?これか?これはゾンビを倒してくシューティングゲームだよ」

 

桐絵が指したのはボックス型の筐体に入って遊ぶガンシューティングゲームだった。

確かこのゲームは振動やエアーが出たりでホラー寄りだった気がするが、まぁいいか。

それも面白そうだし。

 

「結構面白いらしいよ」

「へー、じゃあやってみましょう」

 

早速筐体に入ってコインを入れる。

簡単にストーリが説明され、操作方法が表示される。

さぁプレイ開始だ!

 

「夏樹、あんた騙したわね!まったく面白くないじゃない!」

「それは序盤で桐絵がゾンビにビビッてやられたからだろ」

「う、うるさい!ビビッてなんてないわよ。少しびっくりしただけよ」

「またまた~、焦って弾切れなのにリロードせずに撃とうとしてたくせに」

「そんなことないわよ!まぁいいわ、他に行きましょ」

「はいはい。次は何したいんだ?」

「そうね少し見て回ってから決めましょう」

「了解」

 

その後、桐絵と2人でエアーホッケーや配管工兄弟達のレースゲームなんかで対戦したりした。

 

「普段あまりこういうとこには来ないけど案外楽しいわね」

「そうだな。どうする?もう遅くなるし帰るか?」

「そうね。でもこのまま負けっぱなしで終わるのも癪ね。何か…あれがいいんじゃないかしら。そうねアレを最後にしましょう」

「あれってあのダンスゲームか?」

「そうよ。夏樹って音楽苦手じゃない。だからあれなら勝てるわ!」

「いいけど。あんま無理すんなよ」

「大丈夫よ。あんたこそ負けた時に本気じゃなかったなんて言うんじゃないわよ!」

 

そんなわけで俺達はダンスゲームをすることになった。

俺は音感が全くと言っていいほどない。

リズムに乗ることが出来ず、どうも機械みたいに固い動きらしい。

学校の体育でもダンスの授業があったが、全くできなかった…

 

「曲はどうすんだ?」

「そうね…それでいいんじゃない」

「うげぇ…テンポ早いやつじゃん。まぁいいか。じゃあ先行行っていいか?」

「いいわよ。せいぜい頑張んなさい」

 

そんなわけで、ゲームの台の上に立ってスタートボタンを押す。

 

 

ゲーム画面に曲が終わって俺のスコアが表示されている。

ゲームに設定されているノルマをぎりぎりクリアしているくらいのスコアだった。

 

「あんたにしては頑張ってんじゃない。でも勝ちはあたしが貰ったわ!」

「おう、頑張れよ」

 

そう言うと桐絵はゲームの台に登って曲をスタートさせて踊り始めた。

確かにうまいな。

しかし、たまに見えるうなじにドキッとしてしまう。

だめだ、何故か今日は桐絵のことを変に意識してしまっている。

普段よく一緒に居るのに気が付かなかったが、桐絵ってこんなに可愛い奴だったか?

ふと踊っている桐絵を見る…って危ない!あいつが体勢を崩して転びそうになっている。

俺はとっさに桐絵に駆け寄って転びそうなところをギリギリで支える。

 

「大丈夫か!?」

「う、うん…」

「そうか、それならよかった」

「…あ、ありがと」

「いや、かまわないよ。それより立てるか?」

「うん、痛ぅっ!」

「って大丈夫か?ちょっと診せてみろ」

 

桐絵の足を靴を脱がせて足を診る。

足首の部分が少し腫れていた。

どうやら体勢を崩したに足首を捻ったようだ。

 

「どうだ?痛むか?」

「ええ少しだけだけど」

「そうか、じゃあほれ」

 

おれは桐絵に背を向けてしゃがむ。

 

「ちょっそこまでしなくても大丈夫よ」

「そう言うな、あんま無理しない方がいい」

「そ、そう、ならお願いするわ」

「ああ。よいしょっと」

「大丈夫?その…お、重くない?」

「ああ、大丈夫だよ。むしろ軽いくらいだから」

 

桐絵を背負ってゲームセンターを後にする。

背中に服越しに冬華と同じ柔らかい感触が伝わる。

あぁ桐絵もA級3位だけど普通の女の子だもんな…

なんとなく気まずい空気が流れて、会話のないまま桐絵の家に歩いていく。

しばらく歩いて桐絵の家に着く、どうやら家族は全員居ないみたいだ。

桐絵んちの応急道具を借りて、桐絵の足の手当てをする。

 

「これでよしっと」

「…あ、ありがと。あとごめん怪我なんてしちゃって」

「なんで謝んだよ。気にすんなって、軽めの怪我そうだし良かったじゃないか」

「そうだけど…迷惑かけちゃったし、今日だって…その…迷惑だったよね?」

「迷惑だなんて思ってないから安心しろ。俺も楽しかったよ」

「ホント!?」

「おう、後ありがとな俺の服まで選んでくれて」

「そんなぁあたしが勝手に選んだだけじゃない、お礼なんて…」

「そんなことないよ。いい機会だったよ。その…これやるよ」

 

そう言って俺は買い物袋の中からおしゃれにラッピングされたものを桐絵に渡した。

これは俺の服を会計に持っていく前にそのお店にあったものだ。

 

「あ、ありがと。開けていい?」

「お、おう」

「ブレスレットね!うれしい!でもなんで?」

「今日のお礼だよ。き、今日は俺も楽しかったから…それのお礼だよ」

 

耳の裏まで熱くなるのを感じる。

 

「ありがと!大事に使うわね」

「お、おう。じゃあ俺は帰るわ。一応軽そうだけど病院行っとけよ。お、女の子なんだから怪我はまずいだろ」

「そうね。ありがと…」

「じゃ、じゃあな。また今度」

 

そう言うと俺は桐絵の家を飛び出た。

顔が熱い。

きっと顔中赤くなっているのだろう。

しかし、我ながら恥ずかしいことをした。

冬華に指導されたようにやったが、これで良かったのだろうか?

それにしても今日は何と言えばいいか、桐絵を凄い意識していた気がする…

まぁいいや、俺も家に帰ることにするか。

 

~ Side 小南 桐絵 ~

 

夏樹が帰って行った。

 

最初、待ち合わせで夏樹を見てからなんか変に意識しちゃった。

あいつに気づかれてないかしら…

けど夏樹もたまに顔を赤くしてたけど、あたしのこと意識してくれたのかな?意識してくれてたら良いなぁ。

 

それにしてもあいつの背中、がっしりしていて大きかったなぁ。

あとなんか落ち着く匂いだったな…ってあたしは変態かっ!

でも背負われていてなんか安心できた。

 

あたしは夏樹が最後に渡してくれたブレスレットを見る。

単純な飾りだけだが、そこも夏樹らしさが出ている気がする。

まさかプレゼントなんてされるとは思ってもいなかった。

冬華ちゃんの入れ知恵だろう。

でも凄くうれしい、喜びが溢れてきそうなくらいだ。

大事に使おう。

あいつの前で付けたら何か言ってくれるかなぁ…

 




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