父は沈痛の面持ちで私に告げた。
「彼は今朝早くに出て行った。もう忘れなさい」
その話を聞いたとき、私は身を引き裂かれるような痛みを感じた。彼の事はなんとも思っていなかった。彼がどうなろうとも知ったことではなかった。私とは何の関係もない。そう思っていたはずなのに、どうしてこんなにも気持ちが揺れるのだろう。
どうして『私』は身が引き裂かれるような痛みを感じたのですか。
姫路瑞希の回答
「『私』にとって、『彼』は自分の半身のような大切な存在だったから』
教師のコメント
正解です。半身である『彼』と引き離されたため、痛みを感じたのですね。
吉井明久の回答
「『私』にとって、『彼』は自分の下半身のような大切な存在だったから」
教師のコメント
どうして下半身に限定するのですか。
城田桃真の回答
「『私』が、父親に二つに切り裂かれたから」
教師のコメント
貴方が日本に来て悪い影響を受けたんじゃないかと心配しています。
「ど、どうしたのじゃ!?」
「あー、落ち着け秀吉。コイツは人の話を聞けない病気なんだ」
「病気じゃないデスよ!?」
さ、サカポン酷いっ!僕はどこからどう見ても健康そのものなんだからねっ!?
「あはは。雄二、病気はちょっと酷いと思うけど、桃真もちょっと落ち着いた方がいいと思うよ?秀吉が侍な訳ないじゃない」
「そ、そうじゃ。現代日本には侍は存在しな「こんなに可愛い女の子が侍のはずないじゃないか!」おぬしは何を言っておるのじゃ!?」
むー。そうか…いくら男装してても、女の子は侍になれないのか…。てっきり喋り方から侍かなって思ったのに。それにしても、Fclassってかわいい女子が多いんだね?
「…わしは男なのじゃが…」
「あはは。さすがに騙されマセンよ?あなたみたいな美しい人が、男な訳ないじゃないデスか。ああ、でも、その男装もとてもお似合いデスよ?」
スカートの方がもっと似合うと思うけど、人間の美しさって服で決まるものじゃないし…この子はとってもかわいいから、何を着ても似合うんだろうなあ。
僕なんて女だけどフリルのスカートとか似合いそうにないし。げーっ、想像したら気持ち悪くなってきた…
「いや桃真、こいつは本当に男だから、天然タラシスキルを使っても意味ないぞ?」
「?サカポン何言ってるんデスか?」
「あーもう面倒くさい!ちょっとこっちへ来るのじゃ!」
そのコ…サカポンやアキヒサの話によるとキノシタさんは、僕を手招きした。
「これでわかるじゃろう!?」
そしてキノシタさんは、僕の手をつかんで自分の胸に当てた。
『FFF団只今参上』
『ハッ』
「っきゃ―――――――ッッッ!?!?!?!?!?!?!?」
さっきまで廊下走り回ってたのにいぃ―――――っ!?
うわわわ、ど、ど、どうしよう!この人たち、女の子に近付く男を排除するんだよね!?えっと、あの、でも、アレっ!?胸がないよっ!?僕もないけどキノシタさんは完全にないよ!?……こ、これ、貧乳ってレベルじゃないよね…じゃあ、もしかして…
「ってやってる場合じゃなあああ―――っい!!!」
とにかく逃げろ!あああ、カッターナイフ投げるんじゃないって!危ないって!だからってハサミ投げていいわけじゃな…出刃包丁なんてなんであるの―――――ッッ!?
『いけムッツリーニ!お前の出番だ!』
『………御意』
うわっ!?あの男の子、すっごい足早い!駄目だ、追いつかれ……
「おはようございまーす…。ちょっと遅刻してしまいました、ってあれ?皆さん?」
『姫路さん!やあおはよう、今日も綺麗だね!』
『結婚してください姫路さん』
『スカートの中をのぞかせてください』
ア……れ?
「桃真、大丈夫?」
「アキヒサ…彼女はいったい…?」
あそこにいる綺麗な女の人は、僕を助けてくれた女神なんだろうか。いや、でも女神っていうかAngelって感じもするなあ。
「彼女は姫路瑞希さん。さっき桃真を追いかけてたのは、ムッツリーニこと土屋康太。えーと、それ以外は覚える必要のないゴミだから記憶から消去しちゃっていいよ」
『誰がゴミだ!』
「あの…えっと、そこの方は?」
「………そういえば、新顔」
二人が歩いてきた。
この機会に自己紹介しちゃおう。
「城田桃真デス。ロサンゼルスから転校してきマシた」
「あ、そうなんですか。姫路瑞希です。よろしくお願いしますね♪」
「………土屋康太。…なにか写真がいるときは俺に言え」
ツチヤくんは、どこかから出したカメラで僕の写真を一枚撮ってくれた。
写真を取るのが上手なのかな?
(ムッツリーニ、男の写真なんて何に使うの?)
(……最近、ムッツリ商会の売れ筋が読めないから)
(???)
ツチヤくんは小柄な男子生徒、ヒメジさんは…うん、女の僕から見ても大きいって思うくらいふくよかな胸の持ち主だ。う……羨ましいなんて思ってないんだからね……?
「それにしても、今の時期に転校ですか…一か月前なら、文化祭も参加出来たんですけどね?」
「ぶ、ぶん……?」
「あ、えっと、a cultural festival…でわかりますか?」
(雄二、カルチャー祭りって何?)
(どうしてfestivalのところだけ和訳した)
そうか。日本語で文化祭、っていうのか。
「清涼祭といって、とっても楽しいんですよ?うちのクラスは中華喫茶・ヨーロピアンをやりました」
「……あの、中華喫茶・『ヨーロピアン』デスか?」
「は、はい!よ、ヨーロピアンです!」
成程、ヨーロッパ風の中華料理か!……全くわからないんだけど、これ、僕の理解能力が低いの?
「あ、でもでも、文化祭は駄目でも今なら強化合宿に参加できますよ!避暑地で四泊五日の勉強会、楽しみです♪」
僕が考え込んでるのを落ち込んでるふうにとらえたのか、ヒメジさんは慌ててフォローしてくれた。ああ、いい人だ……!