審神者の力は砕けない 作:きど
「明日からあなたには政府の指示の元お国のために働いていただきます」
ある日政府の役人が家に来て、その台詞と書類だけを置いて帰って行った。
詳しくは説明を受けていない。極秘事項なんだそうだ。そもそも家に来た政府の人も内容は知らないらしい。最近噂になっていることが自分の身に降りかかるとは思っていなかった。
両親は反対したが国の命令には逆らえなかったし、剣術しか取り柄のない私が「お国のため」に働けるのなら…そう思って次の日迎えに来た政府の人に大人しく着いて行った。
政府の人に連れて行かれた先の建物で目隠しとヘッドホンをされた。なんだか犯罪者みたいだ。これから行く場所を知られては困るらしい。詳しい説明は移動先で受けると聞いた。
フラフラ歩くのでは危ないということで車椅子に乗せられる。しばらく移動したあとに目隠しとヘッドホンを取られる。
車椅子から立ち上がりながら周りを見渡せば、真っ白い普通の部屋にいた。窓はなく机と椅子だけ置いてある。目の前の机の上には書類がいくつか置いてあって、反対側にはスーツを着て眼鏡をかけた若い男の人と、同じくスーツを着た長い髪の女の人が座っている。
近くの椅子にかけるよう言われたので目の前の椅子に座れば、これからやっと説明をしてくれるそうだ。
まずは急にこのような形での呼び出しをしたことを謝罪される。極秘事項のためやむを得ない措置で、どうか分かって欲しいと言われる。
実はここは過去や未来に行ける技術のある2205年で、過去の歴史改変を目論む「歴史修正主義者」という相手と戦うのが私の仕事らしい。頭おかしいのかと思ったが、話の続きを聞くことにする。
私は「審神者」という眠っている物の想い 心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ者の力を持っているらしく、その力で刀の付喪神を「刀剣男士」として呼び出し戦って欲しいのだと続く。
神様はなんとなく信じているが、こうも言われると現実味がない。
しばらく審神者の仕事について書類を見ながら説明を受ける。衣食住の心配はなさそうだ。本丸という場所で生活するらしい。
まずは初期刀という刀を選ぶと言い、隣の部屋に移動した。5振りの刀が並んでいる。
真っ赤なのと、キラキラなのと、シンプルなのと、金ピカなのと、黒いの。なんとなく敵と戦うならば派手なものよりも斬れ味が良さそうで、心惹かれた一番右の黒い刀を手に取った。
「陸奥守吉行ですね。こちらの一振りは初期刀として政府からの支給になります。他の刀も鍛刀などで後々手に入ると思います。ではこちらの部屋へ」
これからさっき言っていた本丸という場所に移動するらしい。もうされるがままだ。
さらに隣の部屋に移動すると、真ん中に変なゲートとその横に装置が置いてあった。これが転移装置らしい。なんと。これで本丸に飛ぶんだそうだ。
政府の人が装置をいじって私の本丸に座標をセットしたと言うと、まずは眼鏡の男の人がゲートに入って行く。もう1人の女の人が私に入るよう促した。
さっきゲートを潜った男の人は反対側には出ず消えていった…これはいよいよ本物かもしれない。
意を決してゲートを潜ると、大きな日本家屋が建っていた。