二人の姉がブラコン過ぎて困ってます 作:闇喰らいの蝙蝠
「陽真、起きなさい。今日から貴方も高校生でしょう?」
今日起こしに来たのは紗夜姉か。
紗夜姉でよかった。
日菜姉だと朝から死にかける所だった。
日菜姉の起こしかたはヤバい。
僕の腹の上にダイブしてくる。
そのせいで朝から激痛と共に目覚めることになる。
僕は時計をかくにんした。
時間は5時30分。
まだまだ時間がある。
「紗夜姉、まだ早いよ?」
「全然早くないわ。むしろ遅い位よ」
まさか7時30分だと思ってる?
それとも僕の部屋の時計が間違ってる?
僕は枕元のスマホの時間を見る。
5時32分。
そして壁の時計を見る。
5時32分。
さらにテーブルの上にある腕時計も確認する。
5時33分。
合ってるじゃないか!
「どう遅いんだよ、紗夜姉」
「だって制服姿の陽真を堪能しなきゃいけないじゃない!」
「さて、これは夢か。寝よ」
あまりにも下らない理由だったので僕はもう一度寝る事にした。
「陽真、起きなさい!なんでまた寝るの?」
「これは抜けられない悪夢なのか……」
「何馬鹿なこと言ってるの?早く制服に着替えなさい」
「え、でも」
「は!や!く!」
「へいへい」
これ以上構うのもめんどくさいので僕は制服に着替えた。
部屋から出ると紗夜姉が恍惚の表情を浮かべていた。
そして鼻を押さえて洗面所に向かっていった。
「何だったんだ?結局」
疑問を浮かべているとドタドタと足音が聞こえてきた。
ヤバい、早く逃げないと!
僕は部屋に入ろうとドアを開けたが、一瞬遅かった。
「ハルく~ん!」
僕は後ろから抱きついてきた日菜姉と一緒に部屋に倒れ込んだ。
「ハル君の制服姿かわいい~、るんって来た!」
相変わらず日菜姉はぶっとんでる。
ちょっと、というか大分ヤバい。
「ねえねえハルくん、写真撮ろうよ!」
「え、ちょっと待って寝癖とか…」
その時、パシャリとシャッター音がなった。
目の前に立っていたのは鼻にティッシュを詰めた紗夜姉だった。
「おねーちゃんさっすが!後でその写真ちょーだい!」
「じゃあ私の分も撮ってくれないかしら?」
「うん!いいよ~」
こうして立て続けに写真を撮られた。
寝癖とかそのままなのになぁ。
しかも写真見たら酷い寝癖だった。
何か猫耳みたいに髪が跳ねてる。
たまにオールバックになってたりと僕の寝癖はかなり個性的だ。
髪が跳ねてるだけなのはむしろマシな部類だ。
「気はすんだか?姉さん達」
僕は寝癖を直してリビングに向かう。
ようやくいつもの七三分けに戻せた。
髪のセットに10分はかかるので、もう朝食は出来ていた。
「この写真待ち受けにするわね」
「止めてぇーー!何でも言うこと一つだけ聞くからそれだけは止めてぇー!」
「じゃあ今度ポテトを奢ってね?」
「わかった、ポテト奢るから許してぇ……」
ポテトを奢ることになってしまった。
まあいい。ポテト買うこと位にしか小遣い使わないし。
紗夜姉が喜んでくれるならそれでいいや。
「じゃああたしは皆に拡散しとこうかなぁ~」
「止めてぇ!買い物でも何でも付き合うからぁ……」
「じゃあ今度一緒に買い物行こうね!」
また二人の姉に弱みを握られてしまった。
バイバイ、僕の平穏……
まあ、この家にいる限り僕に平穏なんて無いんだけど。
「あ、それとハルくん、お誕生日おめでとう!」
そういって日菜姉にプレゼントの入った箱を渡される。
中を開けると、腕時計が入っていた。
「ハルくん、腕時計好きだよね?」
「うん、腕時計好きだけど…これ結構したよね?」
「そこまでしなかったよ?ハルくんのお誕生日のために前から貯めてたし」
「私からは、これを…」
紗夜姉が外に向かう。
何だろうか。
外に出ると、新品の自転車が置いてあった。
「自転車買ってくれたの!?」
「ええ、陽真の自転車、もうボロボロになってたわよね?」
「うん。二人共、ありがとう」
僕達はリビングに戻って朝食を食べていた。
すると母さんが降りてきて、何かを持っていた。
「ハルちゃん、これ入学祝いと誕生日プレゼントよ」
母さんからは入学祝いと誕生日プレゼントとして金一封だった。
うちの母は昔から人の好みなどを覚えるつもりがほぼなく、気に入らないものを渡すよりは金一封で好きなものを買ってもらおう、という考え方の持ち主だった。
破天荒さでいえば日菜姉以上だろう。
さらに母は料理が絶望的に出来ないので、基本的に僕か紗夜姉が料理をしている。
「陽真、一緒に行きましょう?」
「わかった。でももう行くの?」
「ええ。私は仕事があるから」
「じゃあ僕暇じゃん」
「じゃあ校内をみて回ればどうかしら?」
「紗夜姉ナイスアイデア!」
こうして僕は校内をみて回るという目的で早く学校に向かうこととなった。
紗夜姉と二人で学校に行くのはいつも通りだ。
僕は中学から花咲川に通っていて、高等部といっても同級生は大体同じだしあまり実感が湧かない。
「陽真、友達は出来そう?」
「分かんない。僕小さい頃から友達一人も居なかったし」
「そういえば小さい頃から同級生よりも私達と一緒にいたものね」
「うん。だからいまいち同級生と関わりが薄くて」
「でも陽真も性格は良いんだから友達くらい沢山できるわ」
「それなら良いんだけど」
僕は友達がいたことがない。
なぜなら小さい頃から姉さん達とよく一緒にいたせいで同級生と関わりがないからだ。
学校で少し話す、そんな奴も一人もいない。
うちの学校は僕が入学する年から男子を募集し始めたため、男子が僕しか居なかった。
僕が入学した理由は当時僕が紗夜姉大好き人間だったためだ。
こうしていると学校に到着した。
高等部の校舎に入るのは久しぶりだ。
紗夜姉の忘れ物を届けに行ったくらいだろうか。
忘れ物、といっても紗夜姉のミスで僕のバッグに紗夜姉の水着が入っていたというとんでもない事件だったのだが。
まず見学と言っても自販機からだ。
コーラの値段を確認してコーラを購入する。
高等部のコーラが安い、と前に耳に入ってきたがその通りだった。
中等部よりも30円安かった。
僕はコーラが大好物で、毎日朝学校で購入している。
楽しみなのはクラスに男子が何人居るだろうか、それと学食のメニューだけだ。
やることも無くなったので教室向かう。
教室でコーラを飲みながら日菜姉とRINEで会話している。
羽丘は明日からなので暇そうだからなのと、僕が暇だからだ。
すると生徒が入ってきた。
男子生徒だった。
「君、可愛いな。名前は?俺は市ヶ谷巧。よろしく」
どうやらこのイケメンは僕を女子だと思ってるらしい。
「あの、市ヶ谷君。僕男だから……」
「ごめんな。じゃあ男同士仲良くしようぜ!あと名前!」
「僕は氷川陽真。陽真でいいよ」
「じゃあ俺も巧でいいぜ!よろしくな!陽真」
「うん、よろしく。巧君」
それから巧君といろいろと話しているとわかったのが、巧君には双子の妹が居ること、そして今日欠席していること。
それと妹がめちゃくちゃ可愛いらしいと言うこと。
校門の前にたってた女の人が美人だったこと。
そして入学式の時間がやって来た。
校長の無駄に長い話を気が重くなりながら聞き流し、入学式が終わった。
その後はなにもなく帰宅だが、仕事がある紗夜姉を待っていると、巧君も一緒に待ってくれるみたいなので暇はしなかった。
「お待たせ、陽真」
「おい陽真、この人がお前の姉さん?」
「そうだけど……校門の前にたってた人って紗夜姉だったのか、納得」
「貴方、陽真のお友達?よかったわね陽真。男子のお友達が出来て」
「陽真、お前も友達居なかったのか?お互い初めての友達だな!」
「巧君も友達居なかったの?」
「ああ。俺も居なかったんだ」
こうして僕達は帰ることになった。
「じゃあ俺道こっちだから!じゃあな、陽真!また明日」
「巧君、バイバイ!」
「陽真にお友達が出来るなんて……嬉しいわ」
「紗夜姉喜びすぎ。今日ランチはどうするんだ?」
「パスタあるしパスタで良いでしょ」
「そうだね。パスタなら僕も手伝うよ!」
「じゃあ、お願いね」
僕達は家に帰ってきてすぐに日菜姉が飛び付いてきたのはいうまでも無いだろう。
なんやかんやでいい1日だった。
今度今回出てきた巧君主人公で書きます。