二人の姉がブラコン過ぎて困ってます 作:闇喰らいの蝙蝠
僕は今日も紗夜姉と一緒に登校していた。
春の陽気な風に包まれて僕の気分も少し上がる。
「陽真、今日のお昼屋上に来て。一緒に食べましょう」
「わかった。お昼に屋上ね?」
「ええ。じゃあ待ってるわ」
「わかった」
こうして僕達は校内に入ったあと別れた。
僕が教室に着くと、何やら階段から二人の男女がギャーギャー騒ぎながら歩いてきた。
巧君と巧君とそっくりな顔をした女の子だった。
「お、陽真~!おはよう!」
「アハハ、朝から元気だね。巧君」
「兄貴、もう彼女作ってたのか……」
どうやら女の子は勘違いしているらしい。
でもこういう勘違いには慣れている。
なんとも悲しいことにだが。
「あの~、僕、男だよ?」
「えぇー!?そうなの!?てっきり女だと思ってた。ごめん」
「いいよいいよ、気にしてない」
「有咲、お前最初ちょっとだけ陽真に敵意向けてただろ?お兄ちゃんがとられそうになって嫉妬しちゃったんだなぁ。有咲、愛してるぜ!」
そういって巧君は女の子、改め有咲さんに抱きつこうと飛び付いた。
「そんなわけねーだろ!この馬鹿兄貴!」
有咲さんの綺麗なアッパーが巧君の顎に直撃した。
巧君は少し気を失って倒れている。
「兄貴!?大丈夫か?」
有咲さんが巧君に駆け寄る。
巧君はなんとか意識を取り戻していた。
「有咲、いい白だな。俺の好みをよく分かってるじゃないかグハァ!」
「死ね、変態。心配して損した。私もう行くからな!」
すると有咲さんは巧君を置いて自分の教室に向かった。
「大丈夫?巧君」
「ああ、大丈夫だ。やっぱり有咲は可愛いなぁ。最愛の妹だぜ!」
「あの~、巧君と有咲さんって双子だったりする?」
「ああ。よく分かったな」
「だって顔とかそっくりだったし」
「それにしても普通は驚くもんだけどな、陽真って身近に双子でもいるのか?」
「うん。僕の姉が双子なんだ。あんまり性格は似てないけど」
性格似てたら僕の体が一つじゃ持たない。
紗夜姉が日菜姉みたいな性格だったらと考えると胃がキリキリしてきた。
考えるだけでこうなるのだからそうだったら僕はどうなっているのだろうか。
「そうなんだ。それにしても家にあんな美人が二人もいるなんて陽真良いなぁ……」
「そうでもないよ。毎日二人に振り回されるからキツいよ?」
「あの人に振り回されてるってどう言うことだ?」
大体皆こう言う。
紗夜姉が僕を振り回してるなんて想像が付かないんだろう。
「急に写真撮られたり、ポテト奢る羽目になったりだね、でももう一人の姉よりまだマシだけど」
「い、意外だな・・・もう一人の姉さんはどんな人なんだ?」
「天災だよ……前は休日に女装させられてショッピングモールに連れてかれたし、部屋はしょっちゅう荒らされるし起きたら隣で寝てるし。」
「お、おう。災難……だったな?」
「巧君の妹さんってどんな人なの?」
「よくぞ聞いてくれた!有咲は世界一可愛い女の子だ。昔はどこ行く時でもお兄ちゃん、お兄ちゃんって着いてきたんだけど、今はどうやら反抗期という奴らしいんだ」
「そうなんだ。そういえばさっきおもいっきりアッパー食らってたね」
「でも有咲からのアッパーはごほうびだ。照れ隠ししてるあの表情が最高なんだ!」
どうやら僕の友達はとんでもないシスコンだったらしい。
僕の回りには兄弟に偏愛を注ぐ者が沢山いるようだ。
巧君としばらく話していると、始業のチャイムが鳴る。
僕達は席についた。
すると隣の席の女子から声を掛けられた。
「氷川君、だよね?私、山吹沙綾。よろしくね」
「あの~、山吹さん?何で僕のこと知ってるの?」
「だって中等部の時三年間同じクラスだったし。それと中等部で男子一人だけだったでしょ?」
「同じクラスだったんだ……ごめんね、君のこと知らなかった」
「いいよいいよ、だって接点一切無かったんだし」
僕が山吹さんと話していると、教師からとある一言が告げられる。
「今日は自己紹介をします。各自自己紹介を考えておくように」
自己紹介か~。
よりにもよって一番嫌な奴がやって来た。
僕は注目されるのがあまり好きではない。
中等部の時に男子が僕だけということもあり、かなり注目されたせいで自己紹介は一種のトラウマである。
こうして、自己紹介が始まった。
改めてクラスメイトを見ると男子が僕と巧君合わせてもクラスの三分の一位しか居なかった。
「俺は市ヶ谷巧、趣味は歌うことで、好きなものは甘いもの全般です!これからよろしくね!皆」
巧君、相変わらず明るいなぁ。
そう思った。
さて、僕はどうしようか。
なるべく早く済ませよう。それがいい。
それから結構時間が経ち、僕の番がやって来た。
「氷川陽真です、よろしく」
名前だけ言ってすぐに座った。
すると教師が僕の方をジロリと見てきた。
「氷川君、もう少しお願いできるかな?」
はぁ、と心の中で大きなため息をついてからもう一度立ち上がる。
「氷川陽真です、趣味は漫画を読むことです」
これでいいだろう、そう思って席に着く。
「質問、いいですか?」
うわ、だる……。
この手のこと言ったのが失敗だったな。
趣味に漫画や音楽鑑賞を言うと大体質問がくる。
「氷川君はどんな漫画が好きなの?私も漫画好きなんだけど、氷川君は?」
聞いてきたのは教師だった。
まあ適当に言えばいいかな。
「バトル系の漫画は基本好きですね」
それっぽいことをいっておく。
そしてそのあとはボーッとして自己紹介は終わった。
そして昼休み。
僕は屋上に向かっていた。
「紗夜姉、お待たせ」
「私もいまきた所よ」
「そうなんだ。じゃあお弁当食べようか」
「そうね」
こうして僕達は屋上にてお弁当を食べ始めた。
弁当箱を開けると中にはハンバーグが入っていた。
「紗夜姉、このハンバーグ紗夜姉が作ったの?」
「ええ、そうよ。貴方ハンバーグ好きでしょう?」
「うん、紗夜姉ありがとう!」
「どういたしまして。陽真、少しお手洗いに行ってくるわ」
「う、うん」
そして紗夜姉は鼻を押さえながらトイレに向かった。
大丈夫かな?
そして数分後、紗夜姉は屋上に戻ってきた。
「紗夜姉、大丈夫?」
「ええ、なんとか収まったわ」
「ならよかった。最近無理してない?」
「陽真、貴方って小さい頃から優しいわね。本当、昔から何も変わって無いわ」
「そうだっけ?よく覚えてないよ」
「陽真って小さい頃はお姉ちゃん、お姉ちゃんって凄く私に懐いてたじゃない」
「忘れてくれよ、紗夜姉」
「嫌よ。あんなに可愛い陽真を忘れるはず無いじゃない」
「忘れてよぉ~!」
どうやら、僕の高校生活も今のところ無事に過ごせているようだ。