本編ちょっと進みます
身体が熱い。いつもより身体が動かないな。なんでだ?
俺は身体を起こして目覚めることにした。寝ていては駄目だ、学校に行かないと......。
「あ、たえ。おはよう」
「おはよう。ハク大丈夫?顔辛そうだけど、熱あるの?」
「熱?へ、平気だよ。早く学校に行こうか」
ベッドから出た瞬間、よろけてしまった。あれ、倒れてない?なんでだ?俺は意識が混濁している状態の中、近くにたえがいることに気づいた。たえ、なんでいるんだ?
「た、たえ。どうして......?」
「どうしてじゃないよ!休んだ方がいいよ!」
たえは俺に怒りながら言った。しかも泣いていた。どうしてお前が泣く?どうして泣く必要がある?そんな辛そうな顔をしないでくれよ。俺も......、俺も辛くなるよ。
「た、たえ?」
「ハクは無理しすぎだよ!なんでそんなに無理をするの?なんで自分を大切にしないの?私のために色んなことをしてくれるのは凄く嬉しいよ。でも......さ......」
――もっと自分を大切にしてよ!
たえは涙目になって言った。自分を大切にか。確かに俺はたえのために色々なことをした。弾き語りや料理もできるようにした。俺はどうしてここまでたえのために動いていたんだろう。
そんなことを考えていたら意識が薄れてきてしまった。頭がクラクラする。たえが泣いてる。また泣かせちまったな。駄目だ、意識が薄れてきた。ごめんたえ、しばらく寝かせてくれ。
俺の意識はここで切れてしまった。起きるまで何時間かかかった。どれくらいかはわからない。
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「ハク、ハク!しっかりして、ねえ!」
ハクが起きない。どうしたらいいんだろう?おばさん達は出掛けてるからいない。今この家にいるのは私一人。とりあえず寝かせよう。それから香澄に連絡しよう。今日は休むって!
私はハクの肩を担いでベッドに寝かせ、布団を掛けた。ハク、重くなったな。成長したんだね。あと、熱を測らないと。
体温計を持ってきてハクの腋に体温計を挟んだ。あと、香澄に連絡しよう。とにかく落ち着こう、落ち着かないと......。
「もしもし?どしたのおたえ?」
「もしもし?香澄、今大丈夫?」
「大丈夫だよ!なにかあったの?随分辛そうみたいだけど......」
「実は、ハクが倒れちゃって......」
私は香澄に風邪で休むってことにしておいてほしいことを伝えた。香澄は「いいよ!お見舞いとかは大丈夫?」って言った。
「お見舞いは大丈夫だよ。看病は私の方でなんとかするから。香澄、ごめんね」
「いいよいいよ!ハクのことは心配だけど、私達が来ても邪魔になるかもしれないからさ!」
「そんなことないよ!」
「おたえ」
「な、なに?」
どうしたんだろう香澄。香澄がこんなこと言うなんて、いつもの香澄じゃない。
「ハクの看病頑張ってね!」
「う、うん!ありがとう香澄!またね」
「またねおたえ!」
電話が切れ、香澄との通話が終わった。そうだ、体温計何度だろう。私はハクの腋に挟まっている体温計を取り、何度あるかを見た。39℃、凄い熱だ。
あとタオルを濡らしておでこに置くんだっけ?看病はやるのは初めてだからなにをしたらいいのかがあまりわからない。前にハクに看病してもらったことがあるけど、なにをやっていたかな?
とりあえず、私がわかるなりにやろう。これまでハクに何もしてあげられなかった。だから恩返しをしよう。ハクを治してあげよう!
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まだ身体が熱い。でも、さっきよりは楽になったような気がする。誰か看病してくれてるのか?それに、額にタオルが置いてある。しかも濡れてる。
俺は瞼を少しずつ開けた。少しずつだけど意識が戻ってきたな。たえの顔が見える、もしかしてたえが看病してくれてたのか?
「こ、ここは......」
「あ、ハク起きた!大丈夫?」
「た、たえ。なんでここにいるんだ?学校はどうしたんだ?」
「休んできた」
休んできたって、なんでだ?俺のことは大丈夫なのに、どうしてここに......。
「どうして?」
「ハクを看病するためだよ。あんなハク、放っておけないよ」
「放っておけないって、俺は平気だよ」
そんなことを言った瞬間、たえに抱きつかれた。え?なんで抱きつかれたんだ?そんなことをしたら風邪移るぞ?
「平気じゃないよ!あんなハクを見て私がそのまま学校に行くと思ってたの!?バカなの!?」
「た、たえ。風邪移るから離れて」
「嫌だ!ハク、今日はじっとしてて。ハクが治るまで私が看病するから!」
「たえ......」
どうしよう、泣きそうになる。たえが必死になって、泣いてまで俺のことを看病しようとしてくれる。看病をしてくれるだけなのに、なんで泣きそうになるんだ?とにかく泣きそうになるのを堪えよう。
「......わかった。じゃあたえ、治るまで頼めるか?」
「頼まれました!ハク、熱測ってもらえる?」
「わかった」
ハクは体温計を腋に挟んで熱を測った。さっきよりも良くなっている。でもまだ辛そうだ。熱大丈夫かな?
「何度だった?」
「38.6℃だな」
「少し減ったね。よかった」
「さっき何度だったんだ?」
「39℃あったよ」
39℃!?俺は聞いた瞬間に血の気が引いたような気がした。ヤバいなこれは、落ち着いたら病院行こう。
背中が汗で濡れてるな。こんなに汗掻いてたのか。しかも気持ち悪い。たえに拭いてもらうしかないな。頼むしかない、今日はたえに甘えようか。
「たえ、背中拭いてくれないか?」
「背中を?前も拭いてあげようか?」
「ま、前は自分でやるから!」
「ハク可愛いよ。顔赤くなってる」
「言わないでくれよ!気づかないようにしてたのに、たえのバカ野郎!」
こんなに言い合ったのいつ以来だろう。たえもちょっとだけ赤くなってる。可愛いなんて言えない。心に留めておこうかな。
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ハクの背中久しぶりに見るな。相変わらず綺麗だけど、汗だらけだ。ハク、今拭いてあげるから待っててね!
「じゃあ拭くよ?」
「ああ、頼む」
私はハクの背中の汗を拭き始めた。ハク気持ちよさそうにしてるけど、そんなに背中拭いてもらうのがいいのかな?
「ハク、気持ちいいの?」
「ごめん、たえが拭くの上手いからつい気持ちよくなった。気持ち悪いだろ?」
「そんなことないよ。ハクらしいなって思った」
「俺らしいってどういう意味だよ?」
「変人らしいなって!」
変人らしい、それしか言い様がない。といっても私もハクも二人とも変人だから、どう言ったらいいかわからないや。
「拭き終わったよ」
「ありがと、後は自分で拭くから」
「いや、前も私が拭くよ!」
「ちょっと待て!さっき自分でやるって言ったよな!?」
「言ったけど、私が拭きたいから!お願い、拭かせて!」
こうなったら拭かせてくれるまで粘ろう。私はハクに恩返しがしたいんだ。だから、そのためなら譲ってくれるまで粘らないと!
「わかった、わかったよ。じゃあ拭いてくれ!これでいいだろ?」
「ありがとうハク。拭いてあげるね」
「ああ。任せたよ」
ハクって意外と筋肉あるなあ。ぷにぷにしたいけど、怒られるからやめておこう。やっぱり気持ちよさそうにしてる。ここまでくると可愛いというより気持ち悪い。ごめんハク、これじゃ可愛いなんて言えないよ。
それから時間が過ぎ、ハクは眠りに就いた。さっきよりだいぶ良くなってきた。本当によかった。あの時はハクが死んじゃうって思ったから、怖かった。
ハクは最近無理をしすぎていたんだ。弾き語りや料理をする時も本気だし、エター達の世話もしてたから大変だった。私は気づいている、ハクが私のために動いてくれていることを。
今ハクは寝ている。今なら......。今ならいいよね?
私は自分の顔をハクの顔に近づけた。寝ている。今しかない!ごめんねハク。こんな私を許してね。
私は過ちを犯した。ハクの唇に触れるくらいのキスをした。そう、私が犯した過ちとは......。
――ハクの初めてを奪ったことだ。
ハク、本当にごめんね。私はハクのことが好きということに気づいてくれないこの辛さをキスで補うしか方法がなかった。私にはそれしか思い付かなかった。
自分でやっておいて泣きそうになってしまう。過ちを犯した私には泣く資格なんてない。でも、涙が出てしまう。ハクが私の想いに気づいてくれないことが辛くて......。胸が切なくて、胸が張り裂けそうで......。
どうしてこんなにも辛いんだろう?好きな人に気づいてもらえないのがこんなに辛いなんて思わなかった。私の努力って無駄だったのかな?
私は泣いてしまった。両手で涙が出るのを抑えた。でも涙は止まらなかった。
「ハク、ごめんなさい。本当にごめんなさい。私、私......」
ハク、いつになったら気づいてくれるの?もう辛いよ、苦しいよ、死にたいよ。
でも、ここで折れたらおしまいだ。なにがなんでも耐えないと!ハクに告白するって決めたんだ!私の想いを伝えないと......。例え......。
――例え、私の心が張り裂けそうになっても、最後まで耐えよう。ハクに想いを伝えればそれで終わりなんだ!それで......。
――それで、私は楽になれるから。
おたえ苦しんでますが、作品の展開上こうせざるを得ませんのでお許しを
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