香澄達を夏祭りに誘うことにして三日、俺とたえは浴衣で夏祭りに向かうことにした。
たえは青い浴衣に、俺は黒い浴衣を着るというお互いに渋い色にしたなと感じた。
二人で恋人繋ぎをしながら有咲の蔵へと向かう。みんなはどんな浴衣だろう、もしかするとそれぞれのイメージカラーか、気になるな。
「たえ、足痛くないか?」
「大丈夫だよ。痛くなったらおんぶしてくれるんでしょ?」
「まぁするけどさ……。おんぶできるかわかんないぞ?」
「大丈夫!ハクなら何とかなるよ!」
何か不安しかないな。まぁそうなったらやるしかないか。さて、そろそろ蔵に着くな。
「熱々だねハク、おたえ!」
「パンが焼き上がったみたいに熱々だねー」
待て沙綾、その例えはおかしい。そして香澄、ストレートに言うのはやめろ。恥ずかしくなるからやめてくれ。有咲はニヤニヤ見てるし、りみは微笑ましくしてるし、みんなおかしいだろ。
「みんなイメージカラーなんだね。似合ってるよ!」
「香澄は赤、有咲は紫、りみはピンク、沙綾は黄色か。似合ってるじゃん」
「そうでしょそうでしょー、みんなで選んだんだ!」
「ちょ香澄!それは言うなって!」
有咲はもしかすると香澄に選んでもらったのかもしれない。香澄は有咲のこと好きなんだな。まるで夫婦みたいだ。
「香澄と有咲も熱々だね」
「ば、ばか!おたえそんなんじゃねえよ!」
「そんなおたえ、私と有咲ばまだ゙……」
「まだ?え、香澄ちゃんと有咲ちゃんってまさか……」
りみがストレートに言いやがった。さすが関西出身、鋭いツッコミだ!
「りみりん違うよ!今のは言い間違えただけだよ!」
「実は付き合ってるでしょ?香澄?」
「違うよ、沙綾まで言わないでよー」
「ああもう、この話はやめ!お前ら夏祭りに行くぞ!」
この話は有咲にやめ!と言われて打ち切られた。まぁ香澄と有咲はお似合いだから付き合っていても違和感はない。きっと結婚してるのかもしれない。二人ならあり得るかもな。
▼▼▼▼
私達は夏祭りのやっている場所、もとい商店街に到着した。凄い賑やかだ、夏祭りだから人がいっぱい来るのは当然か。
ハクが私の手を繋いで来た、香澄達の目の前でやるなんて大胆だ。恥ずかしくなるし耳が赤くなってしまう。
「ハク、恥ずかしいよぉ」
「ごめんたえ、迷わないようにしたかったからさ」
「それはズルいよハク!」
香澄からなんか親指立てながらグッドされたんだけど、完全に見られてるよね!?
「大胆だねハク」
「お前よくそんな恥ずかしいことできるなぁ」
「ハクくん、それはアカンよぉ……」
ハクがボロクソに言われてしゅんとしてる、こんなハクも可愛い。うん、レアだね。
流石に手を繋ぐのは恥ずかしいから袖を掴もうかな。その方がまだマシだ。私はハクに手を繋ぐのは恥ずかしいからやめるように言った。
「たえ、どうした?」
「ハク、恥ずかしいからこのままでいいかな?」
「わかった。たえがそう言うならやめておく。ごめんな、強引なことしちゃって」
「そんなことない!私が恥ずかしかっただけだから……だからハクは悪くないよ」
私がそう言うとハクは微笑んで私の頭を撫でた。待って、香澄達の前でまたこんなことするってズルいよ!反則だよ!ハクってキザなウサギだなぁ。
「そんなことない、たえがそうしてほしいって言うならそうするさ。今度手繋ぐ時は――」
――二人きりにしような。
顔が赤くなるような感じがした。ハクが私の耳元で囁いたからだ。ああやばい、ニヤケちゃう、ニヤケちゃうよ~!
ハクにはあとでお返しをしよう。私は心の中でそう決めてハクの浴衣の袖を掴んだ。手を繋ぐのもいいけど、こんなシチュエーションも悪くない。今の私はどう見えるんだろう……。ハクからしたら可愛いウサギだなって思われてるかもしれない。でも、それでもいいかな。
――その方が私らしいから。
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それからは皆で金魚すくいや射的、綿菓子、焼きそばと色々な屋台に行った。ほとんど定番なものばかりだったが、夏祭りだからそれでもいいかと俺は思った。
隣にいるたえを見るといつも下ろしている髪は結ってあった。こうして見ると美人だなって思う。たえはいつからこんなに綺麗になったんだろう、昔とは大違いだ。
皆と楽しそうにしているあの表情、小学生の頃は暗かったのに、今はこんなに明るくなってる。友達になって……いや、付き合うことができて本当に良かった。
「ハク、どうしたの?私の方を見て……」
「何でもない、たえが可愛いなって思っただけだよ」
「そ、そうなんだ……」
「そうだよ。そろそろ花火の時間だな、見れる所行こうか」
俺は香澄達に花火の時間になることを伝え、花火が見れる所に向かうことにした。綺麗に見れる、それだけでいいんだ。
その場所は商店街から少し離れた小川敷だ。ここなら花火は見れるし、一応持ってきておいたシートがあるからそこに座れば問題ない。
香澄達をシートに座るように促し、俺はたえの隣に座った。たえの髪からいい匂いがする。気にしたら負けだ、気にしたらたえを押し倒すかもしれない。だから我慢しないと駄目だ。
「あ、花火だ!」
「たーまやー!」
「香澄、懐かしいこと言うね」
確かに香澄のその言葉は懐かしい、沙綾の言う通りだ。たえは花火に夢中になっていた。どうしてだろう、たえの横顔を見ると本当に綺麗だって思ってしまう。それに、キュンとしてしまう。
キュンとするって、それは女子が言うことなのに何で俺が言ってんだ。おかしい、本当におかしい。
「どうしたのハク?」
「な、何でもない!何でもないから!」
「そう。花火綺麗だから見ようよ!」
「……お前の方が綺麗だよ、バカ」
俺は聞こえないように小言で言った。花火で掻き消されてるだろうから聞こえてない筈だ。
――たえ、本当にお前は美人だよ。俺には勿体ないくらいだよ。
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夏祭りを終えて皆と別れ、私とハクは二人で家まで歩いた。楽しかったなぁ、また皆と行きたい。私は名残惜しいと感じた。
「楽しかったなたえ」
「そうだね。また一緒に行きたい、ハクはポピパと一緒に行きたいよね?」
「もちろん!たえと一緒なら何処へでも行くさ」
「ハク、恥ずかしいよ。……痛っ!」
「っ!?どうしたたえ!足捻ったのか?」
私はしゃがんで捻った足を抑えた。久しぶりに足を捻るなんて私らしくない。あはは、情けないや。
「たえ、俺の背中に乗って」
「え?もしかしておんぶしてくれるの?」
「それ以外に何がある?怪我してるんだから歩きにくいだろ?ほら」
私はハクの背中に乗って肩に手を乗せた。大丈夫かな、私って重くないかな?心配だ。
「ハク、私重くないかな?」
「重くないよ。むしろ意外と軽いなって思ったけど……」
「意外となんだ。ハクがそんなこと言うなんて思わなかったよ」
「聞いたのはたえだろ。正直俺も抱えられるか心配だったがな」
そうだ、私とハクは身長が同じだった。それにしてもハクってこんなに大きいんだな。あの時から一緒にいるようになってからもう六年経つ。
この時間を噛み締めよう。短い間だけど、長く感じるようなこの間を大切にしよう。
いい最終回でした
でも続きます