もはや暖かいのか寒いのかわからない
ようやく暖かくなった。今日は快晴、この前までは寒かったが、今日は暖かい。周辺には紅葉も出来ている。紅葉の木の下で弾き語りをしたり、兎と戯れるのも悪くないな。
エターは遊び回り、キルとケーは互いにくっつき合っている。あいつら、楽しそうだな。生まれ変わるなら兎に生まれ変わりたい。こんなことはたえには言いたくない。だが、あいつも同じことを思っているかもしれない。
「紅葉を見ていると思い出すな。紅葉の下でギターの練習をしていた頃だったか……」
あの頃が懐かしい、ギターがある程度上手くなった辺りで弾こうって思った。たえにバレるんじゃないのかと、焦ったが、バレることは無かった。あの時の俺はたえのために上手くなろうと必死だった。
今は前よりも上手くなった。母さんからも認められるようになって、ポピパからも上手いって言われて、ギターを弾けるようになってよかったって感じている。
俺がギターを始めてから二年か。昔は自分のことを僕と呼んでいたが、中学から俺と呼ぶようになった。たえの前ではカッコよくいたいからなのか、変わりたいからなのか、今ではもう覚えていない。覚えていないというより、自然とそうなったのかもしれない。
「ハクー、何してるのー?」
「たえか。エター達を眺めながら寛いでるが、何かあったのか?」
「香澄が蔵で焼き芋焼いたからハクを誘おうって言ったんだ。それで、私がハクを迎えに来たってこと」
焼き芋か、蔵で焼いてるってどうしたんだ……。誘われ他のなら断る訳にはいかないな。今回はエター達も連れていくか。ケージが三つに増えるが、まぁいいか。
俺は立ち上がり、仕度を始めた。ギターをケースに入れ、ケージを三つ用意する。エター、キル、ケーをケージに入れ、靴を履く。ドアを開けようとした時、たえにこっち向いてと言われた。
「ハク、ちょっといい?」
「どうしたたえ……」
たえの方を振り向くと、唇が重なった。そう、キスをされたのだ。振り向き際にやりやがったよこのウサギ。全く、何てことをしてくれたんだこいつは……。
キスだけでは終わらなかった。たえは舌を絡め、俺の唇を蹂躙しようとしてきたが、俺は蹂躙される前に後ろに離れた。危ない、蔵に行く前にイカされたら身が持たない。
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「ハク、何で離れたの?酷いよー」
「酷いもクソもない。舌を絡めて来るとかおかしいだろ。発情するには気が早いぞ」
発情するって、そんなことを言われたら返す言葉もない。確かに私はキスをした。しかもディープキスまでしようとしたんだ。私が悪いけど、ハクだって悪い。ハクは無意識に私を誘っている。
何故かというと、最近のハクが魅力的だからだ。どうしてかは私も知らない。私は自分の唇を舌を出してジュルリと舐めた。
「たえ、怖い。お前どうしちまったんだ?変なモノでも食べたのか?」
「へ?何ともないよ?私は至って普通だし、平常運転だよ?」
「それで平常運転って時点で怖いわ!ケージからもエターが怯えてるのが伝わってくるし、オッちゃんも若干震えてるぞ」
あ、やばいやり過ぎた。キルとケーは平気みたいだ。この二匹って色々と不思議なところがある。何でかな……。
そんなことを思っていると、有咲の家に着いた。蔵の前ではりみと沙綾が待っていた。香澄と有咲は蔵の地下にいるみたいだ。
私とハクはりみと沙綾におはようと言い、蔵に荷物を置きに向かった。階段を降りると、香澄と有咲が何かをしていた。あれ、これは入るのはまずかったかな?
「有咲ー待ってよー」
「やめろ香澄!離れろ!」
「おはよう……どうしたんだ二人共?」
「聞いてよハクー!有咲がねー」
香澄がハクに話をした。どうやら、香澄が有咲に抱き着こうとしたのだ。有咲は香澄を避けたが、それでも香澄は諦めなかった。これは理由を聞いた方がいいかもしれない。じゃないと有咲が持たない。
「香澄、一応聞くが、何で私に抱き着こうとしたんだ?」
「寒かったから!」
「は?もしかして寒かったから私に抱き着こうとしたのか?」
香澄が理由を言うと頷いた。有咲は香澄を抱き締めた。目の前で見ると恥ずかしくなる。有咲って大胆な所もあるんだね。私も後でハクに抱き着こうかな?
「そんなことなら、最初に言えよ。言ってくれたら抱き締めてやるからさ……」
「ありがと有咲!だーい好き!」
「アハハ……有咲大胆だね」
「私これ見てるとめっちゃ恥ずかしい」
香澄と有咲によるイチャイチャが終わり、私達は焼き芋を食べることにした。熱かったけど、ポピパの皆で焼いた焼き芋はとても美味しかった。ハクも誘ってくれてありがとう、とお礼を言われた。照れるけど、言われるのは凄く嬉しいな。
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俺は誘ってくれたお礼として、ギターを弾くことにした。曲は秋に相応しい曲をチョイスして三曲弾いたくらいだ。それでも、たえから誘ってくれたのは嬉しかった。もし誘われてなかったら、あのまま寝ていた。
キルとケーは香澄達に紹介するのは初めてだった。三匹飼ってたのは初めて聞いたと言われたが、俺が単に言ってなかっただけだからな。
時間はあっという間に夕方になった。寒い、夜は寒くなるから憂鬱になる。たえと歩き、色んな話をした。オッちゃんの調子とか、ウサギは大丈夫かとかの話だけだった。それでも、俺にとっては充実した時間だ。
「たえ、今日はありがとな」
「お礼なんていいよ。私はハクと一緒に食べれて嬉しかったから」
「それを言うなら俺もだよ。ホントにありがと」
家に着き、ケージを開けてエター達を小屋に入れる。三匹の顔を見ると、とても満足しているような表情だった。連れてきてよかったな。キルとケーを連れてきたのは久しぶりだった。さっきは俺の腹に頭を当ててたから嬉しかったんだろう。
「ハク、また明日ね」
「また明日。そうだ、たえちょっといいか?」
「何?」
俺はたえを抱き寄せて唇を重ねた。さっきのお返しだ。俺は唇を離し、たえの頭を撫でた。顔を赤くしてるな。今のたえは凄く可愛い。
俺は抱き締めていた手を離し、たえから離れた。また明日ともう一度言い、家に入った。今日はたえに朝から散々やられたが、仕返しをして別れる。こういうのも悪くないな。
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ハクは何てことをしたんだ。あんなことをされたら恥ずかしくなる。私は赤くなっている顔を枕に埋め、足をジタバタとさせた。普段の私はこんなことはしない。でも、今日は……今日だけはこうしていたい。
「ハク、あれは反則だよ。あんなことされたらもっと好きになっちゃうよ……」
私は真っ暗な部屋の中、誰にも聞こえないように呟いた。こんな顔はハクに見られたくない。もし見られたら恥ずかしさのあまりに襲っちゃうかもしれない。
そういえば、ハクはいつも私達にだけ弾き語りをしている。いつかは、ライブハウスとかでやるのかな?もしやるのなら私は全力で応援したい。ライブとかで一緒に弾きたい、ハクの力になりたい。
私はそんなことを思いながら深い眠りに就いた。近いうちにハクに聞いてみよう。彼に聞けば、弾き語りをどうするのかわかるかもしれないし、力になれるかもしれない。
白兎、終盤に近づいております
三話くらい書いて終わりにする予定です