年末年始、それは1年の終わりと1年の始まりである。しかし、年末にはやらなければならないことがいくつかある。まず1つは大掃除だ。
大掃除なのはまだいい。だが、一番大変なのは小屋の掃除だ。エター、キル、ケーを外に出して小屋の掃除を始める、更に藁を変えたりとかもあるから大掃除で最もキツイのだ。しかも、俺の方が終わったらたえの所も手伝わないといけない。早く終わらせてエター達と戯れたい。
ウサギ小屋の大掃除が終わるまでに3時間程掛かった。クリスマスプレゼントで貰ったウサギのネックレスを付けてその後、昼食を済ませてたえの家に向かう。オッちゃんをモフリたいけど、嫌われてるからもういいか。この先どうせ嫌われるんだ。
――俺に懐くのはたえだけ、それだけでもまだ救いはある。
「たえ、お待たせ。遅くなってごめんな」
「そんなに待ってないよ。私も今始めたばかりだから」
「今にしては随分と汚れてるな。顔拭いてやるからじっとしてろ」
「ハクー、そこは突っ込んじゃだめだよ。あと、顔は掃除終わってからでいいよ。気持ちだけ受け取っておくから」
何かたえの当たりが強いような気がする。気のせいだよな?いや、時間を合わせてくれたんだ。さっきの突っ込みはまずかったか。
ウサギ小屋に入った瞬間、オッちゃんが俺に向かって突進を仕掛けてきた。柔らかい、毛が胸に当たって気持ちいい。なんて言ってる場合じゃない。危うく昇天しそうになった。俺にとって兎は危険な物だな。
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ハクとウサギ小屋の掃除を2時間掛けて終わらせ、二人でのんびりと休憩を始める。今年の大晦日はハク一人らしい。おばさん達は仕事のため今年は過ごせないとのことだ。
隣でハクが歌を歌っている。曲は粉雪、ん?粉雪?待って、ハクは前も粉雪を歌っていた。歌っているということは……。
「ハク、何で粉雪歌ってるの?」
「何でって?また雪降らないかなーと思ってな」
「前歌ったら雪じゃなくて吹雪だったよね!?ハクのせいで吹雪いたんだよ!?ハクのせいで寒い想いしたんだよ!」
「そうだったのか!?今まで気づかなかった。道理でキルが震えてたわけだ」
キルは震えてたけど、ケーは喜んでいた。エターは慣れているのか、全く震えてなかった。もしかしてハクは白兎じゃなくて雪男だったのか。多分雪兎かもしれない。
ハクと話をしていると、オッちゃんがハクの膝の上に乗ってきた。え!?あのオッちゃんがハクに懐いた!?これは明日吹雪になるかもしれない。ハクの頭を見るエターが乗っていた。エターいつの間に……。
「オッちゃん、とうとう懐いてくれたのか。たえ、どうしよう俺泣きそうなんだけど、泣いていいか?」
「な、泣かなくてもいいんじゃないのかな。きっとオッちゃんはお礼を言ってるんだよ!小屋を掃除してくれてありがとうって」
「そうか?本当にそうならモフモフしてやりたいんだけどなぁ」
いやそれやったら余計嫌われるって。今年最後にオッちゃんにここまでされるのはハクにとって人生最大のサプライズだろう。
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母さんと父さんが仕事で戻れないため、今年はたえの所で年を越すことになった。俺も料理を手伝うことにし、今年は肉をガッツリ使った料理にした。エター、キル、ケーの三匹も連れてくることにした。置いていってしまっては寂しい想いをさせてしまう。たえの所の小屋に入れると紛れてわからなくなるからたえの家に入れてもらうことにした。
今日は本当に色々とあった。といっても、昨日の大掃除の方がインパクトは大きい。オッちゃんが俺の膝の上に乗ったことだ。あれだけのことなのに、俺は危うくあの世に逝きそうになった。
これまでオッちゃんに嫌われてたのに、ついに俺に懐いてくれたんだ。だが、それは昨日だけで、今は普通に警戒している。あの日の感動を返してくれ。
「ハクそんなに泣かなくても……」
「オッちゃんに好かれたと思ったんだぞ!?でも今日は何だ、何であんなに警戒してんだよ!俺がナニしたっていうんだよ!」
「ナニっていうかさぁ、またモフろうとしたでしょ?モフろうとするから嫌われるんだよ?」
「いいさ、オッちゃんに嫌われても俺にはたえがいるんだ」
そうだ、俺にはたえがいる。オッちゃんが無理ならたえならどうだろう。さすがにモフるとかやったら間違いなく口聞いてくれなくなるからそういうことはしないが……。
この茶番は約2時間程続いた。茶番の後はたえの部屋でゆっくりと、ゆっくりと次の年が来るのを待った。二人で年を越そうということで夜遅くまで起きていることにした。
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ハクと夜遅くまで年を越すってなんかいい。オッちゃん達は寝てる。でも、私達は起きている。今日は満月、ああ綺麗な月だ。
「ハク、月が綺麗だね」
「そ、そうだな。でもたえだって綺麗だぞ?」
「そ、そう!?それは嬉しいな」
私はハクに綺麗だと言われ、心臓がドキッとした。ハクだって綺麗だ。白い髪に赤い瞳、その姿は正に白兎。ハクのことをじっと見ていると、彼は口を開いた。
「けどこれだけは言える」
「へ?」
「俺、たえのためなら死んでいいよ」
「えっ、し、死なないでよハク!死んじゃ嫌だよ!」
ハク、いきなり死ぬなんて言わないでよ!私を独りにするなんてもう嫌だよ。私はハクの一言に涙を流した。こんな所で泣くなんて、私って泣き虫だな。
そう思っていると、いきなりハクにキスをされた。突然のことで私は固まってしまった。どうしたんだろう、どうしてこんなことしたんだろう。私は不安に包まれながらもハクに理由を聞いた。
「ごめんたえ。いきなり変なこと言っちまったよな?けどこれには理由があるんだ」
「理由?」
「その……なんていうかな。告白みたいな物だ」
ハクから理由を聞くと、私は恥ずかしくなった。私が言った月が綺麗とは、I love youのことだった。それに答えたハクは死んでもいいと言った。この死んでもいいとはYoursという意味、つまり私はあなたの物ということ。
ハク、それは教えてほしかったよ。知らなかった私が言うのもあれだけど、それはあまりにも反則だ。無意識に言った私が馬鹿だ。そのせいで恥ずかしい想いをした。後でハクにはお仕置きが必要だね。
「ねえハク」
「何?」
「これからもよろしくね。あと、目瞑って」
「こちらこそよろしく」
ハクはそう言いながら目を瞑った。私は自分の唇をハクの唇に重ね、指を絡めた。兎は寂しくなると死んでしまうけれど、今の私は独りじゃない。ポピパがいて、ハクがいて、他の人達がいる。
あの時ハクに出会えてなかったら私はどうなっていたか、ずっと独りのままだったかもしれない。でも、ギターの音に釣られて音楽に出会って、ハクとギターを弾けるようになって、ハクのことを好きになって、恋人になれた。
――今の私は充分過ぎるくらいに幸せだよ。
――これからも、ずっと一緒だよハク。
更新止まったりとかありましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました
他の作品も随時更新致しますので、よろしくです
あと、最後の月が綺麗ですねの方はやりたかっただけです