おたえ、誕生日おめでとう!
寒い。十二月二日、もう一年が終わろうとしているのか。時間ってこんなに早かっただろうか、まあいいか。
十二月四日はたえの誕生日だ。俺はたえの誕生日プレゼントについて色々と考えていた。香澄達ポピパはお肉のブランケットにするらしい。探しても見つからない、なんて有咲は愚痴ってたな。
俺も早く決めないとな。そう言っても、俺は今立ち上がれない。何故かというと、たえが俺の膝を枕にして寝っ転がっているのだ。呑気なウサギだよ、全く……。
「おーい、たえー」
「んー?」
「足が痺れそうなんだけど、退いてくれるか?」
「もう少しこのままでいたいよ。ハク、何か考え事?」
考えてることがバレたか。確かに考え事だが、それはお前の誕生日のことについて考えてるんだよ。たえは惚けた顔をして俺を見つめている。撫でてやりたいが、俺も動かないといけない。ポピパがプレゼント決まってて俺だけ決まってないのは非常にまずい。
しかも付き合って初めての誕生日だ。たえが喜ぶような、そんな一日にしたい。俺はたえに後でまた膝枕をしてあげるからと言った。それを聞いたたえは起き上がり、わかったよと笑顔で言った。さて、誕生日プレゼントを決めないと!
「ハク、出掛けるの?」
「ちょっとな。夕方までには帰って来るから、今日はここまでになるかな。ごめんな」
「いいよ。ハク、忙しそうだし。明日があるから私は平気だよ」
じゃあまた明日ね、と言ってたえは部屋を出ていった。バレてないよな?バレてない筈だ。俺はスマホと財布をポケットに入れ、上着を着て家を出た。とりあえず買い物をしよう。買い物をしないと何も始まらないからな。
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私はハクの家を出て自分の部屋に戻った。ギターを持ってソファーに座る。私は明後日が誕生日であることに実感が湧かなかった。湧かなかったというより、私にとってば初めての誕生日゙だ。
「付き合って初めての誕生日か……。ハクはどんな誕生日にしてくれるかな?ポピパからのプレゼントも、ハクからのプレゼントも楽しみだよ」
でも、少し落ち着いた方がいいかな。ギターを弾いていれば落ち着くかもしれない。私は適当にギターを弾いて弾む心を落ち着かせることにした。
――けど、ギターを弾いてもこの心は落ち着くことはなかった。
落ち着かないどころか気になるという気持ちが強くなった。何でかな?私ってこんなに気にするような性格だったかな?
私はギターをスタンドに置き、部屋を出て中庭に向かった。オッちゃんと戯れていようかな。ギターが駄目なら兎だ。兎と遊んでいれば忘れるかもしれない。忘れちゃ駄目だけど……。
この時の私はそわそわしていることにさえ気づいていなかった。楽しみにしている、そんな想いが強すぎたのかもしれない。ハクなら……ポピパならいい誕生日にしてくれるに違いないから。私はそう信じながらオッちゃん達と戯れた。
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俺はスーパーに行き、誕生日に作る料理の食材を買うことにした。とりあえず肉は必要だ。そういえばりみも肉好きだったよな。そうなると今回は多めに買った方がいいかもしれない。
「あれ、ハク!今買い物なの?」
「沙綾か、見ての通りだ。たえの誕生日に備えてって所だよ。沙綾こそ買い物か?」
「同じくだよ。お母さんから夕飯の買い物頼まれてね」
よく見るとカゴには食材が置いてある。沙綾に誕生日プレゼントの状況聞いてみるか。俺もそうだけど、ポピパも心配だ。明日までに買えてないと間に合わない。
「そういえばさ、プレゼントの方はどうなってるんだ?」
「プレゼント?今日買えたよ。今は有咲の蔵に置いてあるから大丈夫かな。ハクはどう?」
「それがな……未だに決まらないんだ。迷ってるというか、色々ありすぎて決まらない」
ポピパはプレゼント買えて俺は決まってない。何だろう、この差は……。俺が先に決まっていればよかったのに、ポピパは既にプレゼントを決めていた。悔しいけれど、仕方ないか。いや、仕方ないって言ってる場合じゃないか。
落ち込んでいると、沙綾から顔を上げてと言われた。沙綾は俺を見守るかのように見つめ、微笑みながら口を開いた。
「決まらないならさ、弾き語りとかでもいいんじゃない?」
「弾き語り?」
「うん。ハクはさ、おたえのためにギターを始めたんでしょ?私は音楽をプレゼントするのもいいんじゃないかなって思うんだ。個人的なアドバイスになっちゃうけど……」
音楽か。それもいいかもしれない。音楽とあと一つだ。俺はたえと出会ったことで変われたんだ。だから、もう一つプレゼントしたい物がある。そのもう一つは、今決めた物だ。
俺は沙綾にお礼を言い、彼女と別れた。材料を買ってスーパーを後にし、俺はある場所へと向かった。楽器店、ここでもう一つのプレゼントを探そう。ここなら見つかる筈だ。俺はそう確信して、ある物を購入した。
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十二月四日、私の誕生日当日だ。午前はハクとポピパの皆で有咲の蔵でパーティーをし、午後はハクと過ごす、 今日はそんな予定だ。ポピパからはお肉のブランケットをプレゼントされたけど、そんなブランケットもあるんだなと不思議に思った。
ハクが肉をメインにした料理を作ってくれたけど、とても美味しかった。有咲のおばあちゃんからもお墨付きを貰った。それを言われたハクは、顔を赤くしてしまった。多分照れてるのかもしれない。
「ハク、今日はありがとね」
「急にどうしたんだ?お礼何か言うなんて珍しい」
「言った方がいいかなって思って……」
「そっか。それならそう捉えとくよ」
香澄達と別れ、私とハクは歩を揃えながら帰路に着いた。ハクの家に戻りながら、私は彼にお礼を言った。付き合って初めての誕生日、それを祝ってくれてのは私にとってとても嬉しいことだ。
ハクの家に着き、中に入る。部屋に入った瞬間に、私はハクに抱き着いた。今は彼の温もりを感じていたい。この冷えた心を暖めたい。ハクはそのまま動くことはなかった。動くことはなかったけれど、一言だけ言われた。
「たえ、冷たい」
「私ってそんなに冷えてた?」
「今も冷えてる。とりあえず離してくれるか?今からプレゼント渡すから」
そう言われた私はハクから離れた。もう少し抱き着いていたかったけど、渡すって言われたのなら仕方ない。
ハクはクローゼットから袋を出して私の前に差し出した。今日は初めてが多いような気がする。誕生日だけじゃない、プレゼントもそうだ。初めてってこんなにいいことなんだ。
「改めて言うが、誕生日おめでとうたえ」
「ありがとハク。凄く嬉しい」
「そ、そうか」
ハクがまた顔を赤くした。ハクってこんなに顔を赤くすること多かったかな?私はそう思いながら袋から渡されたプレゼントを出した。渡されたプレゼントは青いヘッドホンだった。
「ハク、私がヘッドホン欲しかったこと覚えてたんだ」
「先週から言ってただろ。ボソッとだったけど、聞こえてたぞ」
「耳がいいだなんて、ハクはやっぱり兎だね」
「それを言うならたえも同じだろ。俺とたえは兎、OK?」
私とハクは兎か。何か私達らしくて心地良い感じがする。私は嬉しさのあまり、ハクの唇を奪った。ここまでやるなんて、嬉し過ぎだ私は。
ハクは私のためにここまでしてくれた。いつか私もハクに恩返しをしよう。だから、来年から他のことも出来るように、ハクの隣にずっといられるように頑張ろう。
投稿遅くなりましたが、また投稿出来るように致しますので、改めてよろしくです