Fate/Grand Order Ex   作:Luegner

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 俺は齢五つにして運命に出会った。人間が信仰する神なる装置とは根本から異なる存在を眼前にたたきつけられ、叫び声をあげることはおろか呼吸することさえ不自由な俺にその存在は恐ろしく無邪気に口を開いた。

───

 時に、人理継続保障期間フィニス・カルデアに勤務する魔術師(メイガス)上がりの技術職員の存在をご存じだろうか。魔術師一族出身でありながら技術職員として配属されたその男の名は──

 フランシスコ・ザビ岸波白野、ちょっと控えめな名前で影の薄い男である。

───

 月の海の勝者よ、再度君が戦火にまみえるのであればこう問わねばなるまい。

 Sword,or Death(死にたくなくば、剣をとれ)



第一話

「……とまぁ、以上がこのカルデアの構造だ。

標高6000メートルの雪山の中に造られた地下工房で……」

 

 目の前で悠長に話す男──ドクター・ロマンことロマニ・アーキマンから自分の連れてこられたカルデアなる施設の説明を受ける。魔術やら人理やら時折よくわからない単語を交えて説明をしてくるが、いまだにベッドの上を占領し続けるドクター・ロマンの柔和な笑みから嘘をついているような雰囲気は見受けられない。

とんとん拍子に連れてこられたのだが、もしやここはいろいろと吹っ飛んでいるのではなかろうか。今更になってだが不安が積もる。キャンセルとか効かないのだろうか。

 

 頬に残る平手の痛みが夢ではないことの証明になっていることを恨めしく思いつつも、カルデアなる場所の説明を聞く。その時だった。

 

─やはりここか、ドクター・ロマン

 

 部屋への来訪者の一言で説明が中断された。振り返りその人物を確認する。やや年上の男性があきれた表情で部屋の扉を開いていた。ドクター・ロマンは少し驚いた表情を見せつつもその来訪者を歓迎した。

 

「やぁ岸波君。

君が来たってことは呼び出しかい?」

 

 さぼっているというのに随分と堂々としている、と関係のないことで舌を巻く。

 

─呼び出しが掛かる前に捕まえに来たんだ。と君は藤丸君だったかな。俺は岸波白野、カルデアの有する技術士のひとりだ

 

 ドクター・ロマンに向けるあきれた表情と打って変わり愛想のよい笑顔で差し出してきた手を握り返す。

 

「岸波君は僕を見つけるのがうまいからねぇ、おかげで気楽にさぼれないや」

 

 悪びれもなくのたまうドクター・ロマンに対し一層あきれた視線を向ける岸波さんの苦労がうかがえる。わざわざ岸波さんが迎えに来たのに一向に立ち上がる気配すら見せないロマンは再度の乱入者に顔をしかめさせた。

 

『ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないか?

Aチームの状態は万全だが、Bチーム以下慣れていない者に若干の変調がみられる。不安からくるものだろうコフィンの中はコックピット同然だからな』

 

 通信でロマンに話しかけたのはカルデア目が覚めた時にマシュに遅れて出会った人物だ、たしかレフ・ライノールだったか。

 

「やぁレフ。それは気の毒だね、麻酔をかけに行くよ」

 

『ああ、急いでくれ。今医務室だろう?そこからなら二分で到着できるはずだ』

 

 幸か不幸か通信相手にさぼっていることはばれなかったらしく、ドクター・ロマンが気まずそうに頬をかきなにかしら言い訳をと口を開く間もなく、通信が切られた。助けを求めるようにこちらを向くが今日来たばかりの自分に頼られても困る。自然と岸波さんの方に視線が集まった。

 

─頑張れ

 

 岸波さんは思いのほか冷たくあしらったがこればっかりはドクターが悪い。

 

「そういわれてもだな……ここからだとどう考えても五分はかかるぞ。

まあ少しぐらいの遅刻は許されるよね、Aチームは問題ないみたいだし」

 

 ベッドから立ち上がるも急ぐ気配は見せないあたりはさすがといえる。そしてそれに対し岸波さんが口を開かないことから想像するにこれがドクター・ロマンの素なのだろう。

 

「今の男──レフ・ライノールは疑似天体(カルデアス)を観るための望遠鏡、近未来観測レンズ・シバを作った魔術師だ。

シバはカルデアスの観測だけじゃなく、この施設内のほぼ全域を監視し写し出すモニターでもある。

ちなみにレイシフトの中枢を担う召喚・喚起システムを構築したのは前所長で、その理論を実現させるための疑似霊子演算機を提供したのはアトラス院。

このように実に多くの才能が集結してこのミッションは行われる。そこにいる岸波君もいかにも一般人ですよって雰囲気だけどその実霊子計算に秀でた能力を持つ魔術師だ──レイシフト適正・マスター適正ともに優れるというのに召喚できないというよくわからない資質のせいで一技術士としての参加にとどまっているのだけどね」

 

 さらりと説明された内容に、簡単に納得できる内容は多くはないが岸波さんが優秀な人材であることと、その人物に迎えに来させているロマンのさぼり癖のひどさだけはよくわかった。

 

「さてお呼びとあらば行かないとね。

おしゃべりに付き合ってくれてありがとう藤丸君。落ち着いたら医務室にでも来てくれ、おいしいケーキでもご馳走しよう。

それじゃ行こうか岸波君、フォローお願いできないかな?」

 

 この期に及んでフォローまで頼むロマンに岸波さんはため息をつきながら連れ添う、彼の言うように今度はこちらから尋ねよう。

 そう思った瞬間だった。部屋とそして廊下からも全ての明かりが消える。三人がその事態に身構えると同時にアラート音とアナウンスが鳴り響いた。

 

『緊急事態発生。緊急事態発生。

中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。

中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから退避してください。

繰り返します。

中央発電所、及び中央』

 

 アナウンスを中断するように大きな爆発音が聞こえた。そのままアナウンスは沈黙する。呆然とする自分に対し目の前の二人の行動は迅速だった。

 

「モニター、管制室を映してくれ!みんなは無事なのか?」

 

 ドクター・ロマンの指示で管制室が映し出される──そこは火の海に飲み込まれていた。映し出した火の海に飲み込まれるようにしてモニターは何も映さなくなった。

 

管制室、あの娘(マシュ)が向かったはずだ……!

 

「藤丸立香、すぐに避難してくれ。僕たちは管制室に行く。

もうじき隔壁が閉鎖するからね、その前に君だけでも外に出るんだ」

 

 ドクター・ロマンがそう言い残すと、二人は一目散に管制室に向かって走り出した。

 

 残された自分をフォウと名付けられた小動物が見つめる。一刻を争う事態であることは二人の面持ちから痛いほど伝わってきた。このまま避難しないでいたら自分の身に危険が迫るだろう。

 

 しかし──

 

「このまま逃げるわけにはいかない……!」

 

「フォウ!」

 

 フォウの鳴き声に後押しされ二人の後を追いかけ俺は走り出した。

 

───

 

 焼け付いた臭いに目を覚ます。体を起こしあたりに目を向けるが一面に広がる炎上した光景に頭を抱えた。おそらく管制室で生存者の捜索中にレイシフトに巻き込まれたのだろう。

 最悪なことにおそらく藤丸君も巻き込まれているはずだ。レイシフト直前に聞こえたアナウンスでは彼と俺を対象としてレイシフトを行うといった主旨のものが流れていたはずだ。

 

 立ち上がり身近な物陰に身をひそめる。物の試しに魔術師(メイガス)式の召喚を簡素にだが試してみるも手ごたえはなし。カルデア内で試した時と同じ反応だ、驚くようなことではない。そもそも技術スタッフとしての希望であったので構わないが、あの時の所長の驚いた顔はなかなかに見ごたえがあった。

 

 関係のないことに思いをはせながらも、その傍らで通信も試みるが失敗。スタッフの生存者の有無は調べてはいないがロマンは発電所に向かっていたはずだ、通信ができると助かるのだが。

 

─ひとまず藤丸君を探すか

 

 この異常事態の中で彼を一人にするわけにはいかない、そう思い物陰から身を乗りだした瞬間──

ひどく懐かしい感覚(殺気)を感じた。

 

 反射的にその場を飛びのく、形として物陰から完全に身を出してしまったが今まで身を隠していた物陰は影も形も削り取られていた。しかし俺はそのことには目もくれずその殺気の出所に目を向け、()()()()()()()()()

 

()()()()()()()

 

 付近に架かっている橋の先、立ちそびえるビルの屋上に彼はいた。

 そして困惑しているこちらとは裏腹に、いやに冷静な目で彼は次の獲物を構えていた。

 

 




 fate/の二次創作は設定の膨大さから手を出さないようにしていたのですがCCCコラボ復刻を記念してベタですがextraとのクロスオーバー作品を書いてみました、正直fgoの内容を欠落なく書くことは自分には重荷にすぎますので場面場面を切り抜いて書く形になると思います。書いてる方には頭が上がりません。
 長いこと書いていなかったので稚拙な文ですが、感想など頂けましたら幸いです。

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