東方Projectという作品の凄さを再認識しました。
なんとか続けられた二話目です。
ドンドンと戸を叩く音が聞こえる。こんな夜中に迷いの竹林を抜けて永遠亭に来ることが出来るのは妹紅ぐらいしかいない。大方、人里で出た急患でも連れてきたのだろう思い、うどんげを起こしその足で玄関に向かう。
「妹紅、急患かし…ら……」
そこに居たのは、
「永琳!彼を助けて!!」
今にも息絶えそうな男を背負った大妖怪の賢者だった。
「ちょ、ちょっと、それ男!?一体、どこから」
「いいから、さっさと助けなさいよ!!」
「うどんげ!手術の準備よ!急いで!紫、彼を部屋まで運んで」
「分かったわ!!」
「彼は!?」
「手術は成功したわ。あとは彼の生命力次第よ」
「そう……。よかったぁ……」
「で、あんなイケメンどこで捕まえてきたのよ。場合によっては霊夢に退治してもらうわよ」
「事情はまた今度。しばらく彼のこと頼んだわよ」
「あ!ちょっと!」
逃げられてしまった。訳も分からず看病するこっちの身にもなって欲しい。とりあえず、
(一番、奥の部屋に入れておきましょうか)
一番、人の目に付きにくい場所へ。希少な男が入院していることが周りにバレれば、珍しいもの見たさでここに来る命知らずもいるかもしれない。
(まあ、いないとは思うけど)
ここは永遠亭。有事の際以外で行きたくない場所ランキング第一位なのだから。
(昨晩はやけに騒がしかったわね)
蓬莱山輝夜は無職のお姫様。自由気ままな生活を送る彼女の生活リズムはガタガタで深夜まで永琳が作ったテレビゲームに熱中するなんてことは良くあることだ。
(永琳か鈴仙に話を聞きましょうか)
日はとっくに真上に上がっている。この時間帯ならきっと、いつもの製剤部屋にどちらかは居るだろうと思い、そこに向かう。
「姫様、もうお昼ですよ」
「いいじゃない、別に。いつもの事なんだから」
「いいのよ、うどんげ。姫様の出不精は今に始まったことじゃないから」
分かってるじゃない、永琳。今の生活を改める気はさらさら無いわ。そもそも、この容姿じゃ気楽に出かけられないしね。
「昨日の夜は随分、騒がしかったわね。急患でも来たのかしら」
「あ~、そうなんですが。その…」
うどんげの口ごもり、永琳の方をチラチラ見ている。私に言っても良いのか判断が付かないらしい。
「どうせ連れてきたのは妹紅でしょ。なんか言ってた?」
「違いますよ。連れてきたのは紫です」
「あのスキマが?」
基本的に自分のねぐらから出てこない奴が一体、何をしに来たんだろうか?
「はい、紫が男を連れてきまして。……重傷の」
「……。面白い冗談ね」
こんなブサイクの巣窟にやってくる物好きは女でもいないのに、まして男なんて信じられる訳が無い。
「意識の無い男性を紫が背負ってきたんですよ」
「……。それ、霊夢に退治してもらったほうが良いんじゃない?」
割と本心からそう思った。
ここだけの話。千字ちょっとの文章を書くのに一週間かかりました。
ため息が出ます。