ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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第19話 皇帝VS伝説

 レックス&郷田チーム、海道ジンは二回戦も勝利し、準決勝戦へと駒を進めていく。郷田は待機室でハカイオーの調整をしている中、バンたちがやって来た。

 

 

「あっ…郷田!」

 

「悪い、少し待ってくれ。今ハカイオーの細かい所を調整してんだ」

 

「不良番長が小さな機械のメンテ、似合わないわね…」

 

「そんなことない、あんな郷田さんの姿はレアだよ……素敵」

 

 

 郷田の姿を見たミカは僅かに顔を赤らめた。今のミカは、まさに恋する乙女そのものだった。そんな様子をアミは呆れながら眺めていた。

 

 

「油断して負けんなよ?」

 

「おうよ。なんせ相手はあの海道ジン、油断するつもりはねぇよ」

 

「郷田、レックスの足引っ張るなよ?」

 

「おいおい、誰に言ってるんだ?この俺がレックスの邪魔になるようなバトルをするわけねぇだろ?なんなら俺が一人でぶっ壊してやろうか?」

 

 

 自信がある様子で答える郷田にレックスは内心ムッとしたのか、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

 

「ほぉ?ならこの試合俺は出なくてもいいようだな」

 

「じょ…冗談です!すいませんでしたッ!!」

 

 

 まるで悪戯でも思いついたかの悪ガキのような笑みを浮かべるレックスに郷田は思わずたじろいでしまった。そんな郷田の姿にレックスは満足したように椅子から立って踵を返した。

 

 

《それでは、二回戦に出場するプレイヤーは、会場までお集まり下さい!!》

 

「さてと…行くぞ」

 

「はい!」

 

 

 会場にれっくsと郷田が入ると、会場はこれまでにない熱気に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《これより…Aブロック決勝を行います!!Ready…!》

 

「いくぞ、ハカイオー!!」

 

「Gレックス!」

 

「エンペラーM2!」

 

 

 薄く緑が覆う乾燥した大地に小高い岩山が並ぶ岩山フィールドに三機が投下される。

 

 

《 バトル スタート 》

 

「最初からとっておきを使わせてもらうぜ!!」

 

 

 先手を打ったハカイオーの頭のブースター点火、そしてエンペラーM2に向かって加速し、破岩刃で斬りかかった。

 しかし加速した攻撃をエンペラーは難なく後方にジャンプすることで回避した。そして……–––––––––––

 

 

「必殺ファンクション」

 

 

《Attack Function!インパクトカイザー!》

 

 

 エンペラーがハンマー高く掲げ、地面に叩き付ける。そこからマグマのエネルギーが吹き出し、ハカイオーとGレックスを襲う。

 

 

「インパクトカイザーか…甘いッ!!」

 

 

 エンペラーM2がインパクトカイザーを放ったと同時にGレックスが拳を地面に打ち込む。その際に生じた衝撃波がインパクトカイザーとぶつかり、必殺ファンクションを打ち消した。

 

 

「何!?」

 

《お…おぉ〜っと!!エンペラーM2の必殺ファンクションをこのような方法で防いだ!!!伝説のプレイヤーはこのようなことが出来るのか!!?》

 

「次は俺の番だ!」

 

《Attack Function!我王砲!》

 

 

 ハカイオーの胸の砲身にエネルギーが集まっていく。そしてエンペラーに向かって砲撃兵器を解き放った。

 

 

「チッ…!」

 

 

 エンペラーM2はエンペラーランチャーの先をハカイオーに向け、搭載されていたミサイル7発を撃ち放つ。

 連装ミサイル装備のハンマーエンペラーランチャーのミサイルの威力は凄まじく、たった7発で砲撃兵器を防いだ。

 

 

「あのハンマーはミサイルも撃てたのかよ!!?」

 

 

 爆風によって吹き飛んだエンペラーとハカイオーだったが、Gレックスはその隙を狙ってエンペラーに詰め寄る。

 

 

「必殺ファンクション」

 

「…っ!?」

 

《Attack Function!ガトリングバレット!》

 

 

 Gレックスが拳をエンペラーに連続で叩き付ける。最後に拳を地面に叩きつけ、衝撃波でエンペラーM2を上空へ吹き飛ばした。

 しかしエンペラーM2は空中でエンペラーランチャーを構え、ミサイルをGレックス目掛けて放った。

 

 

「させるかよ!!」

 

《Attack Function!我王砲!》

 

 

 ハカイオーの胸部から放たれる砲撃兵器が全てのミサイルを迎撃する。だがエンペラーM2はその隙を狙ってハカイオーを力任せに吹き飛ばした。

 

 

「なっ…!?」

 

《ハカイオー、ブレイクオーバー!!》

 

 

 大破したハカイオーを見てGレックスがエンペラーM2に接近し、拳を叩き付けるて……–––––––––––

 

 

「…ッッ!!?」

 

 

 –––––––––––……ハズだった。拳がエンペラーの目の前で止まったのだ。

 理解出来なかったジンだったものの、すぐに思考を切り替えた。

 

 

「必殺ファンクション…!!」

 

《Attack Function!インパクトカイザー!》

 

 

 エンペラーM2はエンペラーランチャーを高く掲げ、Gレックスに向かって勢いよく地面に叩きつける。

 地面は亀裂が走り、そこから吹き出した溶岩のエネルギーの塊がレックスを飲み込んだ。

 

 

《け…決着!!なんて速さの試合でしょうか!!Gレックス、ブレイクオーバー!!よって勝者は…海道ジン!!!》

 

「くそッ…負けた!!」

 

「……勝負は時の運だ。だからこういう場合もあるさ」

 

「……檜山蓮、なぜあのとき攻撃を止めた?」

 

 

 郷田を励ましていた檜山の言葉を遮ったのは海道ジンだった。その目からは猜疑心が溢れていた。

 

 

「攻撃を止めただと!?テメェ…デタラメ言うんじゃねぇぞ!!一体なんの根拠で––––––––––」

 

「郷田、よせ」

 

 

 感情の赴くままにジンに対して声を張り上げた郷田だったが、それを檜山は遮った。

 

 

「…なぜだ?なぜ攻撃をやめた?」

 

「フッ…俺がわざと負けたとでも言うのか?お前が強かったということだ」

 

 

 そのように告げた檜山にジンは疑いを抱かずにはいられないような気がした。

 そして淡々とした口調でジンの問いに答えた張本人である檜山は、その場から立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ブレイクオーバー!!Aブロックを制したのはエンペラーM2、海道ジン!!!チーム全員によるバトル、3対1という状況でも数秒で決着!!ファイナルステージ…進出!!》

 

 

 海道か蓮さんのどちらかが勝ってもおかしくない戦いだったが、結局Aグループを制したのは海道だった。

 

 

《それでは続いて、トーナメントBブロック一回戦を始めます!!なんと言っても注目は謎のLBXプレイヤー夫婦、マスクドJ & マスクドM!!果たしどのようなバトルになるのでしょうか!!!》

 

 

 マスクドJとマスクドMがメインアリーナに足を踏み入れると、会場が大いに盛り上がりを見せていた。

 そして各Bグループの選手たちは指定されたジオラマへと向かっていく。

 

 

《それでは、Ready…!》

 

「出でよ!華麗なる剣士、マスカレードJ!」

「華麗にフィナーレを飾っちゃうゾ♪プリンセス❤︎」

 

《 バトル スタート 》

 

 

 オレンジのカラーが施された細身のLBXと白とピンクを基調としたカラーリングのLBXが草原フィールドに降り立った。それと同時に相手はナズーとカブトを投下させた。

 

 

「へっ…蜂の巣になりな!!」

 

「見るがいい…マスカレードJの美しき舞を!!」

 

 

 ナズーがマスカレードJに向けて計4発のチャージ弾を同時発射する。だがそのチャージ弾をマスカレードJはまるで踊っているかのようなステップで回避。

 

 

「ひょっ!?」

 

「ホラホラ〜よそ見しちゃっていいのかしらネ〜??」

 

 

 マスカレードJの独自の機構による動きに翻弄されているカブトを、プリンセスMはラグナハートハンマーで力任せに吹き飛ばした。

 

 

「なっ…カブトが!!?」

 

「油断禁物…っと、言わせてもらおうか!」

 

 

 マスカレードJは従来のLBXを上回るスピードでナズーの背後に回り、駆動部にデュエルレイピア細剣を突き刺した。

 

突き刺されたナズーはのそのまま動かなくなり、青白く光ってそれが散った。

 

 

《ナズー、カブト、ブレイクオーバー!!マスクドJ & マスクドM、二回戦進出です!!!》

 

「嘘だろ…」

 

「堪能して頂けたかな?マスカレードJの優雅なバトルを!」

 

「さっすが私の旦那だわ❤︎」

 

 

 夫婦だからこそ出来るマスカレードJとプリンセスMの完璧な動きに圧巻されてしまった。しかし公然の場でイチャイチャしている2人にとても気恥ずかしい気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八神さん…アルテミスの中継は見ないんですか?」

 

「Bブロックは…もういい。それよりも例のトキオブリッジ倒壊事故について何か分かったか?」

 

 とあるイノベーター研究所の一室で黒の部隊の指揮官である八神英二とその部下の真野晶子、細井将志、奈良徹がいた

 エージェントの3人はそれぞれ黒いスーツを着用し、特殊な仮面で顔を隠していた

 

 

「情報を辿りきれないというか…」

 

「どのルートから探っていっても、途中で情報が途切れるっス」

 

「事が事だけに、慎重にならざる得ないことがあるんですが…トキオブリッジ倒壊事故がここまで奇妙だったものだとは……」

 

 

 トキオブリッジ倒壊事故。それは遡ること9年前、トキオシティでとんでもない人災が起きたことによって死傷者400名以上を及ぶという大事故だった。

 

 

「そうか…やはりな……」

 

 

 八神はそのトキオブリッジ倒壊事故によって愛する妻と子が亡くしたのをきっかけにイノベーターに加入したのだが、海道義光のやり方に疑惑の念を抱き始めたのだ。

 そしてそのトキオブリッジ倒壊事故にイノベーター関わっているかもしれない、八神はそう考えていた。

 

 

「……直接出向くしかないな」

 

 

 そう言うと八神は部屋を後にし、話を聞くために一人、その人物の下へ向かっていった。

 

 

「(それにしても…何をやってるんだあの人は……)」

 

 

 八神はイノベーターの監視体制と、どう考えても目立ち過ぎるマスクドJ(山野博士)の格好に頭を抱えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ブレイクオーバー!!トーナメントBブロック優勝は、マスクドJ & マスクドM!!!ファイナルステージ…進出!!》

 

 

 その後の試合も、舞うようなスタイルで敵を翻弄し、一瞬で敵を撃破したマスクドJとマスクドMはBブロック決勝戦で勝利した。

 

 

《まもなく、トーナメントCブロックの開始です。出場選手は控え室にお集まりください、繰り返します……––––––––––––––》

 

「もうすぐで始まんのかよ」

 

 

 イプシロンのメンテナンスをしたい俺は急いで控え室に向かっていた。だが控え室に向かうとしていた途中、俺と鉢合わせる形で見知らぬ女性とぶつかってしまった。

 

「ごめんごめん!」

 

「こちらこそすみません」

 

 

お互い簡単な謝罪をする。そして俺は控え室へ向かう。

 

 

「えっと…控え室ってここだよな……」

 

「私たちだって優勝を目指してるわ!」

 

「君たちが勝つチャンスなんてこれっぽっちもないのに優勝だとぉ?」

 

「戦うだけ時間の無駄だぜ」

 

 

 控え室から聞き覚えのある声が聞こえた。悪い予感とかそういうものを全部頭の隅の方に追いやり、はわざとらしくどしどしと歩いていく。

 

 

「勝負はやってみなくちゃ分からないわ!あっ…ふふ〜ん……本当は自信がないからそうやって強がってるんじゃないの?」

 

「「なに…ッ!?」」

 

「やめろよアミ!」

 

これは夢だ。自分に言い聞かせたものの目の前に起こっていることがそれを否定した。そして相変わらずなだめる役に回っているバンに敬いの気持ち表した。

 

 

「言うねぇ…今ここで俺たちの実力を見せてやっても良いんだぜ!!」

 

「…ッ!?テメェらLBXを!?」

 

 

 控え室だと言うのに、北米LBXチャンピオンのジョン・ハワードとポール・ゴードンがそれぞれCCMとLBXを出した。その勢いのまま、アミに向かって攻撃を加えようとした。身を挺してアミ達を守ろうとしたその時…。

 

 

「必殺ファンクション!!」

 

《Attack Function!ミラーシールド!》

 

 

 突然現れたウォーリアーが衝属性ダメージ軽減する必殺ファンクションを発動し、ジョンとポールのLBXの攻撃を防いだ。

 

 

「誰だ…ッ!?」

 

「あれは…森上ケイタ!中林レイナに木下コウジ!去年のアジアチャンピオンチームじゃないか!!」

 

「ジョン、ポール…ここは控え室だ。決着はバトルフィールドでつけるべきじゃないのか?」

 

「「くっ……!」」

 

 アジアチャンピオンの森上の言葉に対してジョンとポールは言い返せなかった。

 

 

「くそッ……いいか!お前たちのLBXは粉々になる運命だからなぁ!!」

 

「ケイタ!必ず勝ち上がってこい、お前らは決勝でぶっ潰してやる!!!」

 

 

 捨て台詞を吐いてジョンとポールの2人は立ち去った。

 北米チャンピオンに対して睨んでいると、会場に移動してくださいというアナウンスが控え室中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Cブロックの出場選手たちはアルテミスのメインアリーナへ足を運ぶと数多くの観客たちが歓声を上げ、それが会場全体に響き渡る。

 大会MCの指示通りのジオラマに着く。

 

 

「あの時ぶつかった少年じゃん!奇遇だね!私は財前塔子、よろしく!!」

 

「黒田ユウっス、よろしくお願いしま……って財前?」

 

「あぁ…私の父さんは総理大臣の財前宗助なんだよ」

 

 

対戦相手の苗字が財前と聞いて薄々察していたが、どうやら財前総理に娘がいたようだ。

 

 

《さぁ、プレイヤーが出揃いました!Cブロック第一試合…Ready!》

 

「イプシロン!!」

 

「クノイチ弐式!!」

 

《バトルスタート!》

 

 

 雲1つ無い青空の元、緩やかな起伏がある草原フィールドに二機のLBXが降り立った。そうしてCブロックの舞台の幕が上がった。

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