クノイチ弐式がアサルトAR3でイプシロンを狙い撃ち、それに対してイプシロンはカタラクトブラストを撃ちつつイプシロングレイブで仕掛ける。
しかしクノイチ弐式は軽々と避けてイプシロンを蹴り飛ばすとそのまま薙刀・真斬鉄を抜き、イプシロンに斬りかかる。
「ッ!クソ!!」
背後からの衝撃振り返るイプシロンだったが、そこには何も居らずまた背後から辺りを見渡すと高速に移動するクノイチ弐式を捉えた。あまりの速度にイプシロンは反応出来ず、されるがまま切り刻まれてしまう。
「まだまだ行くよ!!」
「(このままだと…マズいッ!!)」
しかし咄嗟にイプシロンはカタラクトブラストを手放し、イプシロンガーダーに持ち替えてクノイチ弐式の攻撃を防ぐ。
「危ねぇ…ッ!?」
「あれ?防がれちゃった…?」
クノイチ弐式を蹴飛ばし、イプシロングレイブで叩き斬ろうとするが寸での所で薙刀・真斬鉄で受け止められてしまう。
イプシロンは地面に落ちていたアサルトAR3を拾い上げ、チャージ弾を放った。
「へぇ〜…やるじゃん!」
クノイチ弐式は薙刀・真斬鉄に手をかけ、駆け出す。イプシロンは距離を置こうと後退するするも一気に距離を詰められ、イプシロンガーダーが切り飛ばされた。
「必殺ファンクションッ!!!」
《Attack Function!ライトスピア!》
しかし咄嗟に突き出したイプシロングレイブから、衝撃波が一筋の光となってクノイチ弐式の左足の駆動部を貫いた。
「勝つのはあたしだ!」
「いいや……–––––––勝つのは俺だッ!!」
微動だにしないイプシロンとクノイチ弐式。唾を嚥下する音すら聞こえるのではないかという程の静寂が2人を包み込んでいた。
「「……必殺ファンクションッッ!!」」
《Attack Function!クリムゾンスラッシュ!》
《Attack Function!シューティングスター!》
その言葉を合図に両者はまるで爆発したような勢いで跳躍し、互いの必殺ファッションが激突した。
□
「カズ、見せてやるんだ…俺たちらしい戦い方を!」
「あぁ!」
ユウと塔子が熾烈を極めた戦いをしている一方で、バン&カズと北米LBXチャンピオンに2人組は、草原フィールドでほぼ互角の熱戦が繰り広げられていた。
「さっきからなにごちゃごちゃ喋ってるんだぁ?」
「ジョン!
「
オルテガはギガントアックスを地面に突き刺し、遠心力を利用してタイタンを投げ飛ばした。そして投げ飛ばされたタイタンは後部のスラスターからエネルギーを圧縮して放出、その際得られる慣性エネルギーを利用して爆発的に加速する。
「カズ、避けろ!!」
「な…ッ!?」
ハンターは咄嗟にハンターライフルを盾にするものの既に遅く、爆発的に加速したタイタンの一撃によってハンターライフは砕け散り、LPライフポイントが6割も削られてしまう。
《出たァァアアアア!!!北米チャンピョンのオリジナルテクニック、デンジャラスドリルだぁぁあああああ!!!!》
「くそ…ハンターライフルが…ッ!」
ハンターは砕けたハンターライフルを捨て、ブロードソードとライトバックラーを装備しようとするも、オルテガはその隙を狙ってハンターにギガントアックスを叩き込む……––––––––––
「必殺ファンクション!!」
《Attack Function!ライトニングランス!》
……––––––––ハズだった。アキレスが咄嗟に放ったライトニングランスに気づいたタイタンは加速と遠心力を乗せ、ギガントアックスを一回転させることで威力を高めた叩き込むことで相殺する。
「今しかない…行け、ハンター!!」
「ぐ…ッ!」
相殺されてしまったタイタンのギガントアックスが地面に深々と突き刺さり、態勢が崩れる。その隙を見逃すカズではなかった。
「くらえ!必殺ファンクションッ!!」
《Attack Function!さみだれ斬り!》
ハンターの姿がブレる。そして次の瞬間、八十に近い高速斬撃がオルテガを切り刻む。
オルテガはすぐさまその場を後退して迫る剣撃を回避するも、最後の一撃によって倒れた。
《オルテガ、ブレイクオーバー!!》
「ふざけるなッ!!俺は…俺たちは、北米LBXチャンピオンだぞ!!!」
タイタンがキャタピラを駆使し、地上を高速で動きながらアキレスに向かって武器と両腕が一体化したタイタンドリルで殴り飛ばそうとする。
しかしアキレスは咄嗟にアキレスシールドでタイタンの攻撃を防ぎ、アキレスランスで反撃を仕掛ける。
「喰らえぇぇええええええええ!!!!」
「…狙い通りだぜ」
「なに!?バン、避けろ!!」
その瞬間、アキレスが進もうとしていた地面が突如として爆発し、アキレスの下半身が地面に埋もれた。踏むと爆発が円形に広がる地雷、サークルマインSが仕掛けられていたのだ。
「これで終わりだ、山野バンッッ!!」
《Attack Function!パワーナックル!》
タイタンは拳にエネルギーを集中させ、火球をアキレスに向かって撃ち放った。今のアキレスは下半身が地面に埋もれて動けない、ブレイクオーバーは確実だと誰もが思った。
「–––––––ッ、まだだッ!」
だが山野バンは諦めなかった。父親の約束の為に、世界の命運の為にここで負けるつもりは毛頭なかった。
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおッッ!!!!」
「な、に……ッ!?」
アキレスは手に持っているアキレスランスで地面を砕き、その際に飛び散った大量の岩石がタイタンの必殺ファンクションを防いだのだ。
「ぐっ……タイタン!!」
アキレスは凄まじい蹴りをタイタンの腹部に繰り出し、タイタンは吹き飛ばされる。瞬時に防御することで幾らかダメージは軽減されたものの、タイタンが防ぎきれる威力ではなかった。
「(……クソ、認めてやる。山野バン、今はお前の方が強い! だが、ここで折れるわけにはいかないんだよッ!!)」
ポール・ゴードンと山野バンのLBXバトル、それを離れた場所から静観する観客。
「行け、アキレスッ!!」
「突っ込め、タイタンッ!!」
バネが弾けるように二人は飛び出し、瞬きの間に衝突した。
伴った金属音は大気を震撼させ、その場にいる全ての者の体内にまで響き渡った。
「(山野バン、こいつがどこまでやれるか楽しみだ…!)」
「(強いッ!だけど勝つのは俺だ!!)」
純粋にポールはバンの強さを褒め称え、ポールの強さを認めつつもバンは勝利する未来を信じていた。
「喰らえェ!!」
タイタンはボディを相手に対して半身で構え、腰を落とす。殺気を思い切り叩きつける事で相手の動きを縛り、攻撃を仕掛ける。
「…ッ!!」
間合いに踏み込めばやられる。その認識がバンに躊躇を生ませた。迂闊に踏み込めず、距離を取った。
「調子悪そうだなぁ!!」
「くッ!」
しかしその選択が仇となり、タイタンの一撃を受けてしまった。瞬間、アキレス両足が地面に沈み込み、過重な衝撃に見舞われた。
「耐えろ、耐えるんだアキレス!!」
アキレスシールドで防ぐが、ポールは間髪入れずにタイタンの出力を上げる。バンはこれ以上はアキレスの手脚が持たないと悟り、重心を移動させて回避した。
「ハァ────ッ!!」
「その程度かッ!!」
アキレスの渾身の一振りも、そう簡単には取らせてはくれない。攻撃を正確に読み取る、れこそが北米LBXチャンピオンのポールだからこそ成せる技なのだ。
「なら、これならどうだ…ッ!!」
「何っ……!?」
アキレスは引き伸ばされたタイタンの武器腕を掴み、その勢いを利用して半回転、そしてタイタンを地面に叩き付ける。だが今の一撃がそれほど有効打で無い事がわかったタイタンは、すぐさまアキレスと距離をとった。
「このままだと埒が明かなねぇな、最後の一撃で決める」
「あぁ、そうだな…!」
両者は言葉では語り尽くせない緊張感と高揚感に身を震わせいた。
アキレスは転がるアキレスシールドを拾い上げ、タイタンと向き合う。そしてタイタンもまた、体勢を崩さず、常に視界に好敵手アキレスを捉えていた。
「「…………………」」
その瞬間、戦場に風塵が舞う。
「必殺ファンクションッ!!」
「–––––––ッ!?」
《Attack Function!ガトリングバレット!》
タイタンは必殺ファンクションが発動すると同時にアキレスへ一気に迫り、乱打を撃つ。即座にアキレスシールドで防ぐアキレスだったが、それでも衝撃を殺し切れず、両足が地面に沈み込む。
「オラァッ!」
「グッ……!」
目にも留まらぬ速さで拳を振るうタイタン、それでもアキレスはタイタンの猛攻撃を耐え続ける。しかしアキレスシールドが砕けるのも時間の問題だった。
「(負けられない…こんなところで、負けるわけにはいかないんだ!)」
「トドメだッッ!!!」
裂帛の気合いと共に剛撃と呼ぶにふさわしい一発が放たれる。その圧力は、北米LBXチャンピオンに恥じない一撃だった。
だが目の前に立つ少年、山野バンに敗北という文字はなかった。
「ライトニングランス…ッ!」
《Attack Function!ライトニングランス!》
一陣の風が吹き抜けたかのようにポールの頬を撫でる。
瞬間、アキレスから放たれた渾身の一撃、その衝撃によって周囲は吹き飛び、タイタンのボディを貫いていた。
「(一体…一体、なにされたんだ…ッ!?)」
アキレスの一連の動きがまるで見えなかったポールは訳も分からず、愕然とする。
アキレスが先ほど行った事は結果だけ言ってしまえばカウンター。振るわれたタイタンの必殺ファンクションに対して迎え撃っただけにすぎなかったのだ。
《なんと山野バン、トドメのファイナルブレイクで大勝利!!新生山野バン、青島カズヤ、川村アミチーム、二回戦に駒を進めましたッ!!!》
バンとポールの一騎討ち、勝利したのは新生山野バンチームだった。北米LBXチャンピオンが一回戦敗退の大番狂わせに会場全体の沸き上がりが最高潮に達した。
「負けちまったな、ジョン」
「あぁ、ここで敗退とは思いもしなかったぜ…」
「そうだな。おい、山野バン!!」
ポールはこの場から去ろうとしたバン達を呼び止める。
「な…なんだよ?」
「今回は俺たちの敗けだ。だが、次に会うときは強くなって挑ませてもらうぜ!!」
「…ッ!あぁ!!」
「だから…その、なんだ……」
言わなければとポールは思ったが、怪訝そうに顔だけ振り返り、こちらを見つめるバンの純粋な瞳に胸を射抜かれ、黙りこくってしまう。
「……言いたいことでもあんのか?」
「……ッ、さっきは悪かった!それだけだッ!!」
「お…おい待てよポール!?俺を置いて行くなよ!!?」
そう言うとポールはステージを降り、ジョンも少し遅れてステージを降りた。
「まぁ…とにかくやったな、バン!」
「一回戦突破よ!」
「あぁ!……ん?」
バンは誰かの視線を感じた。ふと観客席の方に目を向けると……───エンペラーM2を手にする少年の姿があった。見間違うはずもない 、海道ジンその人だったのだから。
「見て、海道ジンよ!」
「間違いなくアイツが最強の敵だな…」
バンに見られていることに気づいたのか、ジンはそのまま立ち去った。
驚異的なLBX操作技術を持つ秒殺の皇帝海道ジンは、それこそバンにとっては最大の壁と言っても過言ではない。
「世界大会アルテミス…LBXプレイヤーにとって、最高の舞台…!」
「そんな所に…俺たちがいるんだよな?」
「でも…この戦いは世界一を決める為の戦いだけじゃない…」
バンは無理だなんて絶対に口にするつもりはなかった。壁があったら殴って壊す、道が無ければこの手でこじ開けるまでなのだから。