ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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今回でアルテミス編が終了し、ようやく新章に踏み出せそうです。



第27話 決着、そして新たなる戦いの始まり

「見せてやる、エンペラーの恐ろしさを!」

 

「多連装ミサイル!?」

 

「ま…っずい!?」

 

 

 エンペラーM2はエンペラーランチャーを構え、多連装ミサイルをアキレスとイプシロンに向けて放った。

 アキレスは大きく跳躍、ミサイルの動きを読んで機体を捻ることでミサイルを回避した。

 一方のイプシロンは人間でいう手首を、イプシロングレイブを高速回転させることで即席のビームシールドとして転用、飛んでくるミサイルを全て切り裂いた。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 ミサイルを避けきったアキレスは着地、同時にエンペラーM2に接近して連続に水月棍を振るう。しかしエンペラーM2はエンペラーランチャーで連続の攻撃を弾いた。

 

 

「必殺ファンクション!」

 

《Attack Function!トライデント!》

 

 

 アキレスとエンペラーM2が膠着状態になった瞬間を狙い発動する。エネルギーを貯めるイプシロン、イプシロングレイブから三方向に必殺の一撃を放った。

 

 

「アキレスッ!」

 

「エンペラーM2!」

 

 

 しかしアキレスは盾のアキレスシールドで防ぎ、エンペラーM2はエンペラーランチャーの大きな横薙ぎで必殺ファンクションを掻き消した。

 

 

「…っ!やるな2人とも!けど盾で防がれるならまだしも、横薙ぎで必殺ファンクションをなぁ……ッ!?」

 

「甘いね、ユウくん!」

 

「そう簡単にやられる俺たちじゃないさ!それはユウが一番よくわかってるでしょ?」

 

「あぁ…そう、だなァ!!!」

 

 

 果敢に攻めるアキレスの攻撃をイプシロングレイブで流すイプシロンはエンペラーM2がエンペラーランチャーを構えていることに気づいて瞬時に加速、エンペラーM2の背後に回ってイプシロングレイブを振るう。

 

 

「予想内だ!」

 

「っ!通用しないか…!」

 

 

 その瞬間、それを読んでいたかのようにイプシロンを腕を掴み、空中に向かって投げ飛ばした。

 

 

「塵となれッ!!」

 

 

 エンペラーランチャーの多連装ミサイルが発射され、イプシロンガーダーを構えるも空中で回避する術もなく、直撃する。

 イプシロンはイプシロンガーダーをクッション代わりにすることで落下の際のダメージを回避したものの、ミサイルの衝撃によってボディにヒビが入っていた。

 

 

「アキレス!」

 

「ッ!?」

 

 

 エンペラーランチャーを放ったのも束の間、イプシロンがミサイルに直撃した際に発生した爆煙の中からアキレスが現れ、強烈な一撃をエンペラーM2に与えた。

 突然現れた為、エンペラーM2は防ぐことが出来ず吹き飛ばされてしまった。

 

 

「流石だな」

 

「あぁ!」

 

「やるな…けど、まだまだここからだッ!!」

 

 

 CCMの操作速度はさらに上がる。

 斬りつけ、防ぎ、放ち、避け、飛び、突き、喰らい、薙ぎ払い、掴み、投げ飛ばし、流し、再び斬りつける。

 3人が駆るLBXの機動速度はもはや周囲の人間の目には残像しか残らないほどのスピードだった。

 

 

「焼き、尽くすッ!」

 

《Attack Function!インパクトカイザー!》

 

「負けるか!」

 

《Attack Function! 超プラズマバースト!》

 

「かかって来い!」

 

《Attack Function!クリムゾンスラッシュ!》

 

 

 エンペラーM2はエンペラーランチャーを高く掲げ、アキレスはアキレスランスにエネルギーを集中させ、イプシロンは突き立てたイプシロングレイブを中心に燃え盛る炎が渦を巻いた。

 

 

「これで、決めるッ!!!」

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」

 

「………ッ!!!」

 

 

 3機のLBXが同時に必殺ファンクションが炸裂した。

 ほんの一瞬間の出来事だった、大きな爆発音がすると同時に煙が巻き起こった。轟音が響き、ジオラマが揺れる。

 

 

《アキレス、エンペラーM2、イプシロンの必殺の一撃!!勝者は果たしてぇ!!?》

 

「バン……」

 

「ユウ……」

 

 

 世界大会アルテミスで誰が勝つであろうかと、すべての人々が固唾を飲んで見守った。

 そして煙が晴れ、その姿を現した。

 

 

《これは!なんと、防ぎきったぁ!!?アキレス、エンペラーM2、イプシロンの3機、死に体になりながらも必殺ファンクションを凌いだぁ!!!!》

 

 

 

 必殺ファンクションによって形成された巨大なクレーターを中心に彼らは立っていた。装甲が剥がれ、コアスケルトンが剥き出しなり、一部欠損もした3機は戦えるとは最も程遠い状態だった。

 

 

「アキレスッ!!!!」

 

「エンペラーM2!!!!」

 

「イプシロン!!!!」

 

 

 しかしバン、ジン、ユウの3人の闘志は燃え上がっており、それに応えるかのようにアキレス、エンペラーM2、イプシロンは最後の力と言わんばかりに動き出した。

 

 

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 アキレスはエンペラーM2に接近して距離を詰めた所で至近距離からの水月棍がエンペラーM2の肩に直撃、大きく後ろ吹き飛ばされる。

 

 

「ハァァァッ!!!」

 

 

 後ろに飛ばされるエンペラーM2はエンペラーランチャーを地面に突き刺さし、勢いを殺す。そしてこちらに向かってくるイプシロンに向けて多連装ミサイルを空中に打ち上げた。

 

 

「ッがァァァアア!!!」

 

 

 雨の様に降り注ぐミサイルをイプシロンはミサイルを喰らいながらもアキレスに接近、イプシロングレイブで薙ぎ払う。

 

 

「いっけぇ!!」

 

「舐めるなァ!!」

 

「押し通る…!!」

 

 

 アキレスが水月棍で突くとエンペラーM2はエンペラーランチャーで受け流し、エンペラーM2が多連装ミサイルを発射すればイプシロンは大きく跳躍して回避し、イプシロンがイプシロングレイブを横薙ぎに振るうとアキレスは水月棍で相殺した。

 

 

「「「………」」」

 

 

 HPが残り僅かになる中、Cゲージが溜まる。正真正銘最後の必殺ファンクション、これで全てが決まる。

 

 

「「「必殺ファンクションッ!!!!」」」

 

《Attack Function!インパクトカイザー!》

 

《Attack Function! ライトニングランス!》

 

《Attack Function!クリムゾンスラッシュ!》

 

 

 3機の必殺ファンクションが炸裂、するハズだった。アキレスは2機が必殺ファンクションを発動する瞬間に高く跳躍すると空中でライトニングランスを発動する。

 アキレスは水月棍にエネルギーを集中させ、エンペラーM2とイプシロンに放った。

 

 

「うぉぉぉおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

 

 必殺ファンクション発動直後のエンペラーM2とイプシロンは回避の術もなく、無防備な状態でアキレスのライトニングランスを喰らってしまう。そして––––––––––––––––

 

 

《 ファイナル ブレイク! 》

 

 

 エンペラーM2とイプシロンは青白く光り、それが散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 八神英二はホテルに向かう最中、トキオブリッジ付近にある慰霊碑に訪れていた。

 トキオブリッジ倒壊事故で亡くなった妻と娘を想い、手を合わせて1分程度を目安に黙祷し、改めてホテルに向かおうとする八神に一本の電話がかかる。

 

 

「なんだ?」

 

『八神さん!赤の部隊がメタナスGXを強奪したようです!!』

 

「何っ!?」

 

『しかもその時、会場の警備員まで…ッ!』

 

 

 実行犯である赤の部隊はメタナスGX強奪のため警備していた警備員数名を殺害したとの報告を受け、あまりの出来事に八神の足が止まった。

 

 

「海道、先生…ッ!!」

 

 

 この国を救い、正しい方向に導くと言っていた海道義光の言葉を八神は信じれなかった。海道義光の真意を確かめるために八神は車に乗り込み、ホテルへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《決っ着!!エンペラーM2とイプシロン、共にブレイクオーバー!!第3回LBX世界大会アルテミスを制したのは、山野バンとアキレスだぁぁぁ!!》

 

「やったなバン!お前すげぇよ!!」

 

「おめでとうバン!」

 

「……やった、父さん俺やったよ!」

 

 

 俺とジンに打ち勝ったバンはしばらく呆然としていたが、カズとアミの祝福を受けてバンは優勝したことを実感する。

 

 

《なんというか大激戦!なんというか死闘!なんという大波乱!そのファイナルステージに最後まで生き残ったのは驚異の新人、山野バン!!皆様、盛大な、そして惜しみない拍手をこの勝者に送ろうではあるませんか!!!》

 

 

 新たな王者の誕生に観衆は歓声を上げ、万来の拍手喝采をバンに送った。

 

 

「バンくん、おめでとう」

 

「バン、優勝おめでとう!」

 

「ジン、ユウ…ありがとう!」

 

 

 俺とジンは勝利に沸くバンに拍手を送る。負けたハズなのに清々しく、全てをやり切った今、とても気持ちが良かった。

 そのまま何事もなく終わる、ハズだった。突然出来事によってその状況が一変した。

 

 

《 DESTROY 》

 

「………デストロイ?」

 

「ジン?どうしたんだ?」

 

 

 ブレイクオーバーしたハズのエンペラーM2が立ち上がり、アキレスを押し倒した。

 ジンはその事に気づき、CCMを操作するもエンペラーM2 が操作を一切受け付けなかった。

 

 

「伏せろ!みんな!!」

 

「な、に…ッ!!?」

 

 

 瞬間、光を放ったエンペラーM2を中心に大爆発が起こった。俺をふくめた5人は咄嗟に伏せたことで大爆発から免れた。

 

 

「おいジン、これは一体…?」

 

「……くっ、これはなんだ!?」

 

「何、これ……」

 

「冗談だろ!?」

 

「あ…アキレスッ!?」

 

 

 やがて爆発によって巻き起こった爆煙が晴れ、バンはジオラマを覗いた。そこで目にしたのは、エンペラーM2に爆発によって無残な姿となったアキレスだった。

 突然の出来事に、会場は静まり返った。そして次の瞬間、会場の照明が落ち、辺りを暗闇が包んだ。

 

 

《一時的な停電が発生しております、お客様は指示があるまで、その場を動かれませんよう、お願いいたします》

 

 

 アナウンスが流れる。どうやら停電が起こったようだ。しかしエンペラーM2が爆発した後に停電した為、不穏な空気が流れた。

 その時、俺の横を何かが通り過ぎた気がした。

 

 

「無事か、みんな?」

 

「「拓也さん!!」」

 

「今、イノベーターのLBXがジオラマから飛び出して行ったんですけど…」

 

「なに!?」

 

 ファイナルステージに上がる宇崎さんは慌ててジオラマの方に目を向けると同時に俺はアキレス、AX-00に搭載されているデスロックシステムのことを思い出す。

 プラチナカプセルを守る為に正規のユーザー以外が触れた場合毒の矢が飛び出すデスロックシステムはバトル中に破壊されれば作動しないのだ。

 

 

「やられた…イノベーターにプラチナカプセルを奪われた……ッ!」

 

「プラチナカプセルが、奪われた……!?」

 

 

 エンペラーM2が勝てば万々歳、負ければ仕込んでおいたデストロイでアキレスを爆発させ、LBXでプラチナカプセルを回収する。分かってはいたとはいえ公の場でイノベーターがプラチナカプセルを奪うためならどんな手段も厭わない行為に俺は拳を強く握りしめる。

 

 

「ジン、この卑怯者!!こんな汚い手を使うなんて、やっぱりお前も海道の仲間!!イノベーターってことだァ!!!」

 

「そうよ!始めからそのつもりだったのでしょ!?」

 

「違う、僕は何も知らない!」

 

 

 詰め寄るカズとアミにジンは困惑しつつ言い返すも、2人はジンの言葉を信じていなかった。

 

 

「嘘つけ!!ふざけんな!!」

 

「本当に何も知らないんだ!!!!」

 

「待ってくれ2人とも、ジンはきっとこの事を何も知らされてないんだ…!」

 

 

 俺は2人に詰められるジンを庇った。ファイナルステージで本気のLBXバトルをしていたジンがプラチナカプセルを狙ってエンペラーM2を自爆させるとは到底思えなかった。

 

 

「ユウ!イノベーターの手先を庇うのか!?」

 

「灰原ユウヤの時だってそうだ!ジンがこんな汚い手を使うハズがない…ッ!!」

 

「……ッ失礼!」

 

「待ってくれ、ジン!!」

 

 

 拳を握りしめるジンはファイナルステージを降り、足早にアルテミスから立ち去った。

 俺とバンはジンを追いかけてようとするも、僅かな照明が会場を照らし、アナウンスが流れ始めた。

 

 

《会場の皆様にご案内します、照明機器の故障により大会の進行が困難になりました。復旧の目処が立たないため、これより略ながら結果発表をもって、閉会とさせていただきます》

 

 

 世界の命運を賭けた第3回LBX世界大会アルテミスは、プラチナカプセルが奪われる形で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ…ご苦労様」

 

 

 赤の部隊からプラチナカプセルとメタナスGXの強奪に成功の報告を受け、海堂義光はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「全て予定通りだ」

 

「これで、先生の理想が叶いますなぁ…」

 

「よし、すぐにエターナルサイクラーの製造を始める。フェアリーテイル計画、実行のために」

 

「わかりました」

 

「では……」

 

 

 神谷藤吾郎と沢村宗人は海道の考える理想の世界にまた一歩近づいた事に不敵な笑みをもらし、ホテルを後にする。

 そして海堂義光は夕陽を目にし、立ち上がった。

 

 

「これで、この世界は私のものだ」

 

「失礼します!」

 

 

 海道義光は1人そこで佇んでいると彼がいる部屋の扉をノック音するがした。扉を開けて部屋に入ってきた男は海道義光にプラチナカプセルとメタナスGXの件を報告する。

 その男の正体は黒の部隊指揮官、八神英二だった。

 

 

「海道先生、メタナスGX が強奪されました。奪った者たちは、警備員を殺害した。あなたが赤の部隊を使ってやらせたことですか?」

 

「なんだ、八神か。それがどうした」

 

「どうして変わってしまったのです、あなたは人の命を軽く見る人ではなかった!世界を変える為なら、何をしてもいいというのですか!」

 

「……………」

 

 

 沈黙する海堂義光に、八神は肯定したと受け取った。

 

 

「…八神よ、全て終わったのだ。これで世界は変わる、私が変えてみせる」

 

「世界は変わりなどしない、支配者が変わるだけだ…ッ!!!」

 

「そうかもしれないな。しかし、新しい支配者にはどうやら君は不要のようだ。出ていきたまえ」

 

「…………」

 

 

 そう言うと八神は部屋を出ていき、ホテルを後にした。そしてしばらくして、誰かが部屋を訪れた。

 

 

「しつこい男だな、お前も……ッ!?」

 

 

 瞬間、1発の銃声が部屋中に響き渡った。この銃声が、新たな戦いへの序章だった。




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