ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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第28話 勇気転身

 アルテミスから3日が経った。未だニュースではメタナスGX強奪事件に警察が全力を上げて捜査行っているとの報道がされているが、犯人逮捕の手掛かりは見つかってないようだ。

 

 いつまでも何もしないわけにはいかないので俺はアルテミスで半壊したイプシロンを修復する為の機材やパーツを買いに、俺はアキハバラの裏通りある店、裏模型ブルータスに訪れてた。

 本当はバンたちを連れて行きたかったところだったが、とても誘える空気ではなかった為1人でアキハバラに来た。

 

 

「しっかしまぁ…色々揃ってるなぁ……」

 

 

 生産量が少なくてほとんど市場に出回らないLBXや非売品のCPU、本来ならば禁止されてるハズのバトルアイテムなどが高額で売られていた。

 神谷重工のデクーやインビットにエジプト、裏通りなだけあって普段見ないLBXや機材が揃っていた。

 

 

「あっ、ヒーローオタクのお兄ちゃんだ。ねぇ、いつものやってよ」

 

「オタクじゃないですよ!将来、なる予定なんです…本物のヒーローに!!」

 

「いいからさ、早くやってよ〜」

 

「仕方ないですね………いきますよ?」

 

 

 イプシロンを修復する為の資材やパーツなどを探していると、どこか聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

「勇気転身!宇宙英雄!センシマン!」

 

「やっぱお兄ちゃん面白いよなぁ〜」

 

「面白いじゃダメですよ、カッコいいでしょ!センシマンですよ!!あの伝説の特撮ヒーロー、宇宙英雄センシマン!君たち本当に知らないの?」

 

「知らな〜い!」

 

 

 厚めのメガネに地味な焦緑色の服装をしている恰好、アイツは宇宙英雄センシマンをこよなく愛する男、大空ヒロだった。

 そんな大空ヒロは子どもたちに宇宙英雄センシマンを布教していた。なにゆえ。

 

 

「まぁ、確かに僕が君たちぐらいの時にテレビでやってた番組だから…知らなくても仕方ないか……」

 

「あぁ〜面白かった、みんな行こうぜ!」

 

「じゃーねー、ヒーローオタクのお兄ちゃん!」

 

「ちょ…ちょっと待ってよ、君たち!話はまだ途中……仕方ない、センシマンの素晴らしさを未来に伝えるのは今度にしましょう……」

 

 

 ヒロの制止も聞かずに少年Aと少年Bはどこかに行ってしまった。ヒロがアキハバラの裏通りにいるのは意外だったが、あの格好だとそこらへんにいるゴロツキに絡まれそうだし、心配だから声を掛けることにした。

 

 

「…よぉ!久しぶりだな、ヒロ!」

 

「その声……もしかしてユウさんですか!?」

 

「てかそんなところで何やってんだ?アキバの裏通り…って危険なんだぞ?」

 

「最近、路地裏の方で怪しい人物が増えてるようなのでパトロールをしているんです!」

 

 

 ヒロの話を聞いていくと、アキハバラのパトロールとやらは今日だけではなく、毎日欠かさずやっているみたいだ。なんでも宇宙英雄センシマンに近づく為の修行の一環だとか。

 

 

「その…なんだ、平和を守る為のパトロールとやらに俺も同行してもいいか?」

 

「え?いいんですか!?」

 

「最近ゴロツキやらのせいでここも治安が悪くなってるからな、ヒロと一緒にパトロールしようって思っただけだぜ?」

 

「すごい心強いです!一緒にアキハバラ平和を守る為に頑張りましょう!!」

 

 

 こうして、俺はヒロに見習ってアキハバラの平和を守る為にパトロールすることにした。別に暇だからパトロールしようとか思ってないから、本当だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いましたねね…」

 

「いたな、目の前に…」

 

 アキハバラの裏通りをパトロールすること数分も経たない間に端的に言って犯罪の臭いしかしない状況に出会し、足は止まった。

 少女が如何にも世紀末なモヒカンと金髪の不良どもに絡まれていたのだ。

 

 

「うぅぅ………」

 

「なんだ、お前ら?見せ物じゃねぇんだ、怪我したくなかったらさっさとどっかに行っちまえよ!!」

 

「……ビンビンしますね 悪の匂いが……!」

 

「………なんだ、お前。なんか変なヤツだな」

 

 

 髪型にファッションセンスがクソダサいモヒカン野郎に言われたかねぇよッ!!とユウは心の中でそう思った。

 

 

「フッ…仕方ありませんね。あなたたちには何を言っても通じないようだ」

 

「おい、勝手に話を進めてんじゃねーよ」

 

「大人しくしてくれないのなら、大人しくしてもらうまでです!」

 

「ふざけやがって!痛い目に合わないと分からないみてぇだな!喰らえッ!!」

 

 

 勢いだけではどうにもならない。ヒロの言動に苛立ったチンピラのうちの1人がヒロの顔を殴った。

 その瞬間、チンピラは戦慄する。殴られたハズなのに痛がる様子もないヒロにチンピラは目を丸くした。

 

 

「……そんな攻撃、僕には効きませんよ」

 

「こ…こいつ……!まさか……ッ!?」

 

「宇宙を汚す邪悪な悪め!この僕がいる限り、あなたたちに明日はありません!!」

 

「宇宙英雄か……!?くそ!やっちまうぞ!!」

 

 

 ヒロを殴ったチンピラに反撃を企てるユウだったが、突然の状況に困惑する。宇宙を汚す悪、宇宙英雄、話が全く見えてこなかった。

 さらにチンピラたちの姿が突如として特撮に出てきそうな戦闘員の姿へと変わる。その瞬間、ユウは考えるのをやめた。

 

 

「「キー!!アクギンガフィールド展開ぃ!!!」」

 

「これは…アクギンガフィールド!確かアクギンガフィールドの中ではヤツらは3倍の力を発揮できるのでしたね!」

 

「………とりあえずヤツらがLBXを使うのは分かったわ」

 

 

 ユウはそのアクギンガフィールドとやらにイプシロンを投下した。アクギンガフィールドといっても、敵のLBXのパワーが3倍になる点を除けば草原フィールド大して変わらなかった。

 

 

「それでヒロ、お前LBXはあんのか?」

 

「LBXはありません、でも僕には()()がありますッ!!」

 

「……()()?」

 

「勇気転身!宇宙英雄センシマン!!」

 

 

 ヒロを中心に辺りが光に包まれたと思えば、先程まで焦緑色の服装をしていたヒロの姿がセンシマンの姿へと変わっていた。

 

 

「んだこれ…まるで状況が分からん……」

 

「さぁ、一緒に戦いましょう!!」

 

《 バトル スタート 》

 

 戦闘員の落石のように降り注いだ拳に対して、イプシロンはイプシロングレイブを力任せに振り回すと重量と勢いも相まって、戦闘員のボディは容易く二つに開かれた。

 

 

「もうこの際どうだっていい、目の前にいる戦闘員全員ぶっ潰すッ!!」

 

「すごいです、ユウさん!僕だって…!」

 

 

 センシマンは懐から二丁のセンシブラスターを取り出し、周りに居る戦闘員を撃ち抜き、煙を吐き出す銃口を残る戦闘員に向けて啖呵を切った。

 

 

「キキィ!?コイツら、なんて強さだッ!?」

 

「溢れる勇気、受けてみろ!」

 

《Attack Function!ビッグバンパンチ!》

 

 

 拳に炎のエネルギーを纏わせ、撃ちだすパンチから火球を放った。放たれた炎球は戦闘員を見事に焼き溶かして貫通していった。

 

 

「だ…駄目だ!俺たちじゃ太刀打ち出来ないッ!スカルザー様に報告せねば!!」

 

「なに、スカルザーだと!?」

 

 

 銀河大帝スカルザー、それは特撮ヒーロー宇宙英雄センシマンに登場するセンシマンの宿敵であり、全宇宙侵略を企む者。過去に宇宙の大半を支配領域にするほど圧倒的な力を持つ存在だ。

 

 

「お前たちのボスは銀河大帝スカルザーなのかッ!?」

 

「言うわけねぇだろ!退くぞ、お前たち!」

 

「「「キキーッ!!」」」

 

「(いや戦闘員の逃げ足はっや…)」

 

 

 すぐに危機的状況理解した戦闘員たちは一目散に逃げ出していった。戦闘員が消えるのを確認すると、ヒロは元の格好へと戻った。

 

 

「スカルザーはきっとアキハバラのどこかにいるハズ………悪がこの宇宙にある限り、センシマンは止まれませんよ!」

 

「胃が痛ェ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スカルザーの手下か?……黒い格好したヤツらなら、アキハバラタワーの方ヘ行ったよ』

 

『スカルザーの手下?知らないけど、変な格好した人たちがアキハバラタワーのエレベーターに入ったところを見たわ』

 

『スカルザーの手下?誰それ、知らないなぁ…キキッ!』

 

『ホント、アキハバラっての人たちは良い人ばっかりだね!でも最近は変わった口調の人が多い気がするなぁ……もしかして何かの流行りかな?』

 

『スカルザーの手下かい?さっき骸骨のコスプレした人たちだったら、アキハバラタワーの最上階に向かって行ったぜ?キキッ!』

 

『ききっ!あっ…ごめんごめん、なんか最近の流行りらしくてさ。なんかテンション上がって来ない?ききっ!』

 

 

 

 聞き込みを行ったユウとヒロの2人はスカルザーがアキハバラタワーの最上階にいることが判明した。

 

 

「いよいよですね、ユウさん…」

 

「……色々ツッコミたい点が何ヶ所かあったが、とりあえず銀河大帝スカルザーとやらのアジトがアキハバラタワーの最上階にある事が分かったな…」

 

 

 いざ最上階に向かう為、エレベーターに乗り込むとエレベーターは一気に最上階に向かって上昇していく。多くの人が利用することを想定しただけあって、エレベーターの中は2人の想像以上に広かった。

 

 

「(ザル警備すぎる、簡単にエレベーターに乗れたぞ…?)」

 

 

 ユウは不自然な点をあれこれ考えているうちに、アキハバラタワーの最上階に到達した。

 最上階には山積みの段ボールや、複数のモニター、それ以外にもゴチャゴチャと物が溢れていた。 そして最上階の一番奥に、玉座につく銀河大帝スカルザーがいた。

 

 

〘待っていたぞ、大空ヒロ……いや、センシマンと呼ぼうか〙

 

「銀河大帝スカルザー……ッ!」

 

〘いかにも、我こそがこのトキオシティの影の支配者、銀河大帝スカルザーだ〙

 

 

 スカルザーは王座から立ち上がり、ヒロたちの元に歩み寄る。

 

 

〘よくぞ、ここまで辿り着いたなセンシマン、我の手の平の上で踊っていることにも気づかずに…〙

 

「戦う前から負け惜しみですか?影の支配者が聞いて呆れますね」

 

〘全ては貴様たちを誘き出す作戦、我が配下がこのアキハバラで暴れていたのもその一つ〙

 

「(なるほど、ヤツらのアジトが簡単に見つかったのはそういうわけか…)」

 

 警備を含めた数々の不自然な点は、全て自分たちをスカルザーの元に導く為の罠だったと理解すると、ユウはイプシロンを手にして戦闘態勢に入る。

 

 

〘センシマン、貴様を潰すこの日を待っていた。我が力に屈服するがいい、グレートアクギンガフィールド…展開!〙

 

 

 スカルザーの叫換と同時に光に包まれ、いくつもの光の柱が立つ広大な世界が広がっていた。

 

 

〘このグレードアクギンガフィールドの中であれば、我らの戦闘力は実に本来の5倍に増大する〙

 

「グレードですって…!?」

 

〘その上、グレードアクギンガフィールドは際限なく広がり続ける。まずはアキハバラを覆い、トキオシアを包み、日本を、世界を、銀河をも飲み込む…!そうすれば、我らが銀河を支配するのも容易い〙

 

 

 グレードアクギンガフィールドを展開したスカルザーの目的は宿敵であるセンシマンを亡き者にし、再び銀河を支配するというものだった。

 だが大空ヒロいや、センシマンは見逃すわけには行かなかった。たとえアキハバラタワーに来たことが罠であっても、正義の為にスカルザーの野望を正面から打ち砕くのみだ。

 

 

〘ならば我を止めるがいい!宇宙英雄センシマンよ、止められなければ銀河は我らのものとなるぞ!〙

 

「やるべきことはただ一つ、センシマンは正義の為に!センシマンは勇気を力に!勇気転身ッ!!」

 

「…………いくぞ、イプシロンッ!!」

 

 

 グレードアクギンガフィールドにイプシロンとセンシマンが降り立った。

 続いて2機の前にバーチャルの姿を現した銀河大帝スカルザー。その姿は通常の人間とは段違いの巨体を誇っていた。

 

 

《 バトル スタート 》

 

 

 センシマンは両手を前に突き出し、二丁のセンシブラスターを構える。そこから銃撃音と共に吐き出される銃弾は、センシマン十体程度なら数発でブレイクオーバーにする事が出来る。

 しかし相手はスカルザー、センシブラスターでは威力が足りないという事が分かった。

 

 

「くっ…まるでダメージが入ってない……ッ」

 

「そのセンシブラスターとやらは駄目みたいだな……」

 

 

 イプシロンはキラーガトリングを構え、迎撃態勢に入ると同時に大きく後退した後にキラーガトリングによる銃弾の雨をスカルザーに向かって撃つも、スカルザーは双鎌ケルベロスを振り翳したことで銃弾の雨を防ぐ。

 

 

「どうやら銃による遠距離攻撃は駄目っぽい…なッ!!」

 

 

 イプシロンはキラーガトリングを捨て、イプシロングレイブを手にした。イプシロンは双鎌ケルベロスをイプシロングレイブで力任せに吹き飛ばすと、続いてスカルザーを叩き切るべくイプシロングレイブを振り落とす。

 

 それを咄嗟に回避したスカルザーを襲ったのは、振り落としの勢いに任せて、イプシロングレイブを軸にして飛び上がっての踵落としだ。

 

 

〘なるほど、そう来たか〙

 

 

 両腕を交差してそれを受け止める。その瞬間、盛大に巻き起こる衝撃と天まで昇る土煙が発生した。

 

 

「全ッ然効いてる素振りを見せねぇじゃねぇか…!」

 

《〘無論だ〙

 

「なら、僕に任せてくださいッ!!」

 

 

 センシマンは足を踏み込んで前へ突き進み、正面にいるスカルザーを拳を振るう。続いて背後からの攻撃を上体を落として回避するとともに背後に向けて流星のような飛び蹴りを喰らわせる。

 

 

「まだまだァ…!!」

 

 

 クルリと一回転し、全体重を乗せた踵落としをスカルザーに食らわせると、そのまま岩壁へと叩きつけた。

 

 

〘センシマン、貴様…………ッ!!〙

 

「今だ!いけ、ヒロ!!」

 

 

 スカルザーに向けて落石のように降り注ぐ拳。しかしその瞬間、先程までいたスカルザーの姿が忽然と消えた。

 

 

「なっ……消えた!?」

 

「一体、どこに……––––––––––––––––––」

 

 

 突然、スカルザーの蹴りがイプシロンを襲った。ギシリとボディが軋み、大きく吹き飛ばされる。

 

 

「な…何が起こったんですか!?」

 

「今のは、テレポートだと!?チートじゃねぇか、クソが…ッ!!」

 

〘センシマンの相棒といえど、所詮はこの程度か…?〙

 

「……あ“?」

 

 ブチッと何かが千切れるような音がグレードアクギンガフィールドに響き渡った。ユウが切れたである。

 飛び掛らん勢いで駆けるイプシロンがその機体を急旋回させた。続いて手にしているイプシロングレイブを逆手に持ち替え、大きく跳ねる。

 

 

「随分と煽ってくれるじゃねぇか、おい!!」

 

〘(……動きが変わっただと?)〙

 

 

 拳、脚、膝、肘、槍、イプシロンは隈なく稼働させ、スカルザーを捩じ伏せる。さらに間も与えず追撃を行うべく、ユウはCゲージ3の必殺ファンクションを発動する。

 

 

《Attack Function!クリムゾンスラッシュ!》

 

〘…!?〙

 

「こ…これは!」

 

 

 イプシロンを中心に何もかも焼き尽くす獄炎が渦を巻き、収縮を始める。

 その熱量のあまり、グレードアクギンガフィールドの一部の地面は熔融、粘り気を帯びたマグマ様なものへと変貌する。

 

 

〘––––––馬鹿な…な、何だ、何なのだッ、この力は、その技は!?〙

 

 

 その力を感じ取った瞬間、スカルザーは寒い何かが背中を駆け巡る。スカルザーは思わず後ろへ退くも、ユウは隙を逃せまいとイプシロングレイブをスカルザーに向かって真っ直ぐ突き出した。

 

 

「アアアアアアアア!!!!」

 

 

 炎の軌跡を描きながら横一閃で正面の敵を焼き尽くす獄炎が、スカルザーを呑み込んだ。

 轟音を立てて爆発し、グレードアクギンガフィールドの大地は砕け、その原型を留めていなかった。

 

 しかし視線を反らした瞬間、反対側から衝撃が走った。ミシミシといった嫌な音を鳴らしながらイプシロンのボディは宙を舞い、凄い速度で壁へと激突した。

 

 

「ガッ!?」

 

〘巫山戯る……な。我は、我はスカルザー……我はスカルザーだ……ッ!!〙

 

 

 間合いを詰めてきたスカルザーに殴り飛ばされ、イプシロンは地面の上を滑空するように転がっていく。無理矢理に機体を捻って立ち上がるも、直後に膝蹴りを顔面へと叩きこまれる。

 

 

〘これで終いだ、ワールドエンドッ!!〙

 

《Attack Function!ワールドエンド!》

 

「がぁぁぁあああああああッ!!!」

 

 

 スカルザーが手をかざすと、そこから滅びの波動が荒々しい奔流となって襲い掛かってくる。相見えていても回避することの出来ないイプシロンは其の一撃をまともに喰らい、岩肌へと強かに叩きつけられるのだった。

 

 

〘力の差が身に沁みたか?今ならまだ考えを改める時間をくれてやっても構わぬぞ?〙

 

「ケっ……いらねぇよ、そんな時間」

 

〘ふむ、それもそうだな〙

 

 

 スカルザーはイプシロンに向かって双鎌ケルベロスを振り下ろそうとした瞬間、ユウは薄ら笑いを浮かべる。

 

 

〘……?何がおかしい?〙

 

「なぁスカルザー、お前…何か忘れてることはねぇか?」

 

〘何かを…忘れっ!?まさかッ!!?〙

 

「うぉぉぉぉぉおおおおッ!!!!」

 

《Attack Function!ビッグバンパンチ!》

 

 

 限界まで高めた猛火を拳に纏わせたセンシマンは片方の手でスカルザーを掴み、ゼロ距離からの周囲一帯を覆い尽くすような火球が放たれる。

 その火球はスカルザーを呑み込み、衝撃波によってフィールドが崩壊していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『–––––ちゃん、お兄––––––––––ん』

 

『お–––––起き––––––ヒロ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん!」

 

「おいヒロ、起きろっての!!」

 

「…………あれ?」

 

 

 やっとヒロ起きたな。応急処置はしたが中々起きねぇからすごい心配だったけど、様子を見る限り大丈夫そうで良かった。

 

 

「さっき怖そうな人たちだったら心配ないよ、お兄ちゃんが気を失った後、そのまま行っちゃったもの」

 

「え?センシマンになった僕とユウさんが倒したハズじゃあ……」

 

「…お兄ちゃんは怖そうな人たちに殴られて、今までずっと寝てたじゃない。夢でも見たの?」

 

「え……?え〜!!夢!?あれが全部!?そんな……折角念願のヒーローになれたと思ったのに……」

 

 

 どうやらヒロは憧れのセンシマンになってアキハバラに蔓延る悪を倒す夢を見ていたようだ。

 いや、この話に触れるのはもう止めておこう。なんだか考えれば考えるほど頭が痛くなってきた。

 

 

「……お兄ちゃんは私にとってのヒーローだよ。本当にありが……––––––––––––」

 

「ストップ!!……いや、礼を言うのは僕の方です。僕はヒーローの見た目に憧れたんじゃない、困った人を笑顔に出来るヒーローの生き様に憧れたんです!!君の笑顔を見て思い出しました…」

 

 

 ヒロがセンシマンから受けた影響は趣味のみならず、精神性にも及んでいた。パトロール対する義務感と使命感はそこから来ていたようだ。

 

 

「それで、パトロール続けるのか?」

 

「もちろん、パトロール再開です!」

 

「ちょっと待ってよ!まだありがとうって言ってない!」

 

「いえ、ヒーローとして当然のことをしたまでですから!勇気転身!」

 

 

その後、ヒロと共に滅茶苦茶パトロールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っし、やりますかァ!」

 

 

 家に帰るや否や、風呂や飯を済ませて早速半壊したイプシロンを修復作業を開始した。

 

 まずひび割れた装甲をパテを盛って磨く、これを自分が納得できる形状が出せるまでこれの繰り返しで作業する。なんだかんだでこの作業が一番辛かった。

 ちなみに裏模型店ブルータスで買った機材やパーツはお値段は16.300クレジットで買った。足りなかった分は学校裏のスラムで無茶苦茶ファイナルブレイクして大量のパーツをゲットした。

 

 続いてはコアカスタマイズだ。

 俺は修復したイプシロンの装甲を外し、アンタレスL:Ⅲ(CPU)スカルファングR(コアメモリ)、モーターはWフェザー24とLフェザー4T、バッテリーはタイガーテイルXT3やエレクトロンS100&S200、残る補助パーツのライフガーダーⅡ&Ⅲ&Ⅳのそれぞれを組み合わせて装甲をセットする。

 これモーターとバッテリーを除いて合計で20.000クレジットである、高い。そして時間が経つこと約数時間、つい作業は完了した。

 

 

「うーん完璧!」

 

 

 時計を見てみるとAM8:00と表記されていた。一日掛けた作業が終わって寝ようとしたその時、俺のCCMから着信音が鳴った。

 手にとって確認してみると非通知と表示されていた。普段は非通知の電話は出ない俺だが、この時は作業疲れも相まって電話に出た。

 

 

「えーっと、もしもし?」

 

『やぁユウくん、久々かな』

 

「ジン!?えーっと、どこで俺の電話番号を知った…?」

 

『イノベーターの力を使えば、君の電話番号を知るくらい他愛もない』

 

 

 おい個人情報保護法どこいった!と言おうとしたが、グッと堪えて心の奥底にしまった。

 

 

「それで、法に反してまで俺に電話掛けて…一体何用だ?」

 

『灰原ユウヤのことだ』

 

「灰原ユウヤ…!」

 

『今から地図を送る、君に来てほしい』

 

 

 ジンから送られてきた地図と確認する。場所はセレブの町として有名な町、グレースヒルズにある大きな病院のようだ。

 

 

「あぁ!分かった、急いで向かう!!」

 

『待ってるよ』

 

 

 眠気が覚めた俺は電話を切り、作業着を乱雑に脱ぎ捨ててで私服に着替えた。灰原ユウヤに会うべく俺はCCMとイプシロンを手に取ってグレーヒルズの病院へ駆け足で向かった




スカルザー戦すっごい見づらかったので修正いたしました…。
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