ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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第3話 地獄の破壊神

 

「お前たちか。俺のことを探ってるっていう…一年は!」

 

「お前…」

 

「まさか……!」

 

「バン、ヤツだ。ヤツが…郷田ハンゾウ!!」

 

 

 ミソラ二中の不良グループの四天王であり番長の郷田ハンゾウ。ミカの情報通り、まさに背中で語る男にぴったりだ。

 そして郷田のLBXを肩に乗せ、こちらを見据えていた。そのLBXはプロメテウス社で作られるブロウラーフレームのハカイガーのようだが、どうも俺の知ってるハカイガーとは違うようだ。

 

 

「郷田!キタジマから盗んだ()()()()を返せ!」

 

「人聞きの悪いこというんじゃねぇよ。俺たちはコイツを守ったんだ」

 

「守った…?」

 

「ある人から頼まれたんだよ。悪い大人たちや、お前たちみたいなガキに使われる前に回収しろってな」

 

 

 郷田の守ったを聞いてふと山野家LBX襲撃事件のことを思い出す。

 あのLBXはバンのAX-00を狙っていた。郷田はきっとそいつらからアキレスを守っていたようだ。

 あの様子を見る限り、間違いなくAX-00やアキレスは世界を救う鍵とやらに関係あるようだ。

 

 

「ある人って…?」

 

「フフフ。レックス…あの人の言うことに、間違いない」

 

「オイ、何故レックスの名前が出てくる…?」

 

 

 レックス、ネットの世界で噂される伝説のLBXプレイヤーだがあまりにも情報が少ない為にその存在は都市伝説レベル、だがあの人が郷田と関わっていたとはな。

 

 

「そんなことはどうでもいい。そのアキレスはが店長から貰ったアーマーフレームなんだ!返してもらうぞ、郷田ハンゾウ!!」

 

「レックスのことを…どうでもいいだとッ!?」

 

 

 どうやらバンの発言が、郷田の癇に触れたみたいだ。それだけ郷田はあの人を慕っているようだ。

 

 

「チッ…………ほらよ」

 

「!?」

 

「俺のハカイオーにそのアーマフレームは合わなかったんでな。そいつを使って、俺と戦え!……俺のハカイオーと!!」

 

「ハカイオー……あれが、郷田のLBX……」

 

 

 プロメテウス社製のハカイオーを見てふと俺はプロメテウス経営者である郷田泰三の存在を思い出す。あの形で郷田ハンゾウは多分郷田泰三の坊ちゃんなのだろう。

 仮にそうだとすればあのハカイオーとやらはきっとハカイガーの試作型LBXだと推測する。

 

 

「お前が勝ったら、そいつはお前にやる。だが…負けたら俺のものだ!コアスケルトンごとな!」

 

「一方的ね…!」

 

「ハンデとして、4対1でいいぜ」

 

「なんだと!?」

 

 

 自分の腕に自信があるのか、バンたちに4対1のLBXバトルを提案する。地獄の破壊神って呼ばれつだけあって、その腕も確かなのだろう。

 

 

「…わかった。そのバトル、受ける!」

 

「ヤツのLBXは“地獄の破壊神”と呼ばれてる。相手を破壊することで有名なヤツだ」

 

「覚悟はできたようだな。さぁ、早くアーマフレームを装着しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あとこの部分を付ければ完成だぜバン」

 

「アドバイスありがとうユウ。…できた!うわぁ…これがアキレス!」

 

「もういいか。待たせやがって…さっさと始めるぜ」

 

「さぁ、バトル開始だ!」

 

 

 AX-00の装甲と取り外し、アーマーを装着することで遂にアキレスが完成する。

 アキレスの完成を確認すると郷田は持っていたDキューブを投げる。今回のDキューブのフィールドは、夕日に照らされる地中海風のジオラマだった。

 ハカイオー1機に対してこちらはウォーリアー、サラマンダーMK–II、アキレスの3機で対抗する。

 

 

《 バトル スタート 》

 

 

「俺はぬるいバトルは嫌いなんだよ。お前ら全員、攻撃力最大の必殺ファンクションを用意してこい!」

 

「舐めたことしやがるなぁ…ッ!」

 

 

 直ぐに戦いの幕が上がる。最初に攻撃に出たのはアキレスとウォーリアーの二機だった。いきなりの事で面食らったハカイオーは、初撃をまともに受ける。

 だがその初撃も、ハカイオーの前では無意味だった。

 

 その後もアキレスとウォーリアーはどんどん攻撃する回数を増やすも、ハカイオーが効いている様子は微塵も感じ取れない。

 

 

「クソが、うざってぇ!!」

 

 

《Attack Function!我王砲!》

 

 

「しまった!?」

 

「避けろ、バン!!ぐっぁぁぁあああ!!?」

 

 

ハカイオーの胸部には絶大な威力を誇る砲撃兵器が備わっており、ハカイオーのエネルギーキャノンによってカズのウォーリアは至近距離で喰らってしまう。

 

 

「始まるよ…リーダーの“破壊のショー”が……」

 

「吹っ飛べ!泣き叫べ!砕け散れぇぇええ!!!」

 

「ウォーリアー!?やめろ…やめてくれェェェェェェ……ッ!!!!!」

 

「その目に刻め!!これが地獄の破壊神”ハカイオー“だ!!」

 

 

 

 辛うじてハカイオーから逃れようとするウォーリアだったがハカイオーは容赦はなかった。

 その太い両腕から繰り出される一撃の破壊力をウォーリアーに放つ。そして文字通りカズのウォーリアーは粉々に破壊されてしまう。

 

 その光景を見た俺はドクンドクン、と脈打つ音が聞こえた。この音は心臓が跳ねる音だ……。

 今自分に何が起こっているのか分からない。ただ一つ分かることは、郷田ハンゾウを許さない。ただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソっ!何がどうなってやがるっ!まさかテメェ、俺の攻撃を見切ったてのか!?」

「────────ッ!!」

 

 

 ハカイオーはウォーリアーの破壊ショーを終え、次の標的はユウの操るサラマンダーMK–IIに定める。

 決定から行動までのスピードは早く、サラマンダーMK–IIの背後を取って破岩刃を振りかざす。だが当たったと思えば既にサラマンダーMK–IIはその場にはおらず、いつの間かハカイオーの背後にいた。

 

その後も何度もハカイオーはサラマンダーMK–IIに攻撃を仕掛けるも、その度に何度もサラマンダーMK–IIはハカイオーの攻撃を回避する。

 

 

「てめぇ!!俺をおちょくってんのかぁぁぁああ!!!うざってぇんだよ!!」

 

 

《Attack Function!我王砲!》

 

 

「今だ…バン!!必殺ファンクションだ…ッ!!ファイナルブレイクを狙え…ッ!!」

 

「え!?わ…わかったカズ!」

 

 

 その瞬間、ハカイオーの胸部から絶大な威力を誇る砲撃兵器がサラマンダーMK–IIに向かって放たれた。だが我王砲もあえなくサラマンダーMK–IIに避けられ、ハカイオーに一瞬の隙が生まれる。

 

 

「必殺ファンクション!!」

 

 

《Attack Function!ライトスピア!》

 

 

「もらったぁぁぁあああ!!!」

 

「なっ!?しまった!?」

 

 

 加速したアキレスは、ハカイオーの砲撃兵器部分を狙ってアキレスランスで突き刺し、必殺ファンクションを発動させる。

 そしてハカイオーはアキレスの致命的な一撃を食らい、ブレイクオーバーと化した。

 

 

《 ファイナル ブレイク! 》

 

 

「そんな…リーダーが…っ!?」

 

「馬鹿な…ハカイオーが、やられただと?」

 

「俺たちの勝ちだ!!」

 

「くッ……約束通り、アキレスフレームはお前のもんだ」

 

 

 ユウを除き、互いにLBXをフィールドから取り出す。この勝負の決着は、バンたちの勝利で終わった。

 

 

「リーダー!いいのかい?あっさり引き下がってさ……」

 

「約束は約束だ。それを曲げたら、男が廃る」

 

「郷田…」

 

「…縁があったら、また会おうぜ。さぁ〜て、レックスに頭下げに行くとするか。行くぞ!」

 

「「「ウィ〜っス!」」」

 

 

 そう言って郷田たちは後ろの大きな扉を開け、大広間から出て行った。

 バンたちはアキレスを取り戻せた安心感と、ウォーリアーを破壊された悲壮感があった。だがユウの様子を見た途端、その考えは一変した。

 

「しまった無理しすぎた……今から倒れるわ……」

 

「「「ユウ!?」」」

 

 

 集中力が切れたせいか、ユウは以前の時とは比べとものにならないぐらいの表情と荒い呼吸をし、まるで操り人形の糸が切れてしまったように倒れこんだ。

 そしてその様子を見た3人は、一斉にユウの元へと駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 知らない天井と言いたかったが、あいにくよく知ってる天井だった。何故ならここは俺の部屋なのだから。

 

 

「ハァ…それよりなんで俺の部屋にいるんだ?確かハカイオーと戦って、ウォーリアーが破壊されて、バトルの後に集中力が切れて……その先から思い出せんなぁ………」

 

 

 何事にも集中しすぎると倒れてしまう悪い癖が付いている、気をつけなければいけない。しかし今はなんでもいいから甘いものが食べたい気分であった。

 そんなことを思っていると、ガチャリと扉が開く。どうやら俺の部屋にアミが入ってきたようだ。

  

 

「おぉアミ!どうs「ユウ!良かった!!ホンッッッット心配したのよ!?」グエェエッッ!?」

 

 

 どうやら俺が倒れている間にバンとアミが看病してくれていたみたいだ。心配だったのは分かるが、疲労たっぷりな体で抱きつかれるのは流石にキツい。

 

 

「そ…それより…バンと…カズ……は?」

 

「バンなら下にいるわ、カズは………」

 

「無理すんな、なんも言わなくても俺には分かる」

 

「うん…」

 

 

 カズはアキレスを守るために身を呈したが、手元には何も残ってはいない。友達の機体を守ったから尚更複雑だ。

 

 

「アミ、肩貸してくれねぇか?起きたばっかだからろくに歩けねぇ……」

 

「わかったわ。立てるかしら?」

 

「すまんなアミ」

 

 

 アミの肩を借りて自分の部屋を出て、リビングへと向う。リビングには既にバンが来ており、今まで俺がカスタマイズしてきたLBXたちを覗いていた。

 

 

「あっ…起きたのかユウ!それよりもこのLBXなに!?ユウがカスタマイズしたの!?」

 

「それよりもで済ますんじゃねぇ……それとまぁ…俺がカスタマイズしたLBXたちだけど……」

 

「くぅ〜っ!やっぱすごいなユウは!」

 

 

 まさか俺のカスタマイズされたLBXたちを見て褒めされるなんて思ってもみなかった。

 

 

「そういやなんで倒れたんだユウ…?」

 

「集中しすぎて倒れた。あと糖分不足」

 

「集中?倒れるほど集中するってそんなことあるの?」

 

「分かんね、現に俺の身体で起こってることだからな……それよりも2人とも、プリン食うか?」

 

「「食べる!」」

 

 

 あの時、まるで世界がスローモーションと化してた。今思えば知らぬうちに身体が異常な状態が起こっている、一体極限まで集中してしまうこの身体をどうすれば良いのだろうか。

 

 そう考えながら、冷蔵庫に入っていたプリンを一口食べる。濃厚な味わいとしっかりとした食感、滑らかな舌触り、卵とクリームをたっぷりと使いい、牛乳や砂糖で作ったリッチな風味、底にはほんのりビター感のあるキャラメルソース、パーフェクトである。

 

 

「フゥ……いやぁなんか、ここ最近あまりにも集中するもんだからLBXバトルをする時に相手が遅くに見えたりっていう起こってんだよなぁ」

 

「え?前からそんな症状あったの…?」

 

 

 俺はバンたちにそう言いつつ、最後までプリンを食べきった。なんかさっきよりも身体の調子が良くなった感じがする。

 

 

「まぁそんなことはいっか。てことでバン、お前ってコアパーツのカスタマイズしてるか?」

 

「知ってるけど、実際にやったことはないかなぁ…」

 

「あぁそうかい…そうだ!コアパーツのカスタマイズの練習を兼ねて、俺のカスタマイズしたLBX貸してやるよ!」

 

「えっ!?いいの!?」

 

「あぁ、全っ然いいぞ!そうだなぁ…まずモーター、コアメモリー、CPU、バッテリー、補助パーツを用意してだな…」

 

 

 少なくとも俺はこの平穏な日常がいつまでも続けばいいのにと思っている。もちろんフリではない。

 だがこの時も仙道のタロットカードが、俺の記憶の片隅に残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、疲労気味だった身体は甘いものを摂取することで見事回復した。そして俺が倒れたことを知った師匠にこっ酷く叱られた。

 現在は学校の放課後、俺はキタジマ模型屋に寄っていた。今回の目的はCPU &LBX新規パーツの購入とカスタマイズである。

 

 

「店長、このCPUデカイっすね」

 

「そうだな。ここだとパーツが入りきらないから、そっち向きで付けたらより多くのコアパーツが入るぞ」

 

 

 悪戦苦闘しながらも、コアパーツをスピアに特化した改造を施した。更にサラマンダーMK–llにグラディエーターの腕パーツや新規パーツを取り付けて、カスタマイズする。

 

 

「ユウ、もう来てたの?」

 

「そのサラマンダーカッコいいな!!今度はどこ変えたんだ!」

 

「グラディエーターの腕に新規パーツ、後コアパーツは槍に特化したカスタマイズだ!」

 

「なぁユウ!また後で俺のアキレスとバトルしようよ!!」

 

 

 前回出来なかったバンのアキレスと俺のサラマンダーMK–Ⅱ、どっちが強いのか試すのも悪くは無い。

 するとキタジマ模型屋に、ある男が入店してきた──────

 

 

「バ…バ〜ン!」

 

「リュウ!一体、どうしたんだよ!?」

 

「俺のブルドが……」

 

 

──────ボロボロのブルド改を手にした涙目のリュウだった。周囲にあれだけ自慢してたブルド改は粉々、また郷田三人衆にやられたのだろうか。

 

 

「え?ブルドがどうかしたの?」

 

「また、壊されちまったよォォ!河川敷なんか、行くんじゃなかった!」

 

「ちょっとリュウ!一体、誰にやられたの!?」

 

「カズ…。カズのLBXにやられた!」

 

 

 リュウの言ったことに疑問を覚える。カズはLBXを買える程の金額は持っていない。それに壊される痛みを知っているカズが、LBXバトルでLBXを破壊するとは到底思えない。

 

 

「真偽かどうかは河川敷に行かねぇと分かんないな。もしかしたら、リュウは嘘をついてるかもしれん」

 

「嘘なんかついてるわけないだろォ!?」

 

「カズがそんなことをするはずが……ユウの言う通り、河川敷に行ってみよう!」

 

「えぇ、そうね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたな」

 

「いるな」

 

「いたわね」

 

 

 カズがいるといわれている河川敷に着くと、俺たちはDキューブの前で佇んでいるカズを見つける。

 

 

「カズ!リュウのブルドを壊したって本当か?」

「……………」

 

 

 しかしいつものカズとは違い、どこか表情は虚で近寄り難い雰囲気を醸し出していた。カズはバンを見つけるとLBXを片手にCCMを構える。

 

 

「………勝負だ、バン」

 

「LBX!?」

 

「そうか、新しいLBX買ったのか!でも、そのLBX…見たことないけど、もしかして一点物!?どこで買ったの!?」

 

「そんなことはどうでもいい。それよりバトルだ。エジプトで、切り刻んでやる!」

 

 

 カズの新しいLBX、エジプト。

前にバンに借りたLマガにはエジプトというLBXは新製品情報には載ってなかった。

 一体どこでカズはあんなLBXを入手したのだろうか?

 

 

「エジプトっていうんだ。強そうじゃない!」

 

「よーし、相手になってやる!バトル開始だ!」

 

 

 絶対とは言えないが、見た目といいあのLBXはどこか不吉な雰囲気を感じてならない。まるでカズがLBXに操られているような。

 

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