ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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第5話 狙われた財前総理

 

 宇崎さんはとある組織が企てている総理暗殺計画を俺たちに話してくれた。そしてバン、アミ、カズ、そして俺にそれぞれ問いかけてくる。

 

 

「「…………」」

 

「もちろん、とても危険な任務だ。断ってくれても構わない」

 

 

 改めて謎の組織が総理暗殺計画を企てていると聞くと、さすがのバンたちでも考え込んでしまう。

 仮に総理暗殺の阻止に失敗すれば、最悪死ぬ可能性もあるということも拭えない。だがバンの意志は固かった。

 

 

「…俺、やる!」

 

「バン!?」

 

「繰り返して言うが、とても危険な任務だぞ」

 

「うん…でも、俺……LBXを使って悪いことをするのは許せないんだ!だから……」

 

 

 バンらしい考え方だ。何故ならバンの親父が作ったLBX、それを悪用されることが何よりも許せないだろう。

 俺やアミ、カズもそのことは良くわかっている。だからこそバン1人で行かせるは毛頭なかった。

 

 

「私もやります!バンだけに行かせるわけにはいかないでしょ…友達なんだから!」

 

「アミ……」

 

「俺もやる、財前総理のこともそうだけどバンたちを危険に晒すつもりはさらさらねぇんだよ!!」

 

「ユウ……」

 

「………」

 

「君はどうする?」

 

 

 どうやらカズもバンと一緒に行くつもりのようだが、あいにくカズのウォーリアーは全壊、手持ちにLBXがない状態だった。

 そこで蓮さんは、この任務を成功させればハンターをカズに譲ると約束した。LBXが無いことに躊躇していたカズだったが、成功すればハンターを譲ってくれると分かった時はものすごく気合いを入れていた。

 

 

「パレードは明日だ。明日の朝、パレードストリートに集合してくれ」

 

「はい!」

 

「それから、さっきも言ったようにこの件は誰にも話さないでほしい。もちろん、家族にもだ。話せば危険に巻き込まれる可能性がある」

 

 

 ものすごく唐突で驚いたが、話に乗ったからには準備をしなければならない。そうと決まれば河川敷でカズの新しいLBXハンターの試運転しに行くことにした。

 

 

「ところでユウ、風の噂で聞いたが最近はインスタントやレトルトばかりだったそうじゃないか?自炊をサボったな?」

 

「あっ…スゥ……気づいちゃいましたか蓮さん………説教スかコレ……」

 

「あぁ勿論だ」

 

 

 このあと蓮さんにめちゃめちゃ叱られた。またお世話になりそうですお師匠。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蓮さんにこっ酷く説教を喰らった後に俺とカズは河川敷に来ていた。もちろん目的はハンターの試運転だ。

 

「すごい機体反応速度だ!思い通り、動いてくれる。超長距離センサー、光学補正ジャイロ、弾道予測プログラム!すごい…ずっと遠くまで狙える能力がある。そうか、長距離射撃が得意なのか!」

 

「カズ、早速だけど向こう岸にある空き缶を狙えるか?」

 

「おう、分かったぜユウ!行ッけぇ!!」

 

 そう言ってカズはCCMを駆使して空き缶に標準を合わせ、銃弾を放つ。だが狙った方向は大きく右に逸れてしまい、命中することはなかった。

 どうやらウォーリアーと感覚が全然違うらしく、標準と着弾点にズレが生じた。

 

 

「ふぅ…調整完了。今度こそどうだ?行けぇッ!!」

 

 

 軌道を修正して空き缶を狙うも、今度は左に大きくズレる。

 総理暗殺は明日に実行される。それまでに何とかハンターの命中率を上げなければならない。試行錯誤を繰り返して34回目、遂にハンターの銃弾が空き缶に命中する。しかしここからが本番だ。

 

 今度は俺がウォーリアーを操作して、カズの指定した場所で動き回る。そしてカズは動き回るウォーリアーを狙い撃つといった訓練内容だ。

 

 

「カズ!そっちを撃っても俺には当たらねぇぞ!身を潜めて、俺の動きを予測して撃て!!」

 

「くっ…!てか早いなユウのウォーリアー!?」

 

「そりゃカスタマイズしてるからなぁ俺のウォーリアー!!」

 

 

 総理暗殺にはLBXが使われる、なのでこうしてウォーリアーを動かしてカズのハンターを鍛えている。

 もし仮に暗殺者のLBXが俺もしくはそれ以上の機体反応速度だったらと考えると、とてもじゃないが恐ろしく感じる。

 

 

「ホラ、もっとスピードを上げるぞ!一発で仕留めろや!!」

 

「…ッ!うぉぉおおおお!!!」

 

 

 カズの思いがハンターに伝わったのか、スコープの照準がさらに正確になる。そして放たれた銃弾はウォーリアーの胴体を貫通して爆発した。

 

 

「っしゃぁぁああああああ!!」

 

「いいぞカズ!これをあと2回だ!!今度は2機投下するぞ!絶対に外すなよー!?」

 

 

 総理を暗殺するLBXが1機だとは限らない、もしかしたら2機潜伏してる可能性だってある。そのためカズには一発の銃弾で2機ともに狙い撃ちしてもらいたい。

 

 結局この課題をクリアしたのは数時間後のことであり、俺たち2人は疲労でいっぱいだった。ひとまず中断して帰宅する事にした。

 

 

「とりあえずやれることだけやった。カズ、お前が頼りだぜ…」

 

「あぁ分かってる、必ず明日は総理暗殺の阻止は成功させる…じゃあなユウ!」

 

「おう、またな!」

 

 

 河川敷でカズと別れ、家に向かって住宅街で走っているとCCMから着信音が鳴った。どうやらバンからだ。

 一体何の用だろうと不思議に思いつつも、電話に出る。

 

 

「もしもし?バン、一体どうしたんだ?」

 

『急にごめんユウ、父さんはLBXを悪い人に使われるために作ったんじゃないよね?』

 

「当たり前だろうが!てかそんなことにLBXとか作ってたら、俺が父ートぶん殴ってやるわ!!!」

 

『あはは…ユウらしいよ…』

 

 

 どうやらバンは俺の答えを聞いたのか、どこかホッとしていた。もちろんCCM越しでもしっかり伝わった。

 

 

『父さんはそんなことのためにLBXを作ったんじゃない。もし誰かがLBXを悪いことに使うつもりなら、父さんに変わって俺がやめさせるんだ…!』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()…だろ?」

 

『なんで俺の言おうとしたことが分かったんだ?』

 

「バンが言いそうな感じ、あと何年お前と幼馴染してるんだっての」

 

 

 途中で買ったジュースを飲みながらそう答えた。そろそろ明日の準備をしたいので、そろそろ通話を切ることにした。

 

 

「じゃあそろそろ切るわ、また明日なバン」

 

『うん、またなユウ』

 

「おう。じゃあなバン!」

 

 

 俺は通話を切り、そっとCCMを閉じた。

 明日はパレードストリートでパレードが行われる。必ず総理暗殺を阻止して、総理就任パレードを成功させなきゃならない。

 だからこそくよくよと悩んでいる暇はない。少しでも成功の確率を上げる為に、俺が出来ることをやらなくちゃいけない。まずは家に帰って、LBXのメンテナンスだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっわ…結構人がいるなぁ……」

 

 次の日、ミソラ駅から隣の駅にあるパレードストリートに着いたのだが、すでに駅前には大勢の人いた。

 目的地を行こうとするも大勢の人が壁みたいなっていたので、バンたちとは合流出来そうにないことが分かった。

 

 するとCCMから着信音が鳴った。どうやらアミからだ。すぐさま電話にでると、通話越しでも怒っているのが分かった

 

 

『ちょっとユウ!一体どこで何をしてるのよ!!』

 

「いやぁ…すまんアミ、人混みのせいで今そっちには行けねぇ!悪いけど、アミらとは別行動になっちまうわ!」

 

 俺は途中でアミからの電話を切り、路地裏の方に向かうと檜山さんからメールが届く。どうやら南ビルに総理を狙う殺し屋がいるということらしい。

 

 だがここからだと明らかに南ビルからは結構な距離がある。とりあえずサラマンダーMK–Ⅱに備わってる機能の一つであるサーモグラフィーを使って、辺り一帯をスキャンした。

 

 

「ん?北ビルの3階に誰かいるな…?」

 

 

 総理の就任パレードがある今日は北ビルは閉まっているハズ、それにLBXらしき影も見えた。

 ひとまず俺は北ビルに向かおうとするが、途中で丸みのあるロボットたちに道を阻まれてしまう。

 

「…え?なにアレ??」

 

《!》

 

「…ちょっと待て、もしや警備ロボットか!!?」

 

 

 突如警備ロボットからDキューブが現れ、フィールドを展開していく。フィールドは海に面し、運河が街を横切っている。港湾都市ジオラマだ。

 警備ロボットの操るLBXは、ナズー、クイーン、マッドドッグの3機のようだ。

 

 

「あぁ…くそッ!時間が無い時に限ってこれか!!」

 

 

 多少イラつきながらも、サラマンダーMK–Ⅱをフィールドに投下する。

 今の時刻だともうすぐ財前総理がパレードストリートに現れる、だからここで足止めを食らうわけにはいかなかった。

 

 

「サラマンダーMK–Ⅱ!!さっさと終わらせるぞ!!」

 

 

 まずはマッドドッグからだ。

 マッドドッグは当然のごとく光学迷彩で周囲に溶け込んだ。だがマッドドッグがそんなことをしたところで俺の相手ではない。

 すぐさまマッドドッグを発見、胴体を貫いた。

 

 

《Attack Function!グレイスミサイル!》

 

 

 クイーンは必殺ファンクションを発動、大量のミサイルをサラマンダーMk-2に向かって放つ。しかし当たらなければどうという事はない。

 近くにいたナズーを盾にし、大量に放たれたミサイルを防ぐ。もちろんナズーはロストした。

 

 

「これで、トドメだ……ッ!!」

 

 

 トドメとしてクイーンを斬り裂き、バトルは終了する。そして警備ロボットはバトル終了後に、完全に停止した。

 ここでひと段落をつけたいところだが、どうやらバンらは殺し屋のLBXと接触したみたいだ。出来れば助太刀に行きたいところだが、やるべきことがある。殺し屋を捕まえることだ。

 

LBXを破壊したところで、殺し屋自身が総理の暗殺に向かってしまえば意味がないんだ。

 

 

「宇崎さん、聞こえますか!」

 

『ユウ!一体今までどこにいたんだ!!』

 

「今はバンらとは別行動をとっています!!それと宇崎さん、俺の近くに殺し屋がいます」

 

『な…ッ!?ダメだ!いくらなんでも危険すぎる!!』

 

「そんなこと言ったって……ッ!?」

 

 電話で宇崎さんと話しながら走っていたが、俺は途中で足を止める。何故なら殺し屋らしき男が、俺の存在に気付いたからだ。

 

 

「……お前は総理暗殺を妨害するガキの連中の1人だな?」

 

「…だったらどうすんだよ」

 

「俺の姿を見たんだ、どうなるかは分かるよな?」

 

 

 俺は仕方なく通話を切ると、咄嗟にCCMとサラマンダーMk-Ⅱを構える。

 殺し屋はそれを見たのか、コートの胸ポケットに手を突っ込む。そして男が取り出したのは、妙な形をしたCCMだった。

 

 殺し屋がそのCCMを操作すると、突如として謎のLBX 7機が現れた。どうやらあのCCMは複数操作できるように改造されたモノのようだ。

 

 

「行けェ、デクー!!」

 

「サラマンダーMK–Ⅱッ!!」

 

 

殺し屋が操るのはデクー7機、それもたった一つのCCMだけで操っている。焦りを感じる俺を見て、殺し屋は嘲笑った。

 

 

「おやおや?さっきの威勢はどうしたのかな?」

 

「…っ!!」

 

 

 敵の動きを慎重にはかっていたが、わずかな隙間を見ていたサラマンダーMk–Ⅱ──────

 

 

「なァッ!!?」

 

 

──────ではなく俺に向かって弾丸が放たれる。だがギリギリながらも身を引いて回避には成功する。

 デクーの正確な射撃に命の危機を感じた俺は咄嗟に身を隠したものの、どうやら本気で俺の命を狙っているようだ。

 

 

「隠れんぼか?いいだろう、乗ってやる」

「(くそっ…!中々のサイコ野郎じゃねぇか!?)」

 

 

 緊張が走る中、俺とサラマンダーMk–Ⅱは別の隠れ場所に移動し、複数のデクーの様子を伺った。そして迅雷棍を手に握り、タイミングを見計らった。

 

 

「さて、一体どこにいるのかな?」

 

「(今だ!!)」

 

「なんてな!!」

 

 

 だがタイミングを誤ってしまい、もうダメかと思った。

 だが銃弾が俺に当たることはなかった。ふと目を開けると、何十発の銃弾がゆっくりと俺の方へと向かっていた。

 

 よく分からなかったが、このチャンスを手放してはいけないと悟った。そうと分かれば行動は早く、サラマンダーMk-Ⅱはデクーたちを一気吹き飛ばした。

 

 

「ぐぁぁぁあああああッッ!!?」

 

 

 複数のデクーを吹き飛ばすと同時にCCMは爆発、殺し屋は成す術なく、爆発に巻き込まれて気絶した。

 俺は警戒を解くことはなくリュックに入っていた縄を取り出し、殺し屋の腕を縛った。

 

 

「……っしゃぁぁあああ!!」

 

 

 殺し屋が動かない事を確認するとようやく総理暗殺を阻止に成功したのだと確信した。同時に俺は大の字になって倒れてしまう。

 

 今気付いたことだが、どうやら馬鹿力とやらはが長ければ長いほど身体に負担が掛かるらしい。だけど今回は運良く使用時間が短かったおかげで、身体は特に影響はなかった。

 

しかし殺し屋のCCMが爆発したこともあってか、衣服はボロボロになっていた。

 

 

『応答しろユウ!大丈夫なのか!?』

 

「あっハイ、とりあえず俺のことは大丈夫です。それよりバンたちは?」

 

『バンたちも成功した!それと急いでその場から撤収するんだ!もうすぐ騒ぎに気づいて、そこに警察が押し寄せてくるぞ!』

 

 

 警察が押し寄せて来ると分かれば、ひとまず退散だ。もちろん殺し屋は置いていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっとユウ、なんでそんな服がボロボロなのよ!?それに所々怪我もしてるじゃない!?」

 

「あー…マジですまんかったアミ……」

 

「でも殺し屋をよく倒したなユウ」

 

「頑張った」

 

「殺し屋を倒して頑張ったで済ませるのかお前は…」

 

 

 放置した殺し屋は今頃警察に捕まったことだろう。それにしても爆発のせいで怪我はするわ服がボロボロになるわ、とてもじゃないが災難にも程がある。

 

 

「よくやってくれた!カズ、見事だったぞ」

 

「あぁ、ハンターのおかげさ」

 

「ホントによくやったよ。お前らは正真正銘、この国を救ったヒーローだ!」

 

 

 俺らは総理の暗殺を阻止に成功し、国を救った。そんな実感が湧かなかったのか、しばらく呆然としていた。

 

 

「信じられないよな、俺たちが総理の暗殺を阻止したなんて」

 

「ホント、凄すぎてママに話しても信じてもらえないだろうな〜」

 

「でも俺…アサシンと戦ってる時、怖くなった……相手は暗殺用のLBXだったんだ、下手すりゃ俺たちも……」

 

 

 相手が殺し屋、もしあの時バトルに負けてしまえば、死んでいたのかもしれない。運が良かったとしか言えなかった。

 

 

「……そうだよね」

 

「バトルに夢中になってる間は実感がわかなかったけど、今思い出すとちょっと怖いかも」

 

「うん……」

 

「……宇崎さん、答えてください!なんで俺たちがこんなことを?それに、なんで俺たちだったんだ?」

 

 

 バンがそう言うと宇崎さんは、考え込むようにして顔を俯く。そして何かを決心したかのように、宇崎さんはとある真相を俺たちに語った。

 

 

「バン、君に伝えておくべきことがある。飛行機事故で亡くなった君のお父さんのことについてだ」

 

「え?なんで、父さんのことを?」

 

「実は、君のお父さんは……生きている」

 

「「えっ!?」」

 

 

あの日、飛行機事故で亡くなったバンの親父さんである山野淳一郎は生きていたのだ。

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