ダンボール戦機-Zero-   作:赤倉翔

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第9話 箱の中の魔術師

 特訓2日目。俺たちは放課後、いつものキタジマ模型屋に訪れていた。理由はもちろんバンたちの特訓だ。

 

 

「よし、それじゃあ昨日の特訓の続きだ。好きなようにカスタマイズして良いけど、今回の対戦相手は俺じゃねぇぞ」

 

「ユウじゃないのか?じゃあ一体誰が…」

 

「今回の相手は俺たちだ!」

 

「今、バンの為に私たちができることをしようと思って。本気で行くからバンも思いっきり来てね?」

 

 昨日の特訓をし続けて分かった、パターン化することもあって一対一の特訓だけをしても強くならない。

 だからこそカズとアミにバンの特訓相手なってくれるように頼んだ。

 

 

《 バトル スタート》

 

 

 今回のルールは先に全機倒した方の勝ちのストリートレギュレーション、どのルールの中でも1番まともなルールだ。

 

 

「ハンター!!」

 

「クノイチ!出陣!!」

 

「アキレス!!」

 

 

それぞれ3人はそれぞれのLBXWフィールドに投下、バトルが開始された。

 チーム分けはバン1人とアミとカズの2人、一対二のバトルである。

 この状況を見て若干バンの方が不利だということが分かる、だけどバンが強くなる為の効率はこれくらいが丁度いい。

 

 

「よっしゃ!まずは俺から行くぜ!!」

 

 

 まず動いたのはハンターだ。

 ハンターはライフルの標準をアキレスに定め、弾丸を放つ。しかしアキレスはハンターの銃弾を読んでいたかのようにそれを回避する。

 

 

「やるわねバン!だけどカズばかり警戒して良いのかしら?」

 

 

 銃弾を避けたアキレスの先には短刀コダチを握ったクノイチが待ち構えていた。

 アキレスは間一髪で避けるものの、短刀コダチによってアキレスの装甲にヒビが入る。しかしクノイチは不意打ちでアキレスランスに突かれ、体力ゲージが削られてしまう。

 

 

「嘘っ!?」

 

「このまま押し切れ!!」

 

「させるか!!」

 

 クノイチにトドメを刺そうとするアキレス、しかしハンターに狙われていると分かると即座にその場から離脱する。

 ハンターはリペアキッドMを使い、アキレスによってダメージを負ったクノイチの体力ゲージを30%回復させた。

 

 

「一気に突き崩す!」

 

 

 アキレスはスピードリキッドLを使って移動スピードを大幅に上げる。そのスピードを生かし、ハンターに接近する。

 

 接近してくるアキレスに気づいたハンターはライフルを構えて撃ち続けるも、加速するアキレスに当たるハズもなかった。アキレスランスによる連続突きによってハンターはブレイクオーバーとなった。

 

 

「しまった!?」

 

「よし!このまま…!!」

 

 

 クノイチは持ち前の敏捷性と軽量さを生かして即座に速攻を仕掛ける。しかしアキレスはその敏捷性を上回るスピードで、クノイチの突撃の勢いが殺し切らないうちに蹴りを込めて吹き飛ばす。

 

 

「必殺ファンクション!!」

 

 

《Attack Function!ライトスピア!》

 

 

 突き出したアキレスランスから衝撃波が一筋の光となり、アキレスが放った閃光はクノイチを包み込んだ。

 

 

「やったぁ!勝った!!」

 

 

 閃光に包まれたクノイチは機能停止、ストリートレギュレーションでのLBXバトルはバンの勝利で終わった。

 特訓が終了すると店長が店の奥からモーターらしきコアパーツを持ってきた。

 

 

「腕を上げたな、バン!今の君ならばこれなら使いこなせる」

 

「…使いこなせるって?」

 

「シグマDX9、タイニーオービット社製の最新高速モーターだ」

「「シグマDX9!?」」

 

 

 最近入荷した最新型、移動BP消費が180、チャンスゲージ出力が40の最高出力のモーターだ。一方でスロットを10マスも使うから非常に大きいモーターでもある。

 

 

「ほれ」

 

「え?くれるの?」

 

「あぁ、プレゼントだ。その代わり、アングラビシダスでは必ず優勝しろよ!」

 

「店長、ありがとう!」

 

 

 太っ腹な店長だ。しかしこんなこと言うとアレだが、産業廃棄物に見えなくもない。

 だがそんなことを声に出して言えば店長にどつかれるのは目に見えているので、心の中でそう思っておいた。

 

 

「カスタムモーター、シグマDX9…これで…よしっと!」

 

「そういやバン、この後どうすんだ?」

 

「もちろんLBXバトル!」

 

「ったく…バンらしいな…」

 

「そうね、カズ」

 

 

流石はLBXオタクってところか。あまり人のことを言えないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。俺は放課後にミソラ商店街のゲームセンター、LBXカードバトルをしていた。しかし偶然にも珍しい人物とばったりと会った。

 

 

「久しぶりだなァ、ユウ」

 

「おぉ…仙道か、久しぶりだな」

 

 

 仙道がゲームセンターに入ってから店内の客が誰一人として居なくなった。流石ミソラ一中の番長格である。

 仙道もバンたちと同じくアングラビシダスの参加者だ。目的はやはりアルテミスの特別枠だろう。

というか

 

 

「ユウ、今お前変なことを考えてなかったか?」

 

「イエ、ナンデモゴザイマセン」

 

「目をそらすな」

 

 なぜ周りの人はなんで勘が冴えてるのだろうか。謎が増えるばかりである。

 

 

「まぁいいじゃないか仙道!それよりタロットはどんな感じなんだ?」

 

「お前、後で覚えておけよ…!タロットカードか…お前は相変わらず塔の逆位置だ…」

 

 

いわゆる塔の逆位置は価値観を揺るがすほどの大きな衝撃・出来事を示している。

崩壊・破滅・破綻・革命・自己・ショック・災害・病気・警告の意味が込められているが、逆位置の場合はその意味合いが変化する。

 

 

「ハァ……仙道のタロットって意外と当たるんだよなぁ、現に…ん?」

 

「あいつは…郷田ハンゾウ…」

 

 

 確か仙道はミソラ一中の番長格のようだ。ミソラニ中を仕切っている郷田とは常に対立関係だったのをすっかり忘れてた。

 

 

「これはこれは…郷田じゃないか…!俺たちの縄張りに一体何のようだ?」

 

「お前…何で仙道と一緒にいるんだ…」

 

「無視してんじゃねぇよ郷田、ここはミソラ一中の縄張りだ!さっさと立ち去れ」

 

 

 まさに犬猿之仲。迂闊にミソラ一中の縄張りであるゲームセンターに来てしまったことを後悔する。

 

 

「立ち去るわけねぇだろ!というかユウ、お前はミソラ二中じゃねぇか!?あんなプライドが高いヤツなんて放っておいてバンたちのところに行くぞ!!」

 

「バンってヤツが誰だか知らないが、勝手にユウを連れて行こうとするんじゃねぇよ郷田!ユウはお前みたいな暑苦しいヤツと関わりたくないンだとよ?」

 

「なんだとユウ!?」

 

 

 そんなことを言った覚えは1ミリもないのである。

 なぜ俺を巡って喧嘩しているかは分からなかったが、巻き添えでゲームセンター出禁とかなったら洒落にならない。

 

 

「気にくわねぇんだよてめぇは…!!だがここで騒いでもアレだ、LBXバトルで決着をつけるぞ!!」

 

「ふん…俺もお前のことは気にくわないンだよ。だから俺のLBX、ジョーカーでお前を叩き潰す」

 

 

 郷田と仙道はそれぞれのLBXを手に取り、CCMを構える。Dキューブは既にゲームセンター内で用意されている為、展開する必要はなかった。

 

 

「この勝負、勝ったヤツが負けたヤツに命令できるってどうだ…!」

 

「郷田にしては珍しく良い案じゃないか、だが勝つの俺だけどな」

 

 

《 バトル スタート 》

 

 

 郷田と仙道は自身のLBXをフィールドに投下した。フィールドは大きく広がる緩やかな起伏がある大草原、レギュレーションはいつも通りのアンリミテッドだ。

 

 

「お前から攻撃を仕掛けてもいいんだぞ?

「言いたい放題言いやがって…ッ!!」

 

 

 仙道の挑発に乗ってしまった郷田は、ハカイオーはジョーカーに向かって破岩刃を振りかざした。しかしジョーカーはストライダーフレーム特有の敏捷性と軽量さを生かし、軽々とハカイオーの攻撃を回避する。

 

 

「くそ!攻撃が当たんねぇ…ッ!!」

 

「どうした?いつものLBX破壊ショーはやらないのか?」

 

 

 煽り続ける仙道に怒りのボルテージが上がってゆく郷田、その影響はLBXバトルにも出ていた。当然その隙を逃す仙道ではなかった。

 

 

「さっさと終わらせるか、少しだけだが本気を見せてやるよ…!」

 

「なに!?」

 

 

 突如ジョーカーはハカイオーの周囲を回り出した。その速度はどんどんと上がってゆき、まるでジョーカーが三機に分身したかのように見えた。

 

 

「分身だと!?」

 

 

 ジョーカーは鎌型武器であるジョーカーズソウルで何度ハカイオーを斬りつける。ハカイオーは抵抗して攻撃を仕掛けるもジョーカーは軽々とハカイオーの攻撃を回避した。

 結局ハカイオーは成す術なくジョーカーの手によってブレイクオーバーとなった。

 

 

「なんだ、地獄の破壊神はこんなものかよ…」

 

 

 あまりにも仙道のヒールっぷりに何も言う事が無かった。しかしこう見えても仙道は妹思いでツンデレで良いヤツなのだ。こんなことを本人の前で言おうものならば間違いなく高確率でアイアンクローされてしまうので、俺は黙っていた。

 

 

「リーダー…!?」

 

「ウソでゴワス、こんなの!」

 

「信じられねェ……郷田君、何があった!?」

 

 

 タイミング悪く郷田三人衆とバンたちがゲームセンターに入店した。そして御一行は仙道と仙道に敗北した郷田の姿が目に映った。

 

 

「仙道ダイキ!」

 

「カズ、知ってるの?」

 

「ミソラ一中を仕切ってるヤツさ。郷田とはずっと張り合ってるんだ。そして別名、箱の中の魔術師!!変幻自在なバトルを仕掛けることで有名なヤツさ!」

 

 

 箱の中の魔術師という異名を持つ仙道とは過去に何度もアングラビシダスの決勝で当たったことがあるが、その異名もあってかとても厄介だ。

 特に先程見た分身攻撃は厄介極まりない、この分身をどう対処していくかによって事は大きく変わる。

 

 

「見ての通りさ。地獄の破壊神が、地獄を見た…だよな?」

 

「………ッ」

 

「そんな体たらくだからLBXを始めたばかりのド素人に負けちまうんだ」

 

 

 地に伏せた郷田を煽りながら仙道はバンを揶揄する。バンも揶揄されたことに気が付いたのか咄嗟に身構える。

 

 

「俺の負けだ…お前の言う通りにするぜ…ッ」

 

「そうだなぁ〜…このゲーセンは俺たちの縄張りだ。今後一切、ユウを除くミソラ二中の出入りは禁止だ」

 

「ふざけんじゃないよ!!」

 

「口を出すな!!!」

 

「けどリーダーッ!!」

 

「俺は負けたんだ、どんな屈辱も…甘んじて受け入れる…ッ!」

 

 

 何故俺だけ除かれたのかはよく分からなかったものの、仙道はきっとツンデレなのだと思った。すると仙道は俺の考えいることを理解したのか、一思いにアイアンクローで沈められてしまう。

 

 

「あれぇ〜?な〜んか格好つけてるけど、ハカイオーを倒したの…あんたが最初じゃないから」

 

「…へ!?」

 

 

 突然アミが郷田を最初に倒したのがバンであることを白々しく呟いた。どうやらあまりにも仙道のニヒルっぷりに腹が立って行ったようだ。

 そんなアミの発言に仙道はバンを睨んだ。

 

 

「…なんだって?」

 

「その通りだ仙道!!ハカイオーを倒したのはヤツだぜ!!」

 

「あ…っ!?いや、えぇ〜っと……!?」

 

「アミも余計なこと言うぜ…」

 

「だってあいつ、嫌な感じだもん」

 

 

 あまりにも突然のことで困惑するバン。哀れの一言に尽きる。

 そして何を言っても無駄だと悟ったバンは場の流れに身を任せることにしたようだ。

 

 

「ふ〜ん…アイツがねぇ…」

 

「そうだ!最初じゃねぇ…てめぇは二番手ってこった!!」

 

「黙れよ敗者」

 

 

 郷田を黙らせた仙道はゆっくりとバンの元へと歩み寄る。

 仙道の表情は冷静極まりない。自分が強いと言わんばかりに堂々として、口端には笑みすら浮かべていた。

 

 

「お前、名前は?」

 

「山野…バン」

 

「お前が山野バンか、俺のジョーカーと戦え」

 

「あいつ、ジョーカーを使うのね…」

 

「ジョーカーはクセが強くて扱いにくい機体だ。それを使いこなせるとなると…相当腕が立つってことか…」

 

 

 バンはゲームセンターのモニターに映るジョーカーを見つめる。

 ストライダーフレームが数あるLBXの中でもダントツの俊敏さを誇るジョーカーは装甲フレームが極限にまで軽量化されている。

 

 しかし玄人向けのトリッキーな操作性からカスタマイズのしづらい機体と言われ、フレームからしてクセが強くて扱いにくい反面がある。つまりカスタマイズを駆使するバトルに醍醐味を見出すプレイヤーからはどうにも敬遠されがちであったLBXだ。

 

 

「いいよ、やってやる!」

 

「……見える」

 

「え?」

 

「……見えるぞ。お前が俺にひれ伏す姿がな……」

 

 そう言って仙道が取り出したのはタロットカードの死神の正位置だ。楽観的な言葉や行動から、非常に大きな問題を引き起こしてしまうことを、このタロットカードは意味していた。

 

 

「そのカード、なに?」

 

「タロットカードを知らないのかよ!?」

 

「???」

 

 

 バンは基本仲間思いの優等生だが時折そういう知識はなかった。無論タロットカードもその中の1つだ。

 仙道は仕方なくタロットカードを仕舞い、ジョーカーを手にしてDキューブの前に立つ。

 

 

「始めようか…」

 

「あぁ!」

 

「気をつけろよ、ヤツは箱の中の魔術師と呼ばれている。信じられないバトルをする…」

 

「心配ないさ…行け、アキレス!!」

 

 

 バンの掛け声と共にアキレスはフィールドへとに舞い降り、ジョーカーと向き合う。一方の仙道は市販では売られていないレアLBXであるアキレスに興味を示した。

 

 

「初めて見るLBXだな…」

 

「アキレスさ!」

 

「アキレスねぇ…レギュレーションはアンリミテッド、バトル開始だ」

 

 

《 バトル スタート 》

 

 

「アキレスの力を見せてやる!」

 

 

 アキレスは開始早々にオートマチックガンを手にし、ジョーカーに向けて撃つ。しかしジョーカーはストライダーフレームがの中でもダントツの俊敏さを誇っており、銃弾を軽々と避けた。

 

 

「へぇ〜…結構早く動くんだねぇ…」

 

「確かにレベルアップしてやがる、俺と戦った時と大違いだ…!」

 

 

 バンは銃弾が当たらないと分かるとすぐにアキレスの装備をオートマチックガンからアキレスランスに切り替えた。

 

 

「やるねぇ」

 

「行け!ライトニングランス!!」

 

「え!?いきなり!?」

 

 

《Attack Function!ライトニングランス!》

 

 

 アキレスランスにエネルギーを集中、突き出した穂先から放つ渾身の一撃をジョーカー放った。しかしジョーカーはアキレスのライトニングランスを回避と同時に高く跳躍し、アキレスの腕に狙いを定めてジョーカーズソウルを振り下ろす。

 

 

「ライトニングランス…命中しなければ、何の意味もないよねぇ!」

 

「動きが読めない…これじゃあライトニングランスは撃てない…ッ」

 

 

 必殺ファンクションを過信してしまったバンは、ジョーカーに翻弄される。ついにはアキレスの駆動部にジョーカーのサイスが突き刺さってしまった。

 

 

「大したことないねぇ…。郷田、こんなヤツに負けたのか?」

 

「お前こそ!逃げてばっかりいないでちゃんと戦え!!」

 

「逃げる?馬鹿言うなよ。これは戦略、戦いのスタイルだ。お前のスタイルはこんなものか。必殺ファンクション頼みの単調な力押し、愚かしさの極み」

 

「何!?」

 

 仙道はそう言って愚者のタロットカードをバンに見せた。

 この愚者のタロットカードは前向きな気持ちや直感力に頼り、判断することで道が開けてくること、変化と刺激を求めて、現状に取り入れていくことが成功と発展につながることを意味していた。

 

 

「箱の中の魔術師の本気を、少しだけ見せてやるよ。そしてお前のLBXは切り刻まれ、お前は俺にひれ伏す」

 

「バン!油断するな!来るぞ!!」

 

郷田の叫びと同時にジョーカーは敏捷性と軽量さでアキレスの周りを回り始める。

ジョーカーの行動に疑問を抱くバンだったが、ここから箱の中の魔術師の本領が発揮される。

 

 

「なんだ!?ジョーカーの必殺ファンクションなのか…!?」

 

「違うねぇ…」

 

 

 アキレスの周りを回っているジョーカーの速度は極限まで上がり、まるでジョーカーが3機に分身したように見え始める。

 

 

「分身!?」

 

「マジかよ!?」

 

「そんな馬鹿な…分身するなんて…ッ!?」

 

 

 分身したジョーカーの連続攻撃にアキレス防ぐことすらままならないまま、純白の装甲に亀裂が入っていく。そしてアキレスランスはメキっと嫌な音を立ててへし折れてしまった。

 

 性能はジョーカーよりも上であるアキレスだったが、技術や実力は相手の方が上である。バンに勝ち目など到底なかった。

 

 

「こんなハズじゃあ…ッ!?」

 

「これで…終わりだ!!」

 

 

 ジョーカーは分身と共に高く跳躍し、アキレスに向かってジョーカーズソウルを振り下ろす。

追い詰められたアキレスはジョーカーの攻撃から逃れようとバンは回避するようにCCMを操作する。

 

 

「アキレス!!立てぇええええ!!!」

 

 

 しかしジョーカーから受けたダメージによって、装甲がボロボロと化したアキレスは動くことすら叶わなかった。

 

 もうダメかと思ったその時、1機のLBXがフィールドに乱入した。禍々しいを感じる紫の機体、その姿はまるで皇帝。誰もがその姿を忘れるハズがなかった。

 

 

「誰だ!?」

 

「海道…ジン…!」

 

 

 スタンバイしていたのか店内の奥から海道は現れた。

 なぜ海道がバンを助けたのか、そんなことをしても海道には何のメリットもあるハズが無い。

 

 

「仙道くん…だったな?君も…アングラビシダスに出るつもりなら、決着はそこでつけたらどうだ?」

 

「お前、アングラビシダス出るのか?」

 

「あぁ、出場する!」

 

「……お前は?」

 

「…………」

 

 

 どうやら海道もアングラビシダスに出場するみたいだ。

 海道がアングラビシダスに出場するならば、優勝候補の中の1人だと言うことは間違いと言える。それだけヤツは実力を持っているってことだ。

 

 

「へぇ…2人まとめ潰されたいってわけだな。じゃあな、アングラビシダスでまた会おうぜ」

 

 仙道はジョーカーを回収すると、ゲームセンターから立ち去った。

 郷田を相手にLBXバトルで完勝、更に分身戦術でバンを翻弄し、事実上勝利するなど圧倒的な実力を俺に見せ付けていた。

 

 前回のアングラビシダスの時よりも更に仙道のレベルは上がっている、必殺ファンクションを過信していた今バンが仙道に勝つなどあり得ないと断言する。

 

 

「………」

 

 

 周囲を気にせず海道は自身のLBXを回収するとその場で立ち去った。海道も参加するとなると今回のアングラビシダスはいつも以上に大荒れになると言って間違いはない。

 

 

「…………………………………………………」

 

「…………………そんな目で俺を見るな」

 

 

 どうやらアミは何故仙道と一緒にいたのかと懐疑な目で俺を見ていた。しかしどこか俺を見つめるアミの目に光がなく、底なしの闇のように見えた。

 正直怖かった。

 

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