新世紀エヴァンゲリオン -破壊の継承者-   作:歌音

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第拾壱話/海上での出会い

 

 

「海か…この世界の海は…やっぱり赤いな…」

 

シンジは取り返しのつかない物を見る眼で眼下の『海』を眺める。

 

「『僕のいる世界』は…何を間違ったのかな?」

 

「碇君…どうしたの?」

 

「あ、ああ。ごめん綾波。いや…海が、赤いな…って」

 

「何言ってんだよ碇。海が赤いなんて当たり前じゃん」

 

「そうやそうや。昔は青かった見たいやけど、今はまっかっかやろ」

 

ケンスケとトウジが入ってくる。

 

「…そうだな。お陰で、美味い鯖味噌が食えない」

 

シンジは再び落ち込む。

 

別れの時、『ひより姉ぇ』が

 

『私は大切な人に作ったから、シンジも大切な人が出来たら作ってやれ』

 

と渡してくれたレシピをこの世界では使えない。

 

(ソウ兄ちゃん風にいうのなら…美味い鯖味噌も食べれない世界にまでして、この世界の人間は何を考えてたんだろう)

 

「サバミソ?あの缶詰の?」

 

「あのあまりウマない奴な」

 

「サバミソ…ってなに?」

 

「へぇ~、シンちゃんはサバミソ知ってるんだ。昔のサバミソ知ってると、今の缶詰なんて食べれたものじゃないけどね」

 

5人を乗せた軍用高速ヘリは目的地である『国連軍正規空母オーバー・ザ・レインボー』に向かった。

 

 

 

 

 

数時間前…

 

「いよ、いらっしゃい」

 

「おーセンセ、お邪魔するで。これ引っ越し祝いや」

 

「はい、俺のも。しかし凄いじゃないか!第三新東京一の高級マンションの最上階『ロイヤルルーム』なんて!家賃凄いんじゃないのか!?」

 

2人はキョロキョロしながら入る。

 

2人は引っ越し祝いをかねて遊びにきたのだ。

 

「さぁ…払ってるわけじゃないしな。早すぎるかもしれないが、打った蕎麦茹でるから、食堂で座っとけ」

 

『おぉ~!』

 

シンジは2人を食堂に案内する。と、すでにレイが座っていた。

 

「もう座ってんのか?すぐ茹でるからな」

 

「うん」

 

「お、綾波も来てたのか?」

 

「センセも隅に置けんな~」

 

「?何言ってんだ?綾波もここに住んでんだよ。チルドレン全員が住む予定だといったろ」

 

それを聞いて二人は

 

「な、同棲!?」

 

「ま、まさかもういや~んな感じに!?」

 

「…どちらかというと…家政夫の気分だ」

 

 

 

 

「ほれ、出来たぞ。邪道だが、大ザルから取って喰え」

 

物凄い大きなザルに蕎麦を山盛りに乗せて、シンジが食堂に入ってきた。

 

実はシンジもこの部屋の巨大で素敵なキッチンが物凄く気に入っている。

 

調理道具一式も経費で落ちるから最高だ。

 

『わーい!』

 

「…なんでいる。仕事はどうした」

 

そう、名目上の保護者・葛城ミサトがいた。

 

「お蕎麦食べに帰ってきたの」

 

「…また赤木さんにどやされるぞ」

 

「冗談よ(ずず~)うぉ!美味い!何これ!本当に蕎麦!?」

 

「美味いよコレ!」

 

「さ、最高や!」

 

「………(ずずずずずずずずず~)」

 

遠慮無しに餓鬼のように喰う4人。

 

シンジはサイドメニューを取りにキッチンに戻り、聞こえるくらいの声で話す。

 

「ふふん。そりゃ美味いさ。汁を作るのにどれだけ苦労したか。蕎麦粉だって無茶苦茶探したんだぞ。だから味わって…」

 

『ごちそうさまでした!』

 

「…え?」

 

シンジは驚いてメニューを乗せた盆を持って、食堂に戻る。

 

15人前前後あった蕎麦が麺一本残らずなくなっていた。

 

まだシンジは食べてなかった。

 

「シンちゃ~ん。蕎麦湯は?シンちゃんなら用意してるでしょ?」

 

「蕎麦湯…」

 

「センセ、蕎麦湯」

 

「シンジ、蕎麦湯まだ?」

 

(ふ、フードファイターかこいつら!?)

 

シンジは美味いといいながら喰ってくれた喜びと、一瞬でそれが消えた喪失感に浸りながら、熱々の蕎麦湯をみんなに注いだ。

 

「ずず~、あ~、最っ高!シンちゃんがいてくれて嬉しいわ!」

 

「ずずず~(コクコク)」

 

「あ~、美味い」

 

「美味いもん喰うと幸せって本当なんだな」

 

好き勝手いってる4人を尻目に、自分は悲しくオニギリと吸物を食べようとキッチンに戻ろうとすると、

 

「さあ、みんな。お出かけの準備よ。シンちゃんお弁当よろしく。超特急で」

 

「はぁ?」

 

急に言われてみんな驚く。

 

「出かけるって…どこに行くんだ?」

 

「大きなお船でクルージング」

 

 

 

 

 

 

 

 

『オーバー・ザ・レインボー』に到着した5人は艦内の通路を歩いていた。

 

「で、こんな所か…まさかとは思ったが、弁当多めに作ってよかったよ」

 

シンジは担いでいる風呂敷を見る。

 

「ふぇ?なんで。まさか私の為?」

 

「他のチルドレンの分だよ!あんたどれだけ喰うつもりだ!」

 

チルドレンが3人、弐号機と共に来る事は前に聞いていた。

 

で、今回のクルージングと聞いて、とりあえず多めに作ったのだ。

 

大型五段積み重箱にギッシリに具別のオニギリと漬物をいれ、大型ポットに味噌汁もいれている。

 

「育ち盛りだからな。まぁ…」

 

(残ってもこの『食欲魔人』と…)

 

シンジはレイを見る。

 

(食欲旺盛な娘が食べてくれるからな)

 

最近のレイの食事量は凄い。

 

なぜ太らないのか知りたいくらいだ。

 

「で、チルドレンと弐号機は?」

 

「今案内するわ。弐号機が見れる部屋で待ち合わせだから。でも、さっきの艦長。変な奴だったわね」

 

「…そうだな」

 

 

実はシンジ・レイ・ミサトはこの艦の艦長に挨拶をしにいった。

 

ミサトの話では

 

「こういうとこの偉いさんって結構文句言うのよね」

 

といっていたが、以外にも

 

「貴殿らの要請は聞いている。弐号機の譲渡は書類通りに行う。安全に運ぶ努力をするので信用してもらいたい」

 

「え…あ、はい」

 

「この艦に昨日、弐号機の電源ソケットが届いた。マニュアルを読んで対応できるようにしているので、有事の際にはそちらに優先権を回す」

 

「は、はぁ」

 

「それでは良い海上の旅を。オーバー・ザ・レインボーにようこそ」

 

 

 

「確かにおかしかったな。友好的過ぎるだろ」

 

「最近おかしいのよね。今までネルフに反発的だった偉いさん方が『人が変わった』ようにネルフに協力的なのよ。逆に気持ち悪いわ…と、ここよ」

 

ミサトは扉の前に到着し、事前に聞いているパスコードを入力してロックをあける。

 

部屋に入るとすぐ目の前には

 

「おお、コレが弐号機か」

 

「すっげー、新しいエヴァだ!」

 

シンジとケンスケは2人は早速カメラをセットし、様々な角度からパシャパシャとシンジが写真を撮る。

 

「弐号機って赤いんだな」

 

「エースの色だね」

 

ケンスケも負けじと撮る。

 

「3倍速いってか?それなら俺も楽なんだがな」

 

「正義のヒーローがそんなんでいいのかよ」

 

「いいんだよ。どこの誰が倒そうと、みんなが平和になるんならそれで万々歳じゃねぇか。この弐号機のパイロットのセカンドとかいう奴が使徒をバンバン倒してくれりゃあいいんだ」

 

「はっ!所詮は親の七光でなったチルドレンは碌な事考えないわね」

 

突然、良く通る女の子の声が響いた。

 

シンジ達が振り向くとそこには別のドアから現れた一人の女の子がいた。

 

赤い髪、青い瞳…そして、ビックリする位の美少女だった。

 

服装はレモンイエローのワンピースだ。

 

しかし、仁王立ちが似合う美少女というのも珍しい。

 

「それに違うのはカラーリングだけじゃないわ!!」

 

少女は高らかに声を上げる。

 

「これが実戦用に作られた世界初の本物のエヴァンゲリオン!、所詮本部にあるのはプロトタイプとテストタイプ、訓練もしてないサードチルドレンにいきなりシンクロしたのがその良い証拠よ!」

 

それはシンジも知っていた。レイの乗る試作零号機(プロトタイプ)、シンジの乗るのは試験初号機(テストタイプ)、そしてこの目の前の少女が乗るこの赤い弐号機は初の『正規実用型』であり、『先行量産機』でもある。

 

(この間渡された資料じゃ、アメリカで建造中の3号機は弐号機と同じで『正規実用型』。同じくアメリカ製の4号機は『次世代試験型』。そして…隣の艦にある5号機は現在仮設だが『局地仕様』…だったな。6号機はまだ非公開で書いてなかったな)

 

実はこの弐号機にはシンジは結構興味があった。

 

なんでも零号機や初号機とは違って、追加装備(アタッチメント)があるらしい。

 

と、シンジはそのまま弐号機を写真に収めていく。

 

ケンスケは少女の方にフレームを移した。

 

「久しぶりね。アスカ」

 

「ヘロー、ミサト!元気してた!?」

 

「ま~ね~、あなたも背が伸びたんじゃない?」

 

「そっ!!他の所もちゃぁ~んと女らしくなってるわよ?で、エコヒイキのファーストは…女だからコイツね!で、親の七光のサードはどいつ!このメガネ?ジャージ?」

 

「あそこで貴女をガン無視して弐号機の写真取ってる素敵なカレ」

 

アスカと呼ばれた少女は無視されたのが気に食わなかったのか、シンジに近づき、

 

シュッ、

 

足払いをかけるが、

 

ヒョイ

 

シンジは軽くよける。

 

シュッ、ヒョイ。

 

二回目もよける。

 

シュバッ!

 

グーパンチ。

 

ヒョイ。

 

コレもよける。この間、写真をベストショットで撮り続けている。

 

「なんで当たんないのよ!」

 

「当たると痛いからだよ。はい、チーズ」

 

「え?」

 

パシャ。

 

シンジはアスカを一枚撮る。

 

「現像したらやるよ。結構スットンキョな顔してたぜ。今度は笑った顔、撮らしてくれよ」

 

シンジはにっこり笑って、

 

「せっかく可愛いんだからな」

 

「な、なな…!」

 

突然の言葉にアスカは顔を真っ赤にする。

 

「あ~、姫が面白そうな事してる~!」

 

「ホントだね。楽しそうだ」

 

さらに知らない声が出てくる。

 

声の主達はアスカと同じ扉から入ってきた。

 

一人はまたもや美少女で、赤い眼鏡をかけている。白いシャツに黒いジーンズとシンプルだが、そのシンプルさが見事にマッチしていた。

 

そしてもう一人は美少年。白い髪に赤い瞳…街を歩けば、10人中10人の女性が振り返るだろう。

 

「やれやれ、もう飛ばしてんのか?」

 

もう一人誰かが入ってきた。20代後半の男性だ。

 

「げっ!?」

 

その男を見て、ミサトは声を上げる。

 

「よう、葛城ひさしぶりだな」

 

「あんたがなんでここにいる!」

 

もう掴みかからん勢いでミサトが男に問い詰める。

 

「なんでって…この3人の護衛さ。大事なパイロットだからな。ま、とりあえず向こうの専用室にでもどうだ」

 

 

 

 

 

「ほれ、自己紹介もかねて、食事会だ。初めて会う方々、お近づきの印にどうぞ」

 

「あ、こりゃご丁寧に」

 

シンジのススメで、男は頭を下げる。

 

案内された部屋のテーブルには重箱に入ったオニギリが広げられていた。

 

1段目・白結び

 

2段目・高菜

 

3段目・昆布

 

4段目・梅干

 

5段目・漬物各種と卵焼き

 

と量も種類も豊富だった。

 

「じゃあ、まず俺から。俺は加持リョウジ。よろしくファーストチルドレン綾波レイちゃん、サードチルドレン碇シンジ君」

 

「サードチルドレンのバイトをしている碇シンジだ。綾波、ほら自分で挨拶」

 

「…はじめまして」

 

レイはうずうずオニギリを見ている。

 

どうやら楽しみのようだ。

 

「で、俺の友達の…ジャージの方が、鈴原トウジ。眼鏡が相原ケンスケだ」

 

「ども」

 

「はじめまして」

 

「で?そっちは?」

 

「ふん、アルバイトに名乗る名前なんてないわ!」

 

膨れるアスカに加持は苦笑し、

 

「すまんね。この娘は『式波=アスカ=ラングレー』。ユーロ空軍の大尉で弐号機のパイロットだ」

 

「か、加持さん!?」

 

「同じパイロットなんだしちゃんと名のとけって」

 

「…式波=アスカ=ラングレー大尉よ」

 

「おお、よろしくな式波大尉。アルバイター碇シンジだ」

 

「…ふん」

 

「はいはーい。あたしも挨拶するにゃ~!」

 

声と手を上げたのは、眼鏡の美少女。

 

「あたしは『真希波=マリ=イラストリアス』!よろしくねワンコ君」

 

初対面でいきなり人を犬呼ばわりした。

 

「よろしくな、ニャンコちゃん」

 

「ノリい~ね。じゃあ、自己紹介したからこれ頂いちゃうね。ライスボール初めて!いっただきま~す!」

 

ガブッ

 

「こらこら…あれ?」

 

口に入れて、いきなり喋らなくなるマリ。

 

オニギリを口の中で噛みまくる。

 

「ど、どうしたのよフォース。まさかそんなに不味い…」

 

ごくん

 

「う、うま~!」

 

再びオニギリを掴むマリ。

 

「こ、こんなに美味しい物があるなんて!あ、これ草(高菜)入ってる。これもうま~」

 

「だめ…」

 

とレイも懇願する瞳でシンジを見る。

 

「…いいぞ」

 

を合図に負けじと食べ始めた。

 

ここにフードファイトが始まった。

 

「妙な光景になったが…」

 

シンジは少年を見る。

 

(綾波と同じ…紅い瞳…か)

 

「碇シンジだ。よろしくな」

 

と手を出す。

 

「よろしく。僕は『渚カヲル』。君とはいい関係を作れそうだ」

 

「握手もしたし、もう友達でいいじゃねぇか」

 

「え?」

 

少年…カヲルは驚いた顔をする。

 

「自己紹介したし、これから一緒に戦うんだろ。じゃあ、友達だ」

 

「………」

 

「いやか?」

 

「そ、そんなことはないよ」

 

「じゃあ、どうだ。オニギリ」

 

「…頂くよ」

 

「ほら、式波もどうだ」

 

「ふん。食べてやろうじゃない。私の舌を納得させれるかしら」

 

とここで食事会が始まった。

 

「美味いじゃないか。このオニギリの塩加減が絶妙だ。中の具もかなり手が込んでいるな。漬物もグーだ」

 

「ああ、そこの保護者(名目上)が急に言い出すもんでな。冷蔵庫の中にあった具になりそうなもんと糠壷からすぐに取ったんだ。浅漬けだがいけるか」

 

シンジは味噌汁を配りながら答える。

 

「俺の好みだよ。まったく、葛城の事だから君に任せっぱなしだろ」

 

「ちょ!ちょっと加持!そんな訳…」

 

「あるだろうが。今ならの釜戸(リフォームしてつけて貰った)なら兎も角、炊飯器でご飯もマトモに炊けない癖にいうな」

 

「葛城…」

 

「ちょ、誤解よ誤解!ちょっと失敗しただけで…」

 

「本気で早くすむと思って洗剤で飯洗おうとした女がいうな」

 

「………」

 

「ちょっと!なんで黙るのよ」

 

「寝相の悪さも相変わらずか」

 

「脱いだ物も脱ぎっぱなしだよ。いい加減洗濯物はちゃんと出してくれ」

 

ガタッ!

 

「し、シンジ!?もしかしてミサトさんの洗濯物を!?」

 

「し、シンちゃん!すと…」

 

「ん?当たり前だろう。そうじゃなきゃ着るもんなくなるぞ。まったく、ちゃんと洗濯籠に入れろってんだ」

 

「センセー…妹を救ってくれたお前やけど、わいはお前をシバかなあかん…」

 

「なぜ!?」

 

トウジの拳を受け止めて、押さえていると、

 

「おかしいな…よく出来る人が生活の面倒を見てくれるって言ってたけど?」

 

カヲルが首を傾げてたずねた。

 

「それは俺だ渚」

 

「じゃあじゃあ、これもワンコ君が作ったんだよね!こんな美味しいモノ毎日食べれるの」

 

「ああ、食べれるぜ」

 

「やた~」

 

マリは喜びの声を上げる。

 

ミサトは机に突っ伏している。

 

そして…

 

(くそ…おいしーじゃん)

 

オニギリと味噌汁を口に入れて、アスカは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだい?碇シンジ君は?」

 

「ふん!あんなオサンドンがサードチルドレンなんてね!務まる訳ないわ!」

 

「そうかにゃ~、結構面白いじゃん」

 

「そうだね。芯も強そうだ」

 

「ふん!眼がおかしいんじゃない!あんな雑魚っぽい奴に…」

 

「…雑魚でもないさ。初搭乗時のシンクロ率が99.89%。しかもいまだにそのシンクロを保っている」

 

「はい?」

 

信じられない数値を聞いてアスカが止まる。

 

「しかも」

 

「しかも!?」

 

「噂では彼は『変身』するらしい」

 

「ヘンシン?」

 

それを聞いてアスカは怪訝な顔をするが、他の2人は互いを見て、『ニヤリ』、『ふふっ』と笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あっかいなぁ…」

 

シンジは海を見ながら、呟く。

 

(結局、オニギリも食べれなかった)

 

空腹がさらに感傷に浸らせる。

 

横にはレイがいて、同じように海を見ている。

 

「青い海が懐かしい…」

 

「碇君は知ってるの?」

 

「ああ、そうだな…綾波には話しいていいか。俺は様々な…この世界じゃない、別の世界を旅したことがあるんだ」

 

「別の世界…?」

 

「今度色々話してやるよ。その世界の事…その世界を守る為に戦った、『仮面ライダー』のことも」

 

「仮面ライダー…ねぇ、碇君。『仮面ライダー』って何なの?」

 

「仮面ライダー…か。そうだな。簡単に言っちゃうと『お人好し』かな」

 

「お人好し?」

 

「そう。望めば神や悪魔、支配者にでもなれるほどの力を…」

 

(雄介お兄ちゃん、翔一にいちゃん、シン兄、たっくん、かず兄、ヒビキ先生、そー兄ちゃん、リョウちゃん、渡君…)

 

「悩んだり、責められたり、否定されても、その力を、人の為に使った…お人よし。それが『仮面ライダー』だよ」

 

「ふん、バッカみたい」

 

突然後ろから声が聞こえた。

 

「何デタラメ話してんのよ。カメンライダーなんての聞いたことないし、そんな力持ってたら世界中に自分の凄さを見せている筈でしょ」

 

声の主はアスカだった。アスカの罵倒とも取れる言葉を聞いてシンジは

 

「はは、そうだな。でも…いるかもな、そんなバカが」

 

そのまるで褒められたような顔をするシンジを見てアスカは怪訝な顔をしたが、

 

 

グラララララッ

 

 

船に衝撃が走り、揺れる。

 

「え?あっ、キャァァァァァァァ!!」

 

「くっ」

 

その大きな衝撃にレイとアスカはバランスを崩してそのまま海に落ちそうになるが、

 

ガシッ!

 

「ふっ!」

 

近くにいたレイを捕まえて抱きかかえ、

 

バッ!

 

落ちそうになったアスカを抱きとめ、ギュッ、と抱きしめる。

 

ガンッ!

 

「ぐっ…!」

 

そのまま転んで背中を殴打するが、2人は護るように抱きしめていた。

 

「ふぅ…」

 

「あ、あんた。なんで…」

 

「碇君…」

 

2人を助けたシンジの顔は真剣そのものになっていた。

 

(なに…こいつ…こんな顔してたっけ?)

 

そう、今のシンジの顔は『護るモノ』の顔をしていた。

 

アスカは初めて見る『カッコいい顔』にドキマギする。

 

「水中衝撃波…まさか…」

 

(あ、こいつの体…)

 

抱きしめられているアスカはシンジの体を感じる。

 

(凄い…相当鍛えてる)

 

「おい、鯨とかでもこの空母揺らす事はできるか?」

 

「え、あ、えっと…鯨って海洋生物は絶滅してるわ。ってか、いつまで抱きしめてんのよ!」

 

「ああ、すまん。ほれ」

 

「…まったく」

 

「ほれ綾波も…おい、何してる」

 

綾波はシンジに抱きついている。

 

「ポカポカする」

 

「はぁ?」

 

「抱きついててもいい?」

 

「別にいいが…」

 

「良くない!離れなさい!破廉恥よ!」

 

アスカは無理矢理レイを引き離す。

 

「………」

 

本当に残念そうな顔をするレイ。

 

「じゃあ…こんな死んだ海で生きているって事は…」

 

「使徒…」

 

レイが断言する。すると大きな海洋生物みたいなのが、悠々と…高速泳いできた。

 

「使徒…あれが…」

 

アスカは最初は驚いたが、すぐに不敵な笑みを出して、

 

「ちゃ~んす!」

 

「おいおい…」

 

 

 

 

 

 

「で、弐号機であのお魚を下ろすってか?」

 

「そう、それで私の凄さを見せてあげるわ」

 

プラグスーツを着て来たアスカが胸をはる。

 

「そうか、頑張れ。応援してるぞ」

 

「何いってんのよ。はい」

 

シンジは何かを渡される。赤いプラグスーツだ。

 

「どういうことだ?」

 

「あんたも乗るのよ」

 

シンジは流石に大口を開ける。

 

「おい…」

 

「私の優秀さを目の前で見せてやるわ。ありがたく思いなさい」

 

「これ、女性用(レディース)だろ?」

 

「男が気にするんじゃないわよ!私だって自分のプラグスーツ貸すの嫌なんだから!」

 

どうやらアスカは本気でシンジを乗せるらしい。

 

「仕方ない…わかったよ。サポートでもすりゃあいいんだろ」

 

少しレイとアスカから離れて、シンジはディケイドライバーを出す。

 

「ちょっと、何よそれ。オモチャ?」

 

「まあ、見てな」

 

シンジはディケイドライバーを腰にセット!

 

アスカに『ディケイド』のカードを見せると、

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE『DECADE』!》

 

9つの虚像が現れ、一つとなり、シンジは『ディケイド』になる!

 

「な、なによ…それ…」

 

アスカは後ずさりする。眼の前で起こった事が信じられなかった。

 

「な、なんなのよ、アンタ!」

 

「なぁ~に、通りすがりの仮面ライダーだよ」

 

これが、式波=アスカ=ラングレーとディケイドの出会いだった。

 

 

 

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