新世紀エヴァンゲリオン -破壊の継承者-   作:歌音

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新しいPCで復活。

とりあえず新作データはまっさらになったんで、更新から。


第拾参話/PRECIOUS -『龍騎』ノ記憶 -

 

 

 

 

 

 

「さぁ!ワンコくんも変身して!楽しくやろうよ!」

 

真希波=マリ=イラストリアス…ディエンドはシンジに銃口を向けて楽しげに言う。

 

周りの乗組員達もいきなり登場した仮面ライダーに驚いている。

 

しかし、事前に何らかしらの命令が届いていた為、周りで傍観しているだけだった。

 

「…ミサトさん。皆を連れて下がっててくれ」

 

「ちょ、ちょっとシンジ君…」

 

「もし、真希波の変身した『ディエンド』が俺の知る『ディエンド』なら…正直、戦ったら余裕が無いんだ」

 

いつも以上のシンジの真剣な顔にミサトは

 

「わかったわ。みんなコッチに」

 

「碇君」

 

「シンジ!」

 

「安心して向こうで待ってろ」

 

シンジはレイとアスカに笑顔で答えながら、ディエンドに向かう。

 

《KAMEN RIDE》

 

「まさか俺がディエンドと戦うなんてな…変身!」

 

《『DECADE』!》

 

9つの鏡像が1つになり、シンジはディケイドに変身した。

 

オーバー=ザ=レインボーの上に2人の仮面ライダーが向かい合った。

 

ミサト達や周りの海兵隊員もその光景にタジタジになっている。

 

「さぁって…」

 

ディケイドはライドブッカー・ソードモードの刃を手でなぞり、

 

「ニャンコちゃんにゆっくり聞かせてもらうぜ。ディエンドライバーをどこで手に入れたのか、をな」

 

「にゃにゃ~、怖いにゃ~…えいっ!」

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

ディエンドはディエンドライバーの引き金(トリガー)を引き、蒼いエネルギー弾をディケイドに放つ。

 

ディケイドはそれを紙一重で回避(かわ)し、

 

「てりゃっ!」

 

ライドブッカーの刃を連撃で繰り出すが、ディエンドはそれを同じように紙一重で回避(かわ)す。

 

ディケイドは流れるような動作でライドブッカーをガンモードに変形させ、カードを取り出す。

 

ディエンドの方もカードを取り出し、

 

《ATACK RIDE 『BLAST』!》

 

 

『ドドドドドドンッ!』

 

 

2人のドライバーからまったく同じ音声が流れ、互いに複数のエネルギー弾を撃ち合う。

 

エネルギー弾は相殺され、その瞬間ディケイドは一気に間合いを詰めて、蹴りを放った。

 

 

ブンッ!

 

 

しかし、ディエンドはそれを回避し、

 

 

シュバッ!

 

 

ディエンドライバーを左手に持ち替え、右手でパンチを放つ。

 

 

ガッ!

 

 

ディケイドはそれを受け止め、掴む。

 

「やるな!」

 

「それはコッチのセリフにゃ!」

 

 

バンバンッ!

 

 

ディケイドにエネルギー弾を放つが、ディケイドは寸前に手を離して、避けた。

 

「凄いねワンコ君!あんなに訓練を受けた私と互角以上に戦えるなんて!」

 

「はっ!これでも『鬼の修行』と各種格闘技で鍛えてきたんだ!ニャンコに遅れを取るかよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で繰り広げられているディケイドとディエンドの戦いは熾烈を極めていた。

 

人間以上の能力を持つ仮面ライダー同士の戦いは、周りの人間に圧倒的な力を見せていた。

 

「これが…仮面ライダー同士の戦い…」

 

ミサトは兵隊に持ってきてもらったカメラで映像録画している。

 

「すげぇ…」

 

ケンスケは一心不乱にカメラを構えてシャッターを押す。

 

「ゴツイで」

 

トウジもそれを凝視してみていた。

 

レイとアスカはその戦いから眼を離さない。

 

「碇君…」

 

「これが…仮面ライダーの力…」

 

レイとアスカはその戦いから目を逸らさない。

 

『力』の持つ者達の戦いをそれぞれの瞳で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

『はっ!』

 

2人のライダーが戦い続ける!

 

「はぁはぁ…ま、まさかココまで梃子摺るなんて」

 

「おいおい、スタミナはコッチが上か?息があがってんぜ」

 

そういうディケイドも息が少し上がっていた。

 

(向こうも結構、尋常じゃない訓練してんな。まさか軍隊訓練より厳しい『鬼の修行』なのにな)

 

(なんなのかにゃ、『鬼の修行』って…あの強烈な訓練をしてきた私と張り合うなんて…)

 

2人は間合いを取る。

 

「やっぱり、出し惜しみはいけにゃいか」

 

ディエンドは2枚のカードを取り出す。

 

それを見てディケイドは対策を取る前に、

 

「おい、お前ら!今すぐもっと離れろ!」

 

ミサト達に叫ぶ!

 

「ちょっ、どういう…」

 

「考えなくていいから早く…」

 

「人の心配してる場合かにゃ!」

 

ディエンドは一枚カードをセットし、

 

《KAMEN RIDE『OUJA』!》

 

さらにもう一枚…

 

《KAMEN RIDE『TAIGA』!》

 

そして、

 

「おいで…『仮面ライダー』!」

 

トリガーを引いた。

 

『!?』

 

目の前に突如、鏡像が現れる。

 

そのいくつもの鏡像は2つの人型を作り、最後には人を作った。

 

そして現れたのは…

 

「祭りの場所はここか…?」

 

「英雄を呼んだのは誰かな…?」

 

2人の…

 

『仮面ライダー!?』

 

全員が驚くのも無理はない。

 

突然その場に『仮面ライダー』が現れたのだ。

 

「『仮面ライダー王蛇』に『仮面ライダータイガ』…」

 

その『最悪』のコンビに、ディケイドは動揺を隠し切れない。

 

「お前達の相手はディケイドにゃ!」

 

ディエンドがディケイドを指す。

 

すると2人の仮面ライダーは、

 

「ディケイドか…喰いっぷりがありそうだな」

 

牙召杖べノバイザーのカードリーダーを開く王蛇。

 

「ディケイド…君を倒せば、僕は英雄だ」

 

白召斧デストバイザーのカードリーダを開き、それぞれ一枚のカードを入れる。

 

『ADVENT』

 

シャァァァァァァァッ…

 

『!?』

 

先程の戦いで出来た水溜りの中から、恐ろしく巨大な蛇が王蛇の後ろに現れる。

 

ガァァァァァァァァッ!

 

鏡のようなステンレス部分から剛重な白虎が現れ、タイガの横に叫び立つ。

 

「ベノスネーカーにデストワイルダー…」

 

「くくくっ…はっはぁっ!」

 

王蛇は狂喜に塗れて、ディケイドに襲い掛かる。

 

《SWORD VENT》

 

王蛇はべノバイザーにカードをスロットする。

 

するとベノスネーカーの尻尾を象った剣『べノサーベル』が王蛇の手に現れる。

 

ガキィンッ!

 

「くっ!」

 

シンジは辛うじてライドブッカーSMで王蛇の攻撃を防ぐ。

 

「さぁ、楽しませろよ」

 

「あ、浅倉…!」

 

その凶暴さにシンジは自分の出会った『仮面ライダー王蛇』の名前を口にした。

 

そう…戦いのペースが遅い事に危機を感じたゲームマスターである『神の名を冠したライダー』が参入させた『凶悪犯罪者』…

 

シンジが生まれて初めて出会った…『純粋な悪』…!

 

「どうしたディケイド…ああっ!」

 

「くぅ!てりゃっ!」

 

シンジは純粋に『王蛇』に恐怖を持つ。

 

人の命を奪う事に躊躇いどころか、快楽を得る者に…幼い頃のシンジは恐怖した。

 

でも…それでも…

 

(逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ!)

 

「僕は…逃げないと誓ったんだ!浅倉…それを見せてやる。お前が…」

 

 

 

それはかつて、『浅倉威』がシンジを恐怖に陥れた言葉…

 

『お前も『人助け(バカ)』をやってると…喰い殺されるぜ』

 

しかしシンジは、

 

 

「お前がバカだと言った事を続けてきたバカの力…みせつけてやらぁっ!」

 

《ATTACK RIDE『SLASH』!》

 

カードをセットしてディケイドは王蛇に向かった。

 

その2人を他所に、

 

「世界の破壊者に犯罪者…英雄はどっちも倒さなきゃ…」

 

《STRIKE VENT》

 

タイガがデストバイザーにカードをいれると、タイガの両腕に凶悪な鉄爪『デストクロー』が装着される。

 

「ふっ…!」

 

タイガが2人に向かって走る!狙いは…

 

ザシュッ!

 

「ぐぁっ!」

 

王蛇を背後から一撃!

 

「せりゃぁぁ!」

 

ガキンッ!

 

「ぐぐっ!」

 

そのままディケイドに一撃を喰らわしたが、ディケイドはその一撃を受け止める。

 

「な、なぜ王蛇を…!?」

 

「アレも『悪人』だからね…『英雄』なら倒さなきゃ」

 

「くっ、『悟兄ちゃん』…」

 

英雄に憧れ…狂った仮面ライダーがここにいた!

 

「やってくれたな…」

 

王蛇はベノスネーカーに命じ、毒液をディケイドとタイガに吐かせた。

 

2人は寸での所で回避する。

 

「くそ、やれ!」

 

タイガはデストワイルダーに王蛇を殺すように命じるが、

 

『シャァァァァァァァッ!』

 

『ガルルルルルルルッ!』

 

ベノスネーカーとデストワイルダーが対峙し、そのまま戦いに発展した。

 

「お前達何やってるにゃ!相手はディケイド!勝手に戦うな!」

 

しかし、2人の仮面ライダーはお構いなしに攻撃を始める。

 

(なんだ?もしかして、あのディエンドライバー…俺のと同じで『大樹兄ちゃん』のとは違うのか?)

 

しかし、ディエンドが動揺しているのと、王蛇とタイガが戦っている間に

 

「ミラーモンスターに対抗する為には…ミラーモンスターで」

 

ディケイドは『龍騎』のカードを取り出す。

 

しかし、その瞬間をディエンドは見逃さなかった。

 

「変身!」

 

《KAMEN RIDE『RYU-KI』!》

 

「今にゃ!」

 

《ATTACK RIDE『REPRODUCE』!》

 

ディエンドは素早くカードをセットし、引き金を引く。

 

ディエンドライバーの銃口の前に、魔法陣のようにディエンドのマークが蒼く映る。

 

「うわっ!」

 

ディケイドから何かエネルギーのような物を吸収する。

 

《COLLECT》

 

と数枚のカードが現れ、ディエンドはそれを手にすると、

 

「よっしゃ~!」

 

ディエンドは喜びまわる。

 

「どういう事だ…『変身』していない。はっ!」

 

ディケイドは急いで『龍騎』のカードを探す。

 

「…あった」

 

てっきり『盗まれた』かと思っていたが、無事あるようだ。

 

じゃあ…

 

「まさか…!?」

 

「そう!ボス特製のこの『REPRODUCE』のカードはライダーカードをコピーする事ができるんだよ。例え、『9 RIDER'S CARD』でもね!」

 

高らかに見せびらかし、そのまま

 

《KAMEN RIDE》

 

ディエンドライバーにセットする。

 

「おいで…『仮面ライダー龍騎』!」

 

ディエンドはトリガーを引いた。

 

《『RYU-KI』!》

 

 

 

 

「んん?」

 

気づくとディエンド…マリはまったく違う場所にいた。

 

「ここは…どこ…?」

 

(確か私はディケイドと戦って…『龍騎』のカードを…)

 

「テリャァァァァッ!」

 

「!?」

 

その声と爆音を聞きつけ、マリが振り向くと、2人の仮面ライダーがいた。

 

一人は黒い仮面ライダー。もう一人は…

 

「『龍騎』!?それにあれは『ナイト』!」

 

そこからマリの目の前に『龍騎』の軌跡が流れていく。

 

黄金の仮面ライダーと対峙し、

 

「消えていったライダーの重さが、2倍になった、これ以上は増やさない!」

 

(な、何言ってんのコイツ…?)

 

「人を守る為にライダーになったんだから、ライダーを守ったっていい!」

 

「!?」

 

その言葉にマリは驚愕した。

 

仮面ライダー龍騎の世界。

 

その世界にいる仮面ライダーはミラーワールドと呼ばれる鏡の世界で戦う。

 

マリが『ボス』に渡された資料に拠れば、ゲームマスターである『仮面ライダーオーディン・神崎士郎』は、他者の命を踏み台にしてでも自分の願いを叶えたいという、『心』に深い闇を抱えている者達を選び、仮面ライダー同士の戦いを作り上げた。

 

『カードデッキ』の開発に協力した『ボス』の話では仮面ライダーは『苗床』のような物であり、仮面ライダーがミラーモンスターを倒し、契約モンスターにその魂ともいえる『エネルギー』を捕食させ、モンスターの力を上げる。

 

そうする事によって、仮面ライダー自体の攻撃力・防御力への力を上げていく。

 

そして仮面ライダー同士が戦い、仮面ライダーと契約モンスターを殺すと、仮面ライダーと契約モンスターの『魂』を契約モンスターが喰らう。

 

そうする事により、最後の一人となった時、その仮面ライダーの契約モンスターは莫大なエネルギーを持ち、それにより願いを叶える。

 

『神崎士郎』はある目的の為に動いていたようだが、『ボス』の計算上、戦いを終えた時のエネルギーを考えると、大抵の願いは叶える事は可能だという。

 

そう…『龍騎』の世界の仮面ライダーは『どんな願いでも叶う権利』のチケットを手に入れている者達なのだ。

 

それなのに…今、自分の目の前で戦っている『龍騎』は、

 

「俺はッ…助けたいから助けただけだ!」

 

「なんで…なんでコイツ…」

 

『龍騎』は最後の最後まで願いの事なんて考えてなかった。

 

そしてモンスターによって致命傷を負わされても、最後の言葉は…

 

「やっぱりミラーワールドなんか閉じたい。戦いを止めたいって…」

 

その言葉を聴き終えた時、マリの頭の中は真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

ディケイドは目の前に現れた『仮面ライダー』に怯んだ。

 

「シン…兄…」

 

もう『二度と会えない』と思っていた仮面ライダーを見て、ディケイド…シンジの心は揺らぐ。

 

(くそ、考えるな。あれはディエンドが呼び出した『仮面ライダー龍騎』だ!シン兄じゃない!)

 

ディケイドが首を振り、構えると

 

「なに!?」

 

ディエンドが『龍騎』に銃口を向けていた。

 

「あんた…」

 

ディエンドはつぶやくようにいう。

 

「どうしてあんた戦わなかったの。偶然でも、どんな願いも叶える権利を手に入れたんでしょ。なんでそれを捨てられるの」

 

 

ドンドンドンッ!

 

 

トリガーを引き、エネルギー弾を撃つディエンド。

 

その攻撃に倒れる龍騎。

 

「答えてよ…それ以上に楽しい事…凄いモノって…戦いよりも、願い事よりも大事な物って…なんなのよ」

 

「真希波…」

 

立ち上がる『龍騎』は何も答えない。

 

ただ…立ち尽くしているだけだった。

 

「はぁ…何やってんだ」

 

《UNITE VENT》

 

「はっ!?」

 

ディケイドはその音声が聞こえた先をみる。

 

タイガとデストワイルダーが無残な姿をし、消えていく。

 

まるで次の遊び相手を求めるように、べノバイザーにカードを入れて、王蛇が歩いてきた。

 

『グォォォォォッ!』

 

二足歩行のサイ型モンスター・『メタルゲラス』が壁を砕いて現れる。

 

パッシャァァァァァァン!

 

海を鏡面代わりにして、エイ型モンスター『エビルダイバー』が現れ、

 

『シャァァァァァァァッ!』

 

ベノスネーカーの元に集結すると…

 

「な、なんなのよアレ?」

 

ミサトの声が恐怖で震える。

 

三体のモンスターが…交じっていくからだ。

 

「ば、ばけもの!?」

 

「………」

 

(こ、こわい…)

 

 

 

 

 

「獣帝、『ジェノサイダー』…」

 

そう、ベノスネーカーの頭と尻尾、メタルゲラスの体、エビルダイバーの翼装甲…悪魔の権化ともいえるキマイラ型モンスター『ジェノサイダー』である。

 

「やれ…」

 

王蛇はディエンドを指差し、

 

《FINAL VENT》

 

『グォォォォォォォォォッ!』

 

「拙い!」

 

ディケイドは一気に走り出す。

 

バリッ!

 

ジェノサイダーが自らの腹部を食い破る!

 

キュゴォォォォォォォッ!

 

突然唸り音が聞こえる。

 

ジェノサイダーの腹部に小型のブラックホールを出現したのだ。

 

「なにっ!?くぅ、にゃ!」

 

「………」

 

ブラックホールは辺りにあるもの、備品や窓ガラス、さらには近くにあった戦闘機すら吸い込んでいく。

 

ディエンドと『龍騎』は必死に耐えていた。

 

(あそこに吸い込まれたら終わりだ!)

 

ディケイドはジェノサイダーの背後に回りこみ、走りながらカードをセット!

 

《FINAL ATTCK RIDE『DE・DE・DE DECADE』》

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

 

「はぁ…邪魔するなよ」

 

《ATTCK RIDE 『ILLUSION』!》

 

新たにカードをセットし、効果が現れた瞬間、ディケイドは突如3体に分身した。

 

「なにっ!?」

 

『でりゃぁぁぁっ!』

 

ガガキンッ!

 

「グガァァァァッ!」

 

その内、2人が王蛇を攻撃し、もう一人はジェノサイダーに向かっていき、

 

「ゼリャァァァァァッ!」

 

ザシュゥゥゥゥッ!

 

『グォォォォォォォォッ!』

 

ジェノサイダーの足を叩き斬り、攻撃を無理やり止めた。

 

のた打ち回るジェノサイダー。

 

ディケイドは一人に戻ると、ディエンドと『龍騎』の側まで駆けつけた。

 

ディエンドは、ディケイドが来ても反応はなかった。

 

「真希波…どうした?」

 

「こいつ…なんで願い事を捨てたの。願い事が…ないなんて信じられない」

 

「!?」

 

(シン兄の『世界』の事を知っている!?まさか、カードを読み込んだせいか?)

 

「………」

 

ぐいっ!

 

「きゃっ!」

 

ディケイドは項垂れるディエンドを手を引っ張って、『龍騎』の前に立たせる。

 

「…初めてシン兄が変身した後…僕より小さかった女の子が泣いてたんだ」

 

「え…?」

 

「その女の子のお母さんはミラーモンスターに捕食されて、女の子の前から消えた。その後、シン兄は決めたんだ。まだ、その時、『望みが叶う』事を知っていなかったけど…人を助ける為にライダーになるって」

 

それは些細なきっかけ。

 

先輩ジャーナリストに紙に羅列されている『犠牲者』の名が、『ただの文字』ではない事を突きつけられ、決めた誓い。

 

「人を助けるなんて…消えてもいい人間なんていないなんて…本気で言える人だった。だからあの人が最後にいった言葉は…あの人の本当に心の底からの願いだよ」

 

『龍騎』を前にディケイドは思い出す。

 

昔、『あくとく』が『悟兄ちゃん』に向かって言っていた。

 

『英雄っていうのはな、なろうと思った瞬間失格なのよ…つまりお前は最初からアウトなわけ』

 

(『あくとく』も知ってたんだ。英雄なんてモノがいるんだったら…)

 

「まあ、要するに『バカ』だったんだよ。本当に…」

 

ディケイドは龍騎を見て、

 

「もうちょっと自分の事を考えてろよ…バカ兄」

 

仮面の下に、一筋の涙を流しながら『龍騎』に言った。

 

「ぐぅぅっ…まだ、だ。まだ祭りは終わってないぜ。やれ!」

 

王蛇が立ち上がり、ジェノサイダーに指示をだす。

 

ジェノサイダーは怪我した足何のその、ディケイド達に突進してきた。

 

ディケイドは一枚のカードを取り出す。

 

「力を…貸してよ」

 

《FAINL FOME RIDE『RYU・RYU・RYU RYU-KI』!》

 

そういって、カードをセットすると、龍騎は無言のまま王蛇達の方に…ディケイドに背を向ける。

 

「ちょっと…くすぐったいよ」

 

バンッ!

 

ディケイドが『龍騎』の背中を叩くと、『龍騎』の体が変化していく。

 

龍騎は完全に変形し、『RYU-KI DRAGREDER』となる。

 

《FINAL ATACK RIDE 『RYU・RYU・RYU RYU-KI』!》

 

カードが読み込まれると、鏡の中から、もう一匹のドラグレッダーが現れる。

 

『ギャォォォォォォォォッ!』

 

双龍は全身に炎を纏わせ、王蛇とジェノサイダーに体当たりをする。

 

「ぐぉっ!」

 

『ゴォォォォッ!』

 

そのまま踊り狂うように牙・爪・鱗で攻撃していき、王蛇とジェノサイダーを宙に運んでいく。

 

完全に王蛇とジェノサイダーを無防備にした後、ディケイドが龍騎がしていた必殺のタメポーズを決めた後、飛び上がった。

 

双龍はディケイドの周りに踊り、

 

「はぁぁぁっ!ゼリャァァァァァッ!」

 

ディケイドがキックの構えを取ると、双龍は地獄の業火の如き炎を土王子に吐き放った。

 

炎に包まれたディケイドはそのまま王蛇とジェノサイダーに突進していく。

 

「ウオォォォォォォォッ!」

 

ドガァァァァァァァァンッ!

 

『ドラゴンライダーキック』の2倍以上の攻撃力を誇る『ツインドラゴンライダーキック』が決まった時、王蛇とジェノサイダーはこの世界から消えた。

 

「ふっ」

 

「………」

 

ディケイドが着地すると、『龍騎』も元に戻り、ドラグレッダーは鏡の中に戻った。

 

ディケイドは『龍騎』を見つめる。

 

「ありがとう…」

 

「………」

 

『龍騎』はそれを聞くと、拳を握り、顎位まで持ってきて、さらにギュッと拳を握り、頷いた。

 

「!?」

 

(その仕草は…!?)

 

そして、『龍騎』はそのまま消えていった。

 

「シン兄…」

 

ディケイドは少し呆然とするが、すぐに己を取り戻して、ディエンドに近づく。

 

「…『龍騎』の世界の記憶…みたのか?」

 

「…うん…」

 

ディケイドは変身を解く。

 

それと同時にディエンドの変身も解けた。

 

「『仮面ライダー』って…なんなの?」

 

「それは真希波がこれから知っていく事だ。チャンスがあればいつでもカードをコピーすればいい」

 

「え?」

 

「カードから見える記憶…それを見て真希波がどう感じるのかはわからない。でも…」

 

シンジは眼を閉じ、思い出す。

 

9つの世界でもの記憶を…

 

「少しはわかるかもしれないぜ。『仮面ライダー』の意味が…」

 

「私にわかるわけない。私は…ただ楽しく…」

 

「わかるさ」

 

シンジは言葉を遮る様にいう

 

「お前も『仮面ライダー』なんだからな」

 

その言葉にマリはキョトンとした。

 

(さて、問題は…)

 

向こうで眼を点にして見ているギャラリーにどう説明しようかとシンジは悩んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

『そうか。碇司令にちゃんと『アレ』を渡してくれたかい』

 

「ええ。ちゃんと確実に渡しておきました」

 

『これで君の首の皮は繋がった。どんどんぱふ~』

 

「本当ですか?」

 

加持は心底安心した声を上げる。

 

『まあ、ドコのドイツに頼まれたか知らないけど、5号機を破壊するなんて大それた事考えるなんてね。面白かったよ。お陰で仮設状態でも5号機を日本に送れる口実が出来た。それについては感謝している』

 

(あなたなら口実ぐらいお茶の子さいさいで創れるでしょうよ)

 

電話の向こうの『今現在の雇い主』に心の中で突っ込む。

 

正直、この電話の向こうの男はエヴァシリーズを『全て』送りたがっている。

 

この男が行おうとしている『計画』には、エヴァシリーズ『全機』が必要だ。

 

男のお陰で、エヴァシリーズの建造費が増加され、どこからとも無く優秀な人材を男が連れてきたお陰で、予定より早くエヴァシリーズは完成するだろう。

 

それに…自分の以前の雇い主の一人は…雇い主と『同じ姿と記憶を持ったモノ』になっていた。

 

『そうそう。マリ坊のヤツ、もう『9 RIDER'S CADE』を一枚手に入れたよ。さっきデータが転送されてきた。『龍騎』のカードだ』

 

「へぇ、そりゃ凄い。もう1枚目を」

 

『いやいや、それが問題でね。もうディケイドと一戦交えちゃったみたいで、碇君にメールで命令しちゃう破目になっちゃったよ。今回の件不問にする為にね。赤木博士にディエンドライバー取られちゃわないように』

 

「だからいつもの面がさらに無愛想になってたんですね」

 

『まあまあ、ディケイドの事だからもう許しているだろう。あの子はそういう子だ。お詫びとしてチャンと『引っ越し祝い』も贈ったよ。全員がマンションについたら届くはずだ』

 

「…シンジ君の事知ってるんですか?」

 

『知ってるとも。なにせ…』

 

加持は受話器の向こうで、

 

『僕の『弟』と一緒に、僕を倒した一人だからね』

 

男が物凄くいい顔をしているのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、つっかれた~」

 

シンジはマンションのドアを開けてそういった。

 

あの後、全員に説明して、副司令からメールが来るまで真希波をかばって、ヘリで帰ってきたりして疲れた。

 

今日はゆっくり休みたいとシンジが思っていると、

 

「シンちゃ~ん、ご飯」

 

「ばんごはん…」

 

「シンジ、今日のディナーは何?」

 

「おなかペコペコ。ワンコ君」

 

「僕も楽しみだな」

 

「………」

 

世の『お母さん』の気持ちが良くわかる。

 

シンジは溜息を吐いてから、

 

「なんにするかな…」

 

ドサッ

 

「ん?」

 

キッチンに入ると見慣れない発泡スチロール製の箱があった。

 

「なんだこりゃ?」

 

《引っ越し祝いです。ウチの子をよろしく。 『4』と『5』のボスより》

 

触るとヒンヤリ冷たい。

 

パカッ

 

蓋を開けて中を見る。中身は…

 

「…どこの誰だか知らんが…感謝します!」

 

最高級の鯖だった。

 

 

 

その日、悲鳴が轟き叫び、多めに炊いたご飯が綺麗さっぱり無くなった。

 

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