「ってどうすりゃいいのよ!」
「無様ね…」
葛城ミサトは自分の執務室で机に顔を落とした。
彼女が突っ伏した机には苦情を中心とした書類が山のように存在する。
執務室に到着後、苦情の書類を後回しにして使徒を殲滅する為の作戦を考えているのだが、既に暗礁に乗っかっている。
「気分転換に目を通したら?関係各所からの抗議文と被害報告書、UNからの請求書、広報部からの苦情と凄い量ね…」
「読まなくても、解かりきってるわよ。喧嘩をするならココでやれって言うんでしょぉ~…?」
「ご明察」
「言われなくったって、ココでやるわよ!!使徒は必ず私が倒すわ…」
「そりゃあんなにタンカ切ったんですもの、倒せなかったらなに言われるかわかんないわよ?」
「あ~う~…リツコ~、親友よ~…私の首がつながるアイディアぷりーず…」
「はい」
リツコが差し出したディスクをひったくるように受け取った。
「さっすが!赤木リツコ博士!持つべきものは心優しき親友ね!…俺達そろそろ一緒になるべきだと思うんだ」
「馬鹿な事言ってるけど、残念ながら親友のピンチを救うのは私じゃないわ、このアイディアは加持君よ」
ディスクの表面に『マイスゥイートハニーへ』と書かれている。
「え…か~じ~?」
ミサトは嫌な顔をしたがさすがに自分の首にはかえられず。
素直にディスクをパソコンに挿して、内容を見た。
「…これ、本当にあのタラシが考えたの?」
「…なんで私達も今日初めて知った事をしっているのかしら?」
カンカンッ!
葛城邸にお玉でフライパンを叩く音が響く。
「おーい、晩飯だ~」
『はーい』
部屋からレイ・アスカ・マリ・カヲルが出てきて、席に座り、
『いただきます』
「召し上がれ。今日は全員のリクエストに答えた。野菜炒め、とんかつ、唐揚げ、マリネ、中華風冷ややっこだ。アスカ、マリ。肉だけじゃなく野菜も食べろよ。レイ、カヲル、最近食が進むのはいいが、よく噛んでな」
「本当に作ったんだ」
アスカは目の前の料理に対してボソッという。
「当たり前だ。約束は守る。特別製のソースをかけてくれ。日本のとんかつを味わえ」
「唐揚げうまっ!どうやってんの?鶏肉揚げるだけじゃないの!?」
「味付け色々するんだよ。下拵えが大事だ」
「おいしい…(もぐもぐもぐ)。しゃきしゃき…(もぐもぐもぐもぐ)」
「最初に油でサッと揚げるのがコツだ」
「マリネも美味しいけど…この豆腐も美味しいね。朝に食べたモノに似てるけど、味付けが全然違う」
「朝は日本風に醤油。その中華風の味付けはある人直伝ので自信作だ」
5人は夕食を食べ続ける。そして結構多めに作った食事がテーブルから綺麗さっぱり消えた。
シンジは空の皿を片づけていく。
「う~、お腹一杯。太ったらあんたの責任だからねシンジ」
「う~、余は満足じゃ~」
リビングに大の字で寝転がるアスカとマリ。レイとカヲルはマイブームのオセロを開始する。
「ほらほら、喰ってすぐ寝ると牛になるぞ。風呂出来てっから入ってこい」
そう言われて二人は立ちあがる。
「マリ…近づかないでよ」
「ひ、酷い姫!私、何かした!?」
「毎回毎回お風呂入る度にセクハラされちゃぁたまんないのよ!」
「いや~、丁度手に収まるナイスなサイズがグット!」
親指を立てて太鼓判を押す。
「ひとりで入る!」
アスカはマリを置いてそのままいってしまった。
「も~、つれないんだから」
「まあ、お前もやりすぎだ。ところでマリ」
「ん?」
「お前…『鬼』は何体呼び出せる?」
「ん~、言うと思った。ジャンっ!」
マリは胸ポケットから数枚のカードを取り出した。
「…揃ってんな。まさか『響鬼』以外全部揃ってるとは思わなかった」
「ボスが造ったらしいよ。でもその世界の『主軸』となる『9 RIDER'S』だけは造れなかったみたい」
「で、だから俺から『複製』するか。まっ、俺としては歓迎だ」
シンジは一枚のカードを取り出す。
「マリ。5号機には『鬼石弾』の他に何かあんだろ。協力してくれたら、『響鬼』をやるぜ」
「………」
マリは普段とはうって変り、シンジを睨む。
「どうして協力するの?9 RIDER'Sが悪用されたらどうするの?」
「その時はその時だ。今はそれよりもマリには『仮面ライダー』を知ってほしいからな」
「…何?ワンコくんのクセに先輩面かにゃ?」
「そんなつもりはないんだが…まあ、はなし半分でもいいから聞いとけよ。これでも俺は…」
シンジは優しく笑い、
「マリよりもずっと前から、『通りすがりの仮面ライダー』なんだからな」
「…『ヒビキ』ってなに?」
レイはオセロをひっくり返しながらカヲルに問いかける。
「『響く鬼』…『仮面ライダー響鬼』。今日彼が変身した『仮面ライダー』さ。僕も詳しくは知らないけど、『聖なる音で邪を清める者』らしいよ」
「聖なる音で…清める…」
レイは小さく…儚い声で…
「その音を聴けば…私達も清められるの…」
「…わからない。もしかしたら僕達も消えてしまうかもしれない」
(それでも…)
「聴いて…みたい…」
「…そうだね」
「イイコト!これが!私が!考え出した!『作戦』よ!」
パソコンと液晶テレビを接続して、加持から貰った『作戦』を自分の手柄として叫んでいた。
『………』
『作戦』の内容を見て、全員がミサトをジト目でみる。
「何よ?」
「…本当にミサトさんが考えたんですか、この作戦?」
「も、モチのロンよ。さぁ皆!」
ミサトは拳を上げて、
「さあ、明日から特訓よ!」
「…で、ワンコくん?どうして私をこんなところに呼び出したのかにゃ?」
ここはネルフのジオプラント。
「お、来たかニャンコ。ほれ、トマト。美味いぞ」
シンジはタンクトップに麦藁帽子姿だ。
「なんでこんなところに…」
「ん?看板見てみろよ」
これ見よがしに立っている看板には、
『碇農園』
「せっかくのジオプラント。何か育てなきゃな。翔一にいちゃん仕込みの菜園造りだ」
隣には『加持農園』という、まだ耕しただけの土地があるが、今は関係なかった。
「で、何すんの」
「わかったわかった。こっちだ」
採れたてのトマトを齧りながらシンジについて行くマリ。到着した場所には、
「こ、これって…!?」
「実は結構前から鍛える為に用意してたんだ。さてと…」
そこにあったのは巨大な太鼓。
シンジは一組の撥をマリに渡す。
「『音撃』の訓練も受けてるんだろ。俺がマリの心を清めるから…」
シンジは楽しそうに笑って、
「マリは俺の心を清めてくれ」
「さぁ、二人とも」
カヲルは黒いジャージ姿で、黒いサングラスをかけていた。
「特訓開始だ」
おそろいのレオタード姿で互いを睨み付けているレイとアスカにそういった