「ふわぁ~…すごいわね、ここ」
「そういえば委員長は初めてやったな」
トウジ・ケンスケ・ヒカリの3人はシンジ達のマンションのロビーからエレベーターに乗る。
「そういえば委員長はなんできたんや?トリオの分もプリントならトリオの分も持ってったのに」
「…ちょっとね」
ぴんぽ~ん!
エレベーターが到着する。
「本当にワンフロア全部なんだ」
「毎度思うけど金持ちやなぁ」
「まあ、エヴァのパイロット5人分と思えば当然かもしれないよな」
ぴんぽーん
3人はインターフォンを鳴らす。
しばらくして…
「いらっしゃい」
「渚君?」
「おお、渚が出てくるなんて意外や…って、なんやそのカッコ?」
黒ジャージにサングラスをかけたカヲルの姿にトウジはツッコム。
「失礼だね。君も似たような姿じゃないか」
「グラサンはかけてへんわ」
「シンジ達は?」
「レイ君とアスカ君は部屋で倒れてる」
『倒れてる?』
「シンジ君は…」
ピンポーン!ガチャンッ!
「ただいま」
「おお、シン…何かついでんねん?」
「ニャンコ」
「…って、真希波さん!?どうしたの!」
「うう~…ワンコ君ダメェェ…激しすぎ…」
「ワンコ…碇君が何かしたの?」
その時、マリのメガネが妖しく光る。
「うう…ワンコが激しく(腕を)振るからぁ…私もつい(腕を)振っちゃって…私はもうダメェェって言っているに…でも、気持ちよかった…」
そこまで聞くとヒカリの顔が真っ赤になっていた。
「こ、このハーレム男!女の敵!不潔よ~!」
「激しく誤解をするな!」
「なんだ特訓だったんだ」
「ああ、今度の使徒はかなり変わっていてな。キメは俺とマリなんだか…」
用意したひやしあめを飲んでいるマリを指して、
「このニャンコ、肝心な処の修業をサボってやがった」
「だって~、ドラム叩いてなんになんの~」
「ドラムじゃねぇ!太鼓だ!」
マリが口を曲げる。
「なんで私がやんなきゃなんないの?『七人』呼び出せばいいじゃん」
「あのな、『清めの音』を出すには本人も理解しなきゃならんだろ」
「うう~」
シンジの言葉にマリは項垂れる。
「じゃあ、あの二人は?」
何やらカヲルの指導の元、ツイスターゲームのようなものをしているレイとアスカに全員の目が行く。
「今回の使徒を倒す為にはまず最初にエヴァ2体のタイミングを完璧に合わせた攻撃を行って、あの魔化魍使徒を元の状態に戻さなきゃならん。その為にはあの二人の協調、完璧なユニゾンが必要だ。あれはその訓練だ」
「ま、あたしらは確かにトドメ刺す係だけど、二人が成功しなきゃなんもできないんだにゃ~」
「そう!つまり今回の主役はあたし達!」
アスカが仁王立ちで二人を見下す。
「ライダーコンビは黙ってお零れを貰えばいいのよ!」
「そうする」
「がんばってね~」
「何なのよ!少しは悔しくないわけ!」
二人の反応にプンスカしながらアスカは練習に戻っていく。
「うっし、ニャンコ。こっちもこっちで打合せだ」
「え~?」
「え~?、じゃない。やるぞ。3人はその手作りアイス食っといてくれ。美味いぞ」
こうして併行して
「いいか、この位置から俺がな…」
ブ~
「え~、こっちの方がよくね?最速で行けるじゃん」
ブ~~
「いい案だな…でも、二人の邪魔にならないか?」
ブ~~~
「それなら一度ジャンプすれば…」
ブ~~~~
「おお…お前結構スゴイな」
ブ~~~~~
「すごい?撫でて撫でて」
ブ~~~~~~~
「なでなで」
ブ~~~~~~~~
「えへへ…」
ブ~~~~~~~~
「ん~…」
「だめじゃん…」
シンジとマリがあきれた顔で振り向く。
みるとアスカが不機嫌そうにレイを見ていた。
「2日で50点以下か…」
「まずくねコレって」
「う、うるさいわね!ファーストが鈍くさいからいけないのよ!」
レイは何も言わないが顔を膨らましている。最近妙に可愛い行動をとる。
「じゃあ、やめとくか?」
「他に人、いないんでしょ?」
「…カヲル」
「ふ…」
カヲルがサングラスを外し、レイの隣に立つ。
音楽が流れ、二人は息ぴったりに動く。
結果、
『82点』
『おぉ~!』
「すごいなカヲル」
「ふふ…」
ピト…
「ご褒美は何かな…今晩、君の部屋に行ってもいいかい?」
女子がかけられたら一撃の台詞をシンジに柔らかく抱きついて言う。
べリッ!
レイとマリに剥がされる。
「2号機ってカヲルでも動かせたよな。アスカ、変わるか?」
「…!?」
アスカは顔を沸騰させて、
「っく、やってらんないわよ!!」
玄関から飛び出していった。
「ワンコ君、怒らせちゃったね」
「そうだな」
「い~か~り~くん!!」
「ん?」
ヒカリが大声でシンジの名前を呼んだ。
シンジが見るとヒカリが詰め寄ってきて玄関を指差す。
「おいかけて!女の子泣かしたのよ!責任取りなさい!」
「まあ、待てって」
「なにしてんのよ!おいかけなさいよ!」
「お、おちつけや委員長」
「い、碇もどうしてそんなに落ち着いているんだよ」
シンジは頭をかいて、
「レイとアスカ達が失敗しているのは、アスカが率先して合わせようとしていなかったからだ。一人舞台じゃで踊っていたからレイもついていけなかった」
「姫はプライド高いからね~、ワンコ君もだからカヲリンに協力してもらったんだよ」
「で、でも…」
「これからもアスカは使徒と戦う。それは命のやり取りだからな、中途半端な状態は危ない…死んでほしくないからな」
シンジの言葉に誰も何も言えない。それは、大事な人の死を見た人間の顔だからだ。
「ま、アスカはアレで頭いいからな。ちゃんとわかってんよ。さてと…」
シンジは立ち上がる。
「そろそろ言ってくる。レイ、カヲル。ニャンコを抑えといて」
『らじゃー』
「え、ちょ、ちょっと!こんな面白そうな事を!ワンコ君がジゴ論いうんだよ!ちょ、二人がかりは卑怯…きゃー、おかされる―!これぞ嬲るという言葉の原型ー!」
パタン…
後ろを一度も振り向かず、シンジは部屋を出た。
「ほらよ。元気ハツラツの元だ」
シンジはオ○ナ○ンCをアスカに渡す。
「ちょっとは落ち着いたか」
「何も言わないで、言いたい事はわかってる…」
アスカはシンジを見ずに
「結局あたしにはエヴァしかないのよ…」
「はぁ…何言ってんだか。おい」
「きゃっ!」
シンジはアスカの顔を無理矢理つかんで自分の視線を合わせさせる。
「な、なによ…!?」
「お前…誰かに自分を見ていてほしいんじゃないのか?」
「!?」
アスカが激しく動揺する。
「いつも人の目を自分に向けるような派手な行動してるな」
「…う…さい」
「自信満々なのはその裏返しか?」
「…うるさ…」
「自分に価値がなくなるのが怖い。だからエヴァにすがるんだろ?」
「うるさいっていってんでしょう!」
アスカは拳を握り、シンジに殴りかかる。
ボグッ!
「あっ…」
アスカは呆然とする。
シンジはアスカのパンチをよけようともせず、わざと殴られたのだ。
「あ、あんた…」
「殴って気が済んだか?済まないだろう」
シンジはアスカの拳を優しく握る。
アスカが…震えてるのがわかる。
「いいか、お前の価値はエヴァだけじゃない。少なくとも俺はお前を『エヴァのパイロット』だけでみてはいない。オテンバ娘だと思っている」
「なっ…!?」
「だから…笑った顔が魅力的なんだ」
「…!?」
アスカが顔を真っ赤にする。
「昔、『士お兄ちゃん』から言われた言葉なんだか、アスカ。『世界』を見てみろ」
「せ、世界?」
「ああ。今俺達がいる世界…ほんのささいなことでもいい。まずは見てみろ。手始めに俺達だな」
シンジは優しく笑う。
「そうすれば、『自分の価値』が、絶大だって事に気づくぜ」
「ありゃ、戻ってきた」
シンジとアスカが部屋に戻ると、残ったメンバーはシンジお手製のお菓子をみんなで食べていた。
「おい、それ明日の分だぞ」
「いいやないか」
「美味いよコレ」
シンジは溜息をつく。
それをよそにアスカはレイに近づく。
「ま、待たせたわね」
「うん」
「と、特訓を再開するわよ…『レイ』」
シンジ以外のその場にいた全員が驚く。
レイも少しキョトンとしてから、笑顔になって、
「よろしくアスカ」
「さ、さあやるわよ!」
二人で特訓を再開し始めた。
「一体どんな魔法を使ったんだい?」
カヲルはアスカの豹変を訪ねる。
「なぁに、視野を広げてやっただけだよ」
「ふ~ん、流石ワンコ君。見事なジゴロぶり」
「何言う。お前達もちゃんと見ろよ」
シンジは笑って、トイカメラを操作し、
「『世界』をな」
カシャ!
レイとアスカの特訓姿を写真に収めた。