「こんの…セクハラおとこ~!」
「うほらぁぁぁぁっ!」
ドシンッ!
ネルフ本部のエレベーターの中で、加持リョウジがミサトに床に叩きつけられた。
そのまま朝まで寝てしまいたい苦痛に悶えていた所、
「ごふっ!?」
なんと顔を足で踏まれた。
「いきなり乙女の唇を奪うなんて…加持君とは何でも無いんだから…こういうの止めてくれる!?」
「…ふふふ、でも君の唇はやめてくれとは言わなかったよ。ぐっ…君の唇と君の言葉と行動…あいた!、どっちを信用したら良いのかな?」
ミサトは加持の頭をグリグリとふんづけながら書類を拾う。
「…よくその格好でいえるわね。無様を通り越してカッコいいわよ」
「惚れなおしたかい?ふふ、今日の下着は黒…ぶへぐっ!」
踏みつける脚にちょっと回転を加えた。
「じゃあね。セクハラ代金に今日の飲み代出しなさいな、ふんっ!」
「ぎゃぼっ!」
最後に足に捻りを加えて、屍をほったまま、ミサトは立ち去って行った。
「はい」
「ありゃ?ありがと。気が利くわね」
ミサトはリツコが差し出したコーヒーを受け取る。
リツコからコーヒーを受け取り口をつける。
コーヒーの風味が口全体に広がった。
「今日は珍しくシラフじゃない?」
「う~ん、保護者になると、ちょっちねぇ~…」
「ほとんどシンジ君に丸投げしている女が何言ってるのよ」
「わ、私だっていろいろあんのよ…いろいろ…」
「ふ~ん、まだ好きなのかしら?」
「べっつに~、あのセクハラ男にはさっきも天誅を喰らわせたわよ。リツコも後できたら。アイツが破産するくらい呑みましょ」
「私が言ったのは加持君がよ?あなた何したの?」
「ちょっと制裁をね…だいたい、もう8年よ」
ミサトはちょっと遠い眼をして、
「8年って、結構長いのよ」
「風にめくられーたカード。占うよーにわらーう」
シンジは大量の食器を軽快な鼻歌交じりに洗っている。
本日も特訓のおかげで、皆の食べる量は多かった。
レイとアスカはカヲルの指導の元、メキメキと息を合わせ、文句なしの合格点をたたき出した。
「こぼーれそーなーごぉじゃーすは!」
「ぷりーんすゆえーとめーらーれなーい!」
シンジが特訓に付け加えた『DOUBLE―ACTION』全曲カラオケだが、最初に恥ずかしがってたアスカも今ではノリノリで熱唱している。
レイも普段では考えられない声を出している。
(その内、専用曲できちゃうんじゃないか?)
「ふん…プリンスってのは気に食わないけど、中々私にあった曲ね…さて!次は軽快ににGUNでいくわよ!」
「…SWORDがいい」
「なにいってるにゃ!?ここは味のあるAXEでしょ!」
「ふっ、僕はリリンの心理を歌うRODがいいな」
ぎゃいぎゃい騒ぐチルドレン達。
(なんでマリとカヲルまで歌ってんだろ?)
そして…明日は魔化魍使徒との決戦だ。
シンジもマリに太鼓の技術を叩き込んだので、明日は大丈夫だろう。
そしてマリ自身の『切り札』に、シンジはマリに、もうひとつ『切り札』を渡している。
(やれる準備は全てした。後は戦うだけだ)
4人のぎゃいぎゃい騒ぐ声を聞いていると洗い物が終わった。
「よしっと」
シンジはエプロンをはずして台所を出た。
「あれ?ワンコくん、もう終わったの?」
「ああ、問題なくな…さてと、お前達に最終試験を渡す」
シンジは一枚のCDを取り出す。
「なに?まだ何かあるの。相変わらずドゥSの女ったらしね」
「おんなったらし」
「おんなったらし~」
「ぼくったらし」
「はっはっはっ、事実無根の中傷をありがとう諸君。いい加減傷つくぞ。まあ、いい…さて、この曲を聴け」
シンジはCDをセットする。
流れてきたのは、最後の『DOUBLE―ACTION』。
そうシンジは信じている。
同じ時を重ねている今、自分達の力が合わされば最高に強くなれること…
曲が流れ終わった後、全員で熱唱した。
当日、復活した第七キメラ使徒との決戦日…
「目標は絶対防衛戦を突破!!」
「来たわね今度は抜かりないわよ」
報告が発令所の隅々にまで届く。
緊張が空間を満たし、モニターに再び一体になったキメラ使徒が映る。
「レイ、アスカ…一番手は頼むぜ」
「まかせて」
「ふんっ、私達の雄姿見て、お零れ拾いなさいシンジ」
「音楽スタートと同時にATフィールドを展開。後は作戦通りに、2人とも良いわね?」
『了解!』
レイとアスカの声が重なり、リズムを取り始める。
「目標は山間部に侵入」
使徒をモニターしていた日向が報告した。
決戦が近い。
「いいわね!!最初からフル可動、最大戦速で行くわよ!」
「解ってる、62秒でケリをつける…」
「マリ、『戦鬼』達での音撃フォローは任せた」
「まっかせてー。でも、ホントにいいの?」
「ああっ…本当に『響鬼』が召喚されるわけじゃないからね…」
「ふ~ん、まあそうだよね~」
シンジは落ち着いているが、どこかしょぼくれたようすで、『響鬼』のカードをセットする。
「会いたい?やっぱり」
「…先生には迷惑かけっぱしだったから…ありがとうを言いたいな…」
《KAMEN RIDE『HIBIKI』!》
☆☆☆
‐遥か彼方のとある世界‐
ここは甘味処『たちばな』…
「た、大変!大変よー!」
「どうしたの、みどり?」
「あぁ!ちょうど本当に良かった!■■■君!ディ、ディケイドがまた何かやらかしてるみたいなの!」
「なに?」
■■■は研究室の方に入ると、そこには『次元の揺らぎ』があった。
「…『士』のヤツ、また何か…ん?」
■■■は『揺らぎ』の向こうにいる少年を見る。
「シンジ…」
☆☆☆
「発進!!」
次の瞬間音楽が鳴り出して青と赤のエヴァがリニアレールで打ち出された。
「派手に行くわよ!レイ!」
「動き出したらクライマックス…」
「続いて初号機・5号機発進!」
『了解!』
2体のエヴァは第七キメラ使徒の前に立つと同時に臨戦態勢に入る。
「敵前方に確認!さあ、迷う暇はないわよ!」
「心を落ち着かせる…練習の成果を出すために!」
『よーい!スタート!』
ふたりの声が重なると同時に、零号機・弐号機が同時に動き出す。
シンクロした二人の動きはどんどん第七キメラ使徒を追い詰めていく。
零れ堕ちる砂を止めることができないように、二体…ふたりの攻撃をだれも止めることはできない。
ふたりは同時に第七キメラ使徒を吹き飛ばし、ぶつかった二体の第七キメラ使徒は強制的に融合させられる。
「レイ!」
「アスカ!」
ふたりは同時に飛び上がり、
「ダブル!」
「アクション!」
「キィィィィィィクッ!」
二体の強烈な跳び蹴りに、第七キメラ使徒は衝撃に耐えかね、そのまま吹き飛ばされる。
「シンジッ!」
「碇君!」
「二人ともすごくよかった!次は俺だぁぁぁぁぁっ!」
《FINAL ATACK RIDE 『HI・HI・HI HIBIKI』!》
初号機は第七キメラ使徒に『音撃鼓』を叩きつける。
『音撃鼓』は回転して、第七キメラ使徒の躰に侵入しようとするが…
「なっ!?」
第七キメラ使徒の『元の躰』が『音撃鼓』の侵入を阻止する。
「くそっ、これならどうだ!」
シンジはさらに力を込めた。
ブォンッ!
「ンニャァッ!?」
ほんの数秒前、突然ディエンドのライドブッカーから数枚のカードが飛び出す。
「にゃ、にゃんで?」
まるで自分を今すぐ呼べといっているようなカードを、ディエンドは恐る恐るディエンドライバーにセットした。
「くぅ…おぉぉぉっ!」
初号機は食い下がらず、『音撃鼓』を押し付けている。
「くそ、ダメだ…なんで…『僕』が…本当の弟子じゃないから…」
シンジの心に不安がよぎる。
それでも引くわけにはいかない。
それはレイとアスカの想いを無駄にするだけではない。
「僕は、もう、逃げない…って、決めたんだ!」
『その意気だ、シンジ!『音撃鼓』を放した瞬間、思いっきり殴れ!』
「えっ…」
シンジはその声を聴いた瞬間、初号機は『音撃鼓』を放し、思いっきりぶん殴った。
『音撃鼓』からの衝撃で吹き飛んだ第七キメラ使徒を空から現れた存在が掴んだ。
巨大な『茜鷹』…それは第七キメラ使徒を上空に連れていき、地面にたたき落とす。
そのまま、『茜鷹』はディスク状になって、仰向けになった第七キメラ使徒に埋め込まれる。
その姿は巨大な『音撃鼓』だった。
「え?まさか…そんな…」
『さあ、お前の『音』を響かせろ!シンジ!』
「…!?」
《ATTACK RIDE『ONGEKIBOU REKKA』!》
「はぁっ!」
初号機は第七キメラ使徒の上の立ち、
「いよぉぉぉぉっ、はぁっ!とりゃっ!せいやっ!」
『音撃鼓』を打ち鳴らす!。
一撃一撃から響く太鼓の音は、まるですべてを浄化するようだった。
「これが…太鼓。ジャパニーズドラム」
「…キレイな音…」
響く音にレイとアスカが心を打たれていると…
「ダブルヒメーズ!」
ディエンドから通信がやってくる。
「なっ、マリっ!?どうしたの?」
「これ受け取ってぇっ!」
「へっ?」
ディエンドのいる方角から二つの物体が飛んでくる。
零号機と弐号機はそれぞれ受け止めると
「うわっ!?」
「んくっ!?」
突然頭に『情報』が流れ込んでくる。
「使い方わかったよね!?後よろしく!」
「まったく…」
アスカは弐号機が受け止めた『ギター』を見ながら凶悪に笑う。
「私好みじゃない!いっくわよー!」
弐号機が第七キメラ使徒に突撃する。
「私で…いいの?」
レイは零号機の持つ『特殊な銃と円環』を手に取り、射撃に適した位置に移動する。
「シンジっ!」
「アスカ!?どうして!」
「何って…セッションよ!付いてきなさいよ!ぜりゃぁぁぁぁっ!」
弐号機は『ギター』…『音撃弦・烈雷』を第七キメラ使徒に斬り刺す。
「音撃斬・雷電激震!イッヤハァァァッ!」
激しい『清めの音』が第七キメラ使徒の体内に走る。
「目標セット…」
零号機越しにレイは『銃』…『音撃管・烈風』か鬼石弾を第七キメラ使徒に撃ち込み、『音撃鳴・鳴風』を取り付ける。
「音撃射・疾風一閃…」
ATフィールドを利用して風を送り込み、『清めの音』を響かせる。
「さって、トリは私!いでよ『関東十一鬼』!『伝説の戦鬼』!清めの音をカキ鳴らせぇぇぇぇっ!」
5号機から光と共に『鬼』達が現れる。
『威吹鬼』『轟鬼』『斬鬼』『裁鬼』『弾鬼』『鋭鬼』『勝鬼』『剛鬼』『蛮鬼』『闘鬼』『歌舞鬼』『凍鬼』『煌鬼』『西鬼』『羽撃鬼』
「さあ、5号機を巨大なアンプにして、放て『音撃』!」
ミサト達はエヴァ達の響かせる『清めの音』に聞きこんでいる。
「なんて…きれいなおと…」
マヤは漏らすように声をだす…
それは司令室全員の代弁でもあった。
「これが…音楽、リリンが生み出した文化の極み…」
カヲルはまるで、決して手に入らないものに憧れる子供のように、エヴァ達を見ていた。
「いぃぃやぁぁぁぁっ!」
『弐』!
「これが…私の音楽…」
『零』!
「ノリノリで行くにゃぁぁぁっ!」
『五』!
「はぁぁぁぁぁっ…」
初号機が『烈火』を掲げて、
「はぁっ!」
叩きつけた!
『初』!
そして、第七キメラ使徒は爆散した。
電源が落ちたエヴァからディケイドが出ると、そこには
「か、『仮面ライダー響鬼』…」
ディケイドに気づいた『仮面ライダー響鬼』は薬指と小指を若干曲げた状態で、手首をスナップを利かせて一回まわしたあと前に軽く振った。
「『ディケイド』になっても、ちゃんと鍛えてたみたいだな、シンジ」
「そ、そんな…」
「さすが『俺の弟子』。これからも鍛えろよ~」
『じゃあな~』と軽く言って『仮面ライダー響鬼』は消えていった。
ディケイドはその場で立ち尽くす。
「シンジ~、あんた返事しなさいよ」
「碇君大丈夫?」
「ね~、ワンコ君。なんかリッちゃんからモノごっつい質問攻めされてるんだけど…」
そんな皆の声を聴いて、ディケイド…シンジはホッとする。
ディケイドの仮面が、自分の涙を隠してくれているから…
「これからも鍛えるよ…貴方の弟子として、恥ずかしくないように…」
そして、ディケイドはみんなの元へ向かった。