新世紀エヴァンゲリオン -破壊の継承者-   作:歌音

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これは俗に言うエクストラです。

もしかしたらオーズの《ガラ》くらいのものと考えてお読みください。


第EX-04話/S.H.Figuarts 仮面ライダーオーディン&ゴルトフェニックス購入記念作 /願いの残夢

ネルフ司令室に2人の男がいる。

 

一人はこの部屋の主である碇ゲンドウ。

 

そしてもう一人は…

 

「これが…あなたに協力させるための『カード』だ」

 

男は仰々しく机の上にそれを置く。

 

「…これは、なんだ?」

 

ゲンドウは表情を変えずに言う。

 

「これは、俗に言う『願いを叶える』ものだよ。望むなら…」

 

男は笑って、

 

「『新しい命』すらも叶うものだ」

 

「なに…!?」

 

ここで初めてゲンドウは表情を変えた。

 

「ふふっ…これを創ったヤツもあなたと同じ目をしていたよ。まあ、彼は『妹』に諭されてしまったがね…協力した代わりに2枚ほど貰ってきたんだ」

 

男は色違いのモノを見せる。

 

ゲンドウに渡したのは『漆黒』…

 

男の持っているモノは『鳳凰の紋章』だった。

 

「まあ、使うかどうかはあなたに任せるよ…そうだな、『ディケイド』を倒せば必要な『魂(ぶん)』は手に入るんじゃないかな」

 

男は指を鳴らして、司令室の鏡面部を刺す。

 

「!?」

 

流石のゲンドウも驚く。

 

そこには、『漆黒の暴虐龍』が存在した。

 

「躾が出来ているから、あなたを決して襲わないよ。望むなら鏡に『それ』をかざして『契約』しなよ」

 

そういって男は突如現れたオーロラの中に消えていった。

 

ゲンドウは『漆黒の暴虐龍』を確認した後、手の中にある…『黒いカードデッキ』を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「さてと…」

 

男は自分の部屋に戻ると電話をかける。

 

すると、すぐに一人の黒服が部屋にやってきた。

 

「命令…」

 

男は持っていた『鳳凰のカードデッキ』を黒服に放り投げる。

 

「第三新東京で『ゴルトフェニックス』を『育てて』おいて。ディケイドに遭遇したら戦ってもよし。倒したら…その時から君は最高幹部だ」

 

黒服はそれを聞き、破格の報酬に喜び、意気揚々と出て行った。

 

「さてと…次はどうしよう」

 

 

 

 

 

 

「失踪事件?この第三新東京に?」

 

「そうなのよ…ちょっち無視できない数のね。今、緘口令を出しているわ」

 

ミサトはシンジに深刻な顔で告げる。

 

「なんでバカシンジにそんなこと言うのよ。第一警察の仕事じゃない」

 

「まあ、そうだな。正直警察の仕事で、チルドレンの聞く事じゃないな。あれか、学校のみんなに気をつけるようにって言っておけばいいのか?」

 

「そうもいかないのよ。偶然見た目撃者の話じゃ…」

 

ミサトはシンジを観て、

 

「鏡の中から『黄金の鳥』が出てきたって…」

 

それを聞いた瞬間、シンジの表情がガラリと変わった。

 

「やっぱり何かしってるのね!?」

 

「何かの間違いだ!」

 

シンジは声を荒げる。

 

「存在するわけがない!そんなわけが…」

 

「んにゃ、それってもしかして『オーディン』じゃね」

 

会話にマリが乱入する。

 

「マリ…まさか、『召喚』したのか?」

 

シンジは恐ろしい眼でマリを睨みつける。

 

流石のマリもビビり、

 

「ち、違う違う!私、喚んでない!『オーディン』なんて、私喚んでにゃい!」

 

「じゃあ、なんで『オーディン』がいる!?」

 

「ぼ、ボスが持ってたんだ…その、」

 

マリは言いにくそうに…

 

「『オーディン』の…カードデッキ」

 

 

 

 

 

 

「碇君、待って」

 

「バカシンジ!待ちなさいよ!」

 

物凄い形相で部屋を飛び出したシンジをレイとアスカは呼びとめた。

 

「どうしたのよ、そんなにらしくもなく怒って。その、マリが言ってた『オーディン』ってのに何か恨みでもあるの?」

 

「違う!恨みなんてない!」

 

声を荒げるシンジにアスカも少し怯える。

 

「…『オーディン』って、『仮面ライダー』なの?」

 

「…ああ、純粋に、大切な人を救う為に狂った、残酷で…優しい仮面ライダーだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「で?オーディンってなんなの?マリ」

 

「………」

 

「うう…ミサっちが怖い、カヲリンも無言ですごまないでよ。話すから」

 

マリは気を取り直して話し始めた。

 

「仮面ライダーオーディン…ええっと、私もボスとワンコ君からの情報だから実際知ってるってわけじゃないんだけど、『龍騎の世界』の『仮面ライダー』を創った奴だよ」

 

「!?『仮面ライダー』を創った!?」

 

その言葉にミサトは絶句する。

 

リツコがどれか一つでも解明しようとしても断念しているテクノロジーの一つを創った人物…

 

「確か…その世界の仮面ライダーは『願い』の為に戦っているんだったね」

 

カヲルの言葉にマリは頷く。

 

「そう、『ミラーワールド』っていう鏡の中の世界に住むモンスターと契約して、仮面ライダー同士で殺し合い、モンスターを苗床にして『どんな願いでも叶える力』を手に入れる…それが『龍騎の世界』の『仮面ライダー』」

 

どんな願いも叶えるチャンスを手に入れたモノたち…それが『龍騎の世界』の『仮面ライダー』…

 

「…その、『オーディン』ってのはどんな願いを叶える為に『仮面ライダー』を創ったかマリはしらないの?」

 

ミサトは真っ先に思いつく質問をマリにした。

 

(まあ…そんなモノ創る人間にはロクな奴はいないでしょうけど…)

 

「『オーディン』の願いは確か…」

 

 

 

 

 

「新しい…『命』?」

 

「そう…」

 

シンジはマシンディケイダーのアクセルを噴かす。

 

「『妹』を救う為に…『神埼士郎』はたった一つの『キボウ』にすがったんだ」

 

そのまま、レイとアスカはシンジから『神崎士郎』の事を話す。

 

幼い頃に命を亡くした妹が20歳の誕生日に尽きてしまう為、カードデッキを創った事…

 

その為にとてつもない犠牲を出した事…

 

本当なら愚かな行為…

 

優衣姉ちゃんは戦いを望まなかった。

 

神崎士郎だって戦いなんて望んでいなかった。

 

でも、神崎士郎には戦う(それ)しか道がなかったんだ。

 

「だから許さない…」

 

確かに、あのカードデッキを使って、最悪な行動に移った『仮面ライダー』はいた。

 

己の願いを叶えるために…

 

そして、あのカードデッキこそ、初めて碇シンジの心に、人の求める『願いの重さ』を叩きつけた存在だった。

 

「だから…はやく見つけなきゃ…」

 

《KAMEN RAIDE》

 

 

 

 

 

「さてと…餌を食わしてデカくなってきやがったな。なかなかいうこと聞かねねぇからこまんだよ。くそっ、出世の大チャンスだってのに」

 

男は悪態を吐きながらも、ボスから託されたゴルトフェニックスの力と、変身した時の力の漲りには、羨望と恐怖を感じていた。

 

「ひひっ、この力…ディケイドなんて目じゃねぇ。全くなんて存在だ、《ミラーモンスター》と《仮面ライダー》ってのは…」

 

しかし、資料によると、このオーディンは同じ世界の仮面ライダー…《仮面ライダーナイト》に敗北したらしい。

 

「もっとだ…もっと人間を喰わせれば強くなる…そうすれば、俺は…」

 

「見つけた…」

 

突然の背後からの声に、男は振り向く。

 

「て、テメェは《仮面ライダー龍騎》!…いや、ディケイドか!?」

 

「同じミラーモンスターの《ドラグレッダー》を使えば、お前を見つけるは簡単だったよ」

 

男は身構える。

 

仮面越しでもわかる。

 

自分を完全に敵と見做して、睨み付けていることを。

 

「オーディンのカードデッキを寄越せ。それを使って良いのは、この世でたった一人だ」

 

心の底から震える声に、男はたじろいだが、すぐに下品にニヤけてる。

 

「はっ!そんな途中で負けたヤツの姿で俺に勝てると思ってるのかよ!」

 

男は手鏡を取り出して、オーディンのカードデッキを翳す。

 

鏡からベルトが出現し、男は笑いながら

 

「変身っ!」

 

カードデッキをベルトに装着する。

 

鏡の鏡面姿が幾十にも重なり、割れた時、そこには存在した。

 

《龍騎の世界》の世界で最強の仮面ライダー、神の名を持つ、《仮面ライダーオーディン》がいた。

 

「ふうぅ…この漲る力最高だぜ。ガハハっ、まさかバケモンに人間を喰わせれば喰わせただけ強くなる《仮面ライダー》…どうやらこいつを創ったヤツは最低のクズ野郎みたいだな!」

 

「………」

 

「へへっ、こんなスゲェ力…誰でも欲しがるぜ」

 

オーディンは《鳳凰召錫ゴルトバイザー》を取り出し、カードデッキから一枚のカードを取り出す。

 

《SWORD VENT》

 

オーディンの手に、二刀一対の剣《ゴルトセイバー》が現れる。

 

「ディケイド!俺はお前を倒して、最高幹部になり、いずれ《組織》の頂点に立つ!どうでもいい人間を喰わせまくってどんんどん強くなりゃあ俺は最強だ!」

 

「う…さい…」

 

「さぁ、お前もバケモンの餌になれ!俺の最強伝説は始まったばかりだ!そうだ、いずれカードデッキを全部使って叶えてやる!」

 

「うるさい…」

 

「俺の《願い》をなぁ!」

 

「うるさい!」

 

《STRIKE VENT》

 

一瞬でD=龍騎は間合いを詰め、オーディンの体に《ドラグクロー》を叩き込んだ。

 

「グギャッ!?」

 

一撃でオーディンの装甲が破壊される。

 

オーディンは地面にのたうって苦しむ。

 

「ば、馬鹿な!そんな途中退場の負け犬に、このオーディンが…!」

 

「…簡単な事だ」

 

D=龍騎はオーディンを睨みつける。

 

「お前は確かに《オーディン》だ。でもなぁ…」

 

D=龍騎…《碇シンジ》は確信を持って告げる、

 

「《仮面ライダーオーディン》じゃない!」

 

 

 

 

それからはD=龍騎の独壇場だった。

 

一撃一撃でオーディンの装甲は砕け、その度にオーディンは地面に崩れる。

 

オーディンが反撃してD=龍騎に一撃を喰らわしても、それを物ともせずに反撃する。

 

「お前に…!そのカードデッキを使う資格はない!」

 

(『僕』にはわかる!神崎士郎はカードデッキを創りたくなかったんだ!)

 

でも…それでも生きていて欲しい人間がいる。

 

たとえ世界中を敵に回しても、死なせずに生きていて欲しい人間がいる。

 

それが間違っていても、そのためだけに彼は決断した。

 

そして、碇シンジは

 

(『僕』は羨ましかったんだ…)

 

(自分を命がけで護ってくれている兄がいる《優衣お姉ちゃん》が…!)

 

(命をかけてでも護りたいという妹がいる《神崎士郎》が…!)

 

(互いに命をかけてでも救いたいと願う二人が…!)

 

(それがたまらなく、どうしようもないほど、うらやましかったんだ(・・・・・・・・・・)!)

 

気づけば、D=龍騎はオーディンを撃破していた。

 

《fFINAL VENT》のカードを掴み、痙攣しているオーディンを見下ろして、ベルトのカードデッキを踏み砕いた。

 

オーディンの黄金の装飾は消え、灰色の姿となり、砕けて、変身していた男の生身の姿が現れる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

男の落とした鏡から黄金の鳳凰・ゴルトフェニクスが現れる。

 

獲物は勿論カードデッキを失くした者…

 

(このまま…喰われてしまえ…えっ?)

 

D=龍騎…シンジの前に二人の兄妹がいる。

 

二人はシンジを嗜めるように、そして、優しく微笑んでいた。

 

(ああっ…なんだ。あなたはそんな、優しい顔だったんだ…)

 

「帰れ!」

 

ゴルトフェニックスはシンジの声に立ち止まる。

 

シンジはベルトを外して、変身を解き、ゴルトフェニックスを真っ直ぐ見つめる。

 

「ここにお前の主人はいない!」

 

ゴルトフェニックスはそれを聞くと、神秘的な鳴声を発し、《鏡の世界》に帰っていった。

 

シンジは携帯電話を取り出して、短縮ダイヤルでミサトにかける。

 

「ミサトさん、事件の犯人を捕まえたから、警察でも特務部隊でも回してくれ。見張っとくから場所は…」

 

電話を終えて、シンジは優しく微笑む二人を見る。

 

「僕にもできたよ…命がけで守りたい人達が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほーれ、今日は全員のリクエスト全部作ったぞ〜、たんとお食べ」

 

「山菜天ぷら…」

 

「うっしゃ、牛カツ!」

 

「やったー!麻婆だ!」

 

「豆腐御膳美味しそうだ」

 

「シンちゃんつまみセット!ビールを持てい!」

 

シンジは自分の料理を美味しく食べるみんなの姿をみて思う。

 

「あぁ、『僕』にはやっぱりカードデッキは必要ないや」

 

そう誇らしく思う。

 

この先、《カードデッキの力》に縋る者との死闘があるとも知らずに…


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