「保安部、総員戦闘配備完了!」
「ターゲットはサードチルドレン・碇シンジ!コード・『ディケイド』!」
「ディケイドに何らかの不振な動きがあった場合すぐに鎮圧・拘束を許可します!」
リツコに命令された保安部の準備が整う。
全員が最新装備をしており、ちょっとした戦闘もできるほどだ。
「ちょ、ちょっとリツコ!?いくらなんでも…」
「シンジ君の力がどれほどのものかわからない以上、できる対応は全てさせてもらうわ。あのディケイドの力…説明しろって言っても簡単に説明するわけがない。その為にもあの力に対抗できるようにしないと」
「そりゃそうだけど、この人数は…」
保安部のほとんどの人間を動員している。
「他にもどんな力を隠しているかしれないけど、これだけの人数と装備ならディケイド…シンジ君も相手にできないでしょう」
リツコはニヤリと笑った。
「てな事になってんだろうな」
いくらなんでもやり過ぎたとディケイドは思った。父親の言葉に怒りを覚えたとはいえ、ディケイド自体の力で戦えばよかったかもしれない。
(まあ、やってしまったものは仕方ない。世の中前向き前向き…どうしようか?)
ディケイドはプラグ内を見渡し、
「仕方ない…」
ディケイドは一枚のカードを取り出してセットする。
《ATTACK RIDE 『BLACK OUT』》
すると、ディケイドの体を中心に暗い闇…『暗幕』が広がる。
「よし、これで向こうからは見えない」
(流石にまだ他の『絆』は見られない方がいいからな)
シンジはさらに2枚カードを出す。
「あんまりこういう事には使いたくないんだがな…まあ、仕方ないか…」
シンジは溜息をついてカードをセットした。
《KAMEN RIDE…》
『エントリープラグ、開きます』
マヤの声にミサトとリツコ、そしてその場にいた局員全てが身を引き締める。
(こちらは準備万端…正体を明かしてもらうわよ)
ドサッ…
「えっ?」
ドササササササッ!
「な、なに!?」
「どうしたの!?」
突然武器を持った保安部の人間が倒れていく。近くにいた者を見ると武器まで破壊されていた。
「い、いったいナニが…」
「俺の仕業さ、ミサリン」
『!?』
ミサトとリツコは振り向く。
そこにはまだエントリープラグから出てないはずの、ディケイドがいた。
「い、いつのまに!?」
「いいだろ別に。しかし酷いな。思っていたのより過激な人数と装備を用意しやがって。取りあえず全員ノしといたぞ」
ミサトとリツコはたじろぐ。
(まずい!今ここで命を握られているのは私達だ!?)
握るつもりだった主導権をこちらが握られてしまった。ミサトとリツコは顔をしかめさせるが、
ガチャッ
ディケイドはベルトを外して、シンジに戻った。
「え?」
「さあ、お話しようぜ。茶と菓子くらいだせよ」
シンジが案内された部屋で呑気に出された和茶菓子を堪能した後、緑茶をまったりと堪能しながら自分のトイカメラを弄っていると、部屋にミサトとリツコ、そして初老の男が入ってきた。
「誰だアンタ?」
「碇シンジ君だね。私の名は冬月コウゾウ、ネルフの副司令の地位に就いているものだ」
「あのマダオ(まるでダメなオヤジ)のかわりか?一発殴ってやろうと思ったのにな」
「だから私が進んで来たのだよ」
冬月は溜息を吐く。
「フォローも大変だな」
「ならば話はスムーズに進めてくれると助かるね」
「善処するさ」
そういって3人は椅子に座る。
「それでは碇シンジ君」
こうして碇シンジとネルフとの交渉が始まった。
ネルフ側の求めている事は、今後の使徒との戦闘の為にエヴァに乗る事と『ディケイド』の情報を開示することだった。
「なるほど、大体わかった」
そういってシンジは、まずエヴァに乗って使徒と戦う方のシンジ側の条件を提示した。
「俺の条件は…そうだな、まず俺を正式なネルフの所属としないこと」
「所属にしない?どうして?」
「はっきり言うと俺はあんた等の事を信用していない。特にあの親父に関してはな。あんな体がリンクするロボットに乗ってるんだ。後で人体実験にされそうになって逃げれなかったら困るからな」
「そ、そんな事する訳ないでしょ!」
ミサトが否定するが、
「単なる例えだ。まあ、パートタイマー、アルバイト…俺の事は雇っておいてくれ」
「あなたはバイト感覚で使徒と戦うつもり?」
「戦って勝てばいいだろ。まあ、それに基本的にはそちらの指示に従うさ。ただ俺は『今日みたいな事』は絶対に従いたくないんでな」
3人は眉を顰める。今日みたいな事…つまり、あの少女の件だろう。
先程確認したが、ディケイドが別の形態に『変身』した後、少女にクワガタムシの飛行物体が現れ、少女を連れてどこかに行ってしまったのを、録画モニターで確認している。
先程確認すると、少女は家族の下に戻っていたと報告があった。
あれはディケイドが呼んだ未知の存在なのだろう。そうじゃないと、あんな動力源も解らないような物体がバリアを張って空を飛ぶなどありえない。
「雇用の条件はそれだけだ。どうだ?」
「わかった。認めよう」
「いいんですか?副司令」
「ただでさえ、パイロットは少ないんだ。条件を受け入れるしかあるまい」
冬月はシニカルに笑って。
「ただしバイトなんだ。保険と労災は出さんぞ」
「そりゃ残念。じゃあ次に雇用の待遇について話し合おう」
「待遇?」
「もちろん、さっきのは『条件』だ。次のは『待遇』。まさかこれから危ない事をさせるのにあれだけですまそうとしてるわけじゃないだろうな?」
シンジはニヤリと笑う。
「まず、住む所の用意だ。まあ、人間らしい生活ができる所を一つ用意しろ。それにかかる経費は全てアンタ達ネルフ持ちだ。それから月払いのバイト料。ネルフで一番高い給料を出せ。後、使徒を倒す度に特別ボーナスを追加する事。まあ、それぐらいで勘弁してやるか。保険と労災がないのが辛いがな」
「結構ボるわねシンちゃん」
「それじゃあ、俺の変わりに戦闘機一機多く出動させるんだな」
「…わかったよ。条件を飲もう。戦闘機一機よりは安い」
「OK…後『ディケイド』の事だがそれは…そうだな、情報交換だ」
「情報交換?」
「そちらが俺の知りたいネルフの情報を教えてくれる度に、俺もディケイドの情報を教える。これでどうだ。条件は…『互いに嘘は言わない』こと。」
「そ、それはちょっと…結構機密事項が多いのよ」
「じゃあ、ナシだ。人の秘密を知ろうとするんだ。そちらも相応の秘密を出せ」
「…確かに全うな意見ね。相手が普通の子供の秘密なら価値はないけど、エヴァにまで影響を及ぼす『ディケイド』の情報なら釣り合いが合うかもね」
リツコにとってこれは僥倖だった。
ディケイドを調べたくても、保安部の局員全てをいつの間にか全滅させてしまう力を持った者に実力行使は通用しない。
それを情報交換で知る事ができるのは願ってもいないことだった。話せる範囲以内ならば…
「よっしゃ」
「でも、ネルフ一の給料とボーナスって酷くない?私だって薄給なのに…」
「ふん…」
シンジは遠い眼をする。
財布の中に小銭しかなく、子供にジュースを奢る事すら死活問題だった灼熱の赤龍の戦士と人々を救う醒剣の戦士…
毎月赤字だった世界中の洗濯物を真っ白にする予定のクリーニング屋…
「お金がないって…辛いからな…」
と溜息を吐いていった。そしてリツコの前を向き、
「じゃあ、ちょっとした情報交換をしようか。まず、こちらの知りたい情報は…そうだな、簡単なのから。『エヴァのパイロットは何人いる?』」
「あら、それは結構ランクの高い情報よ。S級の機密情報だから」
「パイロット本人が聞く場合格安だろ」
「それもそうね。貴方を含めて3…」
ここでリツコは何か思いついて、
「いえ、『4人』よ」
これにはシンジよりミサトの方が驚いていた。冬月も『何てこと言うんだ』といった顔をしている。
「リツコ!?エヴァのパイロットはシンジ君の他にレイと『アスカ』の3人のはずじゃ!?」
「これは作戦課長である葛城一尉も知らなかったちょっとした『本当』の極秘事項の一つよ。もっとも『3人目』になるはずだった『4人目』…についての詳細は本当に極秘事項で、いるっていう事を知っているだけで私達はまったく知らないとしか言えないわね」
「3人目になるはずだった?」
「いる事はわかっているんだけど完全な番外…だから貴方はフォースチルドレンではなく、サードチルドレンなの」
「副司令のおっさんも知らないのか?」
「私も『4人目』がいるということしか知らない…すまないね」
(なんせ『あの男』の秘蔵っ子らしいからな…)
冬月は、一人の人物を思い浮かべる。
「こちらの知りたい事はまず、『ディケイドって何なの?』」
「まさか試しに聞いてみた事が極秘事項の一つとわな。ディケイド…は『仮面ライダー』だ」
「その、『仮面ライダー』ってなに?」
「仮面ライダー…まあ、なんて言ったらいいかな…まあ、ああやって変身して戦う人かな?『ネルフは使徒を倒してナニをしようとしている。使徒が日本…いや、たぶんこのネルフだな。狙われる理由はなんだ?包み隠さず教えて』くれたらもっと詳しく話してやるよ」
「…それはまだちょっと言えないわね。『エヴァの中で全く違う形態に変身したのは何なの?』」
「そうか、かなりの極秘事項なんだな。あの『変身』については…そうだな、さっき極秘事項を教えてもらったしな~…そうだ!『さっきの大怪我してた美少女ちゃんの場所に案内する事を約束したら教えてやるぜ』」
リツコは心の中でシメたと思った。今一番知りたい事を知る事ができる。
それも結構…いや、かなり安く!
「約束するわ」
「OK。あの姿は『空我』…『仮面ライダークウガ』だ」
「仮面ライダー…クウガ?」
「あれもディケイドの形態の一つなの?」
「いや、クウガは古代人リントが創り上げた守護戦士だ」
『はい?』
急にナニをいいだすのかと3人は思った。よりにもよってオカルトSFでしか出てこないような『古代人』という単語を聞いたからだ。
「遥か太古の昔、古代人リントが文明を築いていた。しかしリントと同じ時代には戦闘種族・グロンギも存在した。それに対抗する為に作られたのが『クウガ』だ。しかし、リントには殺人の概念がなかった為、全てのグロンギは封印されただけだった。それが現在に甦り、大規模な殺人ゲーム『ゲゲル』を開始した。そのゲゲルから人を護る為にある一人の男がクウガに変身する霊石アマダムが埋め込まれたアークルを身に着けて、クウガとなりグロンギと戦った…それが仮面ライダークウガだ」
「ちょ、ちょっとシンジ君…」
「クウガには様々な形態にフォームチェンジする事ができる。『水のドラゴン』『風のペガサス』『大地のタイタン』…順番にエヴァの持っていた棒・弓・剣だ。それと自分の乗り物…バイクと融合して強力な力を発揮する『馬の鎧・ゴウラム』を使役している。まあ、こんなところかな」
リツコは少し納得いかないといった顔をする。シンジが大嘘を言っている可能性があるからだ。ミサトの方はチンプンカンプンと頭を回している。冬月の方も突然眼をしかめていた。
「いったいどういう事。リントやグロンギなんて聞いた事ないし、大量虐殺事件なんて私達はここ数年でも知らないわよ」
「俺が教えられるのは『クウガ』の事についてだけだ。これでも大サービスだぜ」
(ディケイド…?クウガ…?『仮面ライダー』…って一体何なの?)
「納得いかなくても話せるのはここまでだ」
「今度そのクウガの能力、実際に訓練室で使ってみてくれない」
「まあ信じて貰う為だ。今度見せよう」
「約束よ。今のところ聞きたい所はこんな所ね…ミサト。シンジ君をレイの所に案内してあげて」
「い、いいのリツコ」
「今、互いに最も知りたい事を話したわ。『ディケイド』の事、『クウガ』とかいう第2の変身の能力を知れただけでもね。シンジ君、また情報交換しましょ」
「いいぜ。こっちにも結構知りたい事があるしな。じゃあ、案内してくれよミサリン」
「いい加減やめないとハッ叩くわよ」
シンジとミサトは席を立つ。
「その『ディケイド』の力…手に入れたのは『謎の大量行方不明事件』の時かしら?」
シンジはそれを聞いて立ち止まり、
「そうだ」
といって部屋を出た。
『ここは…どこ…』
ファーストチルドレン=綾波レイは炎が上がる戦場にいる。
今でも爆音があがる戦場…地面には巨大な物体が転がっている。
『あれは…使徒…!?』
そう、まだ見たことはないがわかる。あれは…使徒だ。
『どうして使徒が…ハッ!』
レイは爆音が聞こえた場所を見る。
すると巨大な物体が何かと戦っているらしい。
しかし、すぐに巨大な物体が破壊され、レイの目の前に音を立てて残骸となった。
残骸となったのは…
『エ、エヴァ!?』
それは自分が以前起動実験で失敗した零号機。その他にも赤・黒・銀・緑・青・白・桃のエヴァが残骸と化していた。
レイがエヴァが戦っていたモノを見る。それは…
『初号機…』
と前で宙に浮き、光を放っている…
『ディケイド…』
「…あっ…」
レイは眼を覚ます。
眼を覚ましたのは当たり前の事だが、自分の病室だった。
「今のは…夢…?」
レイは頭の中を整理する。
(初号機とディケイド…今日、自分を助けた人…)
何故自分はあんな夢をみたのだろう。
「どうして…?」
レイは余計に考え込んでしまう。
「レイー。いる?入るわよ」
扉の向こうから声が聞こえ、扉が開いた。
「大丈夫?」
声の主は自分の上司である葛城ミサトだった。
ベットに近づくとレイを心配そうに見下ろしている。
「問題ありません…」
「そう?でも無理しないでね?」
(なんでこの人も自分を心配するのだろう。私には代わりがいるのに…)
「実はね、レイに会いたいって人が来てるの」
すると待っていた男が病室に入ってきた。
「よっ、痛くないか?美少女ちゃん」
「あなたは…」
「お前を助けたカッコいい男、碇シンジだ。今日からエヴァのパイロットとやらになった。よろしくな」
(碇…?)
レイはその『碇』に反応する。
「あなた…碇司令の息子?」
「まあそうだ。あの親父とは違っていい男だろう」
「私に…何の用?」
「その前にだ。俺は自己紹介したぜ?美少女ちゃんのお名前は?」
「…綾波、レイ」
「綾波レイ、か。よろしくな」
彼は満面の笑顔で笑う。それを何故かレイは暖かく感じる。
「じゃあ、さっき言った事をやろうか?」
シンジはディケイドライバーを取りだし、装着する。
「ちょ!?シンジ君」
「変身!」
ディケイドのライダーカードをセット。
《KAMEN RIDE『DECADE』!》
シンジはディケイドに変身した。
「こ、こんなところで変身なんて何考えてるのよ!?」
「まあ、見てなって。さぁてと、その体を美しくしようか」
そして一枚のカードを取り出す。そのカードに描かれているのは、不死者達と戦い続けた戦士。
《KAMEN RIDE『BLADE』!》
《TURN UP》
突如目の前にカブトムシのようなものが描かれた青い障壁が現れ、ディケイドに向かってくる。
ディケイドがその障壁をくぐると、ディケイドの姿が変わった。
その姿は様々な生物の始祖である不死者達と戦い続けた醒剣の戦士・仮面ライダーブレイドの姿だった。
「ま、また違う形態に変身した!?」
ミサトは驚きっぱなしだ。
「驚くのはこれからだぜ」
変身したディケイド…D=ブレイドは三枚のカードを取り出す。
そして三枚の立て続けにセットする。
《ATTACK RIDE『BLAYROUZER』》
《ATTACK RIDE『HEART 9 RECOVER CAMEL』》
D=ブレイドは一本の剣・醒剣ブレイラウザーと、2枚のトランプのようなカードを出した。
「ふう、これする場合、いちいちこうやって呼び出さなきゃならないんだよな…」
(…かず兄、はじめ兄…力を借ります)
『RECOVER』
D=ブレイドは『RECOVER CAMEL』をスラッシュ。
カードの中で駱駝の始祖・キャメルアンデットが体を輝かせる。
醒剣が突如暖かい光を放つ。
光がレイの全身と、何故かミサトの腹部を包む。
(あ、暖かい…これは…)
やがて光の輝きが収まっていく。
「どうだ?」
「え…一体ナニを…?あっ…」
レイは自分の体の異変に気付く。
「い、いたく…」
「ないだろ。綺麗に直しといたぜ。ほら…」
D=ブレイドはディケイドに戻り、シンジに戻る。
シンジはレイの眼帯を外す。
「よっし、痣もナシ。綺麗に治ってんな」
口をパクパクしていたミサトも自分の体の異変に気づく。
「おお!?私のお酒でチラしてズキズキしていた胃が全然痛くない!?」
「…予想外のまで治しちまった。まあ、これで退院できるだろ。一応検査してもらっとけよ。いくぜ、ミサリン改めミサトさん」
「え、ええ。シンジ君、今の姿は…」
「さあね。今度の情報交換の時にでも教えてやるよ。それ相応の情報と交換でな」
そういいながら二人はドアに向かう。
「あなた」
レイは無意識にシンジを呼び止める。
「あなた…何者なの?」
「ん?俺か。エヴァの格納庫でも言ったろ?」
シンジはにっこり笑って、
「通りすがりの仮面ライダー、だ」
パシャッ
トイカメラでレイの写真を撮る。
「今度は笑顔で頼むぜ」
「通りすがりの仮面ライダーねぇ…シンジ君はカッコつけね」
ミサトの言葉にシンジは『フフン』と笑って、
「カッコつけるのをやめた男に生きる価値はないだろ?」
「おっ、なかなか男前な事いうじゃない」
「当たり前だ。男前だもん」
ノリ良くシンジが答える。
「さてと、それじゃ『検査』にいきますか」
「検査?なんだそりゃ」
「あんたね~…あなたはエヴァを動かしたのよ。どこか体に異常がないかどうか調べるのも重要なのよ」
「…なんか背後に『データ取っときましょう』って思惑がプンプンするな」
シンジは溜息を吐いて、
「まあ、いいさ。健康診断だと思えば」
「まあまあ、検査受けている間に今日泊まる所手配しておくから」
「そうか。じゃあ、受けてくるわ。何処行けばいい」
「案内するわ。たぶん結構かかると思うから」
「ああ、それから…」
シンジはニヤッ、と笑うとディケイドライバーを取り出した。
急に見せられたそれを、ミサトはそれをお宝を見るような眼で見る。
「世の中最近物騒で泥棒さんがいっぱいだ。だから…」
いきなり極小のオーロラが現れたと思うと、ディケイドライバーが消えた。
「なっ!」
「俺専用の倉庫に入れておかなくちゃな」
「…なんであからさまに見せるの?」
「素敵な収納部屋に自慢のお宝を入れる所を自慢したかっただけだ。他意はないぜ」
ミサトは顔をムスッと膨らませながら、検査室に案内した。途中で写真を撮られて一悶着あった。
「そう…『ベルト』の奪取は無理か」
『ええ。彼はこちらの警戒を怠っていないわ。まったく用心深いたりゃありゃしない』
「それはこちらも同じよ」
問題は突如消えたベルトだ。もしかしたらあのオーヴァーテクノロジーの塊は持ち主以外に触れさせない機能でもついているのかもしれない。
『ねぇ、さっきの『変身』みてた?』
「…監視カメラで見てたわ。ディケイド第三の形態。まったく、カードを入れて変身する事以外全くの謎ね」
「今度の形態はレイの体の傷を治していたわ」
「あれだけがあの形態の能力とは思えないけど…何とかして彼の正体と力を事細かく監視できないかしら」
『う~ん…おっ!』
ミサトは急に何かを思いついたようだ。
『いい事思いついた~』
受話器の向こうでニンマリ笑っているのを、リツコは少し不安に思いながら溜息を吐いた。
「ふ~、やっと検査が終わった。暫く病院は勘弁してもらいたいな」
「ご苦労様、シンちゃん」
突如、現れたミサトにシンジは眼を細める。
「ど、どったの?」
「いや…よく考えたらその呼ばれ方、ここに来るまではずいぶん久しぶりだな」
(昔…おじいちゃんと『キバーラ』に呼ばれてたな)
「ありゃそうなの?」
「ああ…そういえば、俺の住む所は決まったか?ちゃんといいところなんだろうな」
「ええ、ネルフの職員マンションなんだけど、三食御飯がついて…」
「ほう、そりゃ…」
「美人のお姉さん付」
「…ちょっと待て」
シンジはミサトの言葉をとめる。
「その『美人のお姉さん』てのはなんだ?」
「私」
「…別の部屋用意できなかったのか?」
「中学生の一人暮らしは教育に悪いと思って。やっぱり保護者は必要だし…それに寂しいでしょ。お姉さんがあっためてあげる♪」
「教育に悪い事いってんじゃねぇよ!あからさまに監視が目的だろ!?」
「…ソンナコトナイワヨ」
「眼ェ逸らして、カタコトで言ってる時点で大当たりだろうが!」
「さぁ行くわよ」
「話を聞け!それと拒否権は無しか!?」
その後ギャイのギャイの言いながら廊下を歩いていると、身長190㎝を超えるマッシブな看護士(女)が現れ、二人を猫のように掴み、駐車場で(勢い良く)ポイ捨てされた。
「まったく…結局はこうなるのか」
結局シンジはミサトの部屋に向かう事になった。
「いいじゃない。あなたが文句を言う所は何もないと思うけど」
「もうちょっと若(ゴシャ)…なんでもありません」
ミサトのパンチがシンジの面を抉る。
「で、そのマンションまでどれぐらいなんだ?」
シンジは夕日を見ながら、どのように撮るのがいいかトイカメラのレンズを除きながら言う。
するとミサトが車を止めた。
「…ちょっち付き合ってね」
「?」
二人は車から降りる。そこは街を一望できる小高い丘の上の公園だった。
「いい眺めだな(パシャ)。撮影には絶好だ(パシャ)」
シンジはすぐにトイカメラを手に持ち、レンズを調整して、撮影を始めた。その丘から見えたのは、殆ど平らな地面の第三新東京市だった。
「少し寂しいな…」
「そろそろ時間ね」
ミサトの言葉を合図のように今まで平らだった町の所々でハッチが開きそこからビルが出てきた。
「へえ…ビルが生えてくるな(パシャ、パシャ)」
「これが要塞都市第三新東京市…あなたが守った町よ…」
シンジはカメラから顔を外しながら
「俺は要塞都市なんて守った覚えはないぜ。守ったのは…ここに住んでいる人達とその人達の帰る場所さ」
「あはは。言うわね。ただの要塞だったら守らなかったわけ」
「さあな」
そういって、シンジは撮影を再開した。
途中でミサトが
「私も撮って」
と言ったので、ノリノリでポーズと表情をするミサトを何枚か撮った。
夕日に移る儚げな顔…写真はかなり絵になっていた。
これが後にちょっとした小遣いに化けたのはシンジにとって嬉しい計算外だった。
夕日の中、男は二人を…いや、シンジを見ていた。
その男は顔こそ崩していなかったが、どこか楽しそうだった。
「この街はある意味美しいな。人間が世界を破壊し、他の生命を滅ぼし続けた結晶…ふふっ、『この世界』は中々楽しめる」
男は微笑みながらシンジ達を見ている。
「さてと…『この世界』はどうなるんだろう。君が勝つのか?僕が勝つのか?それともこの世界の人間が勝つのか?『この世界』が破壊されるのか?それとも破壊されないのか?」
男は本当に楽しそうに…
「さぁ物語の始まりだ。『
男が人間とは全く違う言葉を喋ると、突如男の後ろにオーロラが現れる。
すると二体の異形が現れた。醜悪な蜘蛛と飛蝗が人間のような姿で立っていた。
「『|ゲゲル ン ジャグギ ゾ ギソ。バギギ パ ジャス。ススス パ…《ゲームの用意をしろ。開始は夜。ルールは…》』」
男はシンジを指し、
「『
男の言葉に怪人達は薄ら笑う。それは戦闘…殺し合い、破壊を楽しむモノの笑み…
『ズ・グムン・バ』と『ズ・バヅー・バ』は男の前から消えた。
「『
男がそのままその言語で喋る。ちょっと楽しくなってきたらしい。
恐ろしい事にこの男、遥か太古の戦闘種族の言語を、流暢を超えて美しく喋っている。
「『
そう、『悪』…この場合自分…が強いだけではつまらない。
昔、一時的に手を組んでいた『負けない悪の組織』を造る事を目指していた『彼』が聞いたら鼻で笑うだろうが、自分はつまらない事が大嫌いだ。
こうバランス良く、かつそれを勝利に持っていく。それこそが楽しい。
だが、今回の事はもうすでに自分は計画を立てて進行している。
はっきり言えばチートをしている。
ならば…
「『
男は楽しそうに両手を広げて、
「『