新世紀エヴァンゲリオン -破壊の継承者-   作:歌音

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第陸話/輝く笑顔。絆の力?

 

 

 

「学校?」

 

皿を洗っていたシンジはミサトの発言に振り向く。食後のビールを飲んでいるミサトと熱い緑茶を飲んでいるレイがいた。

 

あの日以来、レイはちゃんと毎日食べに来る。シンジの味付けが気に入ったのか、食事の量も少しずつ増えている。

 

(レイを納得させるなんて…流石、そー兄ちゃんのおばあちゃんの言葉だ)

 

そんな事を思ってると、ミサトが言葉を続ける。

 

「そっ、学校。明日から。シンちゃん中学生でしょ。義務教育はしっかり受けなきゃ」

 

「そうだな。ただ今、問題とすべき所は…」

 

手をちゃんと拭いて、ミサトに近づき、ビールを取り上げる。

 

「ああっ!?返して!」

 

「なんで前日にいうんだ!この『マダオ(まるでダメな女)』!」

 

「シンちゃん、オニャーノコに『マダオ(それ)』はシドイ!?」

 

ガガーンとなるミサト。

 

「そうかそうか、ではオニャーノコ。なんで前日に言うんだ。理由を聞かせてくれ」

 

「えっ…と…実は…その…あの…」

 

シンジはとてつもなく優しい笑顔で

 

「忘れてたのかい?」

 

「そうにゃの~」

 

「黙れ『マダオ(まるでダメダメなオバサン)』」

 

「な、なんか口調からランクアップしたー!」

 

「まったく…こっちも色々と準備が…」

 

「あっ、レイと同じ学校なのよ!レイも明日から復帰なのよね~」

 

ミサトはできるだけシンジの機嫌を回復しようとした。

 

レイはコクッと頷く。

 

シンジの怒りはさらにヒートアップした。

 

結局、レイを送った帰り、明日の昼食用弁当の材料を買った。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、第一中学2-A組。

 

「第二から来た碇シンジだ。趣味はカメラと服装チェンジ。これからよろしくな。今日は機嫌がいいから質問タイムだ。なんでも聞いてくれ」

 

シンジは教壇に立ち自己紹介をして、不敵な笑みを浮かべる。

 

老教師は『活発的な子だな~』と思いながら椅子に座る。

 

教壇から窓際の席にレイが座っている。自分を見ているのを確認したシンジは見事なウインクをした。

 

基本的に派手な振る舞いだが、『旅』での経験とこれまでの自分を鍛えた事により、無意識に滲み出る雰囲気は並の大人では持ち得ない魅力。

 

高い身長、均整の取れた体、そして整った顔。それらが見事にマッチしている上での不敵な笑顔。

 

クラスの誰もが興味を持った。

 

「以前の学校での部活動は?」

 

「帰宅部だ。写真は完全な個人活動。服飾部でモデルはした事がある。何でも着こなすいい男だからな」

 

「彼女さんはいましたか?」

 

「いないな。どうも俺はまだ一人も射止められない未熟者らしい」

 

「そのトイカメラ。見た事ないデザインだけど何処のカメラ」

 

「よくぞ見てくれた眼鏡の男。名前は?」

 

「俺、相田ケンスケ。いや~、同じ趣味の奴が来て嬉しいよ。そのカメラちょっと見ていい?」

 

「後でな」

 

「ロボットのパイロットって本当?」

 

「この俺がしないで誰が…ってあれ?」

 

普通に答えそうになった。

 

(おかしいな…パイロットの情報はトップクラスの情報じゃなかったのか?まっ、いっか)

 

「この俺がしないで誰がやる?」

 

その言葉により更なる嬌声。

 

「ええ! 本当!?」 

 

「どうやって動かすの!?」

 

「なんで選ばれたの?試験とかあった?」

 

「あの敵はいったいなんなの?」

 

(本当に機密なのか?)

 

とりあえずシンジはある事無い事大げさに喋ってその場を収めた。

 

黒いジャージを着た少年の視線に気づきながら…

 

 

 

 

 

時間は経ち、昼休み…

 

「綾波~、ほれ弁当。お前の好きな野菜炒めと中華風ソースで味付けした春雨巻きも入れといたぞ」

 

レイはシンジをキョトンと見ている。

 

「どうして?」

 

「ん?弁当ぐらい作るぞ?」

 

「なんで入れてくれたの?」

 

「ああ…食べてた時の箸の進み具合で気に入ったのかなと思って」

 

しっかり観察しているシンジ。

 

その二人のやり取りを見て、周りの女子が近づいてきたが、それをさえぎるように

 

「…転校生」

 

黒いジャージの少年がシンジに声をかける。

 

「ん?なんだ」

 

「…オマエがあのロボット動かしとったちゅうのはほんまか?」

 

関西弁だ。

 

「?…そうだが、どうした?」

 

「ほうか…すまんがちっと顔貸してくれ」

 

「ふ~ん…かまわないぜ。綾波、残さず食べろよ」

 

シンジは黒いジャージの少年についていった。

 

 

 

 

 

 

 

「校舎裏か…もしかして、お前『番長』ってやつか?」

 

「ちゃんわ!なんやその『番長』って!?」

 

「『番長』を知らないのか!?伝説の男達の称号だぞ!」

 

「知らんわそんなモン。わいは鈴原トウジや」

 

「知ってる、名簿全部見たから」

 

「ほうか。ええか、お前に顔貸してもらった理由は…」

 

「お兄ちゃん」

 

小さな女の子が鈴原に声をかけた。

 

「おっ、ナツミ」

 

(なっ、夏海!?…て、同じ名前なだけだろ、俺)

 

シンジは目の前にいる小さな女の子を見る。

 

(あれ?この子…)

 

「おい、もしかして逃げ遅れてた子か?」

 

「そうや。実は礼をいいたかったんや。妹を助けてくれて、本当にありがとう」

 

鈴原は頭を下げる。

 

「ああ…それなら…」

 

「ちがうよ、お兄ちゃん」

 

少女…ナツミがトウジのジャージを引っ張る。

 

「ナツミを助けてくれたのはクワガタさんだよ」

 

「せやから、そのクワガタってなんやねん。クワガタが助けてくれるわけ…」

 

「ああ、その子を助けたのは確かにゴウラムだ」

 

鈴原が眼を丸くする。

 

「お兄ちゃん、あのクワガタさんの事知ってるの?」

 

「ああ、知ってるよ、ナツミカンちゃん」

 

「ナツミカンじゃないよ、ナツミだよ」

 

「…ごめん。ちょっと昔を思い出してね…あのクワガタさんの名前はゴウラムだ」

 

「ゴウラム…?」

 

「そっ、ナツミちゃんやナツミちゃんのお兄さんやお父さん、おじいちゃんが生まれる前よりもずーと昔から人を守ってきたクワガタさんだ」

 

「ふぇ~、そんなに昔からいたの?」

 

「ああ、きっとゴウラムも喜んでるよ。ナツミちゃんが笑顔でいるからね」

 

「うん!お兄ちゃん。わたしゴウラムさんにお礼がいいたい」

 

「う~ん、実はな。今はちょっとこれないんだが…そうだ」

 

シンジは一枚のカードを何処からか取り出す。それにはゴウラムが描かれている。

 

「このカードにお礼を言ってみろ。そうすれば伝わる」

 

「あっ、ゴウラムさんだ」

 

ナツミはカードを手に持ち、

 

「ゴウラムさん。ありがとう!」

 

素敵な笑顔でゴウラムのカードにお礼を言った。

 

「はい、お兄ちゃんもありがとう」

 

「はい、どういたしまして」

 

ナツミは笑顔で笑っている。

 

「よかったな…」

 

「ああっ、ホンマにありがとうな転校生」

 

「碇シンジだ。シンジでいいぞ」

 

「じゃあワイもトウジでええわ、これからよろしゅうな!」

 

「お兄ちゃんよろしく!」

 

パシャ…

 

そういって笑う二人をシンジはカメラに収めた。

 

「ナイスな笑顔だ」

 

 

 

 

 

遥か彼方の世界…

 

その世界の東京にある科学警察研究所では…

 

「まったく、ゴウラムが消えて動き出すなんてね」

 

「まあまあ、以前にも何度かあったじゃないですカ」

 

「そうね」

 

そんな中『ゴウラム』は感じていた。

 

少女からの暖かい気持ちを…

 

再びゴウラムは鋼の己に誓う。

 

人を護る事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初日から友達ができるなんてよかったじゃない」

 

「ああっ、人を監視している不埒モンさえいなきゃもっと良かったがな」

 

「にゃはは…」

 

シンジはミサトとネルフの廊下を歩き、エレベータのボタンを押す。

 

「まあ、プライベートさえ邪魔しなければいいさ」

 

そういわれてもシンジのプライベートは結構監視できないでいる。

 

部屋に監視カメラと盗聴器をいくらセットしても妙なギターをどこからともなく出して『ギュイーン』と鳴らすと、監視カメラと盗聴器が破壊される。

 

トレーニングといっていつも夜等に出かけているが、走りこみの時点で見失うらしい。

 

車で追うと、中道に入られて見失うし、なんでも元マラソンマンで誇っていた監視の一人がぶっ倒れて、自信をなくしたらしい。

 

後でさりげなく聞いてみると、

 

「『鬼』の修行は半端じゃないからな」

 

とわけの分からない事を言った。

 

「今日は何をするんだ?『クウガ』の能力ならこの間測っただろ?」

 

「今日はシンクロテストよ。プラグスーツが届いたからそっちで観測したいんだって。『ディケイド』じゃなくて『シンジ君』本人でね」

 

「ふ~ん」

 

チンッ!

 

「お、来た来た」

 

プシュー…

 

エレベーターが開くと、そこにネルフの司令であり、シンジの父親でもある、碇ゲンドウがいた。

 

(あっちゃ~)

 

ミサトは少し顔を手で覆う。しかしシンジは、

 

「おいおい、親父殿。降りねぇのか。じゃあ、ちょっとそんな出口の所に突っ立ってないで、中にいれてくれよ」

 

「………」

 

そういうと、ゲンドウは少しだけ道を開けた。

 

(エェェェェェェェェェッ!)

 

ミサトはその行動を信じられないような眼で見ながら、エレベーターに入る。

 

「おっ、そういえば、初めて来た時以来だな。会うの」

 

「………」

 

「最初はこの間の命令に腹立ててたけど、やっぱり親子ってちゃんと真正面から会話をするべきだと思うな。さあ、こういう時は親子で色々報告しあうらしいぜ?まず親父殿が『学校はどうだ?』とか言って、俺が月並みにも『うん、うまくやってるよ』ってな具合で」

 

「………」

 

「そういえば、お袋の墓参りでも遭遇しねぇな。今年は一緒にいかねぇか?いい加減にしねぇとお袋が化けて…」

 

プシュー…

 

エレベータが開くとゲンドウは何も言わずにエレベータを降りた。

 

『………』

 

沈黙が流れる。

 

「あ、あのシンジ君…」

 

「あの親父、根っから暗いな。せっかく同じ職場になったから今までの事を水に流そうと努力したんだが…」

 

「…気を落とさないでね」

 

「そっちこそ、気にすんな。こっちは全然平気だ。まあ、そのうち何とかなんだろ。しっかし…」

 

シンジはエレベーターを見て、

 

「心配なのはあの親父殿だな」

 

「え?」

 

「ありゃ、たぶん…」

 

(目的の為にはとんでもない事をしでかす眼だ…)

 

 

 

 

『目標をセンターに入れて、スイッチ…っていつまでやりゃあいいんだ。いい加減眼が疲れたぞ』

 

プラグスーツを着たシンジがモニターの向こうでいう。

 

「訓練は大切よ、しっかりやりなさい」

 

『じゃあ、せめて標的変えるなり、動きを変えるなり色々アレンジしてくれ。今ので本当の百発百中だぞ』

 

「そうね。考えておくわ」

 

リツコはそれとは別の作業をしながら返事をする。

 

今、シンジの射撃訓練に付き合っているのはミサトとマヤだった。

 

リツコは頭を抱えて、別の作業をしている。

 

必死になって睨んでいるのは、ディケイドの資料だ。

 

ここ数日、シンジに頼み、『ディケイド』と『クウガ』のデータを取らしてもらった。

 

リツコはどうにかしてこのメカニズムを解析しようとしたが…

 

『まったくわからない。ハハハ…』

 

としか言いようが無かった。

 

なんであんなふうに変身できる。

 

なんで違う形態に変身できる。

 

まったくわからない。

 

「うううぅぅぅ…」

 

「先輩…溜め込んでますね」

 

「あそこまで煙吹いてるリツコを見るのは初めてよ」

 

『お~い。そういえば免許できてる?』

 

「え、ええ。申請は通してるわ」

 

『良かった。急いでる時に無免で捕まると逃げるのに大変だからな』

 

「それ以前に中学生が大型バイクに乗るんじゃないわよ」

 

『チチチッ、俺は仮面ライダーだぜ。バイクに乗らなくてどうするんだ』

 

「まったく…交通費でガソリン代はでないわよ」

 

『大丈夫。あれ、燃料のいらないバイクだから』

 

バッ!(リツコが突然勢い良く立ち上がる)

 

ビクウゥッ!?(二人がびびる)

 

「シンジ君!今のどういうこと!?」

 

『え?そりゃライダーだからバイクに乗らないと…』

 

「違う!その次よ!」

 

『あ、ああ。燃料の要らないバイクってとこ?』

 

「詳しく話しなさい!?」

 

『え~、情報交換が約束…』

 

「レイのスリー…」

 

『バイクの名前はマシンディケイダー。『クラインの壺』といわれる所から無尽蔵の次元エネルギーが供給されている上、あらゆる環境を走破できます』

 

リツコはその話を聞いて口を大きく開ける。

 

どうやら予想外の答えが返ってきて、驚いているようだ。

 

「し、シンジ君。バイク貸してくれない?」

 

『やだ。おいそれより早く教えろ!』

 

「あ、はいはい。レイのスリーポイントは無表情な所と、赤い瞳と、蒼銀の髪よ」

 

シンジは口を大きく開けてパクパクした後、唇を震わせて

 

『き、貴様騙したな!』

 

「あら、最後まで聞かずにベラベラ喋ったのはシンジ君じゃない」

 

『こ、こんなに酷い騙まし討ちにあったのは初めてだ!?この悪の科学者め!死神博士め!イカでビール飲んでろ!』

 

シンジがありとあらゆる限りの罵声を言って、今回の訓練は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、綾波」

 

「…碇君」

 

レイを見かけたシンジは声をかける。

 

「来てたんだな。学校で言ってくれてれば乗せてったのに」

 

と一緒にエスカレーターに乗る。

 

「今日…」

 

「ん?」

 

「碇司令とお話したの?」

 

「なんで知ってるんだ?」

 

「葛城一尉から聞いた」

 

シンジは頭を掻く。

 

「それには間違いがある。俺が一方的に喋っただけだ」

 

シンジはとりあえず話題を戻す。

 

「綾波とは喋るのか、あの親父殿?」

 

「…ええ」

 

「じゃあ色々聞いといてくれ。特に俺の事を嫌いなのかってとこは特に」

 

「…碇司令の事嫌いなの?」

 

「そうじゃない。第一、10年前に会ってない奴の事をどう好きだの嫌いだの言えと?まあ、昔、誤解とかで辛い思いをした人達を知っているから、できるだけ歩み寄ろうとは努力している」

 

「そう」

 

「まあ…」

 

140㎝くらいしかないレイの頭にシンジは手を載せて

 

「親子共々これからもよろしくな」

 

と頭を撫でる。

 

「……………………うん」

 

レイは何故かその手を心地よく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいは~い。今日の昼食は野菜類は金平に野菜春巻に野菜の春雨巻きと野菜ギョーザ、ナス水煮。肉類は贅沢にトンカツ・鳥の照り焼き・焼肉の牛豚鳥のセットだ」

 

『お~(パチパチパチ)…』

 

トウジとカメラ仲間のケンスケが拍手をし、レイは釣られて拍手をする。

 

「てか何で俺がお前らの分までメシ作らなきゃならん」

 

「いいやないか親友」

 

「いいじゃないか親友」

 

「くっ、なんて奴らだ。タダメシを集りやがる。ジュースぐらい用意しろ」

 

レイはさっそく野菜料理を口にしていた。

 

「どうだ、レイ。うまいか?」

 

「……………うん」

 

「そうかそうか」

 

シンジは満足そうに頷く。

 

『♪~♪♪♪~』

 

「ん?」

 

シンジとレイは携帯を見る。

 

シンジの携帯からなったのは勝手に設定を変えた『ELEMENTS』…この曲がなるって事は

 

「おい、2人とも。この弁当をやろう。食っとけ」

 

「おっ!ええんか!?」

 

「ああ、残すなよ。レイ行くぞ」

 

「うん」

 

二人は大急ぎで屋上から駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

レイをタンデムシートに載せたシンジの運転するマシンディケイダーがネルフ本部に到着し、シンジはすぐにプラグスーツを着る。

 

そしてディケイドライバーを腰にセット。

 

「よし、準備完了」

 

シンジが更衣室から出ると

 

「綾波?」

 

「………」

 

レイがシンジを待っていたように立っていた。

 

「激励か?」

 

「…なんでここに来たのか…私にも…」

 

シンジはそれを聞いて笑う。

 

「今はそれでいい。少しずつだ」

 

シンジはレイの頭を撫でる。

 

「…綾波。今日は最高の絆の強さを見せてやる」

 

「絆の…強さ?」

 

「ああ、俺の知ってる中でも最高のな」

 

ちゃんとモニターで見てろよ~、と言ってシンジは向かった。

 

 

 

 

 

 

ネルフ本部のメインモニターには第4の使徒が映っていた。

 

「司令の居ぬ間に第四の使徒襲来。意外と早かったわね」

 

「前は15年のブランク。今回は、たったの三週間ですからね」

 

「こっちの都合はお構いなしか…女性に嫌われるタイプね」

 

ミサトとオペレーターの日向マコトはいまいち緊張感にかける言葉で目の前の状況を評する。

 

発令所の扉が開いてケージでの作業を終えたリツコがレイをつれて発令所に入ってきた。

 

「リツコ?レイも来たのね。初号機の準備はどう?」

 

「後360秒ほどで準備できるわ。」

 

「わかった、シンジ君後5分ほど待って。」

 

『わかった』

 

モニターにシンジ…ディケイドの姿が写しだされる。

 

「結局変身するのね」

 

『そりゃあな。ホンの少しでも倒す可能性の高い方がいいだろ?』

 

「そりゃあそうね、油断なんかしないでよ?」

 

『油断?いつでも常在戦場がモットーですよ。』

 

初号機のモニターに第4使徒が映し出される。

 

いろいろな方向からミサイルや実弾がたたき込まれているが全く効果がない。

 

『しっかし、こうも無駄遣いされると給料上げろって言いたくなるな』

 

「まだ取る気なのシンジ君」

 

『いえいえ、月給の他に時給2000円まで加算していただける事には素晴らしく感謝しているぜ。ところで今日のボーナスにあのミサイル三発分程くれないか?』

 

「ミサイル一発いくらすると思ってんのよ!」

 

『いいだろ~、あそこでバンバン無駄遣いしてるんだから…それにしても』

 

ディケイドは第四使徒を見る。

 

『ビック・イカデビルと名づけよう。刺身にどうだ?』

 

「え、遠慮しとくわ」

 

「委員会から再びエヴァンゲリオン出撃要請が来ています」

 

「うるさい奴らね。言われなくても出撃させるわよ」

 

ミサトはディケイドを見る。

 

「シンジ君…がんばってね」

 

『ふん…頑張るだけじゃなく、勝って来るさ』

 

ディケイドの声が真剣みを得ている。

 

『仮面ライダーは…』

 

シンジはふと、トウジとナツミの笑顔を思い出す。

 

『笑顔を涙に変えようとするモノを、許さない』

 

 

 

 

第四使徒から死角になる位置に射出された初号機はリフトから開放された。

 

「いくぜ…最高の絆の力、見せてやる!」

 

ディケイドはライドブッカーから素早くライダーカードを取り出し、ディケイドライバーにカードをセット!

 

《KAMEN RIDE『DEN-O』!》

 

『SWORD FOME』

 

ディケイドの姿が、なり始めた音楽ともに、白と黒のスーツに変わる。

 

周りに赤い物体が回転し、それが装着される。

 

頭部に装着された赤い桃のようなモノが開き、マスクとなる。

 

そう、この姿は最高の絆で戦った戦士の姿。

 

その強い『心』で、何人もの他者を己に受け入れるという離れ業を行ったHEROの姿。

 

『声』と『声』が重なる度に奇跡が起きていた。

 

『彼ら』は誰よりも、最高に強くなっていたから…

 

なんども奇跡を起こした仮面ライダー…仮面ライダー電王である。

 

『まっ、また違う形態に変身した!?』

 

『せ、先輩!?倒れないでください!せんぱ~い!』

 

まあ、聞こえて来る声は置いておいて、ディケイドは第四使徒を睨みつける。

 

第四使徒は初号機から感じるただならぬ気配に気付き、こちらを見ていた。

 

剥き出しの肋骨のような部分が『キャラコラキャラコラ』動いて気持ち悪い。

 

赤いコアも見えていた。

 

「まずは手始めに…」

 

D=電王SFはライドブッカーから一枚のカードを引く。

 

「さあ、いくぜ!」

 

自信満々にカードをセット!

 

《ATTACK RIDE『ORE-SANJO』!》

 

エヴァが右親指で自分を指し、

 

『俺…』

 

両腕をそのまま大きく広げて

 

『参上!』

 

ど~~~~~~~~ん!

 

決まった。

 

「………」(ディケイド)

 

「………」(第4使徒)

 

「………」(レイ)

 

『………』(ネルフ一同)

 

『そ、それがどうしたの、シンジ君』(ミサト)

 

ディケイドはもう一度ポーズを取る。やはり何の反応もない。

 

ディケイドは無言でライドブッカーからもう一枚カードを引く。

 

「次はこれだ」

 

カードをセット!

 

《ATTACK RIDE『BOKUNI-TURARETEMIRU』!》

 

D=電王SFの体のパーツが離れて回転し、D=電王の姿が変わる。

 

青いボディのロッドフォームだ。

 

エヴァはクルッと優雅にターンし、爪を弄るような仕草をして、

 

「僕に…釣られてみる?」

 

キュン!

 

ディケイドの甘々ヴォイスによって紡がれたこの台詞を聞いたミサト・リツコ・マヤを含めたネルフ女性職員の皆様が胸をトキめかせて、クラッと来た。

 

『こ、こらぁシンジ君!使徒が目の前にいるのに何クドイてんのよ!?』

 

しかし、モニターの向こうのD=電王RFは…

 

「あ、あの、アホ共が…」

 

『ちょっとシン…』

 

「ウルセェ!」

 

D=電王RFはもう2枚カードを引く。

 

カードに描かれていたのは、

 

《『KOTAEHA-KIITENAI』!》

 

と…

 

「………」

 

シュバッ!ギャギンッ!ガギンッ!

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

無言のまま、第4使徒は光の鞭を振るい、初号機を攻撃した。

 

シュバッ、ポイッ。

 

初号機は無残にも足首を掴まれ投げ捨てられた。

 

《『NAKERUDE』!》

 

 

 

 

 

 

その一部始終を見ていたレイは、

 

「今のが…絆?」

 

と首を斜めに傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのアホ共…いつか会ったら憶えてろ…」

 

D=電王RFはディケイドに戻っていた。

 

もう、なんていうか、レイに申し訳が無かった。

 

「くそ!こうなったらさっさと使徒をぶち倒してフォローを(ぴぴー)ん?」

 

ディケイドがモニターを見ると、

 

「…悪い事ってのは重なるもんだ」

 

左手の人差し指と中指の間、すこしでもエヴァの落下点がずれていたら押し潰されている位置には、恐怖に怯えたトウジとケンスケがいた。

 

 

 

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