「ふふ~ん…こいつが『5番目』か」
男はニヤニヤ笑いながら『5番目』を見る。
「まあ、ディケイドにまたあっさり殺られるのも面白味がないし…」
男は一枚のカードと
「力をあげるよ。ほんの少し…ね」
『それ』を取り出して、『5番目』に近づいた。
「なんていうか…でっかいな」
シンジの呑気な声が仮設テントの中に響く。
「なに言ってんの?何度もエヴァの中から見て戦ってんじゃない?」
「こっちもでかくなった様なもんなんだぜ。実感わくかよ」
「そうなの?」
シンジ達の目の前には第4使徒の腕の部分があった。
ここは死んだ第4使徒の死骸の解体、および調査現場だ。
以前の第三使徒は跡形もなくなってしまったが、エヴァの『アクセルクリムゾンスマッシュ』により千切れたいくつかの部分が爆発による消失を逃れていた。
使徒の初のサンプルとなる。
赤木リツコ博士狂喜乱舞している。
「まったく…血を爆発時に撒き散らすなんてな。爆発してはい終わりって訳じゃないんだな」
シンジは使徒の腕と海のように溢れる血を眺める。
「…背負ってやるさ。お前を殺した罪もな」
テントの中を一通り見終わったシンジとミサトは現場の指揮をしているプレハブに入った。
「リツコ?何かわかった?」
「ミサト?シンジ君も来てたの?」
「おう。調査は進んでんのか?」
「今度からもっと考えて戦ってくれない?原型をとどめて欲しいわ」
「文句言うなよ。少しブツが残ってるだけでも感謝してくれ」
シンジは呆れた顔でリツコを見る。
「それで、なんかわかったんでしょうね?」
「…これを見て」
リツコが見せたパソコンのディスプレイには『601』と表示されている。
「…何、これ?」
「解析不能を示すコードナンバー」
「つまり、訳わかんないって事?」
「そう、使徒は粒子と波、両方の性質を備えるような光のモノで構成されているのよ」
ミサトが難しい説明に頭を悩ませている。
「…使徒は生物じゃないのか?」
「さっぱり理解不能だけれどね…とかくこの世はわからないことだらけよ」
シンジはリツコの言葉を黙って聞いていたが…
『嘘つけよ』
リツコに見せ付けるように口を動かす。
『あら?根拠はなに?』
『さあな』
シンジは興味なさそうに周りを見る。
(この死神博士モドキは何かを掴んでいる…のは間違いないな)
「でもわかった事もあるわ、見てこの使徒独自の固有波形パターン」
「これって…」
「そう、構成素材の違いはあっても信号の配置と座標は人間の遺伝子と酷似しているわ…99.89%ね」
「それじゃ…」
「そう、エヴァと同じ」
シンジはソレを聞いて目を見開く。
(まるで『オルフェノク』や『ワーム』だ。もしかして…)
シンジはテントの方を見る。
(あいつ等も、『人間』のお仲間って可能性もあるのか?それとも別の可能性の何か…か?)
シンジは眼を細める。
「あれ?もしかして親父か?」
「あ、ホント。司令も来ていたのね」
「ええ、司令が現物を見たいっておっしゃってね。」
シンジの目にはゲンドウがいつもつけている白い手袋を外し素手でコアの破片をさわって周りの人間に何か言っているのが見えた。
「ん?手が酷い火傷してるな。なんかあったのか?」
「ああ、それはね」
リツコの話では零号機の機動実験時、零号機が暴走し、さらにオートイジェクションが作動してエントリープラグが射出され室内を飛び回ったそうだ。
レイの怪我はその時のもので、ゲンドウがレイを助ける為に自らを省みずレイを助けたらしい。
「そうか…まあ、本人の真意はどうあれ、綾波を助けた事には変わりないな」
「お父さんを見直した?」
「さあな」
シンジは父親の目を思い出す。
(一体何を企んでるんだ。親父は…)
シンジは一人の男を思い出す。
昔…数えるほどしか会った事はないが『彼』の印象は今でも焼きついている。
そう、妹を救う為に全てを犠牲にしようとした『金の翼』を持つ、神の名を冠したライダーを…
(あの人と同じ眼をしている…一体なんなんだ?親父の企みは…?何を…何を求めているんだ?)
「よう、綾波。おはようさん」
「…おはよう」
シンジはマシンディケイダーをマンションの出入口から出てきたレイの前で止める。
「乗れよ。今日は零号機とやらの機動実験なんだろ。送ってく」
「学校は?」
「サボタージュ。トウジ達は残念な事に昼ご飯抜きだ」
後ほどシンジの携帯電話に『鬼!悪魔!冷血人間!』というメールが2通来ていた。
「…どうして?」
「ん?」
「どうして一緒にいられるの」
「ああ」
この間シンジはトウジとケンスケを殴った。
理由はあの時の二人の行動からだ。
その後でも3人はつるんでいる。
(伝わってよかったな…これでもうあんな事はないだろ)
シンジはその事が少し嬉しかった。
「まっ、これが『絆』って奴さ」
「絆…」
レイは少し俯いて…
「私の絆…絆…私には…」
「俺とこうやって話をしている」
「えっ?」
「それも『絆』だ」
シンジはニコッと笑う。
レイは少し動揺していたが
「ホレ乗れ。遅れるぞ」
「…うん」
シンジはマシンディケイダーにレイを乗せて、走らせた。
「まあセンパイにこう言うのもなんだが緊張しないようにな。今度は親父だけじゃなく俺もいるとはいえ、安心しろとはいわねぇ。気をつけてな」
「………」
ここ暫く、レイのシンクロ率は安定していない。不安定な形で上がったり下がったりしている。
(…この人が来てから…私はおかしくなっている)
今時分に背中を見せている男の事が…レイは知りたい。
様々な絆を見せてくれる彼を…
そして…
(私には…本当にあるの…『代わりがいる』私に…)
実験場に緊張が満ちる。
「レイ、聞こえるか?」
『はい』
ネルフ司令・碇ゲンドウの重たい声が響く。
横にいる副司令である冬月コウゾウも真剣そのものだ。
「これより零号機の再起動実験を行う」
その言葉により、さらに周りの雰囲気が変わる。
「第一次接続開始」
「主電源コンタクト」
その言葉を皮切りにリツコとマヤを筆頭とした技術部があわただしく動くのをシンジはミサトの隣で真剣な目で眺めていた。
目の前の実験場には黄色くカラーリングされた単眼のエヴァンゲリオン零号機が拘束具に固定されて起動準備にある。
シンジはレイの映るモニターを見る。
エヴァに載っている時のレイは真剣そのもので、迷いはなさそうだが、
(最近、綾波のシンクロ率の上り下りが激しいって聞く…油断ならないな)
シンジはポケットのディケイドライバーを確認する。
いざという時は全力を尽くして零号機を破壊してレイを助けるつもりだ。
(綾波…ガンバレよ)
起動準備は着々と進んでいる。
皆、前回のような暴走はごめんなのだろう。
室内にはピリピリした空気が張り詰めている。
「主電源コンタクトっ!!」
「稼働電圧臨界点を突破!!」
「了解!!」
「フォーマトフェイズ2へ移行」
「パイロット、零号機と接続開始」
「回線開きます」
「パルス及びハーモニクス正常」
「シンクロ問題なし」
「オールナーブリンク終了。中枢神経素子に異状なし」
「1から2590までのリストクリア」
「絶対境界線まで、あと2.5…1.7…1.2…1.0」
起動実験は最終段階に入った。
前回はこのあたりで異常が出たためにいっそうの緊張感が全員の間に走る。
「0.8…0.6…0.5…0.4…0.3…0.2…0.1突破っ!!ボーダーラインクリア、零号機起動しました」
零号機の単眼に光がともる。
それを見た全員が喜びの声をあげた瞬間!
ぱ~~~~~ん!
とてつもない破裂音がなり、音の衝撃により何人かは倒れる。
当たりにチャフのようなに銀紙とリボンが飛ぶ。
何事かと周囲の者達は周りを見る。
音の発生源は…碇シンジだった。
カラーコーン並の特大サイズクラッカーを持っていて、満面の笑顔でレイを見ている。
音の直撃を受けたミサトは倒れていた。
レイもスピーカーから聞こえる音に驚いていたがシンジはお構いなしに、
「ナイスだ!綾波!よくやったぞ!」
グッと親指を向ける。レイは突然の事に戸惑っていると、またもや特大クラッカーを出して第2撃を放とうとするシンジを止めようと職員が向かうが、
『♪♪~』
実験場の電話が電子音を奏でた。
冬月が受話器をとる。
電話の内容を聞いた冬月の表情が険しくなった。
「碇、未確認飛行物体が接近中との事だ。恐らく第5の使徒だな」
実験場の空気がさっきまでと別の意味で緊張する。
「テスト中断。総員、第一種警戒態勢。零号機はそのまま待機!!」
「零号機はつかわんのかね?」
「まだ実戦にはたえん…初号機は?」
「400秒で準備できます」
「…出撃だ」
周囲が初号機の準備で慌ただしくなる。
そんな中でゲンドウはまだクラッカーを鳴らそうとし、職員に取り押さえられているシンジを見つけた。
「何をしている?」
「こら!祝砲の邪魔を…あ?祝砲まだあげてないんで取り敢えず上げようと…」
「…出撃だ」
「わかってるって、すぐにいく。その前に…親父」
シンジは真剣な眼差しはゲンドウを貫く。
「正直な所…俺は親父が何を企んでいるのか、今の所全く分からない」
「………」
「ずっと放りっぱなしにしていた息子を呼び出して、エヴァに乗せて使徒と戦わせる。そしてあんたは間違いなく俺がエヴァを動かせる事を知っていた。マルドゥック機関だが何だかしらんが、そいつらが必死に探して俺の他にたった『3人』しか見つかっていないパイロット。エヴァなんて特殊なモンのパイロットにするなら、普通早々に呼び出して様々な実験を繰り返すんだろうな。だが、あんたはいきなり俺を初号機に載せた。何故かって?動かせる事を知っていたからだ…企んでいないと思う方がおかしい」
シンジはディケイドライバーを取り出す。
「だがな…俺はエヴァンゲリオン初号機パイロットである以前に『仮面ライダー』だ」
シンジはディケイドライバーを装着する。
「人を護る為にエヴァに乗って使徒と戦う。だが!」
《KAMEN RIDE》
「あんたがもし、とんでもない事を企んでいたら…その時は俺が止める!」
《『DECADE』!》
シンジの周りに9体の鏡像が現れるはディケイドに変身する。
そして緑の瞳はゲンドウを貫く。
「俺が『破壊』する…それが、『ディケイド』だ」
そういってディケイドは実験場から出て行った。
正面のモニターにはクリスタルのように美しい光沢を持つ正八面体が映っている。
「こいつが…5番目の使徒、か。おい、これホントに生きもんか?」
おおよそ生物とは無縁のその姿は第三新東京市の真上に浮かんでいた。
『使徒の反応はちゃんとあるわ。それに目の前にある事が事実よ』
「全くもって…ところで、ミっちゃんにリッちゃん『はたくわよ』この使徒はどうやって攻撃してくると思う」
『えっ?』
「攻撃方法だよ。『使徒』なんだろ。なんかしらの攻撃しかけてくるんだろ?見た感じ手も足も出せそうにないが、奴にも手段がある筈だぜ」
『そうね~…』
「超高速で突っ込んでくるとか?」
『あら、体の一部を分解させて飛ばしてくるかも?』
『え、っとそうね。そうだビームとか!単純にビーって遠くの敵を攻撃…まっさかね~』
そのミサトの言葉に全員がミサトを見る。
『あ、ありゃ?みんなどうしたの』
「…おい、電池は満タンなんだろうな」
『ええ、普通に稼働して五分間分…満タンよ』
「そうか…間に合うかな」
ディケイドは一枚のカードをライドブッカーから取り出す。
描かれているのは『太陽の神』…
「いくよ…『僕』も天の道を…」
《KAMEN RIDE『KABUTO』!》
『HEN-SIN』
ディケイドの姿が変わり、銀色の装甲に覆われた姿となり、
『CAST OFF』
装甲が全身から浮かび、飛び散り、別次元へと消える。
そして顔面に一本の角が装着され、
『CHANGE BEETLE』
カブトムシを象った姿のライダーとなった。
『ま、また違う形態…いったい何種類あるのよ!』
「秘密だ」
そう、その姿こそは己の道を…『天の道』を往き、総てを司り、己の正義を貫いた仮面ライダー…
『光を支配せし太陽の神』…『仮面ライダーカブト』!
D=カブトはライドブッカーから一枚のカードを取り出し、
「さあ、上げてくれ。準備は万全だ」
その言葉により、ミサトは表情を引き締め、
『エヴァンゲリオン初号機…発進!』
ミサトのかけ声とともに初号機はリニアレールで射出された。
目指すは地上…
『!?目標内部に高エネルギー反応っ!』
『なんですって!』
初号機が地上に出る直前、使徒をモニターしていたマヤから悲鳴のような報告が入る。
第5使徒が…美しく、まるで神の芸術のように…変形していく。
『円周部を加速!収束してゆきます!』
『…まさかっ…荷粒子砲?ミサトがいうから!?』
『あ、あたしのせい!?』
第5使徒のエネルギーの収束は止まらない。
ビカッ!
暴虐なる『光』が放たれる!
『だめっ!よけてっ!』
「当たり前だ!」
《ATTACK RIDE『CLOCK UP』!》
ミサトの悲鳴とD=カブトの合いの手、初号機が射出され、第5使徒から加粒子砲が放たれるのはほぼ同時だった。
その光は途中にあるビルを貫きながら初号機に迫っていく…が、初号機に命中する寸前、初号機が消えた。
『えっ?』
「まったく、なんてもん持ってんだ。ミサトさんのせいだぞ。ビームとかいうから」
D=カブトの乗る初号機は第5使徒に向かって走る。
「さあてと、とっととこんな物騒な奴を退治…ん」
D=カブトは第5使徒が変形していく…この『世界』で!
「なっ!?」
(『クロックアップ』に対応しただと!?)
ビカッ!
そして二度目の『光』が放たれた。