起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない   作:Reppu

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令和という元号がしっくりきません。
平成の時も同じ事言ってましたが。


第二十二話:0079/05/28 マ・クベ(偽)と補給線

模擬戦から1日が過ぎ、俺は昨日考えた火器の改善提案を関係各所に送りつけていた。ゲンザブロウ氏を受け入れた段階でオデッサは鉱山基地から正式に生産拠点に格上げされたので、これもちゃんとした業務の一環になった。おかげで突撃宇宙軍司令部付きの参謀連中から鉱物掘らないで何してんの、暇なの?馬鹿なの?みたいな厭味が減ったのは、非常に喜ばしい。仕事は倍以上になったがな!

 

「大佐、ジオニック並びにツィマッドへの提案書の決定稿になります。ご確認下さい」

 

「助かる、ウラガン」

 

ちなみに改善提案に関しては、火力崇拝者であるタカミ中尉に思ったことをふわっと伝えると、具体的な提案書にしてくれるという、極めて俺に優しい作成手順が出来ている。ただし油断すると、お前は一体何と戦うつもりだ?と言いたくなるような超兵器を提案してくるので最終チェックは欠かせない。

 

「マシンガンはヘビーバレル化と銃身の延長、ショートリコイル化。それと可能であれば装薬の増加。バズーカは単純に推進薬を増やした改良弾頭の生産か。無難だな、宜しい各社に送ってくれ」

 

そう言ってサインをした書類をウラガンに返す。おお、なんか司令っぽい。

 

「それから、MS部隊の各指揮官より昨日のシミュレーションデータを全員へ閲覧可能にして欲しいとのことです。同じ要望が技術部からも挙がっております」

 

技術部はこれまでバラバラだった各社からの出向組の皆さんを纏めて1つの部署にしたものだ。どうもアッザムの一件以来、連帯感が出来たらしく積極的に意見交換するためにもどうせなら1つに統合されようぜって意見が出たそうな。もっとも軍に引っこ抜く訳にはいかないので、立場的には今までと変わらないのだが。ただ資材の請求は通しやすくなったせいで、一部の連中が趣味に走っているからちょっと注意が必要だ。

 

「…あれをか。いや、うん、見たいと言うなら許可する」

 

そこまでさらし者にしなくても良いじゃないと思ってしまうが。

内容が良いか悪いかは別として、教材として使えるというのなら俺の恥くらい安いものだ。

 

「承知しました。もう一件、鉱山開設の進捗ですが、第114及び第115鉱山基地の開設が遅れています。鉱山作業者が募集員数に達しておりません」

 

114と115は鉱山採掘増産指令に伴って、新たに開設中の鉱山だ。一月で10個近く採掘基地増やすとか、どっかの地球外炭素系土木機械も真っ青なブラックぶりである。

 

「仕方ないな、募集範囲を拡大する。まだ旧ロシアの方には人が居るかもしれん。それと開設までは他の鉱山基地に増産を指示しろ、ノルマ超過分については特別報酬を出す」

 

そうため息を吐きながら増産指示の書類を作っていると、窓がビリビリと振動した。

 

「ウラガン、基地上空はもっと高度を取るように注意しておけ」

 

窓の外では、量産化へ向けての最終調整、という名目でドップⅡが楽しそうにアグレッサーのドップを追いかけ回していた。結局Mig1.44ベースの機体になったそれは、俺の常識からは少々外れた愉快な運動を見せながら、あっと言う間にドップを撃墜してしまう。うんうん、良く出来てる。これなら開発完了報告しても大丈夫だろう。

 

「失礼します。技術部より連絡です。第4格納庫へ搬入しましたアッザムですが、午後より艤装を開始するとのことです!」

 

元気よく入ってきたエイミー少尉が大きな声で報告してくれる。視線を送ると何故か少尉も秘書官向けの服を着ていた。なに、それ流行ってんの?

 

「報告有り難う、少尉。艤装中の作業内容についても全てデータとして残すよう言っておいてくれ。特にトラブル関係は重点的にな。可能であれば経験の浅い者を入れ、作業の疑問点ややりにくかった作業についても洗い出してくれると嬉しい」

 

量産するとは思えないけど一応ね。稼働データも取れたらギニアス少将にも送ってあげよう。アプサラス様が早くできれば戦局もかなり変わりそうだし。どう考えてもあれチート兵器だもんなあ。しかし、急な要請だったのに、連絡してきた期日通りに送ってくるとか、キャリフォルニアの製造部の方には感謝しかないな、ちゃんとお礼言っとこう、そうしよう。

 

 

なんて思ったのがつい1時間前。今俺は何故かジオンのスカーフェイスゴリラ、もといドズル・ザビ中将とお見合いをしている。キシリア様やガルマ様が同じ遺伝子で出来てるとか本気で信じられないんだけど。あっちはあんなに劇的ビフォーアフターなのに、何でこっちは史実を忠実に再現してるんだよ、めっちゃ怖いわ!

 

「先日は、世話になったな」

 

は?なんのこっちゃ。

 

「…マレーネの件だ。無理をしていたのを止めたと聞いた」

 

「ああ、はい。少々行き過ぎていると感じましたので。ご息災でしたら何よりです」

 

ハマーン様から連絡無かったからすっかり忘れてたわ。そういやマレーネさんはドズル中将の侍従のふりしたお妾さんだったっけ?ちっくしょう、なんでこの顔面凶器が美人に人気あるんだよ、人柄?人柄か?ギャップ萌えの類いなのか?

 

「ああ、ハマーンもあれ以来良く笑うそうだ。感謝する」

 

何だろう、昔彼女の家で初めて会った親父さんがめっちゃ脳裏にちらつくんだけど。多分あのしかめっ面と嫌そうな口ぶりのせいだな。

 

「勿体ないお言葉です。それで、失礼ですがドズル閣下、本日は如何様なご用件でしょうか?」

 

そもそも俺はガルマ様に用事があって連絡したはずなんだ。そしたらお礼言うのもそこそこにガルマ様がドズル兄さんが大佐に話があるって言ってたと有無を言わさず通信を回されたんだよな。

 

「実はな、近々行われる連邦の大規模な作戦を情報部が捉えた」

 

ああ、なんだっけ。ヘリオン作戦だったかな。忠告しようと思ってたけど、普通に察知してるじゃん。やるな情報部!

 

「申し訳ありません、閣下。私は宇宙で動かせる戦力を持っておりませんので、お力添えは難しいかと」

 

俺の言葉に、太い笑みを浮かべるドズル閣下、笑っても怖いってある意味才能だと思う。

 

「ガルマの言う通り良い耳をしている。そうだ、連中どうやら宇宙で仕掛けてくるらしい」

 

「狙うとすれば軌道上の制宙権でしょうな、地球方面軍にとって完全なアキレス腱です」

 

それを聞いたドズル閣下は、渋い顔になる。

 

「現状の戦力であれば、ルナツーの残存戦力全てを相手にしても勝つことは出来る。出来るが」

 

軌道上で戦うなら、純粋な戦力の潰し合いになる。未だにルウムの損失を補填出来ていない宇宙攻撃軍にとっては、非常に厳しい戦いになるだろう。

 

「失礼ですが、キシリア様へ支援要請をなさっては?」

 

そう言えば、ドズル閣下は首を振りながらため息を吐いた。

 

「恥ずかしい話になるが、こちらの部隊は自分たちの統制だけでも手一杯というのが現状でな。別の指揮系統が入った場合どんな混乱を起こすか想像もつかん、それでキシリアの所のパイロットまで失っては目も当てられん」

 

はて、そうなると俺にお願いしたい事って何じゃろか?

 

「…今度の戦い自体はこちらで始末を付ける。問題はその後よ、貴様には宇宙攻撃軍の再建に力を貸して欲しい」

 

は?何言ってんの?

 

「吝かではありませんが、閣下。その、そう言った事は総司令部の管轄では?」

 

少なくとも一方面軍の基地司令に直接要請するような事じゃないと思うんですけど。そう考えて質問してみれば、不機嫌さを隠さない顔で閣下は吐き捨てた。

 

「その総司令部に任せていたから今回のようなことになった!連中そのまま数を戻せば良いとだけ考えおって。兵士の質の低下や敵がこちらの戦術に対策してくるなど一切考慮しておらん!しかもその数すら戻せんでは戦いようが無いわ!」

 

言っている内にテンションが上がってきたのか青筋を浮かべるドズル閣下。たまってる、ってヤツかな?だからって俺に直接相談とか横紙破りも甚だしいと思う。まあ考えるくらいは良いけど。

しかしどうしたもんか。MSパイロットの質の低下はどうしようもない。何せ前線で不足する分速成で育てざるをえず、数を確保しようとすればするほどその傾向は強くなる。そうなると方法としては限られてくるよなあ。

 

「例えば、解決方法としては、少数でも多数に匹敵する高性能機による数的負荷の削減。あるいは現状と互角の戦闘力を持ちながら、より未熟なパイロットでも扱える機体の開発…後は現在二線化している戦力の見直しでしょうか?」

 

俺の言葉に、ゲンドースタイルを取り続きを促すドズル閣下、いやそんな、大したこと言わないですよ?

 

「1つ目は単純ですが、パイロットへの負担が大きくなる分、根本的解決は望めません。2つ目もこれが出来るならそもそも総司令部が送ってきているでしょう。で、あれば取れるのは既存戦力の見直ししかないかと」

 

「だが大佐。見直しと言ってもMSと艦を除けば後は精々戦闘艇や突撃艇だぞ?」

 

開戦当初、資源的な問題から生産能力の大半をMSに割いた分。これらの兵器は旧式だったり、コスト重視で質は求められていない。加えて搭乗員は大抵MSへの転換訓練に落ちた所謂落ち零れ扱いなので、部隊そのものが評価が低いのだ。だが、逆に言えば開戦当初からの練度を維持した部隊が多く残っていると言う意味でもあり、地上から鉱物資源を獲得することで生産に関して余裕が出来ている現状であれば、これらを更新し戦力化することは一定の価値があるのではないかと俺は思う。

 

「存外、そう言う価値の無さそうなものにこそ、現状を打破するきっかけがあると小官は愚考致します」

 

ヒルドルブだってそうだったじゃん?

 

「…成程な、では大佐。よろしく頼むぞ」

 

そう重々しく頷いて通信を切るドズル閣下、あれ?もしかしなくてもしくじった!?




皆大好きなあの子がアップを始めました。

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