起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない   作:Reppu

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作者の考えているアッザム()はブラン(ビグロもどき)の手が無くなってバスターランチャーが吊された形を想像しています…アッザム?


第二十九話:0079/06/12 マ・クベ(偽)の出撃

「糞っ、随分手前で降りたぞ。死んでる馬鹿は居ないな!居たら返事をしろ!」

 

アルトゥール・レンチェフ少尉は、苛立たしげにマシンガンを放ちながら叫んだ。

 

「死んだら答えられませんよ、少尉。取り敢えず我々の隊は全員無事です」

 

溜息交じりの返事をしながら横に並んだマニング軍曹のグフⅡがジャイアントバズを放つと、先ほどから煩く射撃を繰り返していたトーチカが沈黙した。暫く警戒していたが、完全に沈黙している事を確認すると、構えていた盾を降ろしながら吐き捨てるようにアルトゥール少尉が口を開いた。

 

「アースノイド共が、調子に乗りやがって。おい、軍曹、伍長、我々の隊は前進してあの高射砲を叩くぞ」

 

「ま、待って下さい、少尉。墜落したガウから脱出ポッドが出るのを見ました。彼らの保護が優先では?」

 

慌てて意見具申する伍長に対し、アルトゥールは少し苛立ちを覚えながらも持論を話す。

 

「伍長いいか。ガウが墜落したことはもう司令部に伝わっている筈だ、救助部隊だって直ぐ来るだろう。その時に脅威になるアレは排除せねばならん、違うか?」

 

「し、しかし。まともな自衛手段の無い友軍を敵中に孤立させるのは危険では…」

 

その言葉にそれまで黙っていたイーライ・マニング軍曹が口を開いた。

 

「伍長、確かに我々は敵中に居る。しかし敵も戦力を北部の友軍に拘束され余裕は無い。だから優先して排除したいのは無力化したガウの搭乗員より我々無傷のMS部隊だ、私たちが暴れている限りは向こうも無事だろう」

 

だとしても、小隊だけであの高射砲陣地に挑むのは無謀だが。と付け加えるイーライ軍曹。

 

「俺たちに与えられた任務はあの高射砲陣地があるペルージア市の確保だ。他の隊の連中だって制圧のために向かっているだろう。ならばここでウダウダしているよりも前進した方が味方とも合流できる。ここに居てもミノフスキー粒子で通信もできんしな」

 

更にはっきり言ってしまえば、ペルージア市制圧後に補給を受けられる予定だったため、手持ちの弾薬が心許ないこともアルトゥールの懸念材料だった。自身とイーライ軍曹はともかく、接近戦の不得手な伍長は弾切れを起こせば負担が大きいからだ。

 

「とにかく移動…ん?なんだ?」

 

前進を促し掛けたところで赤外線センサーが高速で接近する巨大な熱源を感知した。

 

「全機散開!隠れろ!」

 

正体不明の何かに出遭うなどという不幸にうなり声を上げながらも、短く指示を飛ばす。

センサーを見れば東の方向から何か飛行物体が高速で接近しているようだ。

 

「一体何だってんだ」

 

「かなり大きい…それに凄い速度です!」

 

センサーの扱いに長けた伍長が動揺しながらもそう伝えてきた。尤も、正確な数字はどちらも解らないので、あまり意味が無かったが。

息を殺していたのはほんの30秒程度、みるみる近づいたそれは、速度を緩めること無く自分たちの頭上を通り抜けていく。そのあまりの巨大さと速度に、思わず口を開けてアルトゥールは何の指示も出せないまま見送ってしまった。

 

「なんだ、ありゃあ?」

 

「解りません。が、味方ではあるようです」

 

そう言って軍曹から送られてきた静止映像にははっきりとジオンのエンブレムが映されていた。

 

「あ、あの、聞いたことがあります。オデッサで新型の飛行兵器を開発していて、それが数日前試験飛行をしていたって」

 

慌てた様子で言いつのる伍長の言葉に、思わず軍曹とモニター越しに顔を見合わせたアルトゥールは、直ぐに決断した。

 

「なら急がんとな、どう考えてもアレはペルージアを目指していた」

 

今度は誰も反対しなかった。

 

 

 

 

気がつけばアドリア海上空でした。高度10mでも空の上なのは間違いないだろう。モニターに映し出される海面がすっごい近い上にやたらと上昇警報が鳴っている。ああ、この警報音がうるさくて目が覚めたのか。

 

「海面が、近いんだが。少尉」

 

「おお、お目覚めですかい、大佐。後1分くらいで着きますぜ」

 

もっと早く起こせよ!?じゃねえ、だから海面が近いんだよ!?

 

「そろそろ中尉も起こしてやって下さい。三十秒もしないでガウの撃墜ポイントを通過しますぜ」

 

その言葉に横で幸せそうに白目を剥いているタカミ中尉を揺すって起こす。俺の周りはギリギリまで言わない連中ばっかりだな!

 

「主砲メガ粒子砲、チャージ開始、ジョイントロック解除、FCS同期確認、トリガーロック解除」

 

そのままの速度でイタリア半島上空に突っ込む。一瞬見えた閑静な町並みは今頃酷いことになっているだろう。尤も目の前に迫り来る山脈に意識が行き過ぎていてそんなことに憐憫を感じる暇も無かったが。

 

「見えたぁ!大漁だぜぇぇ!」

 

アペニン山脈から飛び出せば、けたたましいレーザーロック警報と共に視界が180度回転する。と、先ほどまで機体があった辺りをぶっといビームが通り過ぎていった。同時にこちらからもビームが放たれ、不格好にそそり立っていた砲台が一つ吹き飛んだ。なんで撃たれたって解る?なんで回避行動中に当てられる?やっぱこいつニュータイプなんじゃねえの!?

 

「吹っ飛べ!」

 

隣では口角をつり上げたタカミ中尉が砲台への接近と同時に175ミリ連装砲2基から砲弾を景気よくばらまいた。搭載弾頭が対空用の散弾だったので倒壊させるまではいかなかったが、明らかに黒煙を噴き出し動作停止に追い込んでいる。貴方確か技術中尉じゃありませんでしたっけ!?

 

「大佐!迎撃機が上がってきます!対空防御!」

 

引き続きトリガーハッピーしている中尉が鋭く叫んだ。

 

「あ、はい」

 

あっれぇ、俺一番階級上だよな?なんて思いながら、割り振られていた4連装30ミリ機関砲のガンカメラをのぞき込み、慌てた様子で上がってきたTINコッドへ射撃を行なう。一昨日見ていたドップⅡとの対空演習の時みたいな異次元な動きでは無く、単調な直線運動だったので当てるのは非常に簡単だった。

 

「主砲冷却完了、もういっちょいくぜぇ!」

 

近くの人間がすっごいハイテンションだと妙に冷静になっちゃう事って無いかな。今正に俺がそれ。かっこつけて乗ったけど、うん、この二人居れば十分だったんじゃね?

交戦時間僅か3分。高射砲陣地を潰した俺たちは、追撃も受けず悠々と飛び去ったのだった。

 

 

 

 

後にジオン軍の新兵器として知られる事となるそのMAとの邂逅は、ペルージアの防衛を指示されていた連邦軍にとって、正に悪夢と呼ぶに相応しい被害だった。僅か3分の交戦後にもたらされた被害状況に、思わず指揮官であった大尉はうなり声と共に言葉を洩らす。

 

「6基のメガ粒子砲が全滅…しかも迎撃に上がった航空機も全て撃墜されただと!?宇宙人共め、なんて物を造りやがった!」

 

元々が対ガウ用に急遽準備された高射砲であったが、対地攻撃にもかなりの性能を示しており、事実南北米大陸ではガウの戦略爆撃を大幅に制限するだけで無く、攻略せんとするMS部隊にも甚大な被害を与えていた。ここペルージアに漸く配備されたときには、守備隊の士気も随分上がったのだが。

 

(不味いな)

 

指揮所内の空気を感じ、大尉は嫌な汗が流れるのを自覚する。何しろ防衛の要であると同時に、あの高射砲は守備隊にとってジオンとやり合えるという精神的な支柱でもあったのだ。

物的な喪失も痛いが、何より基地に広がってしまったこの絶望感の方が危険だ。おまけに観測班からの連絡が確かなら、先刻撃墜したガウはMSを降下済みだという。ならば先ほどの攻撃も無関係ではあるまい。

 

「…遺憾ながら、ペルージアは放棄する」

 

「大尉!?」

 

苦渋の決断に補佐官の少尉が悲鳴じみた声をあげた。ここを奪われればイタリア半島中央にぽっかりと防空の空白地帯が出来てしまうのだから当然の反応と言えた。しかし、肝心の高射砲が機能しない以上、留まっていてもそれは緩やかな自殺にしかならない。今の守備隊にMSに対抗できる手段はないのだから。

 

「少尉、君は小隊を率いて先行、本拠点陥落を司令部に伝えろ。軍曹聞こえたな、配置についている各隊に連絡だ。高射砲が沈黙している以上、連中のMSが直ぐに押し寄せてくるぞ、急げ!」

 

その言葉に二人は弾かれたように走り出す。その様子を呆然と見送っていた指揮所の他の要員にも大尉は大声で叫んだ。

 

「聞こえていただろう。書類及び機材は全て破棄、メモ一枚奴らに渡すな、それと高射砲の自爆コードを入力、済み次第我々も撤退する!急げ!」

 

後に大尉はこの時の行動が、応戦可能だったにもかかわらず職務を放棄したと査問委員会にかけられることになるのだが、戦後の軍事研究において、大尉の行動は極めて正しかったと評価されている。

なぜなら、この後の欧州戦線において彼の率いた部隊を除き撤退できた高射砲部隊は存在せず、また、拠点防衛の適った部隊も存在しなかったからである。




アッザム設計技師「時速16キロだし対G機構とかいらんだろ」
オデッサ組「なんだこれ、対G機構ついとらんじゃん!取り敢えずMSの移植しとこ!」
アッザム()「マッハ4で飛べる俺HAEEEEE20Gくらいかかってるけど!」
対G機構「俺精々10Gくらいまでなんですけど…」

なにが言いたいかっていえば、マ(偽)の訓練不足、デスクワーク組だから仕方ないね!

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