タイトル通り憑依ものです。チートもご都合主義もあります。
原作プレイ済みを想定していますので、ネタバレ満載の上未プレイだとついていけないと思われます。あらかじめご了承ください。
初投稿ゆえ拙い部分が多々あると思いますが、お付き合いいただければ幸いです。
目覚め
私は今、見知らぬ場所にいる。そして、自分が何者なのかもわからない。
記憶はある。現代の日本生まれ。ごく普通の家庭で育ち、それなりの学校を出て、ほんの少しの苦労をしながら社会人として不自由なく生活している。どこにでもいる普通の日本人、それが私だ。
では何故、「何者なのかわからない」のか。それは、目の前のガラスに映る自分の姿が原因だった。
後ろで括られた赤い髪、目を覆う黒い仮面、全身タイツのような服装。さらに両腕に取り付けられた武器らしきもの。どう見ても「普通の日本人」の格好ではなかった。コスプレならまだ可能性はあるが、生憎そういった趣味はない。
(でも、どこかで見たことある気がしますね……)
漫画か、アニメか、はたまたゲームか。そういった作品の中なら逆に有り触れた格好といえる。既視感があるということは、そのうちのどれかで見かけたのだろう。
むむむ、とガラスを見つめていると、横合いから声をかけられた。
「何をしているのです」
声がした方へ振り返ると、そこには車椅子に乗った緑色の髪の女性がいた。私に向けて訝しげな視線を送っている。
彼女もまた日本人とは思えない容姿をしているが、聞こえたのは間違いなく日本語だった。少なくとも会話できないということはないらしい。
その隣にはもう一人女性らしき人物が立っていた。その容姿は、ガラスに映っていた私とそっくりだった。髪型、顔、服装、武装、全てが同一。まるで、同じように作られたかのように。
「さあ、行きますよ」
女性は短く告げると、くるりと背を向け進み出した。その後に私のそっくりさん(2号とでも呼ぼう)が続く。
気になることだらけだが、このまま一人でいても何か分かるとは思えない。ここはひとまず素直に従うことにした。
女性の後に続きながら、隣を歩く2号に目を向ける。私の視線に気づくこともなく、ただまっすぐ前を見据えている。その様はどこか機械的な印象を受けた。
目立たないようにそっと目線だけで周りの様子をうかがってみる。SF映画に出てきそうな、近未来的な街といった感じの場所だ。その中央に位置する長い階段の先、そこが目的地らしい。
階段の最上段には円形に光が輝く床があった。ゲームのセーブポイントみたいだな、などと呑気に考えていたら、そこに乗った緑髪の女性の姿が瞬時にかき消える。
「ええ!?」
「……」
思わず声が出てしまった。ワープときたか。いよいよ現実味がなくなってきた。ため息をつきたくなってくる。
そんな私に構うことなく、2号はすたすたと歩いて同じように消えていった。私一人だけが取り残された格好だ。
少しためらったが、意を決して私も光り輝く床へと足を踏み出した。
視界が一瞬にして切り替わる。
そこには、何かが暴れたと思われる惨状が広がっていた。通路のあちこちに人が倒れており、破壊された機械がバチバチと火花を飛ばしている。その奥で、初老の男性が少年へ必死に話しかけていた。
「ラムダ、安心しろ。何があっても私がお前を守ってやる。だから頼む、もう一度私を信じてくれ! お願いだ……」
「……!」
懇願する男性に、少年が嬉しそうな笑顔を浮かべる。しかし、その感動的なシーンは緑髪の女性によって引き裂かれる。
「所長、勝手なことをされては困りますね」
「エメロード君!?」
「この惨状を目にして、まだラムダをかばおうというのですか。全ての準備は整いました。ラムダはここで始末します」
「いいや、私はラムダを守る。何があろうと守ってみせる!」
言い争う二人。しかし、私の意識は途中から全く別のところに向いていた。
ラムダ、エメロードという単語。交わされる一連の会話。目の前の光景。空回りしていた歯車が噛み合っていく。
奥底で眠っていた記憶が次々と蘇る。そして今目の前で起こっていることが、私のよく知る作品で描かれたものであることに気づいた。
これから起こる悲劇を私は知っている。そして、それを回避できる力を私は意図せず手に入れていた。
腕に取り付けられた武器をじっと見つめる。使い方は、自然と頭に浮かんできた。
「手荒な真似はしたくなかったのですが、仕方ありませんね」
エメロードは、手を挙げてヒューマノイドに攻撃を指示した。しかし、微動だにしない。彼女は苛立たしげにそれを睨みつけた。
(またですか……全く、完成したばかりだというのにもう不具合が出るとは)
ここに来る最中にもおかしな挙動を示していた個体。事が済んだらすぐに整備、あるいは廃棄処分も視野に入れなければ。そんなことを考えながら、エメロードは別の個体へ指示を出す。
指示を受けたヒューマノイドは、一切躊躇せずにコーネルの肩を撃ち抜いた。
「ぐっ……!? エ、エメロード君、そのヒューマノイドは、まさか……!」
「ええ。私が所長の研究を元に作り上げたものです。素晴らしい出来栄えでしょう? さあ、ラムダをこちらに引き渡してください」
恍惚とした表情を浮かべながら、エメロードは自画自賛する。彼女は自分の優位を微塵も疑っていなかった。
だが、コーネルはまだ諦めていない。彼は痛みをこらえながら、ある方向へと目を向けていた。その先にあるのは、エフィネアへ向かうことのできる空飛ぶ機械、シャトル。
「ラムダ! あのシャトルまで走るんだ!」
力の限り叫んだコーネルは、ラムダと共にシャトルへと駆け出す。これにはエメロードも余裕の態度を崩し、慌てて指示を飛ばす。
「っ、彼らを捕らえなさい! 抵抗するようなら射殺しても構いません!」
ヒューマノイドのうち、一体は凄まじい速度で二人の追跡を開始する。もう一体はなぜか腕を見つめて固まっていた。やはり故障している。そう判断し、エメロードはその個体の廃棄処分を瞬時に決定した。
ヒューマノイドはあっという間にコーネルに追いつき、その背に狙いを定める。このままいけば、コーネルはここで殺されてしまうだろう。しかし、ここで事態は急変する。
正確に放たれた光線が、コーネルに迫っていたヒューマノイドを貫く。それを為したのは、動きを止めていたはずのもう一体のヒューマノイドだった。
「良かった……当たらなかったらどうしようかと」
静まり返った空間に、ヒューマノイドのものとは思えない、やけに人間じみた声が響く。それを、エメロードは呆然とした表情で聞いていた。
「ヒューマノイドが同士討ち……? 一体何が起こったのだ?」
コーネルもまた状況が飲み込めずにいた。そこへ、ヒューマノイドが近づいてくる。とっさに身構えるが、飛んできたのは光線ではなく、意外な言葉だった。
「お願いします。私もシャトルに乗せてください」
「……は?」
予想外の展開に、コーネルは思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「私のことは、後で必ずお話しします。そして、あなたたちを傷つけることは絶対にしないと約束します。どうか、信じてください」
そう言って頭を下げるヒューマノイド。まるで人間のように懇願するその姿に、コーネルの心が動く。
ラムダの良き理解者になってくれるかもしれない。そう感じたのだ。
「わかった。君の言うことを信じよう」
「……! ありがとうございます!」
コーネルの答えに、
自分でも予想していなかった、原作1000年前スタートとなりました。
初めは7年前のラントから始めようとしましたが、コーネルやラムダのほか、物語開始前のキャラクターを無視できずこういう形になりました。フォドラは流石に諦めました。
原作のヒューマノイドが1000年後も普通に動いてたからイケるイケる! という安易な発想です。
主人公の詳細は次回に持ち越し。いわゆる説明回になる予定です。
2/23追記
終盤がころころ変わってしまい申し訳ありません。
修正はこれで最後にしたいと思います。
エメロードさんはほったらかしにされたままになりました。
2/28サブタイトル変更