少し雑かもしれませんが、ご容赦を……。
4/17追記
どうにもしっくりこなかったので、今更ながらサブタイトル変更しました。
ラントで暮らし始めてからしばらく経ったある日、私はシャトルの点検のため、コーネルさんと共に森を訪れていた。
ラムダは家で留守番だ。住人とも打ち解けてきたので、わざわざ危険な森に連れ出すことはないと判断した。
整備を手伝いつつ、コーネルさんに色々と教わっている。
その最中に確認したいことができたので、作業が一段落したのを見計らって聞いてみた。
「フォドラの人たちは、普段からフォドラとエフィネアを行き来してたんですか?」
「そうだな。まあ、あまり多くはないがね。私も今回が初めてだ」
「へえ、初めて……って、え?」
エフィネアとフォドラの間って、宇宙空間みたいなものなんじゃ……。
元の世界で考えると、スペースシャトルで月に向かうようなものだ。所要時間からしてそれよりは遥かに近いのだろうが、ぶっつけ本番だったのかと思うと今更ながら怖くなってくる。
「よく無事にエフィネアまで飛べましたね……」
「なに、離着陸以外は基本的に自動操縦だ。それほど難しいものではないよ」
「そうなんですか?」
「ああ。君も言っていただろう? ラムダは一人でエフィネアへ向かったと」
「あ、そういえば……」
言われてみれば、原作のラムダはたった一人でエフィネアにたどり着いていた。その後墜落してしまったのは、彼がシャトルを操縦できなかったからと考えれば納得できる。
「ところで、なぜそんなことを聞いてきたのだね?」
「っと、そうでした。エフィネアにもシャトルの発着場があるのかな、と思ったんです。場所を知っていれば、プロトス
いくらプロトス
着陸地点を把握できれば、僅かとはいえ準備する時間が稼げる。
プロトス
「なるほど。それならば、シャトルに登録されていた座標がそうなのかもしれん」
「座標はわかるんですか?」
「シャトルを起動すれば確認できる。ただ、私はエフィネアの地理に詳しくないのでな。すまないが、場所まではわからない」
コーネルさんは申し訳なさそうにしているが、全く問題はない。それどころか僥倖だ。
座標さえわかれば、私は位置を特定できる。発着場である保証はないが、なにかしらフォドラに関連する場所であるのは間違いない。
それを伝えると、コーネルさんは驚くと同時に感心していた。
「ほう、そのような機能まであるのか。流石はエメロード君、と言ったところだな」
思わぬところでエメロードの株が上がった。殺されかけたのに、と思わないでもないが、コーネルさんらしいとも言える。
彼女は関係ないとは言い出しにくいし、なにより「神様からもらった力なんです」などと言えるはずもないので、そういうことにしておいた。
コーネルさんが操縦席に移動し、シャトルを起動させる。ブーンという低い音が響き、機器が次々と点灯していく。そのうちの一つに、数字が表示されたものがあった。これが座標なのだろう。
すぐにでも調べたいところだったが、コーネルさんの前ではそうもいかない。後で調べておくと告げて、一旦話を切り上げることにした。
点検を終えてラントに戻った後、私は裏山に来ていた。ここなら誰かに見られる心配はない。
マップを起動してエフィネア全体を表示する。未だに大半が暗い状態だが、座標を当てはめるだけなら問題はない。
指を当てるとその位置の座標が表示され、動かせば数値が変わる。それを注視しながら、見せてもらった座標に合わせていく。
やがて、表示された数値が完全に一致した。
「これは……当たりみたいですね」
私が指差していたのは、ここから少し北にある海辺の洞窟。そう、原作でシャトルが格納されていた場所だ。
これは偶然ではないだろう。しかし、万が一ということもある。調べにいく必要がありそうだ。
翌日、私は海辺の洞窟を訪れていた。
北側の入り口から洞窟に侵入する。確か、こちらから進んだ方が目的の場所は近かったはずだ。
人の手が入っていないこの洞窟は、当然
水辺ということで、生息している
光線なら属性は関係ないが、それだけでは心許ないので、新たに術を取得しておいた。
少し広い空間に出たところで、前方に緑色の不気味な
どこぞのマスコット的な存在とは違う、ギザギザの歯がむき出しになった口のみが存在する緑色の塊。はっきり言ってかなり気持ち悪い。
術の試し撃ちも兼ねて、さっさと倒してしまおう。
「クールスレット!」
冷気の帯がグリーンスライムを包み込み、カチカチに凍らせる。そこへすかさず光線を放つと、グリーンスライムはバラバラに砕け散った。狙い通りだ。
水を割ることはできないが、氷ならば可能。そんな単純な理屈だったが、上手くいって何よりだ。
少し離れた位置には、ヒトデのような
ならば、動き回れなくしてやればいい。
「バインドゴースト!」
カントリースターの足元から鎖が出現し、その自慢の足に絡みつく。表情などわかるはずもないが、慌てているよう見える。
動けないカントリースターに対して、至近距離から光線を数発撃ち込む。少々えげつないかもしれないが、気にしてはいられない。
この方法をとれば安全に戦えるが、あっという間に
残りの
見上げるほどの高い岩壁。この向こうに隠し部屋があり、そこにつながる道を出現させるスイッチがどこかにあるはずだ。
ぺたぺたと岩壁を入念に調べる。人が触れられない高さにはないだろうが、それでも範囲は広い。なかなか時間がかかりそうだった。
数十分か、あるいは数時間か。時間の感覚がわからなくなってきた頃、それは見つかった。
一見するとただの岩肌だが、よく見ると四角く細い線が走っている。これを押せば隠し部屋が出現するはずだが、その必要はない。
洞窟近辺で待ち構えていれば、先手を取れる。それがわかっただけで十分だ。
それから数ヶ月が経ち、ラントでの穏やかな生活も終わりを迎えようとしていた。
荷物をまとめ、出立の準備を整える。
コーネルさんとラムダにはしばらくシャトルで待機してもらい、私は海辺の洞窟付近でプロトス
彼女を退けた後のことは、またその時に考えようと思う。
翌日、世話になった人たちに感謝と別れを告げ、私たちはラントを後にした。
プロトス
人間の身であれば耐えきれなかっただろうが、今の私はヒューマノイドだ。問題はない。
もちろん
そして数日後、ついにその日がやってきた。
「いよいよですか」
上空を飛行するシャトルを見上げながら呟く。
海辺の洞窟に向かい、隠し部屋の前で待ち構える。
プロトス
この日のためにストックしておいたアップルグミを二つ取り出し、まず一つを口に放り込んで
そして、自身に補助術をかける。アサルトサインで攻撃力を、ランパートサインで防御力を、インサイトで動体視力を強化し、もう一つアップルグミを食べて
じっと岩壁を見つめ続ける。初めて戦った時とは比べ物にならない緊張感が私を襲う。
そして、その時が訪れた。地鳴りのような音を立てて岩壁が動き出す。その中から、紫の髪を二つに結わえた少女——プロトス
だがここで、私の予想していない事態が起こった。
彼女は私を見て不思議そうに首を傾げた後、あろうことか私を素通りしたのだ。
慌てて呼び止めようとしたが、それは叶わなかった。
「っ、待ってくださ——ぐっ!?」
背後から何者かに攻撃される。幸い、ランパートサインをかけていたことでダメージは大きくない。
ばっと後ろを振り返ると、そこには二体のヒューマノイド——女性型のウェリテスと、男性型のケントゥリオがいた。
何故ここに? そう思っていると、ケントゥリオが口を開く。
「目標発見。破壊する」
無機質な声を発すると同時に、私に向けて突進してくる。
一旦思考を切り、咄嗟に光線を放つ。しかし避けられ、接近を許してしまった。
繰り出される斬撃を見切ってなんとかかわすが、斬撃の隙を補うようにウェリテスの光線が飛んでくる。
倒されはしないが、このままでは反撃できない。一旦引き離さなくては。
「ヒートレッド!」
術を発動し、私の周囲に高熱を発生させる。
危険と判断したのか、ケントゥリオは後ろに飛ぶことでそれをかわした。
すかさず、着地の隙を狙ってバインドゴーストを発動する。足を絡め取られたケントゥリオは抜け出そうともがくが、そうはさせない。
素早く近づき、至近距離から銃を連射する。あちこちに風穴を開けられたケントゥリオは、倒れて動かなくなった。
次はウェリテスだ。こちらから距離を取り光線で攻撃してくるが、ケントゥリオとの連携がなければ恐るるに足らない。
光線を避けつつ、攻撃後の隙を狙いフォトンブレイズを放つ。
ダメージを受けて動きが鈍ったところへバインドゴースト。あとは先ほどの繰り返しだ。
ウェリテスが沈黙したのを確認し、周囲を見る。すでにプロトス
急がなければラムダが危ない。すぐさま駆け出した。
「間に合ってください……!」
シャトルにたどり着いた私の目に飛び込んできたのは、本来の黒い球体となったラムダの姿だった。
纏うオーラはとても弱々しく、今にも消え入りそうだ。
対峙しているプロトス
だが、まだ間に合う。
「レストレスソード!」
宙に現れたいくつもの剣が、無防備なプロトス
対消滅に移行していた彼女は反応することもできず、全ての剣をその身に受けた。だが、それでも倒れることはない。
私の攻撃程度では、彼女を完全に破壊することはできないことはわかっている。故に、全力で叩く。
銃を、術を、
「戦闘続行、不能……撤退、します」
私の攻撃でボロボロになったプロトス
なんとか危機を退けることができた。しかし、私の心が晴れることはない。
一歩間違えれば、ラムダだけではなくプロトス
自分の予測の甘さを思い知らされ、私はしばらくその場を動くことができなかった。
インサイトに関しては、ゲーム中ではヒットした後の判定に影響するものでしたが、ここでは相手の動きを読むことで命中率を上げるという解釈になっています。
レストレスソードはゲームとは異なり、ターゲットに全ての剣が飛ぶことにしました。
原作通りだと使い勝手悪すぎますので……。かっこいいんですけどね。