コードギアス 魔王の騎士は忠臣だけど、変態というなの紳士でした   作:八神刹那24

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前作品を読んでくださった方々お久しぶりです。初めてのかたは初めまして。

映画に感動し、勢いで数年ぶりに書いてしまいした。

楽しんでもらえたら幸いです。

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第一話 クレイ・ロペス

「ルルーシュ、お前なら必ず最高の皇帝になれるさ。俺が保証する。」

 

 「俺が皇帝?何言っているんだよ、クレイ。俺は第11皇子・第17皇位継承者だぞ。」

 

 「何番目に生まれたのかは問題じゃないだろう。ブリタニアは弱肉強食の実力主義だ。」

 

 「だとしてもシュナイゼル兄上だっているんだぞ。俺は兄上に一度も勝てたことがない。」

 

 「今はそうだとしても必ず将来はお前が勝つさ。俺にはわかる。」

 

 「まったく、お前のその絶対的な自信はどこから来るんだ?仮に俺が最高の皇帝とやらになれたとしたらお前は何になるんだ?」

 

 「決まっているだろう。俺はお前を、お前とナナリーを守る騎士になる。それも最強の騎士だ。お前達のことは俺が守るよ。命に代えても」

 

 「相変わらずお前の忠義心は重たいな。だが最高の皇帝と最強の騎士か。もしできたら最良の組み合わせだな。できるか?」

 

 「できるさ。お前と俺ならなんだってできる。なんたって俺たちが手を組めば」

 

 「「 不可能はない 」」

 

 二人に少年の無邪気な笑い声がひろがっていった。

 

 

 

 

 

 

 人には生きる目的が必要だ。俺の、クレイ・ロペスの生きる目的は二つある。一つは父親が殺された時の真相を明かすこと。

父はマリアンヌ様の護衛をしていたが、彼女が殺された時に殺された。騎士として皇族を守れなかったことを非難され、我がロペス家は落ちぶれていった。事件は賊による襲撃として終わらされた。だが俺は納得なんてできなかった。誰よりも強く気高かったあの父が、たかが賊ごときに遅れをとるはずがない。必ずなにかあったはずなんだ。父の汚名は俺が晴らす。

 

 二つ目は親友であり俺が生涯の忠誠を誓うと決めたルルーシュ殿下とナナリー皇女殿下をお探しすること。

 二人は事件の後日本に人質として送られ、戦時中に死んだと公表された。だが死体は見つかっていない。二人が生きている可能性がわずかでもあるのなら希望はある。この世に絶対はあり得ない。例え絶望的な数字だろうとゼロでないならあきらめる道理はない。

 

 ルルーシュ様達が日本に送られるとき、何もできなかった。俺に力が無かったからだ。だから俺はあの日から己を鍛えることに全力を注ぎ込んだ。体を鍛え、戦闘技術、ナイトメアの操縦技術を鍛え、学問を学んだ。貴族としての誇りを捨て、頭を下げ、泥水をすすってでも生きてきた。全てはこの目的のため。目的のためならどんなことにも耐えてみせる。

 

 

 自分でいうの何だが俺にもそれなりの才能があるようだ。才能と努力により、軍事学校を主席で卒業できた。卒業時成績上位者は希望する部署への配属希望ができる。俺はエリア11を希望した。理由は当然ルルーシュ様、ナナリー様の手がかり探すためだ。テロリストの抵抗が激しいこの地なら手柄を立てることも可能だ。まさに一石二鳥。

 

 今日は軍に配属されての初日。一度深呼吸し、名乗りを上げる。

 

 「本日よりこちらに配属されたクレイ・ロペスです。よろしくお願いします」

 

 「おお!よく来てくれた、クレイ。すっかり立派になって見違えたぞ。その獅子を彷彿される金髪に蒼い眼光。お父上にそっくりだ」

 

 「ありがとうございます。ジェレミア卿のご活躍は聞き及んでいます。父も喜んでいるでしょう」

 

 俺を笑顔で迎えてくれた男の名はジェレミア・ゴットバルト。かつて父に若いときから鍛えられ、軍属後父の部下としてマリアンヌ様の護衛を行っていた。父の死後も何度か連絡をくれた。義理人情にあつい男だ。

 

今はエリア11で自身が結成した『純血派』を率いている。俺がエリア11に配属を希望しているのを聞きつけて、真っ先に自分の部隊に誘ってくれた。

 

「軍学校を主席で卒業とは、流石はレックス卿のご子息だ。お父上も誇りに思ってくださっているだろう。君の活躍には私も大いに期待している」

 

「ありがとうございます。ご期待にそえるよう精進いたします」

 

ジェレミア卿は俺の返事に満足して頷くと隣の女性を紹介した。

女性の名はヴィレッタ・ヌゥ。俺の教育係だそうだ。気にかけている俺に付けるくらいだから優秀なのは間違いないだろう。そして何より俺が嬉しかったのは彼女が美人だったことだ。昔からなぜか年上の長髪の美人にめがない。気が強い女性ならなお良し。

 

「ありがとうございます。ジェレミア卿。このような美人を付けてくれるとは感謝のしようがありません」

 「ふふ、やはり君はレックス卿の息子だな。あの方も女性にはめがなかった。私からみたら些か軽すぎるほどだったがな。」

 「良い男は良い女にもてる。周りに良い女が多いのは良い男の証だといつも言っていましたからね」

 

 俺が幼い頃に母を亡くしてから、女にはだらしなかった父だが、真に愛したのは母一人だったらしい。

 

「クレイです。よろしくお願いします。ヴィレッタ卿」

「ああ。お前の話はジェレミア卿より聞いている。私も期待させてもらうぞ」

 「ありがとうございます。ところでヴィレッタ卿はお付き合いされている男性はいるんでしょうか?」

 「……はっ?いきなりなんだ」

 「父に良い女性に出会ったらとりあえずアプローチしておけと教えられています。ジェレミア卿が選んだ御方なのだから優秀なのは間違いない。そしてなにより美人だ。放っておかない手はないでしょう」

 「まったく。だからといって会ってすぐに教育係をナンパするのはどうなんだ?」

 「人生は一度きり。人間いつ死ぬかわかりません。今ある幸せがなんの前触れもなく終わることは父と母の死で経験済みです。ですから自分は日々の選択に後悔はしたくありません」

 「……私の好意を得たいのであれば私に認められる姿を示すことだな」

 

 もちろん手柄は立てますよ。ここで手柄をあげて俺は上に行く。軍での地位を上げる。皇族に会えるようになるまでに。

 事件の真相を追うことについての現在の目標はコーネリア様にお会いすることだ。彼女は当時マリアンヌ様の護衛隊長だった。彼女なら事件について何か知っているかもしれない。いや、知っているはずだと自分に言い聞かしてきた。

 

 挨拶も終わり、施設内の案内をしてもらうことになったとき、警報が鳴り響く。

 ジェレミア卿のもとにテロリストの襲撃の知らせが入る。

 

 「クレイ。初日にいきなりだが、出撃命令が出た。いけるか?」

 「問題ありません。いきます」

 

 初日に出撃とは予想外だったが運が良いとも言える。

 必ず手柄を立て、俺は上に行く。

 


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