コードギアス 魔王の騎士は忠臣だけど、変態というなの紳士でした   作:八神刹那24

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第二十話 会長チョ~ップ!

 いつも見ている夢と同じようで違う。いつもは遠くからみているが、今は自分が当事者だった。女性の膝にうずくまり泣いている。何がそんなに悲しいのが分からないが泣いている。

 

 女性は優しく、暖かいで頭を撫でてくれる。大丈夫だと、側にいると言ってくれる。悲しくてどうしようもないものが、溶けてなくなっていく。

 

 女性は立ち上がると歩き始める。自分のことをおいてどんどん遠くに行ってしまう。待って、待って!必死に叫ぼうとするが声が出ない。腕を伸ばす。

 

 「待って、おねーちゃん!」

 

 

 飛び起きるとそこは自分の部屋だった。なんだ?なにかとても大事なことを思い出せそうだった気がしたが、何でも無いような気もする。

 

 頭にもやが、かかったようではっきりしない。

 

 「え、えっと。お姉ちゃんって?」

 

 自分の部屋であるはずのない女性の声に驚いて、声がした方を見るとミレイさんがいた。俺はミレイさんの腕を掴んでいた。慌てて離し、顔を背ける。

 

 なんでミレイさんがこんな朝早くに俺の部屋にいるんだ?それにまだ心の準備ができていなかった。混乱する頭をなんとか落ち着かせようとする。

 

 「会長チョ~ップ!」

 「いてっ」

 

 突然後頭部に衝撃がくる。痛くはないが予想していない攻撃に驚く。振り返ればミレイさんの笑顔。

 

 「今ので落ち着いた?」

 「……ええ、まぁ」

 「……隠し事って好きじゃないから正直に言うわね。この間河口湖のホテルであなたが人を殺した時ね、怖かったわ。一瞬で何人も殺して、さらに殺し行くと言って出て行った。そのあと周りのは安堵ではなく、おびえた目をしていた。きっと自分もそんな目ををしていたんだと思う。それが分かっていたから、君は私達のほうを見なかったのよね。

ごめんなさい。あなたは私達のことを守るために自分の命を危険にさらしてまで頑張ってくれたのに」

 「しかたがありませんよ。ごく普通の女の子がいきなり、テロリストに人質にとられ、目の前で人が殺された。怖がらない方がおかしい」

 「それでも私は自分が恥ずかしくなったわ。あなたは私達を守るって約束してくれこと守ってくれたのに。今、ここに来るのも凄く勇気が必要だわ。でも私からいかないと駄目だと思ったの」

 

 ミレイさんは俺の正面にくると、しゃがんで目線を合わせ、手を握る。

 

 「助けてくれてありがとうね」

 

 たった一言。だけどその一言で涙があふれ出てきた。

 

 ミレイさんは俺を抱きしめると背中を軽く叩いてくれた。泣く子供を安心させるように。

 

 「まったく、君は本当に不思議な子ね。強くて格好良いと思ったら泣き虫だし。強くて怖いかと思うと泣き虫だし。……大丈夫。みんなあなたのことをもう怖がっていないわ。みんな感謝している」

 

 

 その後落ち着いた俺はシャーリーとニーナが待っているところに、ミレイさんに手を引かれながら向かった。初めてここに連れてこられた日のことを思い出し、笑みがこぼれる。

 

 「そういえばさっきお姉ちゃんって言っていたけど、お姉さんがいるの?」

 「いえ、俺に兄弟はいません。姉のような人がいた記憶もありませんし。だから子供のころはルルーシュとナナリーがうらやましかったものです」

 「ふ~ん。お姉ちゃんがほしいって願望でもあるのかしら?」

 「どうですかね?あまり考えたことはありません。年上の女性に甘えたい気持ちはありますが」

 「だったらここにいる間、私が君のお姉ちゃんになってあげる!どんどん甘えて、頼ってくれて良いわよ!」

 「……え?何を急に言っているんですか?」

 「遠慮することはないわよ。なんか君って放っておけないよね。ミレイさんに任せなさい!」

 

 ミレイさんはやたら機嫌が良かった。

 

 シャーリーとニーナにも怖がった謝罪と助けてもらった礼を言ってもらえた。これからまた今まで通り友達のとして仲良くやっていけそうだ。

 

 あとはカレンだ。あの時のことを聞いて良いものかどうか。彼女が秘密にしていることに土足で踏み込むようなことはしたくなった。

 

 俺もルルーシュとナナリーとのことを知られたくないので、気持ちは分かる。彼女が自分から言ってくれるのを待つことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 俺はナナリーと一緒に夕食を食べていた。部屋に閉じこもっていたせいで知らなかったが、最近ルルーシュが出かける頻度がますます上がってしまったらしい。

 

 ナナリーは自分は大丈夫だというが、寂しがっているのはすぐにわかる。自分のことで精一杯で周りを気にする余裕が無かった。

 

ナナリーには申し訳ないことをした。こういうときこそ俺がこの子のそばにいてあげなければならないというのに。

 

ルルーシュを責める気は無いが、確かにきになる。ただの学生が連日夜中まで何をしているの?もう一度さりげなく聞いてみるか。

 

ナナリーをベッドまで連れて行くと眠るまでそばにいてほしいと頼まれた。俺はもちろん了承する。

 

「なんなら今日は一緒に寝てあげようか?」

「えっ!……流石にそこまで子供ではありません!からかわないでください」

「ははっ。これは申し訳ございません、お姫様」

 

 ナナリーの手を握り、おやすみと言う。

 

 ルルーシュ。本当ならこれはお前の役目だ。

 




会長チョ~ップ! ー ゲームで初めて見たときは吹き出しましたw

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