コードギアス 魔王の騎士は忠臣だけど、変態というなの紳士でした 作:八神刹那24
放課後C.Cに誘われ租界を外れ、ゲットーまでやってきた。デートのお誘いか、といつも通り軽口を叩いてみたが真顔でスルーされてしまった。どうやら今回は真面目な話らしい。
瓦礫の街を進みとある廃屋に入っていくと一人の人物が待っていた。黒い仮面に黒装束。ゼロだ。
やはりC.Cはゼロと繋がりがあったという訳か。何度かゼロや黒の騎士団の話を聞いていたので予想はしていた。しかし彼女とゼロの繋がりがいまいち分からない。ブリタニアを倒すことを彼女も願っている?いつも着ている拘束衣を着ているのが関係しているのか?
「良く着てくれた、クレイ。このような形で呼び出して済まなかった」
「一応確認しておくが本人で間違いないんだろうな?」
「もちろん本人だとも。証明のため私と君の出会いから話そうか?」
「いや、結構。偽物がわざわざ俺に会いたがる理由もないしな」
「くだらない話はいい。さっさと本題に移れ」
「C.C、物事には順序というものがある」
「どうでもいい話などするだけ無駄だ。こうなってしまった以上もう後戻りはできないぞ。潔く話を進めろ」
ゼロはC.Cの言葉で黙ってしまった。今のやり取りから察するにこいつらは対等な関係ということか。
本題というのはおそらく黒の騎士団への勧誘だろう。他者に、特に優秀だと認める者に評価されるのは嬉しいが、安易に黒の騎士団に入団することはできない。
ブリタニア打倒は良いがリスクが高すぎる。今のままではゼロに命を預けられない。
「……もういい、私から話す。クレイ、察しの良いお前のことだ、当然この状況もこれからの話も分かっているだろ。単刀直入に聞く、黒の騎士団に入団する気はあるか?」
「随分ストレートだな。あんたらしいと言えばそれまでだが」
「悪い話ではないだろう。お前も現ブリタニア政権に倒れて貰った方が都合が良いはずだ。そうすればるる」
C.Cがルルーシュの名前を出そうとした瞬間、俺はナイフを彼女の首に押しつける。
「何のまねだ?女にいきなり刃物を押しつけるとは物騒なやつだ」
「それはこっちの台詞だ。いくらあんたでも、あいつらの敵になるのなら容赦しないぞ」
「……もういい。二人とも落ち着け。クレイ、ナイフを下ろしてくれ」
俺はナイフを下ろして、C.Cから離れた。C.Cは全く気にしていない様子でゼロに再び問いかける。
「いい加減覚悟を決めることだ。こいつの忠誠心は分かっただろう。いや、お前こそが誰よりも理解しているはずだ」
「……ああ、分かっているとも。クレイ、私の正体を君に明かそう」
ゼロは仮面に手を伸ばす。仮面がゆっくりと外される。仮面の下から出てきた顔は俺の親友であるルルーシュだった。
ゼロの正体がルルーシュだという可能性は決して低くないと思っていた。しかし実際に正体が分かると戸惑いはする。
「あまり驚いている様子はみえないな、分かっていたのか?」
「いや、可能性としてはあったが、確信していたわけじゃ無かったよ」
ゼロの正体がルルーシュだと思った要素はいくつかある。
ゼロが現れた時期とルルーシュが忙しくなった時期が同じだったこと。しかも誰もルルーシュが何をしているのか分からなかった。
シンジュクゲットーでみせた知略の高さ。こった演出を好む劇場型。おまけに自信家。
最も大きいのはクロヴィスを殺し、コーネリアを狙ったことだ。あきらかに皇族を狙い撃ちしていた。
「クレイ、俺はブリタニアを、皇帝を倒す。そして俺とナナリーが自由に暮らせる世界を作りたい。そのためにお前の力を貸してくれ」
ルルーシュは力強い真っ直ぐな眼だった。俺は差し出された右手を握る。そこに一瞬の迷いもなかった。あるはずがない。
「当たり前だ。俺はお前とナナリーのためなら何でもやる。お前の望みは俺が叶えてやる。何でも言ってくれ。お前とナナリーの為に俺が培ってきた全てを捧げる」
「ありがとう。お前が側にいてくれればこれほど頼もしいことはない」
「お前の信頼には結果で示すさ。子供の頃の約束、覚えているか?」
「当然だ。俺が最高の皇帝になり」
「俺が最強の騎士になる。そして俺達が手を組めば」
「「 不可能はない 」」
ルルーシュとクレイはまるで子供の頃に戻ったように無邪気に笑った。
C.Cはそんな二人を少し離れたところで優しく、そしてどこか悲しそうに見守っていた。