コードギアス 魔王の騎士は忠臣だけど、変態というなの紳士でした   作:八神刹那24

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第六話 ゼロとクレイ

ゼロことルルーシュはいらだっていた。救出した枢木スザクを仲間になるように勧誘したが、自分の行動を否定され、あろうことか死ぬとわかったうえで、軍事法廷に戻るという。

 

 歩き出すスザクの背を見つめながら、どうにかして止める方法がないか、ルルーシュは必死に考える。

 

 「残念だったな。ゼロ。完璧にふられたな」

 

突然の第三者の声に驚愕する。この場には自分とスザクの二人だけのはず。声からして相手は男だ。しかし聞いたことは無い。

 

「動くな。こっちを見るなよ。前を向いていろ。なるべくなら生かして捕らえたい。だから無駄なことはするなよ。隣にいるお友達が来る前にお前を殺せるぞ。

枢木スザク。法廷に戻るとは殊勝な心がけだ。俺が捕縛し連行させてもらう。どうせ戻るんだ構わないだろう?」

「ああ、すきにしてくれ」

 「ありがとうと言っておこう。外で待っていてくれ。少しゼロと話がしたい」

 

背後にいる相手を確認しようと振りかえようとしたが先に止められてしまった。自分の方を見させないようにするとはこいつまさかギアスのことを知っているのか?

 

「誰だ?何時からいた?」

「誰でもいいだろう。お前を捕らえに来たブリタニアの軍人ってことは確かだな。お前が枢木を勧誘している途中からだな」

「どうやってこの場所がわかった?つけてきたのか」

「逃走ルートから場所を割り出した。部外者をつれていきなり本拠地にはいかないだろうからな。近くなく遠すぎない範囲で仲間を待機させておける場所がここだった」

「一人か?」

「ああ。お前のせいで現場は大混乱だからな」

 

 この場所を読み切ったというのか。頭のきれるやつだ。手強いな。だが一人ならやりようはあるはずだ。

 

 「どうしたゼロ。さっきから意味の無い質問ばかりだな。俺が誰で、いつ来て、どうやって場所を特定したなんてどうでもいいだろう。俺の返答が本当とかも分からないしな。場所の特定は枢木に発信器をつけていただけかもしれないし、外に部隊が待機しているかもしれないぞ」

 「っ!」

 

こいつ俺をからかっているのか。……落ち着け。相手のペースに惑わされるな。

 

 「お前の質問には答えた。今度は俺の質問に答えてもらおうか。クロヴィス殿下を殺したのはお前で間違いないだろうが、新宿でテロリストの指揮をとり、ブリタニア軍に多大な被害を出したのはお前か?」

 「そうだ、私だ。相手があまりにも弱くて拍子抜けだったがね」

 「その点は同感だ。お前は優秀でうちのお偉いさんは愚かだったな。だが最後はサザーランドに追われ、危うく撃破されるところだったはずだよな。ちなみにあれのパイロットは俺だ。あれはおしかったなぁ」

 「っ!……戦術的勝利なんてくれてやるさ。クロヴィスを殺したことで最終的には俺の勝ちだ」

 「一人称が私から俺に変わったな。そっちが素かな」

 

 まずい、相手のペースに乗せられている。やはりこいつかなり頭がいいな。会話の中で的確に相手を分析してくる。あとあと面倒になりそうな敵だ。今のうちにギアスを使って殺しておくか。

 

 「戦術的にとはいえ私に泥をつけた男の顔を見ておきたい。振り返ってもいいかな?」

 「それは駄目だ」

 「なっ!?……なぜだ?」

 「ジェレミア・ゴットバルドという男は我が身かわいさで皇族を裏切るような男では無い。だから皇族殺しを宣言するものと容疑者をみすみす逃したりしない。お前が何かしたんじゃないか?

仮に催眠術の類いだとすれば可能性は視覚、聴覚、触覚ってところか。あの時お前はジェレミア卿に触れていないから触覚は排除だ。オレンジという謎のキーワードにより場が混乱しているとき、お前はさらに彼に近づいたな。だから俺は視覚による操作だと仮定した。もっとも催眠療法ぐらいなら認めるが、催眠術に完全に他人を操るレベルの力があるとは思えないが用心にこしたことはない。

だからお前はこの場で気絶させる。安心しろ、後遺症を残さないように相手を気絶させる方法は心得ている」

 

 この男はまずい。ギアスのことを知っているわけでは無いのは確かだろう。だからこそまずい。新宿で俺の場所を見抜く戦略。KMFの操縦技術。不測の事態に対しての冷静な状況分析。可能性を否定してもなおの用心深さ。

 

 こんな男がいたなんて計算外にも程ある。こっちにはろくな駒がいないというのに。……こいつを取り込むことは可能か?新宿といい、今回といい独断で動いている。手柄をもとめている証拠だ。こいつの目的が分かればあるいわ。

 

 「私と枢木スザクを捕まえればかなりの手柄になるだろう。お前は手柄を欲しているのか?」

 「当然だろ。手柄がほしくない軍人なんていないだろう。まぁ、中には変わり者もいるかもしれないが」

 「手柄をあげてどうする?軍の将軍にでもなりたいのか?」

 「軍での地位を上げるのが目的だが、そこが最終的な目的では無い。あくまで目的達成のための手段だ」

 「最終的な目的?なんだそれは。私ならその願い、叶えられるかもしれない」

 「なるほど、懐柔しにきたか。……ゼロ。お前は何故戦う。ブリタニアの皇族を手にかけたんだ。ただのテロではない。戦争でもしようとしているようだぞ」

 「……戦争か。確かにその通りだ。私はブリタニアに戦争をしかける。そしてブリタニアを倒す!」

 「……く、くく。ははははは。……ブリタニアを倒すか、大きく出たな。こんな小さな島国で、そこいらのチンピラテロリストを使っているお前がか?」

 「どんな困難なことだろうと、やらなければならないことがある!」

 「…………どうやら本気のようだな。男の真の決意を笑ったことを謝罪させてくれ。だがお前はここで終わりだ。俺の目的の為にお前を見逃す訳にはいかない」

 「まて、まだ俺の質問に答えていないぞ。俺は答えた。今度は貴様の番だ」

 「……俺の目的は二つある。一つは俺の父が殺された事件の真相をあばくこと。二つ目は子供の頃に親友と交わした誓いを守ることだ」

 

 男の目的を聞いた瞬間、なぜだがクレイのことを思い出した。

 

 その時、突然瓦礫が崩れ、音が鳴り響く。

 

「ゼロ!どうかしましたか」

「っち!今回は枢木だけで満足するしかないか。ゼロ!お前は必ず俺が捕まえる」

 

 瓦礫が崩れた方をみると、緑色の長髪が一瞬見えた気がした。

 


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