コードギアス 魔王の騎士は忠臣だけど、変態というなの紳士でした 作:八神刹那24
目を覚ましたら知らない天井だった。まぁ、おそらく病室だろう。しかもなにやら豪華な個室のようだ。気を失ったようでまるで覚えてはいないが、こんな部屋にいるってことはユーフェミア様は大丈夫だったようだ。
体を起こそうとすると軽い痛みはするが軽症だろう。体を起こしたとき、ちょうどヴィレッタさんが入ってきた。ヴィレッタさんにあの後のことを話してもらった。
ケイオス爆雷をかろうじて防いだが、コックピットで機器が軽く爆発し、軽い火傷と破片による傷などにより気絶してしまったようだ。あの場はユーフェミア様が納めてくれた
らしい。
俺はユーフェミア様のご厚意でこの高級そうな病室を用意してもらえたそうだ。
ユーフェミア様の命を救ったことして、恩賞を受けられるそうだ。これは俺にとって最高な知らせだ。ユーフェミア様とは幼少期にルルーシュ様関連で多少の縁もあり、ユーフェミア溺愛主義のコーネリア様ならお会いできる可能性もある。
キューエルめ、一時は殺してやろうかと思ったが、結果的には最高になったので見逃してやろう。ジェレミア卿とキューエルは拘束されてしまったようだが、命があるだけ良しとしてもらうほかない。
見舞いの定番と言えばうさぎさんカットのリンゴだ。ユーフェミア様から果物の盛り合わせがお見舞いの品として届いていたので、ヴィレッタさんにお願いした。流石ヴィレッタさん、うさぎさんリンゴも完璧です。
当然食べさせてもらいましたよ。美人に『あーん』をしてもらえるチャンスを逃す俺ではない。顔を赤らめながらやってくれた。なにこの人可愛い。
ヴィレッタさんが仕事のため帰って行ってからしばらくするとユーフェミア様がやってきた。ユーフェミア様が来たので起き上がろうとしたが、優しく止められた。
「お体の方は大丈夫ですか?クレイさん」
「はい、おかげさまで痛みもほとんどありません。医者がいうには二、三日で退院できるそうです。それより申し訳ございませんでした。私共のいざこざのせいで御身を危険にさしてしまいました」
「私が勝手にしたことです。あなたが気に病むことではありませんよ。あなたのおかげで傷一つありません。ありがとうございました」
「恐れ多いことです」
「ところでクレイさん。私のことを覚えていますか?子供の頃、ルルーシュやナナリーと一緒に何度か遊んだことがありましたよね?」
「もちろんです。むしろ私のようなもののことを覚えていてもらえて感激しております」
「あの頃は本当に楽しかったですよね」
「……そうですね。私の一番幸せなときでした」
まずい。軽く死にかけて弱っているせいか、あの頃のことを思い出して涙がでてきた。
「この度のお礼として私になにかできることはありませんか?」
「実はユーフェミア様にお願いしたい儀がございます。コーネリア様にお会いすることはできないでしょうか?」
「お姉様に?何故ですか?お姉様になにがご用でもあるんですか?」
「はい。私はマリアンヌ様と父が殺された件の真相が知りたいんです。当時、マリアンヌ様の護衛隊長だったコーネリア様ならなにかご存じではないかと思いまして」
「……そうですか。あなたはいまだにあの事件を調べていたのですね。分かりました。私がお姉様にお願いしてみます」
あれから一週間後、ついに俺はコーネリア様にお会いすることができた。ユーフェミア様とは違い、子供の頃何度かお姿を拝見したことがあるだけで初対面だ。
コーネリア様の横にはダールトン将軍と騎士のギルフォード卿が控えていた。流石は歴戦の猛者だ。三人とも目の前にたつだけで圧倒される威圧感がある。実力では負けないと密かに思ってはいたが、実戦経験の差は感じざるをえない。
「この度は貴重なお時間を頂き、ありがとうございます。レックス・ロペスの子、クレイ・ロペスと申します」
「よくきたな、クレイ。今回はユーフェミアのことを身を挺して守ってくれたこと感謝する」
「ブリタニア軍に所属するものとして当然のことをしたまでです。それに元はといえば我々のくだらないいざこざが原因であります」
「お父上のことは私も知っている。私の目標としていた立派な騎士であった」
「ギルフォード卿にそう言ってもらえて、息子として誇らしいです」
「この間は純血派のサザーランド三機を瞬殺したらしいな。なかなか腕が立つようだ」
「いえ、一人をだまし討ちししたあげく、五人がかりで討とうとする軟弱どもです。ダールトン将軍が鍛え上げた兵ではこうはいきません」
少しの間談笑をしたあと、例の事件について聞いてみたが、やはりなにも知らないということだった。コーネリア様も独自で調べてみたが結局なにもつかめなかったそうだ。半ば覚悟はしていたが落胆はかくせない。
父のこともあってコーネリア様の軍にこないかと誘われた辞退した。コーネリア様
の軍でもうまくやれる自信はある。親衛隊に入ることも可能だと思っている。だが俺が仕える主はルルーシュ様とナナリー様のみ。それ以外は絶対にありえない。
コーネリア様に会う目標は達成した。事件については何も分からなかったが、いったん諦めるしかないだろう。あとの可能性としてはシュナイゼル様だが、コーネリア様以上に会うことは困難だろう。
次はルルーシュ様とナナリー様の捜索に移ることにした。これ以上軍にいる必要はなくなったので、その日のうちに除隊申請をしたら、すぐさま受理され翌日除隊できた。コーネリア様かユーフェミア様が気を利かせてくれたのかもしれない。
ユーフェミア様を助けたことによって褒賞として結構な額も頂くことができたのでしばらく金の心配はなくなった。金持ちシスコンに感謝だ。
ジェレミア卿はまだ取調中で会うことはできなかった。ヴィレッタさんにはお礼のプレゼントと共に別れの挨拶をした。
この機会に以前話した、軍を抜ける話をしたがまだやめる気はないらしい。ご武運を。
俺がルルーシュ様とナナリー様を探していることを本国に察知されるわけにはいかない。もし探し当てたとしても、また政治の道具として利用される可能性がある。へたをしたら暗殺される可能性さえある。密かにやらなければならない。
手掛かりがまったくない状況。世界からみれば小さな島国だが、当てもなく探すには広すぎる。だが諦めるわけにはいかない。これだけが俺の生きる支えだ。
日本の偉大な先生も言っていたじゃないか、『最後まで……希望を捨てちゃいかん。あきらめたらそこで試合終了ですよ』と。諦めなければ終わりじゃないんだ。
日本の天才バスケットマンが言っていたじゃないか、『まだあわてるような時間じゃない』と。俺はまだ17だ。まだまだこれからだ。
軍学校の同期だった知り合い以上友達未満のオータク君が教えてくれた名言で自分を鼓舞する。今から新しい一歩を踏み出すんだ。
「ちょっといい加減にしてください!」
……俺の新しい一歩は一歩で終わった。