インフィニット・ストラトス ~太陽の操者~   作:神駆

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今回は番外編と称してイサベルの一日をご紹介。

前回の後書き? が、頑張って書いてます……


番外編:イサベルの一日

 

 イサベルの朝は早い。

 

 初日こそ6時からのランニングであったが、以降はきちんと申請をし、朝4時からランニングに出かけている。最近は陸上部の朝練習にも参加しているようだ。陸上部からの勧誘の声も多いらしいが、彼女はサッカー部に所属していたりする。

 

 そして、いつものメニュー(10㎞ランニングと陸上部の朝練習)を一通り終えると、シャワーを浴びて食堂に向かう。

 

 彼女の最近のお気に入りは朝定食A(和食)であるようで、毎日のように頼んでいる。もちろん大盛りである。そして、その他にも定食系を一つ頼むのだから、彼女を見て食欲を無くしてしまう者もいるくらいだ。そして、それだけ食べても太らないように見えるのだから嫉妬の視線も多い。

 

 ……実際は朝からトレーニングしているためなのだが。

 

 朝食が終わり、始業までの間は寝ていることが多い。彼女にとって授業の予習というのは必要ないらしい。そもそもISに関してならば並の教師よりも遥かに詳しく、通常の授業も数学などはむしろ日本の教育が遅れているくらいだ。彼女が苦労しているのは今のところ古文だけである。

 

 そして、授業が始まれば居眠りすることなくきちんと受け、休み時間にはクラスメートにわからないところを教えてあげている。当初は国家代表という肩書もあってクラスメートは中々話しかけづらそうであったが、今ではそのかけらもない。少々悪戯好きなところもあるが、基本的には変わらないのだ。

 

 昼休み。昼食は朝食ほど食べないイサベルは、その日の気分でメニューを選ぶ。ちなみに今日は天丼だった。

 

 イサベルは基本的に食堂で昼食をとるが、たまに弁当を持参することもある。しかし、その中身を作っているのはカミラであり、イサベルではない。イサベルの料理は大雑把すぎて弁当には向かないのだ。一例をあげるとするなら、隊で食事当番になった際のイサベルの料理は、肉に塩コショウをかけて焼いただけ、しかも切り分けることもしなかったのだ。

 

 イサベルが料理をあまりしないというのは、カミラが作ってくれるということもあるが、一番の要因となっているのは幼馴染であるゴンザレスの料理の腕がプロ級であり、彼の一家に幼いころからお世話になっているからだろう。

 

 昼休みが終われば、当然午後の授業が待っている。今日は古文の授業があるので、若干憂鬱そうである。ちなみに隣のクラスの鈴は漢文が苦手らしい。彼女曰く、「書き下す必要ないじゃん」らしい。

 

 さて、放課後にイサベルがとる行動は2つである。部活に参加するか、ISの調整をするかだ。

 

 今日は部活のようで、スパイクを持ってグラウンドに向かった。

 

「イサベル、今日は紅白戦やるから準備しといてー」

 

「はい!」

 

 2年の先輩に言われ、イサベル含む1年生は準備を始めた。

 

 まずはゴールを運び、そのあとにラインを引く。あらかた準備ができたところで、ペアを組んで準備体操、基本練習をこなした。

 

 紅白戦はどうやら新入生歓迎のために行われるらしく、1年生チーム対2,3年生チームで行われた。

 

「手加減はしませんよ? 先輩方」

 

 イサベルは不敵にほほ笑んだ。彼女はサッカーに多少の自信があるのだ。幼馴染であるゴンザレスは料理が得意なだけの男ではない。サッカーも得意なのだ。そもそもスペインという国はサッカーが強い。FIFAランクで言えば、現在1位。そして、そんな強豪国の中にあってゴンザレスは16歳ながらU-23の代表に選出され、既に5ゴールを挙げている。

 

 そして、そんな彼と共に練習に参加していたイサベルもまた、IS操縦者でなければ将来有望なサッカー選手としての実力を持っている。

 

 とはいえ、周りの1年生はイサベルのレベルについていけそうもないので、イサベルは司令塔としてバランスをとる役目をしている。

 

 試合は前半を終えて0対2と負けている。負けず嫌いなイサベルは後半、自重を辞めた。

 

 決して味方を蔑ろにはせず、むしろ生かしながらゴールへと邁進するイサベルの姿に、3年生の伊藤は、スペインのある選手を脳裏に思い浮かべた。

 

「まずい! イサベルを止めて!」

 

 GKの伊藤はディフェンスに指示を出すが、それをいとも容易くすり抜け、一対一となってしまう。イサベルはGKの動きを冷静に読み切り、わざわざラボーナでゴールを決めた。

 

 1対2のまま試合はロスタイムとなった。そして、おそらくラストプレーであろうフリーキックはゴールまでおよそ25mといったところか。

 

 もちろんキッカーはイサベル。大股で5歩下がり、ゴールを睨み付ける。

 

 そして、その姿に伊藤は確信を抱いた。その特徴的なフリーキックのスタイルは最近一気に知名度をあげているスペイン代表のゴンザレスと同じなのだ。

 

「いくよ! ゴンちゃん直伝!」

 

 そして蹴りだされたボールは全く回転せず、伊藤が手を触れることすらできずゴールに突き刺さった。

 

「2回曲がった……」

 

 そして、試合は終了。紅白戦とは思えないほど盛り上がった試合はいつの間にか放課後に暇を持て余していた生徒たちが観戦していたようで、拍手が巻き起こっていた。

 

 紅白戦終了後のロッカーでイサベルは質問攻めにあっていた。

 

「イサベルさん、あのフリーキックはゴンザレス選手と同じですよね!?」

 

「ん? ああそうだよ。ゴンちゃんと一緒に練習したからね」

 

「えっと、もしかして知り合い……とか?」

 

「えーと、幼馴染ってやつ。最近会ってないし電話でもしてみるかなー」

 

 そう言うと、周りは盛り上がった。年頃の女の子にとってこういったものは興味津々な話題なのだ。

 

「じゃあ、付き合ってたりは!?」

 

「してないって。だって私の結婚相手はISなんだから。んー、でもゴンちゃんなら別枠でもいいかなー」

 

「えっ」

 

 姦しい会話はその後も続いたのであった。

 

 そして、夜。

 

 カミラとの新型ISについての議論を終えたイサベルは言ったとおりにゴンザレスに電話をかけた。

 

「やっほー、久しぶりゴンちゃん」

 

『ゴンちゃん言うなって、何回言えばいいんだよ……。ていうかそんなに久しぶりじゃないだろ』

 

「いやー、こっちに来るまでは毎日会ってたからねー」

 

『ま、確かにそうだけどな。ああ、そういえば親善試合で日本にいくことになったから』

 

「お! いいねー。見に行くから後で日付教えてよ。それにゴンちゃんのご飯も食べたいし」

 

『ベル、お前そっちが主目的だろ……』

 

「ばれたか……。そういや今日久しぶりにフリーキック蹴ったけどちゃんとできたよ」

 

『そりゃねえ。なんというか、相手はご愁傷様というか。どうせ触れなかったんだろ?』

 

「よく分かるね……ってそりゃそうか。ご本人様だもんね」

 

『いやいや、俺より早くできるようになっただろうが。つーか、こんな時間まで起きてていいのか? どうせ明日も朝早いんだろ?』

 

「大丈夫大丈夫。明日はお休みだからね。ていうか、そっちも昼休みでしょ? 時間大丈夫?」

 

『ん、あ…………。時間やべえ。じゃあな、ベル』

 

「うん。お休み」

 

 電話を切ったイサベルはベッドに倒れこむと、そのまま寝息を立て始めた。

 

 そして、それを見てカミラはため息をついて布団を掛ける。

 

 これが、イサベルの1日だった。

 

 

 




フリーキックのモデルはCR7。
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