前回新オリキャラを出すと言いましたが、予定を変更して別キャラを出します。
※前半ショッキングシーン…かも…
成瀬瑞穂side
変わり果てた梶くんに無理矢理連れられて、大きな廃屋の一室に入れられた。
私が今感じているのは圧倒的な力の差と底知れない恐怖だ。
ベッドに座って落ち着いている雰囲気を出しているが、梶くんの表情から見てもその余裕そうな感じから、虚勢は張っても無駄だと思い知らされる。
「……どうして?どうして…梶くん…?」
「………」
「どうして梶くんが冬馬にあんなことするの‼」
思わず大声を上げてしまう程に怒りを出した私に、梶くんは少しだけ悲しい表情を浮かべたが、すぐにそれも不気味な笑みへと変わっていく。
「俺がどうしてこんなことをするかだって…?まだ分からないのか、瑞穂…。全てはお前のためなんだよ…」
「わ…たし?」
「そうだよ…。元を言えば、この状況を作り出したのは瑞穂だ」
そう言って、梶くんは茶色のコートを脱いで、私の上に覆い被さった。
何をされるのか怯えていた私だが、これからされることが分かり、その怯えは更なる恐怖になっていく。
「いや…!いやぁ‼」
必死に抵抗しようと藻掻くが、両手を頭の上で抑えられ、服は破られはしないが、一枚一枚剥がされていく。
「いや‼やめて‼いやだぁ‼」
「諦めろ…。もうお前はものだ…。あいつとはもうやっただろうが…構わねえ…」
梶くんの欲望を非力な私が止められるはずもなく、私は初めて…好きな人以外に犯されてしまうのだった。
小室孝side
全てが終わってしまった日から…もう一年という月日が過ぎてしまったのか…。
結局、あのバスでの爆発で毒島先輩や平野、高城と離されて、未だに集結出来ずにいた。橋も渡れなくなり、ほとぼりが冷めるまで待つしかなかったのだが、その間にも色々とあって、本当…面倒な一年だった。
そして今日、漸く毒島先輩たちがいると思われる高城の家に向かうことにしたのだ。
俺も麗もこの一年で随分と変わった。ずっと来ている学ランや学生服はボロボロに廃れ、髪も汚れ切っている。そして表情もいつも険しい…ようにしている。
奴らがいつどこか現れるか分からないし、何より今は歩きだ。
随分前は無免許でバイクを乗り回して、移動していたが今はそれもない。
「孝…今日は、何もいないね」
「…そういやそうだなあ。ウォーカーの姿が全く見えない」
稀にウォーカーを見ない日はたまにある。
その稀な日が今日ならいいなと思っている矢先に…前方に五体のウォーカーを見つけてしまう。俺は溜め息を吐き、面倒くさいと思いながらも遠回りしようと思ったら、麗が指差した。
「あれ……孝、人…じゃない?」
「え?」
思わず聞き返してしまった。麗が指す先には確かに全身に打撲のようなものを負った俺らと年齢が大差ない男が倒れていた。その男性にウォーカーは引き寄せられているらしい。
ウォーカーは俺たちに気付いていないから、あの男を見捨てて戦闘を避けることは出来る。
だけど…俺はそんな奴を見捨てることなんて出来るはずもなかった。
「麗!」
「分かった!左の二体は任せて!」
麗は左に、俺は右に行き、ウォーカーの頭を潰した。何日振りかにウォーカーを殺した感覚は…全く忘れてはいなかった。
俺はすぐにその男の近くに駆け寄るが、いくら呼んでも叫んでも目を開けることはなかったため、急いで麗と2人で担いで、空き家へと避難するのだった。
夜はあっという間に訪れた。
空き家の入り口にはワイヤーを張って、ウォーカーが入ってこれないようにし、今は麗があの男の面倒を見ている。
それにしても…彼に何があったのだろうか…。
あの傷からして、全身を複数の人間によって殴られたか蹴られたのは間違いないのだろうが、今の世界でそんなことがあるのか…と思ってしまった。
男は俺と大体同い年くらいで、身長も大して変わらない。
「とにかく、奴らが集まらないうちにどこかに身を潜めよう!」
「ええ」
俺と麗が助けたこの男…。
後で面倒事を作る要因にならなければいいなと思う俺だった。
冬木冬馬side
『……冬馬!いや!助けて‼︎いやぁ‼︎』
瑞穂の痛々しい悲鳴が聞こえるが、俺の身体はちっとも言う事を聞かない。浩二たちによってやられた身体はもうボロボロだった。
目を瑞穂の方に向けると、彼女の美しい顔が浩二によってズタズタにされているのが見え、俺は怒りに燃えるが、突然瑞穂は俺の方に向かって叫び出した。
『役立たず…』
そう言われた途端に俺の世界は暗闇となり、周りには何十人とウォーカーが並び、口々に言う。
『役立たず!』
『無力!』
『出来損ない!』
あらゆる罵倒をされ始め、俺の心に傷が入っていく。耳を塞ぎ、目を瞑ってもこの悪夢の大合唱は聞こえてくる。
そして最後に瑞穂の声が…鮮明に聞こえた。
『冬馬なんか…いなくていい』
その瞬間、俺は目を覚ました。今度は汚れたシーツの上で寝かされていたが、起きた途端に身体中に鈍い痛みが走ってきた。だが、その打撲や打ち傷は何者かによって綺麗に手当てされ、包帯を巻かれていた。
「お、起きたか?」
俺から見て左側から声がした。ゆっくりとそっちを向くと、そこには男が立っていた。
古ぼけた学ランを着て、髪は少し長め、そして手には真っ黒になった金属バットが握られていた。
「道路で倒れているところを助けたんだ。あんた1人か?他は…」
「他……。…!瑞穂…!っ!」
勢い余って身体を起こそうとしたが、逆に更なる痛みを増やしてしまう原因を作ってしまった。
「おい、大丈夫か⁈」
「孝、起きたの?その人」
俺が痛みに耐えている中、奥からもう1人出てきた。
今度は女性だ。彼女も俺と年は変わらない。同じくセーラー服で背中にまで茶髪の髪を伸ばしていて、スタイルも悪くはなかった。
「はじめまして。宮本麗よ。こっちのあんまり頼りなさそうなのが、小室孝」
「おい、麗。頼りなさそうってどういうことだよ」
「言葉の通りよ」
「………」
この2人の様子を見ていると、嫌でも瑞穂と俺との情景が思い出されてしまう。
「あなたは?」
「……冬木冬馬…」
「冬木くんね!ちゃんと覚えとくわ」
「いきなりだけどさ……何があったんだ?本当に…。ウォーカーじゃないんだろ?」
俺はそう聞かれたが、ぷいっと顔を背けてこう言った。
「悪いが、あんたらに話すつもりはない。…1人に、させてくれ」
暫く何も言わない2人だったが、俺の要望に応えてくれて、部屋から出て行った。俺は震える身体をどうにか抑えつけて、何度も何度も祈った。
瑞穂が……無事である事を…。
そうやっているうちに俺は再び痛みと疲れからか、眠りに就いてしまうのだった。
小室孝side
「どう思う?あいつ…」
「冬木くんでしょ!あいつじゃなくて」
「どっちだっていいよ」
「もう!昔から孝は…。でも、彼…ちょっとまずいかもね…」
「まずい?」
「私の見解だけど、精神的に不安定になっている。このままじゃ精神が崩壊するわ」
確かにあいつ……もとい冬馬はどこかおかしかった。
俺と麗が冬馬の前で話している時も、どこか目は虚ろで、生きているという感じが微塵も感じられなかった。
麗の言う通りだとするならば…早く手を打たないといけない。
「じゃあ、俺が聞いてみるよ。何があったか……」
「ダメ。孝は相手を考えないし、空気も読まないから」
反論したかったが、痛いところを突かれて俺は口を出せなくなる。麗は得意げな表情を見せた。
「私が何とかするわ。それより…彼の件が済むまで高城さんの家に向かうのはお預けね」
「そうだな…。まあウォーカーが事態を最悪にさせてないだけマシだろうけどな…」
「そうね」
面倒なことにはなってない。それはそれで嬉しい。
だけど早く高城の家に着いて、この面倒な世界から脱却したいと思う気持ちは日に日に強くなっていくばかりであった。
はい、学園黙示録メンバー登場です。