大体10ヶ月ぶりです。どんな話だったか、少し覚えてなかったのでもう一度読み直すほどでした。
今回は気分で書きましたが、最初に言ったように、そこまで頻繁に書くことはないと思います。
では、どうぞ。
冬木冬馬side
「はあ、ったく…」
俺は大通りに放置してあった自動車の中に残っていた僅かなガソリンをバイクの中に入れる。
本当に僅かだが…。せいぜい20km進めたら良い方だと思ってよさそうだ。
だけど、立ち止まる訳にはいかない。さっき、この通りに来るまでに、三年前まではいたはずのウォーカーは全て首の後ろを切られて絶命していた。しかも死体は多少腐っていたが、そこまで時間は経っていなかった。
ということは、この近くにいる”誰か”が殺したことになる。
そいつらが誰か分からないが、危険かもしれないため早く離れたかった。
「それにしても…ここ、懐かしいな…」
目の前には錆が入った戦車が鎮座している。
そう…俺が今立っているこの場は、三年前、咲良と一緒にやって来た大通りなのだ。
三年前と違うところはさっきも言ったが、数えきれないウォーカーがいないこととしっかり伸びた雑草くらいだった。
ここで瑞穂や浩二たちに助けてもらったが…今はそんな風に助けてくれる人はいない。
そんな場所に何でいるかというと、偶々だ。
俺は都会を避けながら三年間生きてきたが、小さな町々にはもう何も残されていないので、一番近い都会…それがここだったのだ。
「もう、誰もいないだろうな…」
小さく呟き、バイクのエンジンをかけようとした時、ガタンと付近から物音が聞こえた。
俺は身体の動きを一瞬止め、周りを見回す。
バイクのエンジンをかけるのを止めて、腰の拳銃に手を伸ばす。銃弾はどうせ10発もないから使いたくないが、あの物音から察するにウォーカーでは可能性がある。人間相手に拳銃を使うのは効果的だろう。
「いるんだろ?出てこいよ。あまり音を出したくないからな」
「…気付かれたか…」
ぞろぞろと瓦礫や草むらの陰から、日用品を使って作ったと思われる防具を身に付け、手には斧にシャベルに金属バットと色々な物を持った男たちが現れた。
拳銃などの飛び道具を持った奴はいなさそうだ。上手く交渉出来そうだ。
だが…最後に出てきた”女”を見た瞬間、俺の背筋が強張った。
”女”も俺の姿が目の入ったのか、目を丸くして、口をパクパクさせていた。
「…瑞穂……」「冬馬…!」
と、同時に呟き、周囲のメンバーを驚かすのだった。
成瀬瑞穂side
「瑞穂さんよお…毎回毎回ウォーカーを殺すけど、これから何をしようっていうんだ?」
血がついたナイフを拭きながら、生存者の一人、かつナンバー2の和也が私に聞いてくる。
「あれほどの量のウォーカーを殺さないと、いつまで経ってもここから出れない。私はね、もうじきここから出て行こうと思ってるの。食糧も物資も数がないし」
「新天地を探すってわけか…。瑞穂さんも大変ですね、毎日」
「私は自分の命よりも生存者を生かすために頑張ってるからね。…まあ、そんなことどうでもいいって言う人もあっちに残っているし、他にも大きな問題はあるけどね」
私はセーフゾーンの方を見ながら、そう呟いた。
それに同調するように、和也は頷く。
「あいつらは放っておけ。大した連中でもないからな」
「何もしないならいいのよ。何かするなら、それ相応の対処はするけどね」
和也は「ふーん」と言いながら、ナイフを鞘に納めて、前に進もうとした時、その足を止めた。
「…ウォーカー?」
「いや違う。バイクのエンジン音がした。恐らく…生存者だ。どうだ?」
和也は別の男にその生存者について聞く。
「若い男です。放置された車から、ガソリンを取っています」
「装備は?」
「何もない感じに見えます」
「どうする?その男の物、奪取するか?」
「…そうね。あまり良い感じはしないけど、物資は必要だからね。いいわ、その男は殺さずに物資だけ奪いましょう」
「了解」
そう言って、和也を含めた男たちはゆっくりと近付いていく。
すると…。
「いるんだろ?出てこいよ。あまり音を出したくないからな」
どうやら相手は耳が相当良いようだ。近付いているといえども、私たちもそれなりに経験を積んでいるから、音を出さないようにしているのに…。
でもあの声…どこかで聞いたような気が…。
「…気付かれたか…」
和也と他のメンバーは草の茂みや瓦礫から姿を出した。私も彼らに続いて、その男の前に姿を出した。
そこで私は…思わずは大声が零れそうになった。
「冬馬…!」
それでも、彼の名前は呼んでしまったけど。
「瑞穂さん、知り合いか?」
「………」
「瑞穂さん?」
私は驚きのあまり、声を出せなかった。何度和也に呼ばれても、反応することが出来ずに固まるだけ。
そんな私を見かねたように、先に冬馬が口を開いた。
「俺をどうしたいんだ?」
「あんたが持っている物全て、置いていってもらおうか」
和也がそう言うと、冬馬は私に見せたことない笑みを浮かべる。
「お笑いだな…。殺さないんだな。結構甘いじゃないか、瑞穂」
「…あんたが瑞穂さんとどういう関係かは知らないが、とにかく…」
「動くな」
和也たちが一歩進むと、冬馬は拳銃を突き出した。どこで手に入れたかは分からないが、それを見た和也たちは動揺を隠せずに後退ってしまう。
「出来れば撃ちたくない。音を出してもウォーカーがやって来て、瑞穂たちにもメリットはない。そこでだ。俺をこのまま見逃してくれ。争いは嫌いだろ?」
「……そうね。無理矢理襲っても、拳銃を撃たれたら面倒ね。和也、見逃しましょう」
「いいのか?こいつがもし仲間を連れてきたりしたら…」
「それはないわ。だったら単独行動なんてするはずがないわ。ウォーカーに襲われるより、私たちみたいな人に会う方が危険だからね」
和也は納得している様子ではなかったが、渋々冬馬の傍から離れる。
「ありがとな、瑞穂」
私に見せた久しぶりの笑顔…だけど、どこか寂し気で悔恨が漂っている。
バイクに跨った冬馬はそのまま私たちを気にすることなく、颯爽と消えていく。
久しぶりに冬馬と会ったのに、再会した時間はたったの数分…それがとても寂しくて…悲しくて、言葉に詰まる。
「本当に良かったのか?瑞穂さ…」
和也は途中で言葉を失ったかのように、会話を止めた。
その原因が私の流している涙であるとは…この時、気付くこともなかった。
冬木冬馬side
俺の心臓の鼓動は止まらなかった。
あの場では瑞穂たちの部下らしき男たちをやり過ごすために、平然を装っていたがかなりギリギリだったことだろう。もしかしたら、一部の奴には見栄っ張りだとバレていたかもしれない。
「あいつ…変わってなかったな…」
途中でバイクを止めて、俺はそう呟く。
物資は奪うけど、命までは取らない。いかにも瑞穂らしいやり方だと思う。
…いや、そんなことはどうでもいい。
何故俺は彼女のグループに入りたいと願い出なかったのだろうか…。
俺は瑞穂に会いたかった。だけど、浩二を殺した一件で、瑞穂と関わりにくいとも思っていた。あの時…浩二が言っていた『可愛がっている』…。
あれは俺以外に身体を許した…ということではないかと勝手に想像している。
「……そんなこと考えても仕方ない…か」
俺は深呼吸をして、瑞穂と三年ぶりの再会を果たしたことを忘れようとする。
脳裏に刻まれたその記憶を消せ、と命令するが、出来るはずがない。
やばい…それも分からないほど動揺している。
顔を覆い、冷静さを取り戻そうとしていると、今度は隠れることもなく、俺の目の前に男が姿を出す。
「お前は…冬馬⁈」
俺の名前を出す男。
これが…運命の再会を意味すると同時に…俺が最も起きて欲しくなかった事態が巻き起こるきっかけになるなんて…俺は予想もしていなかった。
ここで暴露しますが、私は原作をシーズン4までしか見たことがありません。