ウォーキングデッドin Japan   作:GZL

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第二話、ご指摘があったので書き換えました。
ご指摘してくだっさた方、改めてありがとうございます。


第3話

冬木冬馬side

俺は今度は鼻孔に入ってくるほど良い匂いに反応して目が覚めた。

目を開けると…真っ白な天井ではなく、薄暗い色に染まった天井が最初に目に入った。

そして、俺が眠るベッドの傍に椅子に置いて、、そこにあの時俺を殴った女子が心配そうに俺を見詰めていた。

 

「だ、大丈夫?」

「…全く……俺の後頭部を容赦なく思いっ切り殴りやがって…」

「ご、ごめん…冬木くん…」

「まぁいいよ…。今こうして助けてくれているしな…。感謝してるよ…杉山…咲良だっけ?」

「うん…」

 

彼女は俺の近所に住む杉山咲良。

同じクラスで瑞穂の幼馴染…要するに俺の幼馴染でもある。名前がうろ覚えだったのは、あまり接する機会がなかったから。…失礼な話だから、彼女には内緒にしないと…。

すると、奥の扉からあの男性が入ってきた。

 

「お、起きたか?すまなかったね、咲良が失礼なことをして…」

「いいえ…。どうせ、杉山は俺のことを奴らと見間違えたか、本当に俺を殴りたかったかのどっちかですよ」

 

そう失礼なことを言うと、杉山は顔を赤くして俺に怒鳴る。

 

「ちょっ…!冬木く……」

「シィッ‼」

 

だが、怒鳴ろうとした杉山の口を男性…杉山のお父さんが塞いだ。

どうやら…あまり大きな声を出すのは良くないようだ。

一通りに注意し終えたところで、彼女のお父さんは持ってきた服を俺に差し出してくれた。

 

「私の服なんだが…我慢してくれ」

「いえ、ここまでしてくれるんだから感謝しきれないですよ…」

 

俺はベッドから降りて、その服に着替えようと病院着を脱ぎ始める。その姿を見ていた杉山は益々顔を真っ赤にさせていき、速攻で後ろにそっぽを向いた。

 

「な…なんでここで着替えるの!?」

「寒いからに決まってるだろ?あと声デカいよ…。静かにしろってお父さん言っていただろ?」

 

杉山は「う~」と声を漏らして、恨めしそうに俺を見詰めた。

 

「ははは、冬木くんは礼儀も理解も咲良より早いね。そうだ、まだ名前を言ってなかったね。杉山尊だ。よろしく」

「冬木冬馬です。こちらこそ、助けてくださって本当にありがとうございます」

 

ガシッと握手を交わして、俺は彼らとの信頼関係を強くした。

そして、今起きているこの事態について聞いてみることにした。

 

「あの……今何が起きているんですか?俺は病院で昼間に目覚めたばかりでどうなっているのか……」

「…確かに話さないといけないし、絶対に言っておかなくてはならないだろう。でも…まずは晩御飯を食べたいんじゃないかい?」

 

そう言われて、俺の腹は正直にギュルルルと大きく鳴った。俺は恥ずかしくなって、顔を熱くさせる。杉山と尊さんはクスクスと少しだけ笑いを漏らしていた。

 

「はは、じゃあ…リビングに行こうか?」

 

俺は顔が熱い状態のまま…軽く頷くのだった。

 

今日の晩御飯のメニューはシンプルに……カップ麺が三つ、湯が入った状態で置かれていた。あんなに良い匂いがしたから、余程豪勢なディナーかと思ったが…こんなカップ麺の匂いでも、旨そうだと思ってしまったのは…長い間何も食べていなくて、空腹だったからだろうか…。

 

「じゃあ…食べながらでいいから…。何が起きているのか話そう」

 

俺は麺に食らいつきながらも、尊さんの方をきっちり見ていた。

 

「今から5日前…突然、奴ら…周りの人たちは“ウォーカー”と呼ぶのだが、ウォーカーが現れた。死んでいるのに動く…。正に悪魔だよ。原因は全く分からない。本当に突然現れて…人を食い殺そうとする。そして、噛まれた者はウォーカーになる」

「死んでいるのに……動く?」

 

俺は思わず聞き返してしまった。

そんなバカげた話があってたまるかと言いたかったが、今のイカれた状況では何一つ言えなかった。だが、尊さんの話であの下半身がない女性が生きていた理由も納得した。

 

「そう…死んでいるんだ」

「そんな……でも、医学的にあり得ないんじゃ…。死んでいるのに生きているなんて…」

「いや、奴らは生きていない。心臓の活動は停止しているからね。それは奴らと組み合った時に分かった」

「じゃあ……奴ら…ウォーカーは一生動き続けて…俺ら人間を襲うんですか?」

「その心配はない。ウォーカーは頭を潰せば、それで本当に死ぬ」

「…頭…………」

 

『頭』というキーワードは…俺の母親の死に様と関係あるのだろうか…。母さんもウォーカーになったから、仕方なく…誰かが、殺したんだろうか…。そう考えると…誰が殺したのかは限られてくる。

父親か…健太か…栞…なのだろうか…。

そんな……いくらなんでもそんなことは…。

 

「冬木くん?大丈夫?顔色、悪く見えるけど…」

 

俺は杉山に声をかけられて、どうにか我に戻れた。これ以上母さんのことを考えると…また頭が痛くなってうんざりになりそうだった。

 

「あ、ああ…。大丈夫だよ、杉山。それで…そのウォーカーは今どこに?この近所でも人はそれなりに住んでいたから……昼間でもかなりいるはずなのに、全く見ませんでしたけど…」

「いるよ、外にね」

「え?」

 

尊さんは静かにカーテンに近付くと、音がしないようにゆっくり開いた。

外には尊さんの言う通り、街灯に照らされた何十ものウォーカーの姿が見て取れた。

 

「すごい…」

「静かにね。ウォーカーは音と臭いに敏感なんだ」

「…なるほど。だからこの窓…隙間がびっちりガムテープで目貼りされているんですね…」

「その通りだ。でも見るだけなら問題はないよ。視力は退化しているからね」

 

確かに……こんなに電気が付いていて明るいのに、ウォーカーはこっちに近付こうともしない。

その時……そのウォーカーの固まりの中にいる一人の女性を見て…俺の身体はまた固まってしまった。

 

「…?冬木くん?」

「冬木くん、どうかしたの?顔…真っ青だよ…?

 

尊さんと杉山の声なんか全く耳に入って来なかった。

俺は堪らずカーテンを勢いよく閉じて、さっき寝ていたベッドの部屋に駆け込んだ。

 

「冬木…くん?」

 

杉山がそう言葉を漏らしていることも…訳が分からなそうに見ている尊さんがいることも忘れて…俺は走り込んでしまうのだった。

 

俺は枕に顔を押し付けて泣いてしまう。

さっきのウォーカーーの固まりの中に…頭が潰されていたはずの母さんがフラフラ歩いていたのだ。血がポタポタと頭から垂れ、首には切り傷があり、硬直したのか左手には自殺しようとしたのか、カミソリが握られたままだった。何より酷かったのは…歯を剥き出しにして、人肉を銜(くわ)えたまま歩いていることだった。

あんな姿の母さんを……見たくなんてなかった。でも…見てしまい、ショックを隠せずにいた。

もし…ウォーカーが音に反応しなくて、聴覚が衰えていたなら…大声を上げて泣いていたことだろう。それも出来ない俺は枕に向かって、声を押し殺して泣くしかなかった。これほど辛いことは…今まで経験したことがなかった。

 

 

 

「ふ………冬馬くん…」

 

 

 

不意に…後ろの扉から杉山の声が聞こえた。

俺は涙を拭って、彼女の方を見た。やはり…心配そうに俺を見詰めている。

 

「…何だ?怖くて眠れないのか?」

 

俺は泣いていたことを隠したくて…そんな憐みのある顔で見られたくなかったから……俺は…彼女を茶化すことで、そう思われないようにした。

だが……俺の予想とは、違って…普通の返答は返ってこなかった。

 

「……瑞穂の前でも…そんな風に悲しみを自分一人で背負うの?」

 

何故……今、瑞穂の名前が出てくるんだ…。

今は…関係ないだろと、思わず怒鳴りそうになった。だが、そんな俺の心境を知っているのか知らないのか分からないが、杉山は俺の隣に座る。

 

「私も…冬馬くんの気持ち…分からなくないよ?」

「何が…」

「お母さんを失った気持ち…」

 

…分かっていたのか…。確かに杉山も俺の母さんと面識はあったとは思うが、あんなに顔が歪んでいたら分からない思っていたが…。

 

「私も…お母さんと弟が…あいつらになったから……」

「………」

「辛いのは、冬馬くんだけじゃないよ?」

 

俺は…なんて馬鹿なんだろうか…。

さっき杉山を怒鳴りたいと思ったことを恥ずかしく、だらしなく思った。

 

「杉山……」

「ねえ、いい加減名字で呼ぶのやめて。ずっと一緒だったじゃん」

「……そうだな、じゃあ…咲良……でいいのか…」

 

その時、バッと咲良が動いた。

俺の胸に顔を押し付けてきたのだ。

突然の行動に俺の心臓は早打ちになり、身体も硬直してしまう。しかし…硬直していく俺の身体とは真逆に咲良の身体は僅かに震えていた。

 

「…咲良、お前…」

「私ね…まだ本気で泣けてないの……。だから、お願い……大声、上げない…からっ……。暴れないように……っ、抑えつけて…っ……」

「……分かった」

 

俺は咲良の身体を抱き締めてやると、咲良は痰が切れたように今まで抑えつけていた涙を放出した。

時折震える小さな身体…しゃっくりを上げる声……。

そんな彼女の姿に俺は…何とも言えない悲壮感に苛まれ、彼女が泣き止むまでの三時間…ずっと身体を抱き締めるのだった。

 




終わりの見えない物語なので、何処まで行こうか迷っています。
でも、そこは時間をかけてゆっくりとやっていきたいと思います。
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