ウォーキングデッドin Japan   作:GZL

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私も仲間(友達・親友)に会いたいなあ…。
コロナのせいで会えないから寂しい。まあ、コロナは本作のものよりは安全ですから、会おうと思えば会えるんですけどね。
どうでもよかったですね、では31話どうぞ。


第31話

冬木冬馬side

蝋燭が灯った薄汚れたテーブルに俺と冴子さん、それに小室と3人で座りつつ食事を摂っていた。…ほんの数分前までは。

折角の楽しく美味しい食事を一つの呼び声で、一気に掻き消されてしまった。

小室は散弾銃:イサカM37、冴子さんは日本刀を持って、呼び声のあった方に走っていく。一人残されるのもなんか気分的に嫌だった俺も彼らの後を追うが、既にその場には小室たちを含めて、5人が集まっていた。

俺もその場に着いて、何があったのか聞こうかと思ったが、それは聞かずとも分かる光景だった。

冴子さんの握る日本刀から血が滴っており、足元には断頭されたウォーカーが三体倒れていて、首を切断された状態でも俺たちを食らおうと口をパクパクさせていた。

頭を潰さない限り死なないウォーカー…いつ見ても気持ちの悪い光景だった。俺はそのウォーカーの頭を一体ずつ、足で踏み潰した。脳や眼球が飛び出して、もう食事をする気は失せてしまったが…。

 

「どうしてこんな場所にウォーカーがいるんだ?」

「こいつのせいさ」

 

平野が地面から拾い上げたのは、ハエが2、3匹飛び交っている肉塊だった。どこにでもある…と言いかけたが、血が滴っており、腐りかけの状態だった。

 

「誰かがこのフェンスを切って、置いたんだ。ウォーカーを引き寄せて、僕らを殺すために…」

「誰がそんなことして得をするんだ?」

「向こうの連中さ」

「向こう?」

 

小室は指差した。暗くても、一応分かるくらいにボヤけて光るビルを。

 

「あそこに成瀬瑞穂って奴がリーダーのもう一つの生存者グループが居るんだ。あいつらが僕らをここから追い出して、陣地を広めようとしてる」

 

瑞穂の名前が出て来て、一瞬身体がピクッと反応したが、俺は胸の高鳴りを抑えつつ、冷静に彼らに問いを投げかけた。

 

「それだけでか?」

 

俺がそう言うと、ここにいるみんなが何を言いたいんだ?と聞きたい表情を作った。

 

「領土を広げるためだけ…とは俺にはどうしても思えない。広めるだけなら、いくらでもやりようがある。例えば、誰かここに寄越すとかな」

「そういったことは一度もないよ。ただ攻撃行為を繰り返すだけ」

「尚更矛盾だ。あっちの戦力がどれだけか知らないが、下手すれば戦闘になりかねないことをするのはおかしい」

「…言われてみれば、その通りだ」

 

全員で考え込んでしまい、暫くその場で立ったまま沈黙する。

 

「…まあ、これらの話は全て推測でしかない。問題はこれからどうするかだ」

「見張りを立てようにもここらは広くて、敵を把握するのは難しい。こういった場所は多いからね」

 

平野がそう言うが、俺には一応の作戦が頭の中で構築されている。

 

「手がないわけではない。別のフェンスを開けておくんだ。そうすれば奴らも調子に乗って、より中に入るかもしれない」

「入って来なかったらどうするのよ。むしろウォーカーが来るかもしれないっていうのに」

 

高城の反論は最もだ。だが…。

 

「このまま奴らに思い通りにやられるよりはマシだ。まあウォーカーが来たら、すぐに始末すればいい。平野、銃はダメだぞ?」

「えー、そんなあ…」

 

ガクッと項垂れる平野だが、俺の隣にいる冴子さんは握っている刀を抜いている。

 

「私がやろう」

「そうしよう。小室、俺と一緒に夜見張るんだ」

「ねえ、私と平野はどうするの?」

「大人しくベッドで寝てるんだな」

 

からかっているつもりで言ったのだが、二人は顔を見合わせて、徐々に赤くさせていく。

もしかして…満更でもない感じか?

 

「ともかく、夜まで待とう。小室、フェンスを開けに行くぞ」

 

小室は頷き、工具を取りに行った。

俺はこれから先に起こり得る戦いに備えるために、ナイフにそっと手を置くのだった。

 

 

 

夜、俺と小室はわざと開けたフェンスの近くの物陰に息を潜めている。日が出ている時ならすぐに見つかりそうな場所であるが、電気が消えたこの世界では夜は本当の暗闇になるため、簡単には見つからないと踏んでいる。

敵がそう簡単に安っぽい罠に嵌るとは思っていない。

だが、これ以外で出来ることはないとは俺は考えているため、賭けるしかない。

 

「おい、本当に来るのか?」

 

不安そうに聞いてくる小室。

 

「分からねえよ。半分賭けみたいなもんだし…」

「しっ!」

 

突然小室が静かにするように言う。

耳を澄ますと、数人の足音が聞こえてきた。一応忍び足にはしているようだが、フェンスの近くにいる俺たちにはもろに聞こえてしまっている。

しかも相手は俺たちの存在に気付いていない。

物陰から顔を出し、敵の顔を見ようとする。しかし、暗闇で何も見えない。

 

「どうする?」

「捕まえる」

 

小室はそう言って、フェンスに近付いている敵に正面から突っ込んで行く。

「馬鹿…!」と俺は言いつつ、仕方なく彼の後を追う。

俺たちの存在に気付いた敵は慌てて逃げようとするが、後ろで控えていた冴子さんによって阻まれてしまう。

 

「くそっ、退け!この……」

 

男たちは拳を振りかざすが、冴子さんは鞘に納めたままの日本刀でその拳を弾いて、一人は首の後ろを叩き、もう一人は腹に叩きつけた。逃げていく足音がまだ聞こえてきたが、暗闇に逃げてしまったので、無理に追うことはしなかった。

 

「いてえ…」

「お前らか…俺たちにウォーカーをけしかけるために肉を置いてくのは!」

 

怒りに塗れた小室は散弾銃を男たちに向ける。

 

「おい待て!俺たちはあの瑞穂って女に言われてやられたんだ‼しかもそうしないとウォーカーの餌にするって…仕方なかったんだ‼」

「だとしても、許せるか!この…」

「…瑞穂が?嘘だろ?」

 

動揺のあまり、口に出してしまった言葉は小室たちの耳に入ってしまう。

 

「冬馬?どうし…」

 

小室の質問は最後まで俺の耳に入って来なかった。

突如、後頭部に痛みが走ったかと思えば、首に何者かの腕が締め付けてきた。抵抗しようと思ったが、腰に付けていたナイフを奪われてしまい、それを首に当てられてしまう…。

 

「うぐっ…!」

「冬馬!テメエ…!」

 

小室は散弾銃を俺に向けたが、引き金は引こうとしない。俺が盾になってしまっているからだ。

 

「動くな!こいつの首から赤いのが噴き出るぜ?」

「くっ!」

「さっさとそこを退け」

 

小室、冴子さんは歯軋りをしながらも、俺を盾にしている奴に道を開く。

俺は抵抗すること出来ず、後ろの奴に連れていかれてしまう。

後方では小室たちが何か叫んでいたが、首を絞められた状態で、上手く聞こえなかった。

そのまま俺は敵の本拠地…言い換えれば、『瑞穂がいる場所』に行くことになった。不本意ではあるが、また瑞穂に会える…そう思っている自分もいた。

 

「瑞穂……」

「ん?なんか言ったか?」

「何も…」

 

俺はそう言ったが、この発言はマズかった。

この後、あんなことになるなんて…。

 

 

???side

今日も人肉を置く作業を置こうと考えている。相変わらず、あの女は俺たちの所業を知らずにいる。

いつ通りにフェンスに切れ込みを入れ、そこに人肉を置こうと思ったが、今日はどこか様子が違った。フェンスの一部が開いてたのだ。わざと、それも俺たちを誘き寄せるかのように。

そこで一部のメンバーをわざとそのフェンスに行かせ、俺は背後に回った。

予想通り、奴らはフェンス前で見張っていたため、罠に嵌った部下に目が行った。

だから俺は、一番後ろにいた男を襲い、そいつを人質にしてこの場をやり過ごした。

しかもこいつは成瀬瑞穂とは知り合いのようだ。

心の中で薄ら笑いを浮かべる俺。この事実が計画に新たな一筆を加えることが出来そうだ。

俺たちの居住地に着くと、俺はこいつ…奴らは『冬馬』と呼んでいた男を独房へ投げ込み、椅子に縛り付けた。

冬馬は俺たちを睨みつけるが、言葉は発さない。

 

「お前が会いたい奴に会わせてやるよ、感謝しな」

 

その途端、こいつの顔が強張る。

あの女に会った時の反応が楽しみだ。

独房から出て、俺は成瀬瑞穂を呼ぶ。

 

「捕虜を持ってきたぜ、成瀬瑞穂」

「そう…会わせて、圭太」

 

彼女の横を歩きすぎると同時に俺は、にやあと笑うのだった。




新重要人物:圭太が登場。???はこいつです。
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