ウォーキングデッドin Japan   作:GZL

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第8話

鈴木英雄side

僕は趣味で持っているクレー射撃用の散弾銃の整備をしていた。

整備をすると言っても、出来ることはあまりない。銃口に埃が溜まっていないか、引き金はきちんと動くかくらいのことしかないのだ。

僕は今でも不思議に思っている。

よくこの地獄で生き延びられたなと…。

もし、成瀬ちゃんや梶くん、それに自衛隊の人がここに連れて来てくれなかったら今頃僕もウォーカーの一員に…。

でもその自衛隊の人は僕を助ける際に噛まれて、自ら命を絶ってしまった。そのため僕はあの二人を守らなくてはならない。そのためにも…この散弾銃がいつでも使える状態にしなくてはならない。

そう思っていると、唐突にバタンと勢いよく僕の部屋の扉が開いた。入ってきたのは息を切らした梶くんだった。

 

「英雄さん‼屋上に来てください!」

「何か、あったんですか?」

「成瀬が……俺の親友を見たって…」

「そうなの⁉……分かった。取り敢えず行こう」

 

僕は半信半疑のまま、成瀬ちゃんが向かったという屋上に歩いていくのだった。

 

屋上に着くと、成瀬ちゃんは手摺に手を置き、顔を突き出して友人を必死に探しているように見えた。

 

「いるのか?本当にあいつ…」

「それが見つからないの!さっきは確かに見たのに…」

「落ち着け、成瀬」

「成瀬ちゃんはどこでそのお友達を見たの?」

「あの戦車がある辺りです!嘘じゃないです‼私は……!」

「分かった、分かった。だから落ち着いて!」

 

成瀬ちゃんが言う場所にはウォーカーが大量に犇めいていた。そこにとても生身の人間がいれるなんて到底思えなかったが、戦車の周りにだけ異常と呼べるくらいにウォーカーがへばり付いていた。まるで何かに惹き付けられているみたいだった。

 

「もしかして……戦車の中に逃げ込んだんじゃないかな?」

「戦車の中?それじゃあ、仮に冬馬がいても助けられないじゃねえか!くそっ‼」

 

梶くんの言う通りだ。

戦車の周りにいるウォーカーたちは冬馬…と呼ばれる友人の臭いを嗅ぎ付けている。あの戦車から引き剥がすには冬馬くんたち以上に強烈な臭いか、物凄く高い音を出して惹き付けるかのどちらかしかない。

それに他にも問題はある。どっちかが出来たとしても、ウォーカーを引き剥がしたと伝達する方法がない。固く閉ざされたハッチを開くタイミングを教えることなど出来っこない。

 

「……待って。英雄さん、あの自衛隊の人からの無線の使い方が書かれた紙に戦車の無線番号……書かれていたりしませんか?」

「分からない」

「でも確認する価値はあるな…。行ってくる!」

 

そう言って梶くんは先へと急いだ。

僕は戦車の方をずっと見続ける成瀬ちゃんと屋上に残っているのだった。

 

 

梶浩二side

俺はこの無線に全てを賭けていた。

これでもしあの戦車の無線と繋げることが出来なければ、今度こそ成瀬は自殺をしてしまうだろう。そのためにもこの無線にだけは繋がってほしいと必死に願った。

紙に書かれた通りに俺は無線の番号を押し、繋がったのを確認して、最初は小さく声をかけた。

 

「おい……聞こえるか?おい…」

『……………』

「聞こえるなら返事をしてくれ!頼む‼冬馬!」

『………ガガッ…。……じ…か……』

「え?」

『ガガガッ‼浩二……か⁉』

 

死んだと思われた親友の声を聞いた瞬間に、俺は一瞬で泣きそうになった。間違いなく……冬馬だった。

 

「……ああ、そうだよ!お前の大親友の梶浩二だよ‼この馬鹿野郎‼心配させやがって!」

『憎まれ口叩かれるのもいいけど……俺はどうしたらいい?』

「どうするかはこっちで考えるから、今はそこで大人しくしていてくれ」

『分かった、気長に待ってるよ…』

 

無線を終え、俺は一筋流れた涙を拭うと、成瀬たちのいる屋上へと駆け上がっていった。

冬馬を…助けるために……。

 

 

冬木冬馬side

バンバンと戦車の外側全体からウォーカーが叩く音が聞こえてくる。

さっきの耳鳴りも漸く落ち着いてきて、俺たちの耳もまともに戻ってきた。しかし、本音はこの耳鳴りがもう少しだけ続いて欲しいとも思ってしまった。

戦車の中に逃げ込んでしまった俺たちはここから出れずにいた。しかも昨日に引き続き、食事はおろか水すらまともに摂っていない。脳にエネルギーが回らず、思考は働かないし身体も想像以上にキツい。

これからどうしようかと考えていると、咲良が小さく呟いた。

 

「冬馬くん…私たち、このまま……」

「言うな」

 

俺は咲良が言おうとしている言葉を遮った。俺だってそういう状況であることくらい分かっている。だけどここでその言葉を言うか言わないかで心境は変わってくる。

そう思いたい。

というかそう思わないと、気が狂いそうだった。

今まで何度も死に近い経験をしてきたけど、今回ばかりは本当に死ぬと思い始めていた。

外に出ても中に残っても待っているのは確実な死…。

そんな状況下で俺は何故か無意識に…咲良の身体を抱き締めていた。咲良は驚いたような表情をしたが、すぐに俺の抱擁に身を任せた。

 

「一人で死ぬよりかは……まだいいな…」

「…そうだね。死ぬ時は一緒…だもんね」

 

さっきまで『死』を口に出すなと言ったくせにと思って、俺は微かに口許に微笑を浮かべてしまう。

それから数十分が過ぎた頃に、不意に機械音が戦車内に轟いた。それは電話の着信音のようなものなのだが、少し違った。ノイズ音が疎らにしていて、継続的に続いている。

 

「な、何?」

 

咲良は怯えていたが、逆に俺は鳴ると同時に震える無線のようなものを手に取ると、『ガガガッ』と鳴ってから、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

『おい……聞こえるか?おい…』

「え……?」

 

これは……浩二の声…?

まさか……この無線は…。

 

『聞こえるなら返事をしてくれ!頼む‼冬馬!』

「お、おい…。浩二か⁉」

 

俺の声が聞こえたのか、浩二の声は暫く聞こえなかったが、すぐに涙声で返ってきた。

 

『……ああ、そうだよ!お前の大親友の梶浩二だよ‼この馬鹿野郎‼心配させやがって!』

「憎まれ口叩かれるのもいいけど……俺はどうしたらいい?」

『どうするかはこっちで考えるから、今はそこで大人しくしていてくれ』

「分かった、気長に待ってるよ…」

 

と、言ったが浩二はここからどうやって助けるつもりなのだろうか…。

外にはウォーカーがたくさんいるし、彼が囮になるとは考えられないし…。とにかく、浩二はやってくれる。

そう思うと気が抜けて、くたりと身体が地面に倒れた。それを咲良が急いで抱えて、何があったのかを聞きたそうな表情を作る。

 

「来たんだよ……。俺の、親友が…」

 

そう言って、俺は眠りに落ちる。

咲良の声が、どこか遠くに消えていく…。

 

 

成瀬瑞穂side

梶くんはどうにか無線の交信に成功したようだ。それを聞いて私も急いで連絡した。だが…。

 

「冬馬!聞こえる?私だよ‼瑞穂だよ‼」

 

そう叫んだが、無線機から聞こえたのは私が求めた人のものではなかった。

 

『……瑞穂?』

「その声、咲良⁉」

『お願い!早く来て‼冬馬くんが……冬馬くんが目を覚まさないの!』

 

それを聞いた途端に私の頭の中は真っ白になりかけた。

冬馬が…目を覚まさない?

 

「何があったんだ⁉」

『梶くんと話していたら…突然意識を失っちゃって……。もしかしたら、水を摂ってないから脱水症状なのかも…』

「…咲良!そこにいて!絶対に二人とも助けるから!」

 

そう言って私は無線を再び切った。

 

「で、成瀬…どうやってあそこから助けるんだ?」

「それは……」

 

勢いで言ってしまったが、実際助ける方法は見つかってもないし、思い付いてもない。

 

「あの……」

 

ここで今まで口を挟まなかった英雄さんが発言した。

何か考えでもあるのだろうか?

 

「僕に考えがあります」

 

英雄さんはそれから淡々と作戦を述べていく。それを聞いていた私と梶くんは…目を丸くさせていくのだった。




アイアムアヒーロー主人公の鈴木英雄登場

オリキャラばかりも面白くないと思ったので出しました。これからも出せそうな原作キャラは出そうと思います。




それと高校生が無線機使えるわけないだろと思った方もいると思いますが、『学園黙示録』では散弾銃をすぐに使いこなす奴もいるので構わないですよね(^^)
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