人呼んで、グラハムスペシャル!!   作:銀髪!銀髪!

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コードギアス復活のルルーシュを見てきた衝動が、私にこれを書かせた。

コードギアスはアニメと亡国しか知らないのに本当によく書こうと思ったよ・・・。


人呼んで、グラハムスペシャル!!

諸君、私はフラッグが好きだ。

と、言ってもフラッグを知らない君達には、私が国旗か何かの旗が好きだと思われるのだろう。

フラッグ、正確には機動戦士ガンダムOOに登場する、SVMS-01ユニオンフラッグと呼ばれる機体。そしてフラッグから派生したフラッグカスタム、そしてブレイブ。私はその機体達が大好きだ。

いくら代を進もうと、改良を加えようと戦闘機、飛ぶことを意識して作成されたフォルム。

そして何より、フラッグ達に登場している精鋭のパイロット、『フラッグファイター』達。フラッグという機体に誇りを抱いて戦場へ向かっていく彼らが、私は大好きだ。

 

だがあくまでそれらはアニメ、創作の世界。現実には人型兵器など存在しないし、それが必要になるほどの技術も戦争も存在しない。まだ世界中が平和という偶像を目指すことが出来ているからだ。

 

故に、私は航空自衛隊のパイロットになった。例えフラッグに乗れなかったとしても、戦闘機に乗れば、それはフラッグの飛行形態に乗っているのと同じこと。幸福感に包まれながら、乗ることが出来た。

 

私がパイロットになって何十年目だっただろうか。世界は核の炎に包まれた。10年以上も前から問題視されていた朝鮮半島が、世界の主要国各国に向けて十を超える核を打ち込んだ。無論、それは宣戦布告すらされていない奇襲。つまりは戦争の始まりを意味した。

朝鮮は中国周辺までと秘密裏に同盟を結んでおり、連盟国として戦争の開戦を告げた。

私のいる日本は敵国、半壊したアメリカではなくヨーロッパ諸国を中心とした連合に参加。

 

世界中がまたも戦争を取り戻した。第三次世界大戦の開幕である。

 

パイロットの練度、機体技術等は連合側に軍配が上がった。なにせ連盟側の兵器製造の中心は、安価で劣悪な中国である。戦闘中の機体の不慮などで、何度自滅していったことか。

だがそれでも戦争が泥沼へと突入したのは、やはり数の差。

 

こちらが戦車を100用意すれば、あちらは300出してくる。戦闘機を50用意すれば100は出てきた。昔から人民の飽和により苦しんできた国が、飽和によってこちらを押し潰してきたのだ。

 

私は優秀なパイロットだったため、各国のエース達の合同部隊に所属させられていた。日本には、居られなかった。

 

何日も連続で、私の耳に入ってくる。かつての部下や上司達の死亡報告。何度拳を握りしめ、爪を食い込ませて肌を破ったことか。

 

彼らの無念と後悔を果たすべく、私は戦場に解き放たれた時、激情と共に空を駆けた。機体の限界を超えたマニューバ。耐Gスーツの容量を超え、私の身体を壊すほどの超高速機動。

補給で帰投する度に、何度愛機を乗り換えることになったか。何度撃墜されたことか。何度敵国の捕虜になりかけたことか。

 

やがて私は敵からも、味方からも、『ルーデルの再来』と呼ばれるようになった。全く、誰がそんなことを言ったのか。私はかの英雄のような強い人間ではない。周りを魅了するようなカリスマがある訳でもない。

ただやれることを精一杯やっただけだ。いつだってそうだ。私は正しいなんて思ったことはしていない。私はやりたかったこと、やれることをやっただけだ。そこに善悪のことなど一切考えてなどいない。

 

そう、私はただ、散っていった同胞達の無念を果たしたい。ただそれだけだったのだ。

いや、それは嘘なのかもしれない。ただ復讐者の仮面を被っているだけなのかもしれない。もし、私に自分自身の考えていることを見抜ける力があれば、もしかすれば分かりし頃に夢見た『オーバーフラッグス』の隊長に憧れていただけなのかもしれない。彼もまた、私と同じように復讐者の仮面を被っていたのだから。

 

ならば、今こそその仮面を脱ぎ捨てよう。欺瞞の自分は必要ない。遅かれ早かれ、すぐに死ぬ(・・・・・)私に、もうそんなものは要らないからな。

 

機体から鳴り響くアラート。防弾ガラスから見える機体の羽からは黒煙が吹き出ている。脱出装置は機体が高速戦闘で歪んでいるため機能しない。もう逃げ場は、存在しない。私はここで死ぬ。

 

備え付けの機器から、今の部隊で親交を深めた仲間たち。私の専属のオペレーター、そして散々迷惑を掛けてきた技術者の親友から脱出してくれと、死ぬなと言われる。もう不可能なのは分かっているだろうに。この機体の状況は、常にモニターしているはずだろう?いや、だからこそか。

 

覚悟は決めた。どの道、私の体はもうダメだ。既に機体の破片は私の身体に突き刺さり、幾つか内臓がやられている。その証拠に、逆流してきた血が喀血され、機体内部を赤に染める。ここで帰った所で、どれだけ持つか。そもそも今この機体では帰れないし、ここは海上だ。

 

落ちていく先には敵主力空母。ふっ、もう持たない命。残せるものは全て残してきた。ならば後は、示すのみ。私達の後に続いてくれる者達に。

受け入れよう、その役目を。

 

「未来への水先案内人は、この————が引き受けた!!!」

 

無意識にも、彼と同じセリフを吐く。私は雄叫びを上げ、壊れかけの機体を操縦する。

 

「これで最後だ!持ってくれよ、我が愛機よ!!」

 

止めていたエンジンを蒸す。壊れかけのエンジンではいつ停止するか分からないが、10秒あれば十分だ。迎撃が追いつかないほど加速する。もう曲がるつもりは無い。彼らの防御を食い破るように突撃する。

撃ち落とそうとしたところでもう遅い。既に、空母のブリッジは目の前だ。

 

刹那、かつて味わったことの無い衝撃と共に私の身体が大熱波に晒される。肌が焼かれる。身体に機体の破片が突き刺さる。少ない寿命が更に縮まっていく。まだ意識は残っているが、身体に痛みはない。

 

最後の最後で、私は私にやれることをした。戦争に勝つために、誓を果たすために、例え卑劣と呼ばれる手でも使ってみせよう。例え、神風特攻であろうとも。

 

「——、——、今、そっちへ行くぞ」

 

かつて失った部下達の名を呼び、私は意識を落とした。

 

 

 

 

2041年、————、敵空母に機体と共に特攻し、死亡。

 

 

 

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皇歴2014年。神聖ブリタニア帝国。これが今、私が生きている年代であり、仕えている国である。

全く、奇天烈なものもあったものだ。まさかあの特攻の後、死んだと思っていたのだが、まさか生まれ変わるとはな。転生、というやつか。神などは信じていなかったが、存外存在するのかもしれないな。

 

では、今の私の自己紹介をしよう。私の生まれは皇歴1997年、誕生日は9月10日。星座は乙女座。現在の年齢は17歳。ブリタニア帝国の戦争孤児。

そして名は、『グラハム・エーカー』という。

 

グラハム・エーカー。私の大好きな『オーバーフラッグス』隊長。機体性能の劣るフラッグでありながら自らの人間外れな技量でガンダムを追い込んだ男。

鋭い目付きに金髪の髪。そう、私はグラハム・エーカーになったのだ。

 

だがこの世界に、OOの世界にあったユニオン、AEU、人革連は存在しない。ブリタニア帝国が世界の多くを植民地とし、世界最大国家となっている。

 

ブリタニア帝国では植民地をエリアと呼び、エリアに住んでいた人々のことをナンバーズと呼ぶ。ナンバーズはハッキリいえばブリタニアの奴隷。貴族制のブリタニアからしてみれば最下層の人々。その上に名誉ブリタニア人という、ナンバーズがブリタニア人と名乗ることを許された地位もあるが、名誉ブリタニア人は当然の如くブリタニア人に虐げられ、同胞のナンバーズ達からも国を捨てた裏切り者として敵視されている。

名誉ブリタニア人にしろ、ナンバーズにしろ、生き辛い世の中だ。

 

「全く、また一段と荒れたものだな。そう思わないか、カタギリ」

 

窓から次々と流れていくゲットー———ナンバーズが暮らしている荒廃した土地を見ながら、隣にいる親友に話しかける。

 

「仕方ないさ。ブリタニアの支配を簡単に受け入れるはずがない。それにどこかが反抗すれば今度は自分達も、と思って立ち上がる。余力がある限り何度でもこの連鎖は起こるだろうね」

 

そう失笑して、車を運転しているのは私の親友であり、若き技術者である日系ブリタニア人四世である、ビリーカタギリ。私より4歳上だが、とある人によって出会い、意気投合しこうして親友となっている。

そして彼もまた、OOにてユニオンの技術者であった人物だ。

 

「それが愛国心か、それとも復讐心か。そればかりは本人達にしか分からないか」

 

そうしてたわいないことを話していると目的の場所、第四航空演習所に辿り着いた。既に待ち人はいるのか、愛用している車が見受けられる。ビリーに車を置かせて、揃って巨大なハンガーに向かう。

 

「ようやく来たか、グラハム、ビリー」

 

「待たせてしまって申し訳ありません。何分、一昨日の暴動で道が塞がっていたもので」

 

そこに居たのは齢67になる男性。カタギリの恩師にして、戦争孤児の私の恩人でもあるこの方はレイフ・エイフマン。機械工学、材料工学など、あらゆる分野に精通した、ブリタニアでも最高位の技術者。私は親しみを込めてプロフェッサーと呼ばせてもらっている。

 

「早速だがグラハム、ロッカールームで専用のパイロットスーツに着替えてきなさい。()の機体が待っている」

 

そう言って、渡されたのはUSBのようにも見えるデバイス。黒に染められたデバイスには、白銀でSVMS-01と刻まれている。それを手に取り、心が熱くなる。ずっと待ち続けていた。こうして私が、プロフェッサーの機体に乗ることを。

 

私の晩年の夢が、ようやく叶う。

 

 

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白を基調としたパイロットスーツに着替え、扉を開く。そこには鎮座する奇妙な形の戦闘機があった。機体の表面に触れる。冷たい鋼鉄の感触が、柔肌のように暖かく感じる。

 

コックピットに乗り込むと、そこは私の知るナイトメアフレームの持つ、ゴツゴツとしてボタンなどの操作類が多いコックピットではなく、滑らかで整っている操作系。受け取ったデバイスを差し込み、機体を起動させる。

 

発進ゲートが開く。目指す先は大空の大海。この機体で飛ぶことを夢見た、変わらない空。

微笑みを浮かべながら、私は出撃する。

 

「グラハム・エーカー、フラッグ、出るぞ!!」

 

ペダルを押し込む。瞬間、肉体にかかる巨大なG。幾ら耐Gスーツを着ていようと、その圧力は私の身体を押し潰さんと、さらに強くなって押しかかる。

 

「この駆動、この重圧。素晴らしいぞプロフェッサー!」

 

マニューバをしながら空を駆け巡る。バレルロールから始め、宙返りやハイヨーヨー。前世で覚え、今世で鍛え上げてきた航空技術を遺憾無く発揮する。

機体スペックの時点で前世より数段上。ならば、私が本気を出しても、手加減しなくても構わないだろう!

 

『バルーン射出』

 

地上より一定の高度を保ちながら、幾多のバルーンが浮かび上がる。それらは全て擬似敵としての役目を持った演習用の物。本来であれば使用しないこれは、今日この時のために用意されたものだ。

 

「お前もまだまだ足りないだろう。さぁ、私と一緒にもっと昂るぞ、フラッグ!!」

 

機体の先頭に着いている試作型のリニアライフルが光の軌跡を吐き出す。フラッグの専用武装であるリニアライフルは貴重なため、量産が難しいが、これはフラッグによく馴染む。

高速戦闘を行いながらも正確に行える射撃。弾丸はバルーンを着々と消し、新たなバルーンが追加されていく。

 

「焦らしてくれるな、プロフェッサー」

 

次から次へと浮かんでいくバルーン。それだけではない。途中から機体からロックオン警報がなっている。バルーンから出ていたレーザーポインターが、それを物語っていた。

 

「プロフェッサー、変形機構は使えますか?」

 

『出来ないことは・・・まさか君は・・・』

 

『無茶だグラハム!フラッグには確かに変形機構が付いているが、それは空中で使うには余りにも無謀だ!姿勢制御や他の問題。いくら君の操縦技術がずば抜けているからって、そもそも空中での変形を想定していないフラッグで———』

 

「ならばその道理、私の無理でこじ開ける!」

 

『グラハム————!?』

 

一方的に通信を切る。カタギリには悪いが、変形機構があるのならやるしかないだろう。何故なら私はグラハム・エーカーなのだ。誇りあるフラッグファイターになるのだ。ならなければならないのだ。ならば、やらないという道はない。

 

「私と一つになれ、フラッグ!!」

 

変形機構を、使う。確かに、カタギリの言った通りだ。姿勢制御プログラムが滅茶苦茶な数値を出している。使えないのならば不要!私の技術と、フラッグの性能で可能にしてみせよう!

 

「ぐぅっ!!ぉぉぉぉおおおおおおおお!!!」

 

まだだ。もっと姿勢を安定させろ。機体を止めるな。バラバラになりそうな痛み?そんなもの、気合と愛で乗り切るのだ!

 

「人呼んで、グラハムスペシャル!!」

 

成功した。確かに私は今、戦闘機ではなく人型の巨人となって空にいる。だがモニターを見れば、機体の各所、関節部のいくつかにダメージが見受けられる。エネルギーパックも損傷してしまった。やはり無茶な機動だったか。

プロフェッサーには悪いことをしてしまったな。

 

『全く、なんて無茶をする』

 

「申し訳ありません。ですが機能がある以上、やってみた方がよろしいかと」

 

『そうか・・・。今の機動でフラッグのダメージは相当なものになっただろう。データも充分に、こちらが思っていた以上に取れた。速やかに帰投しなさい』

 

「了解しました」

 

ふっ、終わりか。物足りなさを感じるが素晴らしい時間だった。次共に駆ける時は戦場になるだろうな。




フラッグファイター増えろ。
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