個性『Lobotomy Corporation』   作:Lobo

25 / 32
体育祭編決勝戦、その1です。

日間ランキング10位ありがとうございます。
これにはアブノーマリティもにんまり。
私の中の少佐殿もニタリ。

これからも頑張るぞい。


再戦(リベンジマッチ)

…轟焦凍は思考する。

 

あいつに勝つ為にはどうすれば良いのか。

自分には何があるのか、そして。

 

「俺は……どんなヒーローになりたいのか。」

 

緑谷との勝負以降、ずっと考え続けてきた事。

 

父を憎む心はあれど、それは自分を抑える理由では無い。

母を愛する心はあれど、それは自分を罰する事ではない。

 

母から受け継いだ恩義の右手。

父から与えられた怒りの左手。

 

考えろ、今あいつに勝つ為には何が最善なのか。

あいつが自分よりも強者ならば弱者である自分が何をすれば良いのか。

 

『なりたい自分になって良いのよ。』

 

『全力でかかってこい!!』

 

 

「……ふっ。そうだ、俺は勝ちたい。嫌、勝つ……!!」

 

 

ならば、ならば自分が行うのはただ一つ。

 

 

全力で倉持(最強)に挑むだけだ。

 

 

 

♢♦︎

 

 

…倉持管理は黙して待つ。

 

自分は恩人である彼女に自分の成長を見せられただろうか。

 

誰かを救い、導く。

そんなヒーローへの道に自分は近づけているのだろうか。

 

今に辿り着くまでに自分は何度死にたくなったのだろう?

今を迎えた時、自分はどんなに助けられたのだろう?

 

 

……あの時の救いを、あの時の記憶を、あの時の想いを。

 

 

いつか、見知らぬ誰かに、愛しき皆に、…最愛の彼女に。

 

 

その心を分かち合う為にも。

 

 

「……勝つ。」

 

 

 

 

かくして、開幕の音(カーテンコール)は潔く鳴る。

 

 

互いに想いと信念を込めて、いよいよ最後の戦いの幕が上がる。

 

 

 

 

♢♦︎

 

 

『いよいよラストバトル!!泣いても笑ってもこれで1年生の頂点が決まるぜぇ!!』

 

『先ずはこいつからだぁ!!ヒーロー科入試首席!!ここまで宣誓通りに一位街道真っしぐらのビッグドラゴン!!倉持管理だぁ!!』

 

 

左から倉持が入場。

 

その目は目の前の大敵を見つめていた。

 

 

『次にこいつ!!炎と氷のイリュージョン!!数々のライバルを退け挑むは最強のライバル!!轟焦凍だぁ!!』

 

 

右から轟が入場。

 

その目には大きな闘志が眠っているのが分かる。

そして、その表情はというと。

 

 

 

「焦凍が……笑っている?」

 

 

 

不敵な笑み。いや、歓喜の笑みというべきだろうか。

 

心からこの戦いを望んでいたかの様なそんな思いが伝わる笑み。

 

轟は今、この瞬間。

自分の最高値を更新した。

 

 

 

『今ぁ……スタート!!』

 

 

 

プレゼント・マイクによる開始のゴングが鳴る。

 

しかし。

 

 

「………。」

 

 

「……。」

 

 

『な、なんだぁ?どっちも動かねぇぞ?もう勝負は始まってんぞ?』

 

 

両者共に動かず。

 

 

「……頼みがある。」

 

先に口を開くのは轟。

 

「……何?」

 

「お前と戦う前に、どうしても戦いたい相手がいる。……構わねぇか?」

 

 

轟が最初に言ったのは『雪の女王』との再戦。

 

倉持と再び戦う時には絶対に挑むと決めていたこの一戦を今、この場で果たそうとしていた。

 

 

「……いいよ。それじゃあ。」

 

 

倉持が指をパチンと鳴らす。

 

そして。

 

轟の周りを再び氷柱が囲む。

 

氷柱はやがて外部からその中身は見えなくなり、中身には吹雪が起きる。

 

 

やがて、吹雪が止み

 

『久しぶり……というべきかしら。トドロキ、今度は貴方が私に挑むのね?』

 

「あぁ。今度こそ……お前に勝つ…!!」

 

『そう。ならば此度の決闘を始めましょうか!』

 

 

 

♢♦︎

 

 

「ふっ……!!」

 

先に仕掛けるのは轟。

 

右の氷結を以って狙うは女王の心臓。

 

だが。

 

『……甘いわ!』

 

女王もまた氷の大剣でそれを防ぎ。

 

『前に学習したはずですが?貴方の氷は私にとっては……。』

 

「あぁ……知ってるさ。だからこれを待ってた!お前が防ぐのなぁ!」

 

右の氷結で氷の大剣へと密着。

 

そのまま左の炎によって女王の右手を溶かす。

 

そしてその炎の放出に流される形で再び地面へと着地した。

 

女王の左手は完全に溶け落ち、来ていた華美な服の一部も欠損した。

 

それでも、彼女はこう告げる。

 

 

『づぅ!!ふふふ……ようやく使いましたか、その左を。』

 

 

「……あぁ。」

 

 

『ですが……。』

 

女王の右手は瞬時に再生。

 

溶けた服もまた完全に修復した。

 

『まだ、使い方に慣れていない。この程度では私を完全に溶かす事など不可能です。』

 

「くっ……。」

 

『次は私の番ですね!』

 

氷の大剣を横薙ぎに払い、攻撃する女王。

 

その攻撃を一度、右手で氷の高い足場を作って回避し、そのまま大剣へと左手の炎を振り下ろす。

 

大剣は瞬く間に溶け落ち、柄のみが残る。

 

『そこ!!』

 

だが、それで攻撃は終わらない。

 

氷が急激に溶けた水蒸気を利用し、不可視の蹴り。

 

大剣が溶けた事で空中に放り出された轟は視界不良の中、半回転。

 

「ぐっ……!」

 

右手で足に張り付き、左手でその足を溶かす。

 

『きゃ……!!』

 

 

片足が無くなった事により、女王はそのまま蹴りの勢いを抑えられずに転倒。

 

「そこだ……!!」

 

すかさず、その隙をつき左手の炎で決着をつけに走る。

 

 

『くっ……まだです!』

 

そうはさせじと両手を厚い氷壁へと変えて、再生への時間稼ぎをするが。

 

「おおお!!」

 

左手の炎を最大出力。

 

一気にその氷壁を溶かす。

 

『っ!!フゥーー!!!』

 

足の再生は完了したが焦りの中両手を使った事が裏目に出た女王はその吐息を以って轟を凍らさんとする。

 

しかし。

 

「ふっ……!!」

 

右を前方に出してこれを防ぎきり、そして。

 

 

「これで……!!」

 

左を女王に向けて……。

 

 

 

『掛かりましたね。』

 

 

 

右足が凍った。

 

 

 

「なっ……!!」

 

 

見れば、溶かした筈の右手が彼の足を凍らせていた。そのまま首から上のみを残した全身が凍りつく。

 

 

「ぐっ……!!」

 

 

『確かに、貴方は私の両手を溶かしました。ですが私も馬鹿正直にあの壁を張ったわけではありません。』

 

 

『あの時に剣の柄を私の手へと変えトラップとして利用したのです。』

 

 

「つまり……あの焦りも無駄にでけぇあの壁も……。」

 

 

『これを気づかせない為の演技とダミーです。』

 

 

話している間にもどんどんと再生され、ついに全ての部分の再生が完了する。

 

 

『王手です、ショウト。認めましょう、貴方は確かに強かった。故にこのまま凍結させ決着としましょう。』

 

 

女王の頬が僅かに膨らみ、轟を凍らさんとして。

 

 

 

 

雄英(ウチ)の『校訓』……知ってるか?」

 

 

 

 

その声に留められる。

 

 

『……知りませんが、それが何か?』

 

「“Plus Ultra”……更に向こうへ…ってヤツだ。」

 

左の炎が氷の中で煌煌と燃え盛る。

 

「……俺はここでもう負ける訳にはいかねぇ。」

 

「……ここを超えて、(アイツ)に勝たなきゃならねぇ。」

 

徐々に左の氷結が溶かされていく。

 

『なっ……氷が!ありえません!私の氷結は炎など…!!』

 

 

「だから……先へ行かせてもらう!!」

 

そして、炎は氷を完全に破壊した。

 

それにより起きた水蒸気が女王の視界を防ぐ。

 

『くっ……先程私がやった事を……!!ですがここは私の城!!貴方の場所など直ぐに……!!」

 

「だろうな。だから……こうさせてもらう!!」

 

轟の左が更に燃え盛り、周りの氷柱をどんどんと溶かしていく。

 

『……まさか。』

 

「そのまさかだ…!!お前の再生は必ずしも無限では無い…!!氷柱の氷を使い、城を崩しながら再生している。つまり、再生には限界があるって事だろ…!!」

 

「そして…!!全ての氷が無くなった今、もうお前は再生できねぇ!」

 

水蒸気が晴れた先、女王の目の前は既に轟の左手が迫っていた。

 

女王は悟る。

 

 

『……ふふ。今回は……私の……。』

 

 

「俺の……」

 

 

ーー負けです。/勝ちだ。

 

 

♢♦︎

 

「はぁ……はぁ……。」

 

『同じ炎でも……こうも違うものなのですか。貴方の勝ちですショウト。』

 

「……礼をいう。あんたのお陰で俺は強くなれた。」

 

『ふふ……ですが、私の勇者は強いですよ?ですので……これを。』

 

女王は残された右手から光を出し、それは轟の胸に吸い込まれていく。

 

「……!体力が…!!」

 

『私を下した褒美です、これで勇者に思う存分挑んで来てくださいな。』

 

 

「……助かる。」

 

 

『それでは……いつかまた会う時まで。』

 

 

そう言い残し、雪の女王は溶けゆく雪のようにひっそりと消えていった。

 

 

勝者、轟焦凍。

 

 

そして。

 

 

「いくぞ。」

 

 

「……こい。」

 

 

 

倉持管理vs轟焦凍。

 

 

開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で体育祭編も終わりかな……?

フィナーレをきちんと飾れるようなものになるように頑張ります。


ではまた次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。