個性『Lobotomy Corporation』   作:Lobo

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これで雄英体育祭編も完結です。

後で番外編アンケートを設置しますのでご協力のほどお願いします。


最後は本気で。

「いくぞ。」

 

「……こい。」

 

一言言葉を交わし、最後の戦いが始まる。

 

倉持は一瞬で【爪】へと姿を変えて真正面から突進する。

 

轟もまたそれを迎撃せんと右の最大出力をもって会場の殆どを氷で飲み込んだ。

 

「!」

 

その氷は倉持も飲み込んだが、直ぐにその氷は真っ二つに裂けそして次の瞬間には細切れにされていた。

 

 

「……やっぱ、こんなんじゃ止めれ…!!?」

 

一瞬倉持がブレたかと思えば、彼の右足が顔面の直ぐ近くにまで迫った。

 

「はぁ!!」

 

だが、氷が砕かれたの注意深く観察し、そして飯田のレシプロバーストを経験していたのが功を成したのか。

 

間一髪でこれを回避。

左の炎で彼を焼かんとするが。

 

「……効かない!!」

 

元より、防御性に優れ、彼自身も火の鳥との遊びで熱に耐性を持っていたのを利用しそのまま燃えている左手首を直で握る。

 

「ぐっ……離せ!!」

 

抵抗を意にも介する事なくその状態のまま片手で彼を持ち上げ、そのまま場外へとぶん投げる!!

 

「くっ!」

 

咄嗟に右手で氷に壁を作り滑るように衝撃を受け流す。

しかし。

 

「そこっ!!」

 

驚異的な頭脳により着地地点を即座に演算し、黄金狂によってそこに先回りした彼の拳によって壁を破壊される。

 

「……ここだっ!!」

 

だが、その破壊された壁を逆に利用し、熱の急激な膨張により発生する爆発で倉持の視界を封じ込める。

惜しむべくはその戦法は形こそ違えど、爆豪が既に戦法として使用した事。

特に焦る事も無く、倉持はあるチャンスを待つ。

確率は二分の一。

 

そして。

 

「うぉおお!!」

 

轟が()を使ったことにより倉持は賭けに勝利した。

 

轟は緑谷や飯田、そして女王との戦いをへて人間的にも個性的にも今までに類を見ない成長をした。

しかし、左手の扱いは早々変えられるものではない。

要は出力の調整が出来ないのだ。

 

出来るのは全て全力、長らく使っていない弊害もあり範囲指定と加減が出来なくなっていた。

そして、倉持が炎を極端に通じにくいという事を先程知った轟の左の戦法はただ一つに縛られてしまう。

近距離からの避けられない状況での全力放火。

その攻撃を既に最初に左を食らった時に把握していた倉持はあえて視界を塞ぐことで炎による攻撃を誘発する事に成功したのだ。

 

迫り来る左手を掴み、合気道でいう横面持ち四方投げによって轟を地面へと叩きつける!

 

「がっ……!!」

 

体の横を激しく打った事により多少ながら意識を飛ばすが咄嗟に舌を噛み意識を復活させたのもつかの間。

倉持はそのまま、片手で左手を抑えたまま留めの一撃を左手によって放とうとするが

 

「はぁ!!」

 

残った右手で倉持に触れて凍結させようと試みるが、直感で回避を優先。

右手を地面に叩きつけ、氷の壁を作る事で彼と自分を分断。

 

勝負は再び振り出しに戻った。

だが。

 

「はぁ……はぁ……。」

 

慣れない炎の加減無しの放出に加え、氷結もまた生半可なものでは無く常に最高出力で繰り出さない訳にはいかない轟。

急激な体温の変化は徐々に体を蝕んでいた。

 

そして再び、氷は粉々に砕かれ。

右足が彼の顔面へと迫る。

それを何とか回避し、体力を少しでも回復しようと倉持の動きを観察していた轟。

そこである事に気づく。

 

「くっ……!ごほっ!」

 

高速の突撃をした後の倉持は何故か咳き込んでいた。

 

(なんだ……?いやまさか。だとすれば……。)

 

「ふっ!!」

 

「くっ!!」

 

そして、黄金狂でワープし攻撃する直後の彼の姿は。

 

(普段の奴だ(・・・・・)……だったら!!)

 

 

♢♦︎

 

ワープしてきた彼の攻撃を避け、再び巨大な氷壁を展開する轟。

 

そして再現といわんばかりに壁は一瞬に砕けてバラバラになる。

 

(……来る!!)

 

轟の予想通り壁の破片の間から僅かに影がブレ。

 

…彼の姿が消えた。

 

 

(なっ……何処に!?)

 

その答えは腹部の強烈な痛みによって痛烈に把握する。

 

「ゔぅ……!!」

 

(懐に潜り込んだのか……!!)

 

そう、倉持は蹴りでは無く、懐に入り込み掌底を彼の腹部へと叩き込む。

怯んだ隙に更にもう一撃。

その衝撃で後方に飛ばされる……筈だったが。

 

 

「……掴んだ(・・・)!!」

 

「……しまった。」

 

意識も絶え絶えになりながらも一撃を加えられた瞬間。

無意識的に自身の右手で彼の左腕を掴んだのだ。

そして、一時的とはいえ加速を終えた倉持は。

 

「ごぷっ……。」

 

その反動で動きが止まる。

その最初で最後のチャンスを逃す筈も無く。

 

「凍れ…!!」

 

左腕の全てを一気に凍結。

これで左腕は一切使えなくなる。

 

「……っ!!」

 

そして、そのまま全身を凍らせようと力を振り絞ろうとするも。

彼が凍らせたのはのは既に倉持が引きちぎった左腕のみ(・・・・)

 

「なっ……!?」

 

これには動揺を隠せない轟は反射的に前方を見る。

そこには左肩から夥しい程の血を流し、【爪】を解除した倉持がいた。

 

「……ふゔぅ。」

 

多少の脂汗を掻きながらも彼が取り出したのは緑の拳銃。

 

「っ……!!」

 

拳銃を取り出した事で僅かな意識を極限まで集中させて彼の次を観察する。

だが、彼がソレを発砲したのは自身の左肩。

撃たれた肩の肉が胎動し、そのまま骨、神経、肉、そして爪といった順番で超速再生する。

 

そして、ものの数秒で彼の左はまるで何事も無かった様に完全に再生を完了した。

 

「……とことんまでにデタラメだな、お前は。」

 

「……よく言われるよ、そして君も凄い事が分かった。」

 

轟は多少目を開き、こう言う。

 

「……それは光栄だ。」

 

倉持はゆっくりと深呼吸しこう告げる。

正真正銘の決着をつける為に。

 

「だから……少し本気だ。」

 

 

 

 

♢♦︎

 

 

彼の目が幾多の色へと変化を見せる。

赤、青、白、紫、そして黒。

体全体には白く文字が書かれており、その文面は距離の所為なのか読む事は出来ない。

 

そして、目が赤に染まった時。

轟の周りが急に暗くなった。

 

「……。」

 

上を見上げれば、そこには紅く染まった鬼の様な腕が今まさに迫らんととしていた。

 

「!!??」

 

咄嗟に氷壁で自らを滑らせ回避するも今度は氷壁に青い目が生える。

目はどんどんと自分の体力を奪いとるような感覚を覚えるのと同時にすぐさま

左の炎で氷壁を破壊。

ステージの中央、つまり倉持の目の前で着地。

 

「……。」

 

しかし、倉持は動く事は無い。

唯、目を白へと変えただけ。

 

轟もまた動けない。

何故ならば白色の触手が彼の動きを封じ込めているから。

 

「くっ……!!」

 

何とかもがこうとするものの既に体力も集中力も限界が迫っていた轟にとって

この触手は到底外す事の出来ないものだった。

右で凍結させようとしてもソレにはすり抜けるように手が届かない。

左で燃やそうとしても地面を焦がすのみで効果がなく逆に轟を更に拘束する。

事実の上の詰み。

 

 

それでも彼は諦めない。

残していた最低限の体力を全て使い、両手の個性を全開で使用する。

左から途轍も無い熱さの炎が。

右から空気すら凍りそうな冷気が。

 

これが正真正銘の最後の一撃。

 

「はぁああああ!!!!」

 

右を地面に、左を前方の倉持に向けて放つ。

そして先程の氷壁が冷やされた空気が右で更に冷やされ、そして。

 

 

「……。」

 

左の炎がその全てを膨張させ、広範囲の爆発を引き起こした。

 

 

 

……爆風が晴れた先に立っていたのは……?

 

 

 

 

♢♦︎

 

 

 

……目を覚ます。

 

ここはどこだろうか、俺は負けたのか。

 

辺りを囲む白はなんだか通いたくても目を背けたかったあの場所に似ている。

 

 

ーーー。

 

 

ふと、誰かの声がした。

 

意識が朦朧として、なんだか聞き取れない。

 

 

ガチャリ。

 

 

そんな音が聞こえ。

 

 

「焦凍!!!」

 

何度も会いたいと願った顔がそこにはいた。

 

「ごめん……ごめんねぇ……!!」

 

母の顔はやはり窶れていて、俺を抱きしめる姿にも何だか頼りない。

 

けれど、何故だろうか。

 

ごめん…勝でながった……!!

 

悔しくて、それなのに嬉しくて。

 

「良いのよ。……カッコよかったよ焦凍。」

 

 

 

ーーー涙が止まらない。

 

 

 

 

 

 

♢♦︎

 

 

表彰式が終わり、自宅へと戻る。

 

アレの後の記憶は少し曖昧でやっぱり制御が難しいのだなと考える。

 

……最後に出したのは通称“作れられた神”。

 

僕の中にある彼らの中でも最も親和性が高い石盤だ。

 

但し、あちらは神、こちらは人。

 

あちら側が譲歩して力を貸してくれなければ僕は神に取り込まれていた。

 

それこそ人としてのカタチすら残らず。

 

 

……当然ながらアンジェラを始めとしたセフィラ達にはカンカンに叱られた。

 

本当に、愛してくれているのが伝わって少し泣いてしまったけれど。

 

 

けれど、僕は勝った。

 

これでようやく一歩目だ。

 

 

 

 

 

……明後日からはどんな光景が待っているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ロボトミを知らない人にもわかる、『作れられた神』

要するに色が変わる事にエゲツない攻撃をしてくる石盤。
赤は悪魔の様な手で叩き潰し
青は大きな目で体力を奪い
紫は棘で串刺しにし
白は触手で締め上げる。

深夜と言われる強制イベントの中で最も難易度が高いのがコレ。

本作においても神は在り方を変えない。
求められれば力を貸すがただ1人の人間を神は見る事が出来ない。
故に、オリ主が少しでも集中を切らせば少しづつその姿を石へと変えてしまう。
実は文字が出ている自体が結構危険だった。
その代わり、その力は莫大。
体力増加、耐性も格段に高くなる。
だが、驕れるものは久しからず。
神の戯れ一つで死を招く事を忘れぬ様に。


ではまた次回。

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