個性『Lobotomy Corporation』   作:Lobo

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GWに全力で投稿していくスタイル。

…ここから少しずつ原作とは変わっていきます。

後、少しだけ注意を。


再誕。

飯田が涙混じりに話したのを纏めると。

 

体育祭の裏で飯田の兄であるインゲニウムと昨今世間を騒がせているヒーロー殺しのステインが激突。

 

その結果、インゲニウムは意識不明の重体に陥り、現在は意識を取り戻してはいるもののもう二度とヒーローとしてはやっていけないとの診断が下された。

 

……だが、そこに光はあった。

 

それは倉持が持っていたあの緑色の拳銃(・・・・・・)

インゲニウムの見舞いに行き、その事を告げられた時に咄嗟に口に出してしまったのだという。

 

 

確かに、神経の断裂や肉体欠損であろうとも回復弾で簡単に治す事は可能だろう。

 

しかし、あれは0から1を作り出すなんてものではなく

あるべき姿、つまり肉体が記憶していたのをそのまま生やすという形だ。

 

撃てばインゲニウムは確かに回復するだろう。だが、リハビリに幾ら費やす?

……口頭でだけで判断しても約1年はかかる。

そもそも、倉持はある特殊な理由で例外であり、相澤先生の場合は筋断裂と粉砕骨折のみ。

 

あれぐらいならば、即座に復帰できるだろう。

 

だが、神経ともなれば話は別だ。繋げ直しても身体に違和感が生じて歩く事すら困難だろう。

 

最低でも1年、どんなに努力しても半年。

その間にも筋力は衰え、ヒーローとしての知名度も薄れていく。

 

どう転んでもヒーロー、インゲニウムは一幕の華を閉じざるを得ない。

 

……倉持はこう結論付けた。

 

だが、やるかやらないかと言われればやる。

 

何故なら、僕はサルバリオンだから。

 

回復弾だけでは無理でも他の方法なら幾らでもある。

 

一人で駄目でも皆がいる。

 

…ならば、やる意味は確かにあるのだ。

 

但し、荒療治にはなるが。

 

 

「……少し、君のお兄さんには厳しい闘いになるかもしれない。それでも良いなら。」

 

飯田は少し悩んだ、これは自分で決めるべきなのかと。

 

だが、今だけは理性よりも感情が勝った。

 

否、勝ってしまったのだ。

 

 

「……頼むっ!!」

 

今、賽は投げられた。

 

 

 

♢♦︎

 

病院内、とある一室にて。

 

ベッドに寝たきりであるインゲニウムと今しがた飯田と共に足を運んだ倉持が話している。

 

既に飯田は席を外しており、そこには2人しかいなかった。

 

少し、気不味い空気が流れた後。

インゲニウムの方から倉持に話しかける。

 

「……君が天哉が言ってた……。」

 

「はい、倉持管理です。」

 

「……本当なのか?俺のこの感覚の無い足が……。」

 

「はい、治ります。任せてください。」

 

「………そうか……そうかぁ……任せてもいいか?」

 

「はい、ですが一つ確認を。これから僕は貴方をこれで撃ちます。」

 

そういうと倉持は回復弾を取り出す。

見た目は唯の拳銃であるが故にインゲニウム、本名飯田天晴は多少驚く。

だが、彼もまたテレビで倉持の決勝戦を見ていた事からソレについては直ぐにわかった。

 

そして、うなづく。

 

「……あぁ。」

 

「そして、これを撃った瞬間貴方には想像もつかない程の激痛が走るでしょう。更に言ってしまえばこれだけでは貴方は現役復帰は叶いません。」

 

「……他にも何かするって……事か?」

 

「はい。ですがこれは僕の個性に関する事。できれば他言は……。」

 

「……わかった。それぐらいなら容易いもんさ。」

 

「……では、覚悟はよろしいでしょうか。」

 

いよいよ、治療が始まるとなり唾を飲み込む。

そして、彼は覚悟を決めた。

 

「あぁ。やってくれ。」

 

 

「……では、天国(彼の元へ)へいってらっしゃい。」

 

そして、倉持は彼に発砲した。

 

……その瞬間、部屋にはインゲニウムの絶叫が響きわたった。

 

 

 

♢♦︎

 

 

痛い痛い痛いイタイタイタイタイタイタイタイタイ!!!!

 

脳が焼ききれそうな感覚と共に確かにナニカが繋がっているような感触がある。

 

折れた所、粉砕した所は聞くのも嫌になる程痛々しい音でももって元に戻っていく。

 

そして、足の感覚はマグマに使っているかのような熱さとともに確かに伝わりつつある。

 

一つだけならまだ耐えられたかもしれない。

 

だが、それらは全て同時に発生したもの。

 

脳は凄まじい勢いで痛みを訴え、身体はそれを拒む様に痙攣する。

 

5分いや10分がまるで1年のような苦痛を受けながら彼は緩やかに意識を暗転させた。

 

 

……そして、傷は癒えた。

 

次の手順だ。

 

 

倉持は『貴方は幸せでなければならない。』を取り出し、彼をそこへ放り投げる。

 

行うのは『肉体の最適化』だ。

 

筋組織、神経回路、そして脳構造。

 

ありとあらゆるものが飯田天晴の肉体において最も優れたモノへと置き換えてられていく。

 

外見では彼は彼のままだろう。

 

だが、中身は既に彼では無い。いや、それどころか最早人間のそれでは無い。

 

肉体に関わらず精神構造もまた彼が幸せでなければならない(・・・・・・・・・・・)ように設定された。

 

だが、これでもまだ足りない。

 

肉体、精神は既に人間であって人間では無い。

 

それでも、彼は再び傷ついてしまうだろう。

 

体は出来ていても個性がそして技術が完成された肉体に追いつかなくなり

再び、彼は苦痛を受けるだろう。

 

……それはいけない。

 

彼はもう泣くべきでは無い、悪に挫けず、家族を守り、そして夢を叶えるべきだ。

 

だから。

 

 

『……其方に祝福を。其方に加護を。どうか其方が健やかにその生を全うできるよう。最後に其方が我が友の助けとなるよう。…我の其方への贈り物だ。』

 

 

……かくして、飯田天晴は生まれ変わった。(再誕した)

 

 

彼は苦痛を受け、作り変えられ、そして祝福された。

 

 

目を覚ました彼は祈りを捧げる。

 

……我が身を救ったかの神とその友に感謝を。

 

 

 

 

 

あなたは使徒である。この岩の上に私と友の教会を建てよう、誰であろうとそれには打ち勝てない。

 

 

 

……何処かで鐘のなる音が確かに聞こえた。

 

 

 

 

 




残り、11名。

汝らを導き、照らしたもう。


ではまた次回
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